ナイロン100℃『百年の秘密』(2018/5/12於まつもと市民芸術館)

http://cubeinc.co.jp/stage/info/nylon45th.html

再演もので、オリジナルキャストとくれば不安要素は少ないのだけど、期待以上にガチっと隙のない大作でした。
人間ドラマの大河ドラマをたっぷり1本観たような、壮大な旅でした。

ケラさんの映像を使かった演出は、いつだって新しく洗練されていて唸らされてしまう。どんなに人間くさいドラマでも、ピリッとオシャ♪にしてしまう。
ケラさんの描くキャラクターは、すっきりと人物が立っていて入り込めるし、登場人物が多くても混乱しない。会話は無駄がなくひとつも聞き逃せない、緻密で濃密、それでいて自然。
人生は困難で、時に悲惨でもあるのだけど、わたしにはこれがあるから生きている!これに生かされている!というような生きがいというか、人生の灯火みたいなものが描かれていて、登場人物の人生に敬意を払う気持ちがこみ上げてくるんだよなぁ。

今作は、観ている側の中に少しづつ時系列が出来上がっていく感じが気持ちよく、それでいて、描かれていないあの時代・あの1日を空想させる余地も残されている。演劇にしかできない展開のさせかた、演劇の面白みだなぁと、ワタシにとって、人生の灯火のひとつとして演劇があることを再確認するひとときになりました。

あの木に宿るのは、自身の木霊、周りの精霊たち、家族が語り重ねた思い。
今もどこかにあるはずのあの木に、物語をわけてくれたお礼を捧げたい。

ケラさんはまつもと市民芸術館とご縁が深いようで、2年にいちどは公演をされているので、次も楽しみに待っていますよー。