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【政策】中国、ドラマ業界に新たな方針、題材やギャラなどの規制強化

時代劇を中心に、近年日本でも人気を集めている中国ドラマであるが、テレビ管轄を行う中国政府機関「広播電視総局」による新しい業界発展方針が発表された。

ドラマ

▲日本でも人気な中国時代劇

この方針は第14回5カ年計画(2021~25年)期間における、国内テレビドラマ業界の作品テーマや市場競争、および報酬管理、人材育成、海外進出などをまとめたものである。

以下、チャイトピにより一部翻訳。
中国語原文はこちら:http://www.nrta.gov.cn/art/2022/2/10/art_113_59524.html

■出演者について:
・出演者の脱税、「陰陽契約(表契約と裏契約両方を用意する脱税手法)」、極めて高額なギャラなどの違法行為を行った場合は、厳しく処分する。違法行為を行った者や「道徳の欠落」した芸能人のドラマ出演を禁ずる。
・ギャラ管理の強化。ドラマ出演者の合計報酬は、制作費の40%を超えてはならなず、メインキャストの報酬は全報酬の70%を超えてはならない。また、業界は統一した報酬契約のテンプレートを作成すべきである。

■ドラマの題材選びについて:
党と国家の出来事を巡る、重大な事実、重大な革命、重大な歴史的題材をメインにしてドラマの題材選ぶよう、制作を指導。党、国、人民、英雄を称えるような作品を生産していく。また、農村や辺境など特色のある地域題材も推奨する。

■市場競争について:
・ドラマ市場の規範化、公平的な市場競争を促進。悪質な競争、不正競争、市場独占を断固として反対する。また、資本の無秩序な拡大を防止する。

■海外販売について:
・中国ドラマの海外市場開拓を推進し、海外企業と連携したドラマ製作を支援。海外市場でのシェアを拡大し、中国ドラマの世界的普及と影響力を強化していく。
中国ドラマを通した外交宣伝を推奨。中国社会主義制度の優位性や政府の成績、中華文化を海外へアピールする。


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同方針はまだ計画段階にあり、法律的な効力はないが、今後は実施に関する具体的な規則がさらに発表されていくと思われる。

近年、中国エンタメ業界の規制が強化され、ファン・ビンビンや鄭爽など、著名女優が脱税により高額な罰金処分を科せられたのは記憶に新しいだろう。
また、昨年LGBT関連ドラマに対する風当たりが強く、「女々しい男(娘炮)」やボーイズラブが「不良文化」扱いとなり配信が規制されるなど、徐々に規制が強まっている。

今後は、報酬分配から題材選びまでさらに政府の厳しい管理下に置かれることになる。実際に、現在中国の歴代映画興行収入トップ2はプロパカンダ映画である「长津湖」と「战狼2」となっており、今後日本で人気を博す中国時代劇は減少していくかもしれない。



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