堀 容優子(ほり ようこ)

キャリア四半世紀以上のライター。「上阪徹のブックライター塾」3期生。自著・ブックライテ…

堀 容優子(ほり ようこ)

キャリア四半世紀以上のライター。「上阪徹のブックライター塾」3期生。自著・ブックライティング本60冊超。得意分野はビジネス実用、マネー、美容、健康、スピリチュアル、自己啓発など。 趣味はヴァイオリンと読書とお菓子づくり。フィギュアスケートや大相撲を見るのも好きです。

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最近の記事

『魔の山』 トーマス・マン 望月市恵訳 岩波文庫

トーマス・マンの『魔の山』、本の紹介を読むとたいてい「教養小説」とか「成長小説」と書いてあります。『魔の山』というタイトルと「教養小説」「成長小説」という分類。何のこっちゃ?という感じですが・・・ 読んでわかりました。この小説全体がめくるめく「知の世界」であり、主人公の成長を通して「人としていかに生きるべきか」を探求するものだということが。 ハンス・カストルプは23歳。いささか軽薄なこの青年を主人公として、物語は「神の視点」で展開されます。 3歳年上の従兄であるヨーアヒム

    • 『のねずみチュウチュウおくさんのおはなし』 ベアトリクス・ポター 石井桃子訳 福音館書店

      ポターの有名な絵本『ピーターラビット』シリーズの1冊です。 これを買ったのは、息子が2歳のかわいい盛りのころだったと思います。 息子小学校1年生のときに今の家に引っ越してきたのですが(マンションです)、隣の家にきわめて神経質なおばさまが住んでおりまして、私と息子は「となりの のねずみチュウチュウおくさん」と呼ばわっておりましたよ。悪いね、私ら親子。 さて、きれい好きなのねずみチュウチュウおくさんは、年がら年中、家のそうじに余念がありません。 しかし、そんな彼女をわずらわせ

      • 『サロメ』 オスカー・ワイルド 福田恒存訳 岩波文庫

        5回目の今日はオスカー・ワイルドの『サロメ』です。 18歳、高校3年生の時に読み、耽美的な世界に強く惹かれた作品です。 「ヨカナーン、お前の口に口づけするよ」 そう迫るサロメ。拒み続けるヨカナーン。 口づけをしたいがために権力を行使し、ヨカナーンの首を取ってしまうという恐ろしさです。 その妖しくおぞましく美しい世界を、福田恒存氏の名訳によって日本語で堪能できるありがたさよ。 私が人生で初めて「文学作品は翻訳次第」ということを知るきっかけとなったのがこの作品でした。 当時、

        • 詩集『二十億光年の孤独』 谷川俊太郎

          タイトルからして変化させちゃってます。すみません。 4日目の今日は、15歳・中学3年生の時に教科書で読み、激しく感動した『二十億光年の孤独』です。 現代詩の巨匠・谷川俊太郎氏の18歳の時の作品だそうですね。 もう本当に天才。 本が新しいのは、15歳の時に買ったのをなくしたのか?見当たらずに買い直したからです。 この中に詩集『二十億光年の孤独』が収録されています。 どれも全部好きだけど、特に「ああ、もう、本当にそうだよね!」と強く共感するのが「初夏」という詩の中の「少年」と小

        『魔の山』 トーマス・マン 望月市恵訳 岩波文庫

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        • 私の愛する本
          7本
        • ライターを23年やって思うこと
          13本
        • 日日雑記。
          6本

        記事

          『はつ恋』ツルゲーネフ作 神西清(じんざい きよし)訳 新潮社

          3冊目はツルゲーネフの『はつ恋』(神西 清訳(じんざい きよし)・新潮文庫)です。今日もまた年代物の表紙ですよ(* ´艸`) 札幌の中学校1年生のとき、市内で一番大きな富貴堂書店という書店で買いました。 何しろ大昔のことです。ウォークマンもテレビゲームもありませんでした。あのころは書店がレジャーランドで、本を読むのが娯楽でしたよ。 しかしミーハーな中学1年生だった私には、文学の香り高き名訳はいささか難しく、特に感動もしませんでした。 そのよさがわかったのは、それからずっと後

          『はつ恋』ツルゲーネフ作 神西清(じんざい きよし)訳 新潮社

          谷崎潤一郎訳 『源氏物語』

          初日の昨日が『平家物語』だったので、今日は『源氏物語』で行きたいと思います。 小学校6年生のとき「どこがおもしろいのかさっぱりわからん」と思っていた『源氏物語』、今は亡き母が20歳過ぎたときに「あなたもこのくらいのものは読まなきゃダメ」と言って買い与えてくれました。全10巻から成る、谷崎潤一郎訳の『源氏物語』です。 この本も、何度も通読していますが、明確な面白さがあるかというとそうではない。 少なくとも、平家物語に感じたわくわく感はありません。 にもかかわらず、一度読み始

          谷崎潤一郎訳 『源氏物語』

          『平家物語』長野嘗一訳・ポプラ社

          小学校6年生の時に買ってもらい、おそらく人生で一番多く読み返している本です。 なぜかというと「読むたびに面白いから!!」 訳者の長野先生の平家物語愛がびしばしと伝わってきます。 子供たちにどうにかしてこの面白さを伝えたくてたまらない感じ。 大人になってから歌舞伎を見るようになりましたが、繰り返しこの本を読んでいたためか、平家物語をモチーフとした「平家物」にはわくわくしました。 初めて見た歌舞伎の演目は「俊寛」。清盛の怒りに触れて、鬼界が島に流され生きて帰って来られなかっ

          『平家物語』長野嘗一訳・ポプラ社

          「本一冊書くのに必要な情報量」

          本を一冊書くのには、当然のことながら「絶対にこれだけは必要!」という情報量があります。 いつごろから、その必要量がわかるようになったんだったかなあ、と先ほど、考えていました。 私が最初に書籍を書いたのは、たぶん1996年ごろだと思います。今から21年前ですね。 まだワープロを使っていたはずです。印字してファクスで送っていた・・・のかな?? 今になってみると、書籍初心者には非常にありがたいシステムなのですが、ベテランさんと組んで2人で1冊を分け合って執筆しました。 編

          「本一冊書くのに必要な情報量」

          取材内容の情報処理が楽にできるようになった!

          今日も地味ーーーに不動産相続の本を書きました。 書籍を書くたびに思うのですが、昨年、上阪先生のブックライター塾に行って、本当によかった、と。 取材内容の情報処理が、すごくやりやすくなりました。 材料をきちんとそろえておけば、書籍一冊を書き上げるのにそれほど苦しむことがない、ということがわかったんです。 取材がしっかりできていることが前提ですけれども。 ・・・今日はヴァイオリンの練習も小一時間ばかりできたのでよかったです。たしかこの1週間、ほとんど弾いていなかっ

          取材内容の情報処理が楽にできるようになった!

          不動産本が続きます。

          現在、不動産相続の本の締め切りが10日後に迫っています。 今日から2日で1章ずつ終える予定。3章残っているので、6日で書き上がる計算です。 「書くのが速い」と言われることが多かったので、「そうかあー、私、速いんだー」と思ってきました、比較対象もないままに。 が、ブックライター塾に行き、ほかの方たちのお話をうかがうようになって、それに疑問が・・・(~_~;) みなさん、私なんか比較にならないくらい速いーーーー!!! おそらくあの方たちなら、1日1章くらい楽勝で書いて

          不動産本が続きます。

          「腎臓をもむ健康法」

          私が人生で最初に覚えた臓器の名前は「腎臓」です。まだ釧路にいたころですから、5歳より前のことでしょう。その名は、祖母から教わりました。 彼女は大正時代に腎臓結核の手術を受けた人で、左右どちらかの背中から脇腹にかけて、大きな傷がありました。お風呂に一緒に入ったときに「どうしたの?」と尋ねたら、「腎臓の手術をしたときについた傷」と教えてくれたのです。 大正時代の腎臓摘出手術です。今では想像もできないほどの大手術だったことでしょう。死にかけた彼女が、祖父の夢枕に立って、「おとう

          「腎臓をもむ健康法」

          ライター23年目で思いがけないヒットが出た!

          ひところ真面目に書いていたnoteを放置プレイして何か月になるでしょうか。 上阪徹先生のブックライター塾を受講したのが昨年の4月~5月。 もうすぐ1年がたとうとしています。 当時「ライター歴23年です」と言っていた私ですが、この1月で24年になりました。 光陰矢の如し。 さて、昨年は私にとってライターとして一番大きな転機だったのでは?と 思えるような一年になりました。 ヒットが2本出たのです。 それもまったく思いがけない分野の仕事で。 私のライターとしての出発点は、健

          ライター23年目で思いがけないヒットが出た!

          終戦記念日

          昨年の今日の投稿です。毎年、同じ気持ちでいたいので、再掲することにしました。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ たぶん私は8月15日になると、毎年同じことを書いていると思う。 でもそれでいいのだ。 私はおそらく、親から戦時中の話を聞くことのできた、最後の世代に属すると思う。 だから毎年、終戦記念日を強く意識しなくてはいけない。 そして、子ども時代の夏を思い出さなくてはいけない。 私の子ども時代は、戦争体験者が圧倒的に多かった。

          「どうしてもこの人を世に出したい!」が止められないとき

          版元さんに企画を持ち込むことがあります。 ただ、それが好ましいことなのか、あまり好まれないことなのかは、相手の編集者さんによるようですね。 私がお仕事させていただいた版元さんの多くは、「何か企画があったら持ってきてくださいね」と言ってくださっていたので、何の考えもなく持ち込んでいたのですが、中には「自分で企画を見つけたい」編集者さんもいらっしゃるそうです。 それはさておき、矢も楯もたまらず「この方の本をつくりたい!!」と思うことがあるのです。 あまりに魅力的で、この

          「どうしてもこの人を世に出したい!」が止められないとき

          文章も音楽も根っこは同じだと思った

          先日の空音舎(音響に詳しい一級建築士の女性がつくった音楽スタジオ)で、ストリングスクリニックに参加させていただきました(私はヴァイオリンを弾きます) いわゆるマスタークラスです。 みなさんの前で受講生が弾いて、先生方(今回はピアニスト・健康、医療系のジャーナリスト、鍼灸・マッサージ師という豪華メンバー)の指導を受けるというものです。 今回は「体のクセや使い方を適正なものにして、演奏をブラッシュアップする」というのがテーマでした。 私以外の5人の受講生の方々は、「重心が

          文章も音楽も根っこは同じだと思った

          生麩大好き♪

          食べ物シリーズなら毎日、書ける気がします。 今日のテーマは生麩で。 生麩を初めて食べたのは、確か2010年3月。 関西にいた身内の葬儀の際に出された仕出し弁当に入っていました。 お葬式に出てくるものは「おいしくないもの」だと思い込んでいましたが、喪主が「うるさい親戚に文句言われたくないから、いちばん高いのにした」というだけあって、それは素晴らしいお味でした。 特に感動したのが、 ●もちもちした触感 ●おだしの効いた上品な味 ●見た目のきれいさ の3つを兼ね備えた生麩です。