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猫の歯を抜いた #今日のうりちゃん

うりおのこと

オス猫。出生は富士山のあたりで詳細不明。2015年頃から譲渡型猫カフェに在籍していて、2017年に引き取った。在籍当初から若い大人の猫だったから2019年現在はおそらく6歳前後。引き取った当初は分離不安による夜泣きやウールサッキングなども見られたけれど、今は精神的に安定していて甘えん坊。「うりお」という名前は保護した施設の方がつけた名前。アメリカンショートヘアのような渦巻き模様がウリ坊に似ていることから。私はシャトレーゼのアイスに似ていると思っている。

困っていたこと

うりおは嘔吐が非常に多い猫だった。わりと早い段階で、全然噛まずに早食いするのが原因だということはわかった。噛まないし早食いだから、すぐ食べてすぐ吐く。胃に毛玉が溜まるスピードよりも吐く回数のほうが多いので、毛玉状のGEROは2年間見たことがなかった。保護施設〜保護猫カフェで常にたくさんの猫と一緒だったから早く食べないと取られる! という意識があるのだろうか。引き取った当時はちゅ〜るのビニールを鬼のようなスピードでかじっては、顔の周りを飛び散ったちゅ〜るで汚していた。

バラ色の歯茎

うりおはハミガキの習慣のない猫だったし、クチをめくられるのを嫌がったので、気休めにデンタル系のオモチャやスナックを与えていた。前者はともかく、後者は「噛まない猫」なんだから、今考えるとスナックはあまり意味は無かった気がする。

ある日、寝ているときに、クチャクチャと音を立てるようになったのが異変のはじまりだった。2019年頭に健康診断をお願いして、ちょっと腫れてますけど大丈夫ですよと言われたので、様子を見ることにした。この時点で嫌がられても歯を磨けていればまた結果は違ったのかなとも思う。うりおには申し訳ないことをした。

春を迎えて、このクチャクチャがペロペロに変わった。特にオモチャで遊んだあとに歯を庇って舌が動いているように感じた。これは歯が痛いんじゃないか? うりお(6kg)を担いで動物病院へ行くと「歯茎がピンク色になってますね、歯肉炎です。抜いたほうがいいです。犬歯は残せそうですね。どうしますか?」と言われた。

えー歯を犬歯以外ぜんぶ抜くんですか!と、面食らう。まだうりおは若いのに、そんなおジイちゃんのような...。(私の実家には20歳のオス猫がいて、彼は自然に歯が抜けているので、私は彼を思い出していた。)

獣医さんは慣れたもので、
・丸呑みをする猫にとって、歯はあまり(人間ほど)必要ではないこと
・まだ重症ではないのでこのまま様子を見るのもアリだということ
・手術よりも、本猫のプライドが傷つくとご飯を食べなくなるのが心配だということ、これは手術してみないと分からないということ
を説明してくれた。

私は「夫とも相談してみますが、夫は嫌がりそうです」とつい愚痴ってしまった。先生は「男性は痛いの苦手ですもんね。猫も三毛のメスは歯がなくてもわっしわっしとご飯を食べますが、オスはしょぼくれることが多いです。...男は弱い。」と言っていて笑ってしまった。弱き者、汝の名は男。 ちなみに先生は男性。

結局夫とも話し、手術をお願いすることにした。当時のうりおの状態は緊急を要するほどではないので、1ヶ月先の予約をとって、この日は術前の血液検査だけをした。費用は1万円ほど。

ゴハンの研究

どうやら、噛まないで早食い→歯垢溜まる→歯が痛くなる→噛まないで早食い、のループになっていることが分かったところで、手術まで時間があるので、歯に負担のない食事を研究することにした。私は彼に咀嚼させるのを諦めたのだ。

うりおにはドライフードとウェットフードを基本に、ちゅ〜るを1日1本与えている。それと週に2回〜3回、人間の夕食時に蒸したササミ。カロリー的にはササミが入ると丁度成猫の基準値を満たすようにしている。うりおが一番好きなのは細かくした蒸しササミ。夫用のツマミと一緒に作って出すので、うりおは夫の晩酌のお供をしている。決して直接皿から取らず、夫が与えてくれるのをキラキラした目で待っている。"毎日のルーチンと、たまに美味しいもの"というスタンス。

ウェットフードは成猫用MiawMiawジューシーシリーズをずっと食べていて、「あじわいマグロ」が一番好きなようだ。このウェットフードと、ササミは消化に良いのかあまり吐かないので、これは変えていない。

問題はドライフード。2年ほどはロイヤルカナンを与えていた。質も(値段も)素晴らしいフードだけれど、飽きてしまう。私は、あえて"飽きさせる"とゆっくり嫌々食べるので、嘔吐防止の観点から仕方がないかなと思っていた。

ところがここに来て「フードが歯に当たるのが痛くて早く食べようとするんじゃないか」ということに気がついたので、歯にあたらない、丸呑みできるとにかく小粒のドライフードを探して与えてみることにした。これがとても成果があって、手術までの1ヶ月で、普通の猫よりちょっと多い位の嘔吐回数に抑えることができた。今は同じシリーズのMiawMiawカリカリ小粒タイプを基本に、たまに間食的にモンプチドライ・バッグを与えている。

いざ手術

いま思い出しても気が重いけれど、当日はイチャイチャしながらドサクサにまぎれて洗濯ネットに収納→ネットごとキャリーバッグに収納し、動物病院へ連れて行った。本猫的には拉致以外の何物でもなく、その後の手術も含めてこの世の終わりだと思ったに違いない。チビってしまって大変だった。

10時ごろ連れて行って、12時〜15時のお昼休みの間に手術、18時ごろお迎え、という日帰りだった。犬歯以外の歯を抜いて、6万円弱だった。
(病院によって差はあると思います、個人的には安いと思う)

家に帰ると意外とケロッとしていた。猫は痛いとき顔に出ないからよくわからない。実際痛かったんじゃないかなとは思う。夕方からゴハンをやって良いと聞いて、ちょっと戸惑った。

余談だけれど、猫を飼っているとできないことがある。それがバルサン。偶然、手術の数日前にGの気配がしたので、うりおが入院している間にバルサンできたのは良かった。

術後の経過

術後、化膿防止として抗生物質を朝晩×10日間やることになった。最初の1回はクチをあけて薬を飲ませていたものの、抵抗するので平らな木のスプーンの底で薬を潰して粉薬状にして、ちゅ〜るに混ぜて与えることにした。これがとてもうまくいった。

経過としては以下。

1日目...クチが開かない
2日目...クチは開くが、いわゆる"サイレントニャー"
3日目...少しずつ鳴くようになる

だいたい5日目をすぎると、ほぼ普段どおり鳴くようになってほっとした。その反面、喘息のような発作が収まらずに心配した。これは麻酔の挿管の影響らしく、手術後の猫にはたまにあることのようだ。そのうち消えるとのことで、実際に1週間をすぎる頃には消えた。

8日目、異常な嘔吐

あと薬も数日という段階で、異常な回数の嘔吐をするようになった。食べたら食べた分、飲んだら飲んだ分だけ吐くという感じ。明らかに尋常ではなく、絶食させても胃液を吐くので、獣医さんへ逆戻り。「抗生物質で腸内細菌バランスが崩れて胃腸炎になったのでは」という診断。とりあえず誤飲などでなくてよかった。水分の点滴と吐き気止めの注射をしてもらい、抗生物質はもう大丈夫ですよと言われる。5000円くらいしたと思う。

実際に、そこから数時間経ってゴハンをしっかり食べだした。嘔吐もない。私は獣医学に感謝しながら、嘔吐によって水没したMacのキーボードを買いに走った。13000円くらいした。

術後1ヶ月、良かったこと

結論として、手術に踏み切って大正解だった。「歯が痛くなくなった」は本猫しかわからないので、客観的評価で、良かったことは以下。

・毛づくろいが増えた
・毛玉以外の嘔吐がほぼ無くなった
・食事を残さなくなった
・口臭が消えた

毛づくろいが増えるというのはちょっと要注意で、ストレスが溜まっていることによる毛づくろいとの違いを見極める必要があり、今後も観察していきたいとは思っている。ただ、いままで歯が痛くて、入念にはできなかったんだろうなぁというのは察しがつくので、踏み切ってよかったなと思う。

嘔吐については「そうそう!猫ってこうだよね!!!」という感じ。

口臭は、猫って(程度はあるにせよ)口臭があるのが当たり前だと思っていたので驚いた。

食事については内容を見直したのも効果を発揮して「残すけど食べたい」ということがなくなった。あれはワガママじゃなくて、食べたいけど食べられなかったんだね、ごめんね。

肝心の獣医さんが言う「プライド」については、意外と平気で「ごはんおいしーーー!」というキモチのほうが上回った様子。単純で助かった。

おわりに

私は物言わぬ猫について、普段からSNSやインターネットで情報交換させてもらっています。猫の歯がおかしい、あるいは抜歯したほうがよいと言われた方の目に留まることで、励ましになったり、参考になれば幸いです。診断や治療方針、費用については病院によって異なると思いますので、その点ご理解ください。今後の経過については、twitterにて #今日のうりちゃん で近況を垂れ流しているので見てください。保護猫はいいぞ。

はじめて布団に入ってきた日のうりちゃん

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