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気が付いたらあの頃の大人 -12食目

フランス人はジブリが好きなのね。知らなかった。『千と千尋の神隠し』については高レベルな考察が欲しくて町山智浩のレビューを探してみたのだけど。「湯女という言葉を辞書で引いてみろ。明確に風俗嬢と書いてある。何より宮崎駿が自ら風俗産業の話だと言っている」ここまではいい。「日本ではどこを探しても風俗産業と『千と千尋』を結びつけている批評が全く存在しない。クソ野郎馬鹿野郎だ節穴かアホめ(意訳)」というのを1時間くらい延々と喋っていて、うんざりしてしまった。

ジブリに限らず、あらゆる表現を性と結びつけたがる論って多いけど、個人的にあんまり好きじゃない。別にそういう見方があっても良いんだけど、彼らは「100%絶対にそうなのです」な立場になりがちなのがちょっと。解釈の自由だろ、と思います。

くみこ氏の友人たちが大人フェーズを辿っていく話と関連して思ったこと。気が付いたらその年齢になってるわ、という話。

ノンログインで聴けるっぽいところを引用しておくね。

デルモって言ったら「あっ!」ってみんなが
物珍しげに見ちゃって
10代の頃はそんな感じをひたすら夢見たけど
(中略)
Oh Yeah! こないだまた思ったの
幸せってつまり何なのよ
子供作っちゃえば!?ってみんなが軽いノリで言うけど
私にとっては深刻なの
満たされなくていつだって

冒頭で設定が示されてるんだけど、20代後半、海外でも活躍するモデルの孤独、な歌です。歌詞全体はこちら。

このアルバムの発売が2007年だから、中学3年生の時に聴いてたわけで、当時のモデルっていうとエビちゃんとかのイメージだった。とにかく自分からしたら「大人〜」な女性の歌であったわけですが。現在27歳、ちょうどこのデルモさんの年なんだなと思うと感慨深い。

サザエさんの年齢なんだなとか、オレンジデイズのあの人たちはすっかり年下なのね、とか、コンテンツに纏わる年齢を超えていく感覚ってすごく独特。それよりも若かった自分が抱いた感覚も残ってるけど、それを越した年上な自分から見た感覚も被さるわけで。だから見た時の感覚は時間が経つにしたがって変わっていくけど、必ずしも完璧に塗り替えられるものでもないよね。一方で器用に切り替えることもできない。

もうちょっとだけ歌から引用すると。ここも結構好きなんだけど。

毎晩お盛んな無名時代の友と長距離電話
そんでもって彼女が言うには
こんなこと聞いて誤解しないでよ
縛られるのって結構気持ちいいかもしんないな

これとそっくりリンクするシチュエーションが江國香織の小説にあって、上海辺りに住んでいる友達が、旦那さんとも仲良しなんだけど毎晩アバンチュールを繰り返していて、それを熱く長距離電話で語ってくれるってシーンがあるのです。だから何というわけでもないのだけど、やっぱり何か大人だなー。そして長距離電話、いいなあ、skypeには出せないシーンの味わいだよね。

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