DVD『9条を抱きしめて』ネルソンさんとPTSD


https://www.tokyo-np.co.jp/article/248549?rct=national
きょうは何の日 5月8日 世界赤十字デー2023年5月8日 07時04分

赤十字の創始者であるスイスのアンリ・デュナンの誕生日(1828年)にちなんだ国際デー。国際赤十字は敵味方の区分ない負傷者救済の目的で創設されました。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/248549?rct=national
きょうは何の日 5月8日 世界赤十字デー

2023年5月8日 07時04分

ローソク革命で生まれた女性家族省重視してた本好きの韓国文在寅前大統領、THAAD3不で中華人民共和国との緊張緩和めざして朝鮮戦争終戦宣言までやってたのだよね。
韓国文在寅前大統領の頃に星州・金泉のTHAADが撤去出来てれば中華人民共和国の限韓令も解除できて韓国の反中感情も中華人民共和国の嫌韓も減ってたかもしれない。
ユン政権は韓国の問題を解決できない保守系政権で韓国の半地下の住まいまで奪おうとするあかん政権だから弾劾されて、もう一度ローソク革命おきないかな。





イ・セヨンの問い 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と与党指導部および公共機関の長たちは近ごろ、「金日成(キム・イルソン)主義者」、「従北主思派(北朝鮮に追従する主体思想派)」、「銃殺に値する」などの極端な発言を続けている。右翼団体は独裁時代のレッテル貼りを再び持ち出し、異なる見解を持つ人々を敵とみなしている。このような過激主義イデオロギーと行動の特徴はどのようなものか。それはどのような方法で民主主義と個人の自由を破壊するのか。過激主義は実際にどれほど危険なのか。

シン・ジヌクの返答 朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾を求めるろうそく集会の真っ最中にあった2016年冬以降の数年間、ソウルの光化門(クァンファムン)広場一帯では「太極旗部隊」と呼ばれる大規模な群衆が週末になると集会をしていた。すべての参加者の手に、服に、リュックサックに太極旗があり、少なくない人々が軍服やサングラスを着用していた。トラックの大型スピーカーからは軍歌、賛美歌、「美しい山河」という曲が耳をつんざく大音量で流されていた。

 このような集会では「左派」、「従北」、「アカ」を「処断」、「撲滅」し、さらに「銃殺」、「絞首刑」に処すべきだというぞっとする言葉がポスター、プラカード、そして参加者の「自由発言」というかたちで平気で飛び出してくる。しかも、私たちはインターネットのポータルやマスコミ報道へのコメント、オンライン・コミュニティでこのように特定の個人や集団を憎悪し、絶滅させたいという発言や主張に頻繁に接する。

 「極右」はこのように大韓民国の日常になっている。彼らの行動の極端さのせいで、彼らは異常で例外的な人のように見えるが、最近の研究によると右翼集会の参加者の年齢、学歴、職業、所得水準は多様だ。だが彼らは「従北左派撲滅」、「自由大韓守護」、「同性愛は悪魔」を叫ぶ。このような平凡な市民の過激主義、または過激主義市民の偏在こそが本当に恐ろしいのだ。

 しかも尹錫悦政権が発足したことで、極右の政治環境に質的変化が生じた。政府与党と公共機関の代表者が反対者を「従北主思派」、「金日成主義者」、「銃殺に値する」のようなイデオロギー的レッテル貼りと極端な発言による攻撃を公然と行う中で、社会の極右勢力は事実上、政府の公式の認定の下で大手を振って歩けるようになった。現状の潜在的リスクを重く受け止めるべきだ。

愛国、自由、民主を標榜しつつ憎悪を拡散

 20世紀前半のファシズムやナチズム勢力は根本的に民主主義と多元主義を否定し、転覆させようとした。1970~1980年代に至るまで極右は人種主義、全体主義、独裁と暴力を堂々と称賛していた。しかし21世紀の極右は民主主義、選挙、複数政党制と共存し、愛国と自由、福祉国家を標榜する。「極右」、「過激右派」、「右翼ポピュリズム」の境界線がぼやけていくにつれ、彼らの大衆性と得票率も高まっている。

 このような最近の変化によって極右の勢力、言説、イデオロギーの拡散は漸進的、長期的、不可視的な特性を持つようになった。欧州議会の議長を務めたマルティン・シュルツが警告したように、今の「極右」の真の危険性は、韓国社会において「許されないこと」の限界が少しずつ崩れ、「想像できなかったこと」が徐々に自然と受け入れられるという、タブーの腐食過程にある。「反人倫的イルベ(韓国のネット右翼が集まるウェブサイト。転じてネット右翼)」が「普通のイルベ」になるのだ。

 欧州と米国では2000年代以降、保守政党内で極右が拡大するとともに、極右諸政党の中心部への進出が進んだ。彼らは自由と民主主義、福祉国家と法治を尊重する態度を取る。その中で「黒人」、「アジア人」、「外国人」、「難民」、「同性愛者」、「イスラム」などの特定のカテゴリーに公共の敵というレッテルを貼り、大衆的不安と憎悪を栄養分にして組織を拡大し、票を得る。

 オーストリア自由党、フランスの国民戦線、ベルギーのフラームスの利益、オランダの自由党、スウェーデン民主党、ドイツのための選択肢、「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者」などのように、2000年代以降に成長した極右政党と大衆運動諸団体は、反人倫的過激主義と正常な意見表明の間の曖昧な灰色地帯で動きつつ、政治と社会を右傾化させた。

主流極右と辺境主流の密月

 極言と暴力をこととする行動主義者は、しばしば社会の中心部の既得権勢力の偽善的黙認、暗示的支持、または秘密の交流から力を得る。すなわち、政治的、社会的中心部と周辺部極右はつながっている。両者のつながりのあり方は様々だ。中心部極右が周辺部極右を支援することもあり、周辺部極右が中心部へと拡大することもあり、中心部から極右化して周辺部を活性化することもある。

 国によっても様々なあり方がある。欧州では中心部の保守政党が極右勢力と距離を取っていることが多いため、それに不満を持つ有権者を足がかりとして新生極右政党が勢力を得たケースもある。それとは異なり二大政党制かつ大統領制をとる米国では、ドナルド・トランプという右翼ポピュリストが既成の政党政治の制度的規則と慣行を破壊しつつ社会内部の極右主義を動員して増幅し、そのエネルギーを自らに集中させた。

 韓国の特徴は、主流保守政党が元から極右的性格を内包しており、それが続いてきたということだ。プロテスタントや反共団体を基盤として極右政党がしばしば設立されてきたにもかかわらず成功できなかったのは、「保守」を掲げた巨大政党が極右系の有権者の欲求を満たしてくれるからだ。このように韓国では「保守」と「極右」の境界が曖昧だが、それは「保守」政権の極右化の潜在性が高いことも意味する。

地政学的緊張が招いた不安と怒り

 極右主義の力は、国際環境と地政学的緊張に大きな影響を受ける。20世紀前半の欧州でのファシズムとナチズムの台頭は、ロシア革命が触発した恐怖を除いては説明できない。今日でも欧州や米国の極右は移民者や難民の問題を膨らませることで支持層を拡大するが、これもやはり「外部」要素が入ってきて「内部」を脅かすというフレームによって不安と怒りを動員するものだ。日本の極右組織「在特会」や「日本会議」も北東アジアにおける覇権競争と対立構造を重要な背景としている。

 そのような観点からみると、韓国における極右勢力とそのイデオロギーの持続的な力を説明する決定的要因は冷戦体制の遺産、分断体制の持続、北東アジア秩序の不安定さだ。この地域の軍事的、外交的緊張が高まり、国と国との衝突が可能性のあるシナリオとして動員されうるなら、各国の国内で多様性と自由ではなく秩序と規律、理念的統一性を強調する極右的主張が強まりうる。

 特に韓国は分断体制構造の中で政府が樹立されただけに反北朝鮮、反共右翼の根が深く、その遺産が今も強く残っている。金大中(キム・デジュン)政権の太陽政策に対する保守の批判でも、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の私立学校法改正の試みに対するプロテスタントの反発でも、文在寅(ムン・ジェイン)政権の公共医大設立計画に対する医師団体のストライキでも「共産主義」、「従北左派」という極端なイデオロギー的色彩が強烈に噴出した。

伝統極右に根があり、少数者嫌悪へと拡大

 極右の議題、イデオロギー、主体、組織は、時代環境の変化に対応しつつ躍動的に変わることもある。西欧の極右は、冷戦時代には反共、反ソ、反左派、反労組闘争を中心課題としたが、1990年代からは移住者、難民、同性愛、イスラム、多文化などが最も火の付きやすい問題となり、これに相応するイデオロギーと極右政党の政治戦略が発達した。

 韓国でも2000年代以降、移住労働者、同性愛、フェミニストなどに対する嫌悪行動と言説が大きく広がった。新たな極右主義は伝統的な反北朝鮮、反左派、反労働者イデオロギーに代わるものではなく、そこに接合され拡張される。フェミニストと階級論者の「交差性の政治」はなかなか進展しないのに対し、右翼はオールドライトとニューライトの様々な流れが緊密に連帯してきた。

 このような連帯ネットワークとフレームの接合において最も中心的な役割を果たすのが、プロテスタント右派だ。国内の米国人宣教師たちと米国本土の右派勢力の影響で、韓国プロテスタントはもともと保守傾向が強かったが、特に盧武鉉政権時代に極右傾向と政治的行動主義が強まった。プロテスタント右派は組織、財政、信者、独自のメディアや学校、政界との連携など、さまざまな面で強力な資源を持っている。

 過激主義は単に左右のスペクトラムの端に存在する非正常な少数を意味するものではない。人権、自由、尊厳、平等、平和のような現代の根本価値はすべての人間に同等に保障されるべき、という普遍主義を受け入れないあらゆる者が過激主義者だ。そのような過激主義が韓国社会に広がらないようにするために最も重要なのは、彼らに同意しない多数が明確な意志を示すことだ。

シン・ジヌク|中央大学社会学科教授、イ・セヨン|本紙論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://h21.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/52888.html韓国語原文入力:2022-11-18 15:21
訳D.K

http://japan.hani.co.kr/arti/politics/45166.html
「太極旗」極右、その不気味な平凡さ

登録:2022-11-21 03:33 修正:2022-11-21 04:55페이스북
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全斗煥(チョン・ドファン)元大統領が亡くなった。御年90歳である。



 全元大統領が1か月前に亡くなった陸軍士官学校の同期でもある盧泰愚(ノ・テウ)元大統領らと共に朴正煕(パク・チョンヒ)大統領暗殺事件(1979年10月)後に軍事クーデターを引き起こし、実権を掌握し、政権の座に就いたのはソ連のアフガン侵攻→米国のモスクワ五輪ボイコットによる「米ソ冷戦」真っただ中の1980年9月。以後、全斗煥氏は1988年2月に退任するまで約8年間にわたって大統領の座にあった。



 この頃、米国の大統領はドナルド・レーガン氏だった。全大統領就任から2か月後の1980年11月に実施された大統領選挙でカーター大統領の再選を阻止し、1981年1月に発足したレーガン政権も1989年の1月まで8年間政権の座にあった。



 一方、日本では全政権発足時は鈴木善幸首相だったが、レーガン大統領当選から1年後の1982年11月に中曽根康弘氏が首相に選出され、中曽根政権は87年11月まで5年間続いた。



 人権外交の看板を掲げていたカーター政権は全氏がクーデターで政権を不当に奪取し、米国の友人である野党指導者の金大中(キム・デジュン)氏を逮捕する一方、光州市で起きた民衆のデモを武力で鎮圧したこともあって「認知」を渋っていたが、ソ連を「悪の帝国」と批判し、「打倒共産主義」を打ち出していたレーガン氏は大統領就任後最初の外国の元首として全大統領をワシントンに迎え入れるほど全政権を全面的にバックアップした。全氏もまたレーガン大統領に応えた。そのことはナショナルプレスでの次の発言からも明らかだ。



 「朝鮮半島の平和と安定は北東アジアの平和と不可分である。韓国は特に太平洋における日本と米国の防衛の砦である。協力してソ連の脅威に対抗したい」と、「韓国砦論」を披露したのである。



 当時、全斗煥政権は安全保障面では米国に、経済分野では日本に支えられていたことからメディアでは「レーガンー中曽根ー全斗煥三角同盟関係」と称されるほど日米韓は蜜月関係にあった。



 日本は当時レーガン政権に対して軍事面での協力はできないが、韓国には経済・技術の面で協力することを約束していた。こうしたことから全氏は時事通信社訪韓団との会見で①日本は経済大国だから技術、資本の面で協力してほしい。それも運命共同体としての高い次元での経済協力を望む②日本が北朝鮮の脅威を感じないでいられるのは韓国軍と駐韓米軍がこれを防止しているという心理的安堵感のためであると強調していた。



 日本から経済支援を受けるのは当然とばかり、全政権は1981年8月と9月にソウルで開催された日韓外相会談と日韓定期閣僚会議で安保経済協力として100億ドル(政府借款60億ドル、民間借款40億ドル)を要請した。



 「安保経済協力」との名目について全氏は政府間交渉の1か月前に訪韓した春日一幸民社党最高顧問に「安全保障の面からみると、日本は韓国と同じ領土にあると考えて欲しい」と言っていたことからも明らかなように「釜山に赤旗が立てば、日本も赤化する」との韓国特有の理屈だった。



 日本は中曽根政権時代に最終的に40億ドルの支援を行うことになったが、国際的に評判の悪かった全政権が日本から多額の支援を得ることができたのは「史上最悪の関係」と称されている今日の日韓関係の現状からはとても想像できないことだが、日韓の間に様々な人脈網が張り巡らされていたことに尽きる。



 経済界では日本商工会議所のコンビ、五島昇副会頭(東急グループ会長=当時)と瀬島龍三(元伊藤忠商事会長)の両氏の名前が真っ先に挙げられる。両人は全氏が大統領就任後最初に接見した財界人であった。当時、パイプ役を担ったのは朴泰俊(パク・テジュン)浦項製鉄会長だった。



 朴会長は全大統領の陸士士官学校時代の教官であり、瀬島氏とは旧制麻布中学の同窓生の関係にあった。また、当時駐日大使だった崔慶禄(チェ・ギョンノク)氏は朴会長が教官だった時の校長であり、瀬島氏とは日本の陸軍士官学校で先輩、後輩の関係にあった。瀬島氏は全氏が権力を奪取した直後に訪韓した折、駐ソウル特派員とのオフレコ懇談で「全将軍とは以前から面識がある」と語っていた。



 政界では「親韓派」と称されていた福田赳夫元首相や日韓議員連盟の会長代行だった春日一幸民社党最高顧問らが訪韓するなど日韓関係パイプ再構築のため動いていたが、裏で動いていたのは1965年の日韓国交正常化以来、韓国と最も太いパイプを持ち続けた岸信介元首相と「国策研究会」の創立者である矢次一夫氏のコンビであった。



 当時、岸氏は政界から身を引いていたが、日韓協力委員会会長のポストにあったし、また矢次氏も同委員会の専務理事として影響力を行使していた。両氏は全氏の大統領就任式(80年9月)に出席し、全氏と1時間半にわたって話し合っている。



 韓国の新政権発足に伴い日本では日韓議員連盟の改編が1981年6月に行われたが、当時の名簿をみると、会長には福田派の安井健元参議院議長が、顧問には福田赳夫元首相が、そして会長代行には春日一幸民社党最高顧問の3人が名前を連ねているが、副会長には中曽根派の3人、福田派の2人に加え、新たに田中派から金丸信と竹下登の両氏が加わっていた。また1980年8月5日にまだ国軍保安司令官だった全氏に日本の政治家として真っ先に面会した田中派の戸塚信也氏も副幹事長の一人に選ばれていた。



 戸塚議員から全氏の印象を聞いた金丸氏は1週間後には田中派の箕輪昇郵政相を連れてソウルを訪問し、全氏と会見している。



 戸塚氏は全氏の印象を「風貌といい、当たりの柔軟さといい、鳩山威一郎(元外相)にそっくりだ」と述べ、また金丸氏も「(全斗煥は)外科医のようなもので思い切った手術をして後は知らないというわけはいかないだろう。最後まで(韓国の政治を)見届けるべきだ」と述べ、全氏のイメージアップに努めたと言われていた。



 全氏とパイプを持った田中派の訪韓ラッシュは続き、山下元利元防衛庁長官が当時若手議員だった林義郎、戸井田三郎氏らを引き連れ、1981年7月21日に訪韓したが、全氏は山下氏に対して「自分は政治の経験が浅いので豊富な政治経験を持つ田中角栄元首相にできたらお目にかかりたい」と田中元首相の訪韓を要請したが、田中元首相の訪韓は実現せず、代わりに1か月後に竹下氏が日韓議連副会長として訪韓していた。



 「親韓派」の本家を自任していた福田派からも同派のプリンスだった安倍晋太郎氏が自民党政調会代表団を連れて1981年6月に初めて訪韓し、全氏と対座していた。



 全氏は現在、日韓の火種となっている「過去」の問題について最初(1981年8月15日)の光復節記念式典での演説で「我々は国を失った民族の恥辱をめぐり、日本の帝国主義を責めるべきではなく、当時の情勢、国内的な団結、国力の弱さなど我々自らの責任を厳しく自責する姿勢が必要である」と述べ、翌年の演説でも「異民族支配の苦痛と侮辱を再び経験しないため確実な保障は、我々を支配した国よりも暮らし易い国、より富強な国を作り上げる道しかあり得ない」と「克日」を強調していた。



 なお、全氏は1984年9月に来日しているが、韓国の大統領(国家元首)としては初の訪日となった。

https://news.yahoo.co.jp/byline/pyonjiniru/20211123-00269449
全斗煥軍事政権を支えた日本! 今とは比較ならない40年前の「日韓蜜月関係」



辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

2021/11/23(火) 16:50


▼「だまされることの罪」
 ここであらためて紹介しておきたいのは、伊丹万作の「戦争責任者の問題」という論考です。このブログで最初に紹介したのは3年前でした。当時は安倍晋三首相が憲法96条を改正して、改憲のハードルを下げたいということを盛んに言っていた時期でした。この過去記事は今もアクセスがあり、多くの方に読んでいただけているようです。
 ※参考過去記事
「伊丹万作『戦争責任者の問題』と憲法96条〜『だまされる罪』と立憲主義」=2013年5月7日
 http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20130507/1367881891

 伊丹万作は戦前に活躍した映画監督、脚本家で1946年9月に亡くなりました。やはり映画監督や俳優として活躍した伊丹十三さんの父親です。「戦争責任者の問題」は46年8月に発表されました。内容から察するに、映画界で戦争遂行に協力した責任者を指弾し、追放することを主張していた団体に名前を使われた伊丹が、自分の考え方を明らかにして、当該の団体に自分の名前を削除するよう申し入れたことを公にした文章です。
 ここで伊丹が言っているのは「だまされることの罪」です。戦争が終わって、みな「自分はだまされていた」と言うけれども、だまされた人間も実は別の人間をだましていたこと、そうやって日本中がだましだまされ合っていた、ということです。少し長くなりますが、3年前のこのブログの記事でも引用した部分を再度、以下に引用して紹介します。
だまされたということは、不正者による被害を意味するが、しかしだまされたものは正しいとは、古来いかなる辞書にも決して書いてはないのである。だまされたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘ちがいしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。

 しかも、だまされたもの必ずしも正しくないことを指摘するだけにとどまらず、私はさらに進んで、「だまされるということ自体がすでに一つの悪である」ことを主張したいのである。

 だまされるということはもちろん知識の不足からもくるが、半分は信念すなわち意志の薄弱からくるのである。我々は昔から「不明を謝す」という一つの表現を持つている。これは明らかに知能の不足を罪と認める思想にほかならぬ。つまり、だまされるということもまた一つの罪であり、昔から決していばつていいこととは、されていないのである。

 もちろん、純理念としては知の問題は知の問題として終始すべきであつて、そこに善悪の観念の交叉する余地はないはずである。しかし、有機的生活体としての人間の行動を純理的に分析することはまず不可能といつてよい。すなわち知の問題も人間の行動と結びついた瞬間に意志や感情をコンプレックスした複雑なものと変化する。これが「不明」という知的現象に善悪の批判が介在し得るゆえんである。

 また、もう一つ別の見方から考えると、いくらだますものがいてもだれ一人だまされるものがなかつたとしたら今度のような戦争は成り立たなかつたにちがいないのである。

 つまりだますものだけでは戦争は起らない。だますものとだまされるものとがそろわなければ戦争は起らないということになると、戦争の責任もまた(たとえ軽重の差はあるにしても)当然両方にあるものと考えるほかはないのである。

 そしてだまされたものの罪は、ただ単にだまされたという事実そのものの中にあるのではなく、あんなにも造作なくだまされるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになつてしまつていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである。

 このことは、過去の日本が、外国の力なしには封建制度も鎖国制度も独力で打破することができなかつた事実、個人の基本的人権さえも自力でつかみ得なかつた事実とまつたくその本質を等しくするものである。

 そして、このことはまた、同時にあのような専横と圧制を支配者にゆるした国民の奴隷根性とも密接につながるものである。

 それは少なくとも個人の尊厳の冒涜(ぼうとく)、すなわち自我の放棄であり人間性への裏切りである。また、悪を憤る精神の欠如であり、道徳的無感覚である。ひいては国民大衆、すなわち被支配階級全体に対する不忠である。

 我々は、はからずも、いま政治的には一応解放された。しかしいままで、奴隷状態を存続せしめた責任を軍や警察や官僚にのみ負担させて、彼らの跳梁を許した自分たちの罪を真剣に反省しなかつたならば、日本の国民というものは永久に救われるときはないであろう。

 「だまされていた」という一語の持つ便利な効果におぼれて、一切の責任から解放された気でいる多くの人々の安易きわまる態度を見るとき、私は日本国民の将来に対して暗澹たる不安を感ぜざるを得ない。

 「だまされていた」といつて平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによつてだまされ始めているにちがいないのである。

 一度だまされたら、二度とだまされまいとする真剣な自己反省と努力がなければ人間が進歩するわけはない。この意味から戦犯者の追求ということもむろん重要ではあるが、それ以上に現在の日本に必要なことは、まず国民全体がだまされたということの意味を本当に理解し、だまされるような脆弱(せいじやく)な自分というものを解剖し、分析し、徹底的に自己を改造する努力を始めることである。
ゲーリングが言うような、国民をあおり、平和主義者を非難する政治指導者が出現したとしても、伊丹万作が看破したように「だまされることの罪」を社会の側が自覚しているならば、戦争への道は決してゲーリングの言うように「どこの国でも有効」とはならない、そう言う意味で、希望は失わずに済むのではないかと思います。また、その「だまされることの罪」を、戦後70年の昨年、ジャーナリズムも一翼を担ったさまざまな歴史の掘り起こしを通じて、わがこととして追体験した人たちもこの社会には少なからずいます。そのこと自体も、希望ととらえたいと思います。
 マスメディアのジャーナリズムを職業として選び取って、間もなく33年になります。40代にさしかかったころから、ジャーナリズムの使命は第一に戦争を防ぐこと、起きてしまった戦争は一刻も早く終わらせることにあると信じてきました。マスメディアの一角で、組織人として働く時間は残り少なくなってきましたが、この確信が揺らぐことはありません。これからの1年もゲーリングの言葉と伊丹万作の警句を常に思いながら、希望を見失わずにいたいと思います。
 本年も、よろしくお願いいたします。




 「戦争責任者の問題」は著作権保護期間を過ぎた作品を集めたネット上の図書館「青空文庫」に収録されていて、だれでも自由にアクセスできます。全文で7000字ほどです。
 ※伊丹万作「戦争責任者の問題」
 http://www.aozora.gr.jp/cards/000231/files/43873_23111.html

https://news-worker.hatenablog.com/entry/20160101/1451575528
2016-01-01

ヘルマン・ゲーリングの言葉と伊丹万作の警句「だまされることの罪」〜今年1年、希望を見失わないために

読書 戦争と平和




 さて、憲法96条との関連性です。伊丹のこの文章を今、読み返して感じるのは、立憲主義の考え方と底流で通じる部分があるのではないか、ということです。具体的に言えば、わたしたちは「だまされる」ということ、あるいは判断を誤るということに対して「いや、そんなことはない。そんなに愚かではない」と即座に否定せずに謙虚に構えた方がいいのではないか、ということです(日本国民がだまされやすい、愚かだと言いたいのではありません)。

 立憲主義については、これも新聞労連の専従役員時代のことですが、伊藤真さんの講演を聞く機会がありました。伊藤さんが強調したのは、民主主義のルールで決めた結果がいつも正しいとは限らない、ということでした。典型的な例がドイツのナチスです。民衆が熱狂し、頭に血が上った状態では誤った判断をし、誤った結果を招くことがありうる。だから頭が冷静なうちに、根本的な理念、約束事を定めておき、そうそう簡単には変えられないようにしておく。それが憲法だ、というわけです。

 昨年末の政権発足後、経済政策を中心に取り組み“安全運転”に努めているかのように見えた安倍晋三首相が、高い支持率に自信を深めたのでしょうか、憲法改正志向を公言するようになっています。改憲はもともと自民党の公約であり、昨年4月には改正草案も公表しているので驚きはありません。ただ、夏の参院選にらんで焦点が憲法96条の改変に絞られつつあり、日本維新の会、みんな党が同調するようです。

 96条は改憲手続きを定めた条文で、発議は衆参両院の議員の3分の2以上の賛成が必要です。改変案は、これを通常の法案審議などと同じ過半数に下げようという内容です。国会で改憲の発議が成立した後、国民投票でさらに過半数の賛成が必要であり、この点を指して、最終的には国民が判断するのだから問題ない、憲法を国民の手に取り戻すことになる、とする主張が改憲派の中にはあるようです。

しかし96条は、伊藤さんの説明した立憲主義で、根本的な理念や約束事が簡単には変えられないようにすることを具体的に担保した規定です。96条を変えることは、憲法そのものの性格を変えてしまうことになります。それは「改正」と呼ぶにはあまりに大きな憲法の変容のように思えます。

 伊丹万作の文章に戻れば、伊丹は「現在の日本に必要なことは、まず国民全体がだまされたということの意味を本当に理解し、だまされるような脆弱(せいじやく)な自分というものを解剖し、分析し、徹底的に自己を改造する努力を始めることである」と言い切っていました。敗戦後68年たった今、国民全体の自己改造ができているのかどうか、私としては伊丹の見方を聞いてみたいところです。ただ、伊丹が厳しい言葉で書き連ねた「だまされる罪」を犯さないためには、憲法96条はそのまま残しておけば一つの大きな予防策として機能するのではないかと思います。またナチスの例も含めて、敗戦と歴史の教訓を生かす選択にもなるのではないかと思います。
第九十六条  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

2  憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
【追記】2016年7月14日
 この記事を書いたのは3年以上前ですが、今もなお、よく読まれています。「伊丹万作」を検索して、このブログに来られる方が多いようです。「だまされるということ自体がすでに一つの悪である」と伊丹が喝破してから、今年8月で70年。今の日本社会を伊丹が見たならば、何と言うでしょうか。
 戦後70年だった昨年、この「だまされることの罪」とまるで裏と表の関係のような言葉を知りました。ナチスドイツの巨魁で、第2次世界大戦ではドイツ軍国家元帥だったヘルマン・ゲーリングが残したとされる言葉です。ゲーリングは、ドイツ敗戦後のニュルンベルグ軍事裁判であたかもヒトラーの身代わりのように訴追を受け、法廷ではナチスの正当性を果敢に論じ、絞首刑の判決を受けた後は、刑の執行を待つことなく、自殺を遂げたとされます。その言葉とは要するに、一国の指導者が国民を戦争に駆り立てるのはいとも簡単なことで、攻撃されつつあると国民をあおり、平和主義者に対して「愛国心が欠けている」と非難すればよい、ということです。
 ことしの年初の記事で触れていますので、よろしければご覧ください。

※「ヘルマン・ゲーリングの言葉と伊丹万作の警句『だまされることの罪』〜今年1年、希望を見失わないために」=2016年1月1日
http://d.hatena.ne.jp/news-worker/20160101/1451575528

https://news-worker.hatenablog.com/entry/20130507/1367881891
2013-05-07

伊丹万作「戦争責任者の問題」と憲法96条〜「だまされる罪」と立憲主義





 2年前は、さすがに安倍政権も日本が他国から攻撃されかかっているとまでは言っていませんでした。しかし今はまさに、北朝鮮を「国難」と呼び、ミサイルからの避難訓練を繰り返しています。一方で、敵基地を先制して攻撃することにも使える巡航ミサイルやF35B戦闘機、空母などの攻撃型の兵器の導入を図り、武力には武力で対抗する軍拡の道を歩んでいます。まさに日本は北朝鮮から攻撃されかかっている、あるいはすぐにでもそうなる可能性がある、との雰囲気が醸し出されつつある、というのは考え過ぎでしょうか。

 「平和主義者には愛国心が欠けている」とのレッテル張りは、もう既にわたしたちの社会で始まっていることのように思えます。沖縄の米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡り、現地で反対、抗議活動をする人たちには、激しい誹謗中傷が加えられています。中国や韓国との歴史問題でも「自虐史観」などの用語で批判が加えられ、近年ではより直接的に「反日」という言葉も、主に安倍晋三政権を批判する人たちや組織に対して用いられるようになっています。

 「軍事」を「国防」「防衛」と言い換えながら、無理を重ねて軍拡を続けていけばどうなるかは、73年前にわたしたちの社会は経験済みのはずでした。わたしはマスメディアのジャーナリズムを職業として選び取って、まもなく35年になります。この間、マスメディアの労働組合運動に一時期、身を置く中で、かつて日本の新聞が戦争遂行に加担した歴史を学び、その中から、ジャーナリズムの使命は第一に戦争を防ぐこと、起きてしまった戦争は一刻も早く終わらせることにあるとの確信を持つに至りました。それこそが、ジャーナリズムに職業として関わる者の責任であり、矜持であると考えています。その意味で、ゲーリングの言葉が現実のことになりつつあるように思える現在の日本社会で、戦争を起こさせないためにジャーナリズムが負っている責任は極めて重いのだと自覚しています。

 2年前のブログ記事では、戦前の映画監督、脚本家で、俳優、映画監督の伊丹十三の父、伊丹万作の警句についても紹介しました。伊丹万作は1946年に発表した「戦争責任者の問題」で、戦争はだます者だけでは起こすことができず、だまされる者がいることで起こると説き、こと戦争については「だまされていた」ということで何ら責任を免れるものではない、むしろ、だまされることは罪であると看破していました。

 これは2年前にも書いたことですが、仮にゲーリングが言うように国民があおられ、平和主義者が誹謗中傷を受けるとしても、「だまされることの罪」を社会の側が自覚しているならば、戦争への道は決してゲーリングの言うように「どこの国でも有効」とはならないのではないか、そう言う意味で、希望は失わずに済むのではないかと思います。

 幸いなことにわたしは、同じように多くの人たちが戦争に反対していることを知っています。決して絶望することなく、マスメディアの組織ジャーナリズムの一角で働く一人として、自分の立場でできることを悔いの残らないように一つずつやっていく1年にしたいと思います。

 本年も、よろしくお願いいたします。



※参考

 ゲーリングの言葉について、日本で入手可能な確実な出典を探して手にしたのは、ジョセフ・E・パーシコ(Joseph.E.Persico)というアメリカの伝記作家の「ニュルンベルク軍事裁判」上・下(白幡憲之訳、2003年原書房刊)という本でした。その下巻の171ページに、以下のくだりがあります。
「もちろん、国民は戦争を望みませんよ」ゲーリングが言った。「運がよくてもせいぜい無傷で帰ってくるぐらいしかない戦争に、貧しい農民が命を懸けようなんて思うはずがありません。一般国民は戦争を望みません。ソ連でも、イギリスでも、アメリカでも、そしてその点ではドイツでも、同じことです。政策を決めるのはその国の指導者です。……そして国民はつねに、その指導者のいいなりになるよう仕向けられます。国民にむかって、われわれは攻撃されかかっているのだと煽り、平和主義者に対しては、愛国心が欠けていると非難すればよいのです。このやり方はどんな国でも有効ですよ」 

https://news-worker.hatenablog.com/entry/2018/01/01/091446
2018-01-01

進む「軍拡」、「敵」は北朝鮮、政府批判は「反日」~ジャーナリズムの使命は戦争させないこと

https://news-worker.hatenablog.com/entry/2021/11/06/094727




敵基地攻撃能力については「相手領域内で弾道ミサイル等を阻止する能力」との表現を用いていますが、こちらに飛んでくるミサイルを迎え撃つのではなく、相手領域内でミサイルを阻止する能力です。ミサイル発射前にたたく、つまり相手領域への先制攻撃です。国家の自衛権として先制攻撃が認められるのか、との論点はさておいて、仮に日本が中国なり、北朝鮮なりを敵と想定して、先制攻撃能力の保有に乗り出したら、相手は黙って見ているのでしょうか。相手から見れば、日本が自分たちへの攻撃準備を始めたということになり、今度は日本の能力を上回る攻撃力の保有に乗り出し、果てしない軍拡競争に陥ることになりかねません。
 敵基地攻撃能力にしても、敵が間違いなくこちらを攻撃しようとしていることを探知し、その上でミサイル発射を阻止すべく、先制攻撃を仕掛けることになります。その技術を開発するだけでも、いったいどれほどの費用がかかるのか。仮に軍事費(防衛費)を現在の倍にすれば足りるのか。その分、どこかの予算を削らなければなりません。とても「分配」どころではありません。軍事費だけは聖域化されることになれば、軍国主義とまでは言わないものの、軍事優先の国家です。
 1945年8月に日本の敗戦で終わった米国との戦争について、無謀な試みであったことに今日では異論はないと思います。それが歴史の教訓です。あの対米戦争も軍拡競争の帰結でした。国力では太刀打ちできないのに軍事力で対抗しようとした挙げ句のことでした。
 翻って今日、北朝鮮はともかく、国力ではかなうはずもない中国を相手に軍拡競争を始めて、その先に何が待っているのでしょうか。国を守るのに軍事力には頼らない、ということが76年前の敗戦の教訓であり、悲惨な戦争体験の共有があったからこそ、戦争放棄だけでなく戦力不保持を定めた日本国憲法が敗戦直後の日本社会で受け入れられた、とわたしは理解しています。軍事優先の国家へ道を開く自民党の公約が、さして議論のないままに受け入れられたことは、戦争体験が日本の社会で風化していることと無関係ではないとも感じます。

 そうしたことを考えていたときに、朝日新聞が11月5日付の朝刊に掲載したノンフィクション作家保坂正康さんの長文のインタビュー記事が目に止まりました。
 衆院選の結果をどうとらえているかを語った内容で「哲理なき現状維持」「ないがしろの憲法/無力化する立法府/戦後は終わるのか」「戦争した社会は現代とも地続き/危うい行政独裁」の見出し。三つの分析として①国民は何より現状維持を望んだ②維新の会や国民民主党など自民党に近接した政党が伸びた③立法府の無力化がさらに進むのではないか―を挙げています。
 中でも②について「総体的に保守勢力の追認という枠内にあり、護憲・戦後体制の崩壊、あるいは空洞化という結果になった。戦争体験などは検証されず、戦後が死んでいくのか、という思いを強く持ちます」と語る中での「戦後が死んでいく」という例えは、今のわたしの危惧と重なるように感じました。
 自民党が軍事費の大幅増と敵基地攻撃能力の保有を公約に掲げたことに対しても、聞き手の「中国の軍事的台頭や北朝鮮の核ミサイル開発を考えると、敵基地攻撃論も一定の説得力がありそうですが」との問いに答えて、以下のように批判しています。 
 「かつて、中国国民党トップの蒋介石の養子で日中戦争に携わった蒋緯国から対日戦略を聞いたことがあります。彼は『日本は必ずナポレオンやモンゴル帝国と同じ末路をたどるとみていた。侵略を始めると際限なく繰り返していく。なぜなら、反撃されることへの恐怖が深化して残酷になり、最後は崖から落ちてしまうのだ。だから直進一方の日本軍を奥地に引き込んで、兵站が切れた時に徹底してたたこうと考えた』と」

 「歴史は、まさにその通りになったわけですが、敵を想定しその敵地を侵攻するという狂気は、一度始めると際限がなくなるのです。そうした魔性を分析し抜いていれば敵地攻撃論などという考えが出てくるはずがありません」
歴史への真摯で深い洞察に基づく言葉だと思います。今日の中国や北朝鮮の動向は、確かに心穏やかではいられないかもしれません。それでも正気を保てるだけの心の強さを持つために、あらためて歴史の教訓に向き合う。そんなことをあらためて考えたインタビュー記事です。

https://news-worker.hatenablog.com/entry/2021/11/06/094727
2021-11-06

「敵を想定しその敵地を侵攻するという狂気」(保坂正康さん)~戦争体験の風化と軍拡公約の承認 衆院選報道振り返り②




 1年前のこの思いは、今も変わりがありません。戦争に反対する人が日本社会にも、ロシア社会にもいて、声を上げ続けていることを伝えるのは、マスメディアの役割です。そうした思いで、24日付の東京発行各紙が、ロシア社会の反戦の声をどの程度紹介しているかを見てみましたが、目に止まったのは、朝日新聞の国際面(9面)に「ロシアから『反戦』 弾圧受けても」との4段見出しの記事だけでした。
 朝日の記事によると、今も反戦を表明する動きは続いていますが、弾圧も厳しく、また愛国心を求める圧力も高まっているとのことです。ロシア当局は国内メディアだけでなく、ロシア国内で活動する外国メディアに対しても報道規制の網をかけているためか、この記事には発信地のクレジットや記者の署名がありません。戦争遂行と自由な表現活動は相いれないことを如実に示しています。
 そのような状況のロシア社会に、国外から反戦の連帯メッセージを届けるのは困難かもしれません。それでも、連帯の声を上げることには意味があります。例えば日本社会で反戦の声が大きくなれば、日本政府を動かす原動力になることができるかもしれません。声を上げ続けること、それをマスメディアが内外に報じることには、大きな意義があります。

 戦争を終わらせるために、日本が何をなすべきか、何ができるかについて、新聞各紙も編集幹部の署名評論や社説で、さまざまに論じています。ロシアがウクライナの国土の一部を占領したままの停戦を認めれば、力による現状変更を容認することになり、悪しき例を残すことになるとして、戦闘の継続とNATO加盟諸国の軍事支援を事実上、是認する論調があります。一方で、ロシアに対する経済制裁に限定的な効果しかないのは、制裁に参加しているのが欧米各国と日本が中心で、他地域に広がりを欠いているからだ、などとしてロシア包囲網を広げる外交努力を求める論調があります。
 日本のウクライナ支援を巡っては、G7各国の中でトップがウクライナを訪問していないのは日本だけであるとして、岸田文雄首相のウクライナ訪問が取り沙汰されています。ことし日本はG7の議長国であり、5月には岸田首相の選挙区である広島市で首脳会議も開かれます。そのような立場の岸田首相がウクライナを未訪問では、支援の本気度が疑われる、ということでしょうか。しかし、仮に岸田首相がウクライナを訪ねたとしても、欧米各国のように武器を供与できるわけでもなく、またすべきではないと思います。欧米各国の武器供与は、軍事機構であるNATOの加盟諸国による軍事支援です。集団的自衛権を行使するNATO加盟の各国にしてみれば、ウクライナでの戦争は自らの防衛圏のすぐ隣で起きているだけに、他人事ではありません。日本は置かれている立場が違います。
 日本国憲法は第9条で「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と定め、前文では「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と規定しています。この二つの精神に忠実に従うなら、日本はNATO加盟諸国によるウクライナへの軍事的な直接支援とは距離を起き、外交の分野で、ロシアへの経済制裁に加わっていない中国やインドへの働きかけを始めとして、ロシア包囲網を広く、強固にし、そのことをもって早期の停戦の実現に努めることに役割があるのではないかと思います。
 付言すれば、ロシアのプーチン大統領は、核兵器を威迫に使っています。相手もこちらと同様、冷静に合理的に思考することを前提にしてしか成り立たない核の抑止論は、もはや崩壊したも同然です。岸田政権が掲げている軍拡路線も、核武装には踏み込んでいないとはいえ、軍備拡大によって敵国に攻撃を思いとどまらせるという抑止論に基づいています。リアリズムに徹してロシアの現状を見れば、岸田軍拡の抑止効果にも疑問を感じざるを得ません。

 以下に、東京発行各紙の24日付朝刊1面に掲載された署名評論と、24日付前後の関連の社説の見出しを書きとめておきます。社説は各紙のサイトへのリンクを張っています。

■24日付朝刊1面署名評論
▽朝日新聞「G7以外も巻き込み抑止を」杉山正・欧州総局長
▽毎日新聞「試される私たちの覚悟」古本陽荘・外信部長
▽読売新聞「無秩序な世界 防ぐ努力を」小川聡・国際部長
▽産経新聞「敗れれば次の『破壊者』生む」加納宏幸・外信部長

■社説
▽朝日新聞
・24日付「ウクライナ侵攻1年 戦争の理不尽 許さぬ知恵を」/深く刻まれた憎しみ/西側への不信直視を/「法の支配」で結集へ
 https://digital.asahi.com/articles/DA3S15564601.html
・25日付「日本のウクライナ支援 平和への歩みと知見生かせ」/息長く支えるために/分断修復のパイプに/命守る包摂社会築け
 https://digital.asahi.com/articles/DA3S15565334.html
▽毎日新聞
・23日付「ウクライナ侵攻1年 拡大する人道被害 露は直ちに攻撃の停止を」/高まる泥沼化のリスク/外交圧力を強める時だ
https://mainichi.jp/articles/20230223/ddm/005/070/113000c
・24日付「ウクライナ侵攻1年 『戦場』広げるIT 軍民の境界を崩す危うさ」/ハイブリッド戦の時代/新たな規範を考えねば
 https://mainichi.jp/articles/20230224/ddm/005/070/032000c
・25日付「ウクライナ侵攻1年 核使用の懸念 破滅の道避ける知性こそ」/威嚇続けるプーチン氏/軍備管理の立て直しを
 https://mainichi.jp/articles/20230225/ddm/005/070/122000c
▽読売新聞
・24日付「露侵略から1年 暴力の支配許さぬ決意と連帯 ウクライナの抗戦を支えよう」/世界を変えた「士気」/米欧日の結束が重要だ/プーチン氏を追い込め
 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20230223-OYT1T50132/
▽日経新聞
・24日付「ウクライナ勝利が自由と秩序守る」/まずは戦闘停止を/重い日本の責任
 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK225ZG0S3A220C2000000/
▽産経新聞
・24日付「ロシアの侵略1年 ウクライナと連帯強めよ 岸田首相はキーウ訪問果たせ」/占領地から即時撤退を/プーチン氏に勝利ない
 https://www.sankei.com/.../20230224.../
▽東京新聞(中日新聞)
・24日付「ウクライナ侵攻 和平の道筋を探らねば」
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/232913
・25日付「ロシア戦争犯罪 子どもらを親元に帰せ」
 https://www.tokyo-np.co.jp/article/233148

美浦克教 (id:news-worker) 71日前

https://news-worker.hatenablog.com/entry/2023/02/25/215518
2023-02-25

反戦の声を上げること、反戦の声を報じることの意味~ロシアのウクライナ侵攻1年、在京紙の報道の記録



岸田文雄政権発足から1カ月余り。衆院選で自公与党が大勝した後ということもあって、岸田政権としては辺野古新基地建設を推し進める方針を見直すつもりはないということでしょうか。松野官房長官は玉城知事との会談に先立ち、名護市の渡具知武豊市長、宜野湾市の松川正則市長らとも面談したほか、宜野湾市では普天間飛行場周辺の自治会長らと「車座集会」を開いたとのことです。岸田首相が自賛する「聞く力」を官房長官もアピールしたつもりなのかもしれません。

 しかし、辺野古の埋め立て予定海域には軟弱地盤があり、早期の完成は見込めません。そのような状況でほかの選択肢を探ることもないままで、「辺野古移設が唯一の解決策」としか言わないのは、住民の生命と安全に責任を負う政府として、あまりに無責任です。

 沖縄タイムスは7日付の社説で「そもそも25年前の1996年、日米両首脳が合意したのは『普天間飛行場の5~7年以内の全面返還』である。『辺野古移設』ではなかった」と指摘しています。目的は普天間飛行場の閉鎖と返還なのに、さながら今は辺野古移設が自己目的化しているかのようです。

 沖縄タイムスの社説はまた、辺野古の軟弱地盤改良のため、埋め立て工期が大幅に延び、普天間の返還は早くても2030年代半ばにずれ込むこと、計画自体が破たんしていることを挙げ、以下のように指摘しています。
第2次安倍政権以降、辺野古問題を仕切ってきた菅義偉前首相と和泉洋人前首相補佐官が官邸を去った。この間、目立ったのは有無を言わさぬ強権的な手法である。

 岸田文雄首相は総裁選で「求められるのは、自分のやりたいことを強引に押し付ける政治ではない」と語っていた。松野氏も「対話による信頼を地元と築きたい」と話す。

 新しい首相と基地負担軽減担当相の下で国がなすべきは従来の姿勢の踏襲ではない。

 知事が要請したように、工事をいったん止め、話し合いの場を設け、打開の道を探ることである。
※沖縄タイムス「社説[知事・官房長官会談]協議の場設け打開策を」=2021年11月7日

https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/859431
 普天間移設と辺野古新基地建設を巡る「今」を凝縮したような社説です。岸田首相がこのまま「辺野古移設が唯一の解決策」としか言わないようなら、沖縄の住民の自己決定権を認めようとしなかった、沖縄に一貫して差別的に対した安倍・菅政権と何も変わりません。わたしを含めて、その岸田政権を合法的に成立させ、衆院選で圧倒的な信任を与えた主権者が、沖縄に対する差別の責任を免れ得ないことも、安倍・菅政権の当時と変わりません。

【追記】2021年11月9日21時45分
 琉球新報も11月9日付の社説で、松野官房長官と玉城知事の会談を取り上げました。安倍・菅政権は沖縄の住民の自己決定権を認めないばかりか、沖縄社会の分断策を進めました。岸田政権も同じことを繰り返すのでしょうか。

 ※琉球新報「社説 知事・官房長官会談 新基地見直し聞き流すな」=2021年11月9日
 https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1420526.html

https://news-worker.hatenablog.com/entry/2021/11/07/234810
2021-11-07

25年前に日米が合意したのは「辺野古移設」ではなかった(沖縄タイムス社説)~岸田政権、松野官房長官も「唯一の解決策」強調 ※追記 「新基地見直し聞き流すな」(琉球新報社説)



玉城デニー知事は、初来県した松野博一官房長官と会談した。

 松野氏は知事に米軍普天間飛行場の辺野古移設を「唯一の解決策」とする従来の政府方針を強調し、辺野古新基地建設計画の見直しに向けて玉城知事が求める「対話」に新政権が応じる見通しを示さなかった。
 岸田文雄首相は、自身の政治信条を「聞く力」であると強調してきた。ならば、協議の場を求める知事の声を「聞き入れる」のか「聞き流す」のか、岸田政権の本質が問われている。
 岸田首相は就任後初の所信表明演説で新基地建設について「丁寧な説明、対話による信頼を地元の皆さんと築く」と地元住民の理解の必要性を説いた。
 首相の意を受けて、知事と会談前に、松野氏は「車座対話」を宜野湾市で実施。米軍普天間飛行場周辺の自治会長らに基地被害や地域振興の要望を聞いた。名護市の渡具知武豊市長と久辺3区(久志、豊原、辺野古)の区長とも面談した。
 対話姿勢は歓迎する。だが、県に対しては従来の姿勢を繰り返しながら、「対話」を通じて基地所在市町村と直接のパイプづくりを進める姿勢は、分断策とも受け取れる。
 松野氏は基地と振興予算の「リンク」を改めて否定したものの、「両課題を総合的に推進すべきという意味で関連する」と強調した。
 沖縄社会の分断は第2次安倍政権から顕著になっている。2013年12月、安倍政権は仲井真弘多知事(当時)から辺野古埋め立ての承認を得る際、沖縄関係予算について「毎年3千億円台確保する」と閣議決定した。辺野古新基地建設に反対する翁長県政が誕生した15年度以降は一転して予算の減額傾向が続く。県を通さず国が市町村や民間に直接交付できる特定事業推進費の創設も分断策の一つと懸念されている。
 今回の衆院選の小選挙区で新基地建設が進む3区は、建設容認の自民党候補が当選した。この結果をもって、建設が受け入れられたと判断するのは早計である。なぜなら今回の選挙で新基地建設の是非は最大の争点にならなかったからだ。
 これまでの選挙で新基地建設容認の自民党候補が落選すると、政権側は「選挙の争点は(基地問題)一つではない」と解釈し、新基地建設を強行してきた。あいまいさを払拭するため、19年に新基地建設の是非に絞って県民投票が実施された。投票者の7割が「反対」の明確な意思を示した。
 新基地建設は大浦湾側に存在する軟弱地盤によって、工事の完成のめどが立たない事態となっている。「辺野古サンゴ移植訴訟」の最高裁判決で、2人の裁判官が工事の行き詰まりを指摘した。
 県民の声を聞き流すのなら新政権は「国民の共感と信頼」を得られないだろう。

https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1420526.html
<社説>知事・官房長官会談 新基地見直し聞き流すな

2021年11月9日 05:00社説


うち韓国文在寅前大統領の頃、朝鮮半島終戦と平和統一できると思ってた。
日本のODAって戦争行為を推進する武器輸出に使用されているのね、ODA廃止した方が良いと思う。
https://www.ritsumei.ac.jp/acd/re/k-rsc/lcs/kiyou/19-3/RitsIILCS_19.3pp.33-40Fujimoto&Motohashi.pdf





アレン・ネルソン平和プロジェクト。9条を抱きしめてのDVD購入や上映会情報があります。



2023/04/27 #志位和夫 #大軍拡反対#志位和夫 委員長の会見 4月27日、志位和夫委員長は、国会内で記者会見し、同日の衆院本会議で原発回帰に大転換する原発推進等5法案(GX電源法案)と、健康保険証を廃止して、マイナンバーカードを強要する「マイナンバー法改定案」が自民、公明、維新、国民などの賛成多数で採決されたことについて、「このような重大な法案がまともな審議なしに次から次へと通されたことは、かつて経験したことがない重大な事態であり、強く抗議する。国民的運動を広げ、参院での廃案のために全力をあげたい」と表明した。 さらに「軍需産業支援法」が衆院安保委員会で可決されたことを受け、武器輸出三原則の大原則を完全に投げ捨て、戦争助長法というべき憲法9条をないがしろにするもの、と批判。 衆院で、現在進行形のたたかいとして▷大軍拡を進めるために5年間で43兆円もの財源をつくりだす「軍拡財源確保法」▷在留期間の切れた外国人を全員収容する全件収容主義、司法を通さず入管の裁量で判断する入管裁量主義に手を付けず、難民認定申請中の外国人の本国への送還を可能にする「入管法改悪案」の二つをあげて、廃案のために最後まで力を尽くしたい」と表明した。 #GX電源法案 #マイナンバー法改定案 #軍需産業支援法 #軍拡財源確保法 #入管法改悪案#大軍拡反対

https://www.youtube.com/watch?v=_cjcb_W86L0
「悪政連合」で悪法次々の暴走 経験のない重大な事態 2023.4.27日本共産党



https://www.tokyo-np.co.jp/article/220941
「まともな議論ないうちに…」安保関連3文書の閣議決定に市民団体が国会周辺で抗議2022年12月19日 20時54分

敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や防衛費の増額方針を明記した、安保関連3文書の閣議決定に抗議する市民団体のデモが19日、国会周辺であった。

 市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」などが呼びかけ、1100人(主催者発表)が参加。高田健共同代表(78)は「まともな議論なく有権者が理解しないうちに閣議決定された。戦争への道は何としても阻止しなければならない」と話した。

 3文書の「防衛力整備計画」では、今後5年間の防衛費の総額がこれまでの1.6倍にあたる43兆円程度とされた。東京都調布市から訪れた大竹百合子さん(79)は「防衛費でなく、高齢者や子ども、困っている人たちに使うべきだ」と批判した。

 立憲民主、社民、共産の野党各党の国会議員もマイクを握り、「国会の審議もしない、国民の合意もない。こんなことで良いのか」「私たちの力でこの安保3文書を変えよう」と訴えた。 (三宅千智)

【関連記事】「武力で平和はつくれない」300人が官邸前で抗議 安保関連3文書の閣議決定を前に

https://www.tokyo-np.co.jp/article/220941
「まともな議論ないうちに…」安保関連3文書の閣議決定に市民団体が国会周辺で抗議

2022年12月19日 20時54分


https://www.tokyo-np.co.jp/article/220941
「武力で平和はつくれない」300人が官邸前で抗議 安保関連3文書の閣議決定を前に2022年12月16日 10時41分

 敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有などを明記した安保関連3文書の閣議決定を前に、市民団体が16日朝、東京・永田町の首相官邸前で「勝手に決めるな」「武力で平和はつくれない」などと抗議した。

 市民有志でつくる「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の呼びかけに応じた約300人(主催者発表)が参加。「許すな敵基地攻撃」「閣議決定反対」などと書かれたプラカードや横断幕を掲げた。



首相官邸前で安保関連3文書の閣議決定に反対する人たち

 実行委の杉山正己さん(62)は「国会で議論をせずに決めるなんて、権力の横暴。国民の声を聞こうとしていないし、民主主義のプロセスをないがしろにしている」と憤った。

【関連記事】岸田首相の政治の師、自民・古賀誠元幹事長が嘆いた…「敵基地攻撃能力保有は専守防衛を完全に逸脱する」

https://www.tokyo-np.co.jp/article/220941
「武力で平和はつくれない」300人が官邸前で抗議 安保関連3文書の閣議決定を前に

2022年12月16日 10時41分



岸田政権が安全保障政策の指針「国家安全保障戦略」など3文書改定を閣議決定するのを前に、岸田文雄首相が会長を務める自民党派閥「宏池会」前会長の古賀誠元幹事長(82)が本紙のインタビューに応じた。文書に盛り込まれる敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有に懸念を示し「完全に専守防衛を逸脱してしまう」と主張。師弟関係にあった首相には「少なくとも国民にきちんと説明しなければならない」と注文した。(坂田奈央)

【関連記事】<Q&A>敵基地攻撃能力の保有を明記する安保関連3文書とは…

◆憲法9条も脅かされるのではないか

 古賀氏は、ロシアによるウクライナ侵攻や台湾有事の懸念、北朝鮮の核開発など安全保障環境の変化は認めつつ「それで、なぜ敵基地攻撃能力を持つミサイル(保有)につながるのか。抑止力になるのか」と疑問視。「保有すれば実質的に専守防衛という基本がなくなり、憲法9条も脅かされるのではないか」と警鐘を鳴らした。

 「日本の安全保障は政治や経済、国防、外交といったありとあらゆる力を結集し、軍事大国への道を避けるのが基本だった」と強調。「軍国主義につながらない他の分野でやれることが多くあるはずで、冷静な議論が必要だ。例えば安全保障で一番大事なのは人口を増やすこと。子どもが増えることが一番の抑止力になる」と訴えた。

 宏池会は戦後の「軽武装・経済重視」の道筋を築いた吉田茂元首相を源流に、池田勇人元首相が創設。党内ではハト派色が強く「保守リベラル」と呼ばれ、衆院議員だった首相の祖父と父も所属した。古賀氏は2012年まで会長を6年務め、首相を指導。後継の会長に首相を推して退任した後も、名誉会長として長く後押ししてきた。

◆戦争がいかに愚かか、体験しているからこそ、平和言い続ける

 古賀氏は幼少時、太平洋戦争でフィリピンに出征した父を失った経験から「戦争につながること」に一貫して異を唱える。敵基地攻撃能力の保有に懸念を示すとともに「あの戦争がいかに愚かだったかを語り伝えていきたい」と話す。古賀氏との一問一答は以下の通り。

 ―日本が敵基地攻撃能力を保有することになる。

 「これは(戦後の安全保障政策の)大きな転換だ。安全保障を取り巻く環境が大きく変わり、何とかしなければならないと考える国会議員の気持ちは理解できる。しかし(3文書の改定が)抑止力になるかどうかは別問題。敵基地攻撃能力を持てば、完全に専守防衛を逸脱してしまうのではないか。抑止力よりも不安のほうが大きくなるのではないかと懸念している」

 ―財源問題が注目されているが、それまでの議論は十分だったか。

 「平和憲法がある以上、敵基地攻撃能力のある兵器を保有するなら、専守防衛のあり方、例えば攻撃対象をどうするのかといった説明責任を(政治家が)国民にしっかり果たさなければならない。財源問題は大事なことだが、その前の(防衛力強化の)議論が拙速過ぎではないか」

 ―岸田政権をどうみる。

 「安倍政権のツケと言うのは変だが、大変な時にかじ取りをさせられていると思う。懸念を払拭するよう、どういう手順、議論で今に至ったのか真実を語ってもらいたい」

 ―国会議員に戦争を知る世代がほぼいなくなり、安保政策のかじ取りを不安視する声もある。

 「戦争がいかに愚かで、いかに多くの人たちが苦しみ、血と涙を流したか、ということを僕は体で知っている。体験しているからこそ、自分の考える平和を言い続けていきたいし、国政に携わるすべての人に語り伝えていきたい。これからが本番だ」

 こが・まこと 1940年、福岡県生まれ。80年衆院選で初当選し、通算10期。運輸相、自民党国対委員長、幹事長などを歴任し、2012年に議員を引退した。政治信条の柱に「平和」を据え、日本遺族会会長も務めた。03年、イラクに自衛隊を派遣するためのイラク復興支援特措法案の衆院採決では退席した。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/220134
岸田首相の政治の師、自民・古賀誠元幹事長が嘆いた…「敵基地攻撃能力保有は専守防衛を完全に逸脱する」

2022年12月16日 06時00分




敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を明記する安全保障関連3文書が16日に閣議決定される見通しです。3文書はどんなものかや、なぜ三つに分かれているかなどについてまとめました。(生島章弘)
【関連記事】「戦争ではなく平和の準備を」安保関連3文書改定、憲法学者らが対案公表
 Q 3文書とは何ですか。
 A 外交・防衛の指針である「国家安全保障戦略」と、防衛計画の大綱(防衛大綱)から名称を変更する「国家防衛戦略」、中期防衛力整備計画(中期防)を改称する「防衛力整備計画」のことです。それぞれ5〜10年の中長期を想定して安全保障上、必要な政策などが盛り込まれています。3文書が同時に改定されるのは初めてです。
 Q 3文書の関係は。
 A 2013年に初めて策定され、今回が初改定となる国家安保戦略が最も上位の文書です。安倍晋三元首相が掲げていた「積極的平和主義」に基づく外交と防衛の政府方針が記されています。敵基地攻撃能力に関しては、国家安保戦略で保有を打ち出し、国家防衛戦略で使用する際の要件、防衛力整備計画で関連する装備を明らかにすることになります。
 Q 国家防衛戦略の変更点は。
 A 防衛大綱は10年程度を念頭に、防衛力整備の目標や部隊運用の指針を定めていました。改定を機に、防衛力強化の中身や、具体的な目標を実現する道筋などを詳しく示すことにします。国家安保戦略の下に国家防衛戦略がぶら下がるのは米国に倣った仕組みで、政府は軍事戦略が日米でより共有しやすくなると考えています。
 Q 防衛費総額や主要装備を記した中期防はこれまで「お買い物リスト」とも呼ばれていました。
 A 政府は、武器の種類や人件費を含めた防衛費の総額を明記することで、野放図な支出に歯止めをかける狙いとしています。防衛力整備計画では5年間で計約43兆円の防衛費の大幅増が明示され、最終年度には国内総生産(GDP)比2%へ膨れ上がる見通しです。中長期的な視点で防衛力を強化するため、10年後を見据えた自衛隊の体制も明らかにする方針です。 

https://www.tokyo-np.co.jp/article/220152
<Q&A>敵基地攻撃能力の保有を明記する安保関連3文書とは…

2022年12月16日 06時00分




政府が16日に閣議決定する方針である外交・防衛の指針「国家安全保障戦略」など安全保障関連3文書に関し、憲法学者らによる「平和構想提言会議」は15日、3文書に現行憲法では認められないような内容が盛り込まれているとして、対案と位置付ける提言「戦争ではなく平和の準備を—”抑止力”で戦争は防げない—」を公表した。政府が進める敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有や防衛費の大幅増を批判し、憲法9条に基づく専守防衛の堅持や、外交交渉で緊張緩和を実現する重要性を訴えている。 (柚木まり)

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◆政府・与党の考え方「極めて短絡的で危険」

 提言では、3文書改定は日本の安保政策の大転換となり、「日本が自ら戦争をする国家に変わる」と指摘。改憲が必要になるほどの重大な政策転換であるにもかかわらず、「国会の徹底的審議もないままに憲法の実質が勝手に上書きされようとしている」と懸念を示した。

 その上で、政府・与党の議論の中心にある「軍事力の増強が抑止力を強め、平和を担保する」という考え方を「極めて短絡的で危険」と問題視。防衛力強化がかえって周辺国との軍拡競争を招いて戦争のリスクを高めると警鐘を鳴らし、今こそ憲法9条が定める平和主義の原則に立ち返るべきだと強調する。



◆「国民的な議論もなく勝手に決めていいわけがない」

 今後、取り組むべき具体策として、朝鮮半島の非核化に向けた外交交渉の再開や中国を「脅威」と認定しないことなど、アジア諸国との対話の強化を提唱。専守防衛の堅持も明記し、米国製巡航ミサイル「トマホーク」など敵基地攻撃能力の保有につながる兵器の購入や開発の中止を求めた。

 憲法や国際政治、軍縮の専門家、市民団体代表ら有志の15人でつくる同会議は15日、国会内で記者会見した。共同座長の学習院大の青井未帆教授(憲法学)はオンラインで参加し、「憲法9条があるのに、なぜ先制的な反撃が可能になるのか。議論が圧倒的に足りない」と幅広い議論を呼びかけた。

 上智大の中野晃一教授(政治学)は敵基地攻撃能力の保有に関して「国民的な議論もなく勝手に決めていいわけがない。認めないとはっきり言っていく必要がある」と訴えた。
平和構想提言「戦争ではなく平和の準備を―”抑止力”で戦争は防げない―」の要旨は次の通り。

 (1)いま何が起きているのか

 安全保障関連3文書改定は、日本の安全保障政策を根本的に変更し、自ら戦争をする国家に変貌する。国民投票を通じて憲法を明文的に変えなければ許されないほどの重大な変更だ。憲法の実質が勝手に上書きされようとしている。

 政府・与党は「抑止力を高める」とするが、実際には戦争のリスクを高める。北朝鮮の核ミサイル開発、中国の軍備増強や海洋進出は重大な問題だが、日本の対応策が軍備増強や攻撃態勢強化ばかりなら、平和的解決は遠のく一方だ。

 今日の軍事的緊張がエスカレートすれば、戦争は現実となる。東アジアにおける戦争は世界の経済、食料、環境に壊滅的な影響をもたらす。軍事的な「勝利」の想定に意味はない。

 米中対立の中で、「日米同盟強化」一辺倒の姿勢をとり、米国との軍事協力関係の強化に突き進んでいくことは極めて危険。その失敗は、世界大戦となるリスクと背中合わせだからだ。

 (2)「国家安全保障戦略」改定のどこが問題なのか

 敵基地攻撃能力の保有について、政府・与党は「専守防衛の考え方の下」で進めると強弁するが、専守防衛の肝は、隣国に届く武器を持たないことで他国への脅威とならないようにすること。この大原則が根本から覆されようとしている。相手国にミサイルを撃ち込めば、当然、日本は報復攻撃を受ける。その先はミサイルの撃ち合いの戦争だ。

 首相は、防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)の2%程度に増額するよう指示した。実現すれば、世界第3位の軍事費大国となる。増額論の前に、その透明性と説明責任の確立こそ急務だ。

 防衛装備移転3原則の運用指針を改定し、殺傷能力のある大型武器の輸出も検討されている。日本製の武器によって他国の人々が殺傷されることが現実となる。紛争当事国に肩入れすることは、日本が紛争の予防や解決の仲介者となるための国際的信用を失わせる。

 政府は米国による核の使用・威嚇政策を支える側に回っている。核兵器禁止条約にも背を向けたままだ。

 (3)考え方をどう転換すべきなのか

 軍事力中心主義や「抑止力」至上主義は、極めて短絡的で危険だ。抑止力は、武力による威嚇に限りなく近い概念。安保論議の中心に据えられている状況は憂慮すべきだ。持続可能な安保のため、抑止力の限界を認識し「抑止力神話」から脱却しなければならない。

 民主主義や人権、法の支配といった基本的価値は妥協すべきではない。平和もまた基本的人権で、紛争を平和的に解決することは国際法の要請だ。民主主義のためだと称して、戦争の準備に突き進むべきではない。米国への過度な軍事的依存を正し、アジア外交と多国間主義を強化すべきだ。平和は一国で作れない。中国との緊張緩和と関係改善、朝鮮半島との関係の安定化は、日本の社会・経済をより豊かにする。

 (4)平和のために何をすべきか―今後の課題

・朝鮮半島の平和と非核化に向けた外交交渉を再開させる
・元徴用工問題について、過去の被害を踏まえた解決策を探る
・中国への「敵視」政策を停止する
・日中の首脳レベル相互訪問の早期再開に合意する
・日中間の安全保障対話を進める
・「攻撃的兵器の不保持」の原則を明確化・厳格化する
・トマホークを含め「敵基地攻撃能力」を構成し得るあらゆる兵器の購入や開発を中止する
・辺野古新基地建設と南西諸島への自衛隊基地建設を中止する
・核兵器の先制不使用を米国をはじめ核保有国に働きかける
・核兵器禁止条約への署名、批准。まずは同条約締約国会議にオブザーバー参加する

https://www.tokyo-np.co.jp/article/220153
「戦争ではなく平和の準備を」安保関連3文書改定、憲法学者らが対案公表

2022年12月16日 06時00分



2023年3月27日(月)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 冒頭、ロシアによるベラルーシへの戦術核配備について、国際的な緊張を激化させ、そして核使用のリスクを高めるものとして、撤回を強く求めたいと思います。政府は、このロシアによる配備撤回を求めることはもちろん、核兵器そのものをなくすための禁止条約の署名、そして批准に取り組むことを強く求めたいと思います。
 参議院の予算審議ももう大詰めであります。本予算の最大の問題は、専守防衛を投げ捨てて敵基地攻撃能力を保有し、五年間で四十三兆円という空前の軍事費の拡大になっていることです。衆参の議論を通じて、その恐るべき内容が浮き彫りになってまいりました。(資料提示)
 敵基地攻撃能力について、安保三文書で政府が導入するというスタンドオフミサイル、一二式地対艦誘導弾は射程を千キロ以上に延伸をする、迎撃困難な高速滑空弾は射程二千キロ、さらに極超音速誘導弾も三千キロとされております。沖縄に配備をすると東アジアがすっぽり入ると。音速の五倍に飛んで、そして相手の国の奥深くまで攻撃できると。守るためではなくて攻めるための兵器であります。総理は、相手に脅威を与えるものでないと答弁をしてこられましたが、これが脅威でなくて何なのかということなんですね。
 しかも、外務省のホームページ、軍縮・不拡散と我が国の取組にはこう書いています。軍備拡張競争や兵器の拡散は国際の平和と安全を損なうことにつながりかねません。無制限に増大した軍備や兵器は、たとえ侵略や武力による威嚇の意図がなくても、他の国の不信感を高め、不必要な武力紛争を引き起こすことになりかねないのです。(資料提示)
 幾ら首相が相手に脅威を与える意図はないと言っても、ここにあるとおり、日本の大幅な軍備拡大が他の国の不信感を高め、不必要な武力紛争を引き起こしかねないんじゃないですか、いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 重要なことは、我が国の国民の命や暮らしを守り切れるか、政治の責任を十分果たし得るか、これが大切なポイントであります。
 近年、我が国周辺では、ミサイル関連技術と運用能力、飛躍的に向上し、質量共にミサイル戦力が著しく増強される中で、既存のミサイル防衛網だけで完全に対応することは難しくなりつつある、これが現実であると思っています。こうした状況において国民の命や暮らしを守り抜くため、反撃能力の保有を決定いたしました。これにより、抑止力、対処力を一層向上させ、武力攻撃そのものの可能性を低下させることができると考えています。
 その上で、大切なことは、諸外国に対して、自国の安全保障政策の具体的な考え方、これを明確にし、透明性を確保することであると思っています。反撃能力を含む我が国の安全保障政策に関する透明性の確保について、今後とも積極的に取り組んでいきたいと考えています。
○井上哲士君 今、武力攻撃の可能性を低めると言いました。だけど、ここにあるように、不必要な武力紛争を引き起こすことになると、こういうことを言っているんですよ。外務省が書いているんですから。
 そして、元自民党の総裁である河野洋平元衆議院議員が、最近サンデー毎日のインタビューでこう述べていますよ。これまでは専守防衛で攻撃の意思はないとされてきたと。ところが、敵基地攻撃能力の保有で、今度は意思ありと変わる。それに加えて、トマホーク四百発や足の長いミサイルを持つという。これは周辺国への明らかな脅威だ、九条で禁じる脅威になると。しかも、脅威を抑え込むとなると、更なる軍拡につながるおそれがあると。河野さんは、敵基地攻撃能力の保有そのものが攻撃の意思とみなされる、明らかな脅威になると。
 これがそもそも政府や外務省が言ってきた見解なんじゃないですか、逆行しているじゃないですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) ですから、先ほど御説明したように、これ、無制限なこの軍備の拡大などということを申し上げているわけではありません。現実の中で国民の暮らしや命を守るために何が必要なのか、現実的なシミュレーション、これを行うことによって具体的な装備を積み上げた、この結果であるということを申し上げています。そして、それを透明性を持って説明することが重要である。是非、そういった透明性の確保に向けて努力をすることは重要であると考えています。
○井上哲士君 いや、無制限でないとおっしゃいますけど、これまで持てないと言った敵基地攻撃能力を持つんですよ。五年で二倍にするんですよ。世界で第三位の軍事大国になるんですよ。ほかの国から見たら無制限ですよ、脅威ですよ。
 しかも、この敵基地攻撃は相手の報復攻撃を招くことになります。日本が攻められていなくても、集団的自衛権行使として敵基地攻撃能力をした場合にどうなるのかと。報復攻撃を想定をして防衛省が準備していることが明らかになりました。
 三月二日の当委員会で、我が党の小池書記局長が防衛省の内部文書を示して、全国二百八十三地区の自衛隊の基地、防衛省施設の約二万三千棟の強靱化を進める計画を明らかにいたしました。その内容を防衛大臣も認められました。強靱化とは、生物化学兵器や核兵器などでの攻撃に耐えられるように、地下化、構造強化、フィルターの設置などを行うものであります。(資料提示)
 二百八十三地区は、四十七都道府県全てに分布をしております。地図で表しました。赤が陸上自衛隊、青は海上自衛隊、緑は航空自衛隊。まさに全国どこでも攻撃対象になり得ると、こういうものなんですね。軍事で、軍事で対抗すれば、果てしない軍拡競争となります。集団的自衛権の行使として米国の戦争に加わって敵基地攻撃を行えば、日本全土が報復攻撃で戦場になる可能性がある、そのためにこんな強靱化までやっているんですね。だけど、そうなれば自衛隊基地だけが残ると。周りの住民一体どうなるかという問題なんですよ。
 私は、日本がウクライナの情勢から学ぶ教訓は、一旦戦火になれば、もう国土が戦場になって大量の犠牲者が避けられないことだと、そうであれば、絶対に戦争を起こさないためのその外交強化こそ最大の教訓だと思いますけれども、総理、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 複雑かつ不透明な安全保障環境の中で国民の命、暮らし、命や暮らしをいかに守っていくのか、こうした観点から取組を検討いたしました。そして、そのために、先ほど御指摘があった反撃能力の保有も、ミサイル関連技術あるいは運用能力の飛躍的な向上に対しては必要であるということを考えたわけですが、そうした国民の命や暮らしを守るために必要な防衛力の強化においてこの自衛隊施設の抗堪性の向上により継戦能力を高めることも重要であるという観点に基づいて、御指摘にありますような強靱化を検討するということとしたわけであります。
 そして、このロシアによるウクライナ侵略における教訓として、外交こそ重要であるという御指摘がありました。これ、外交が最も重要であるということ、これはもう従来から我々もしっかりと国家安全保障戦略の中に明記をし、訴えさせていただいています。外交をしっかり進めると同時に、何よりも、このロシアによるウクライナ侵略における教訓、これは、国連憲章を始めとする国際法、ルール、これを守る国際秩序をつくっていくことであると私は考えております。
 是非、そうした秩序をつくるための外交努力、G7議長国としてもしっかり取り組んでいきたいと考えています。
○井上哲士君 外交努力と言われますけれども、この安保三文書のどこにも、ウクライナの事態を引き起こした外交上の問題はどこにあったかという言及ないんですよ。
 一方、国家防衛戦略では、ロシアがウクライナ侵略するに至った軍事的な背景としては、ウクライナのロシアに対する防衛力が十分ではなく、ロシアによる侵略を思いとどまらせ、抑止できなかった、つまり、十分な能力を保有していなかったことにあると、こう書いています。
 こうなりますと、要するに、ウクライナのようなことにしないためには、敵基地攻撃能力の保有を始めとした軍事力の強化しかないと、こういう話になっちゃうんですよ。
 私は、ウクライナ侵略の責任は挙げてロシアにあると思います。当然、私たちは即時無条件の全面撤退を求めています。
 その上で聞きますけど、ウクライナのような事態をもたらした背景として外交の失敗という認識はないんでしょうか。今日の午前中の本会議でも総理は責任はロシアにあるという答弁のみで、それを前提にして外交の失敗について聞いているんです。是非ちゃんと答えていただきたいと思います。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 外交の失敗についてどう考えるかということでありますが、まず、このウクライナの、今回のロシアによるウクライナ侵略においてこの外交が大事だと先ほど申し上げましたが、外交の裏付けとして、自らの国民の命や暮らしをしっかり守っておく、そういった備えが重要であるということは申し上げております。
 そして、外交において何が大事なのか。今回、ロシアはあからさまに国際法違反を犯したわけであります。それに対して国際社会が一致してしっかりと批判をする、こうした国際秩序をつくっておくこと、これこそ外交において重要だということを考えています。外交の失敗というのであるならば、国連の常任理事国である国があからさまに国際法に違反した、このことを国際社会が一致してこれ批判する、こうした国際秩序をつくっていく、これこそ外交のあるべき姿であり、そういった国際秩序をつくるべく努力することが外交において求められているんだと考えます。
○井上哲士君 起きたロシアの侵略に対して国際社会が一致して国連憲章違反だと世論を高めろ、当たり前ですよ。問題は、それがなぜ起きたのかと、そこに至る外交の失敗は何かということを聞いている。何も答えておられません。その一方で、今日のウクライナは明日の東アジアと、こういうことを繰り返して危機をあおって、大軍拡を推進されております。
 今朝の午前中にもありましたけど、ヨーロッパにはロシアも含めた欧州安全保障協力機構というのがあります。OSCE、今もあるんですよ。欧州安全保障憲章が作られて、欧州における紛争を平和的に解決すると宣言をしました。しかし、NATOもロシアもこれを横に置いて、とにかく軍事力で抑止する戦略の下で、力対力の悪循環で徹底的な対立に至ったんです。
 総理、幾ら聞いても外交の失敗について答えられませんので具体的に聞きますが、こういう軍事対軍事の対立、ブロック対立に陥ったことが戦争を招いてしまったと、これが私はヨーロッパの教訓と思いますが、総理、いかがですか。
○国務大臣(林芳正君) 今、OSCEにもお触れいただきましたけれども、今回のウクライナ侵略、ロシアによるですね、背景について様々な見方、議論があるということは我々も承知をしておりますが、この委員がおっしゃる欧州安全保障協力機構、これが機能するためには、やはり国際法を遵守すると、これが大前提になるわけでございます。国連であれOSCEであれ、国際法を遵守するという前提が崩れてこのロシアがウクライナ侵略を行ったわけでございまして、そこを国際法違反であると先ほど総理がおっしゃったとおりであるわけでございまして、これはいかなる背景があってもこれを許してはならないということでございまして、これを厳しく非難されるべきだと考えておるところでございます。
○井上哲士君 いや、我々はそんな国際法違反はあってはならないと最初から厳しく批判していますよ。しかし、そうなったその背景には何があるかということを見なければ、結局抑止力だと、軍拡だという話になっちゃうじゃないかというわけですね。
 なぜ、ヨーロッパはブロックの対立になりました。しかし、アジアにはどういう条件があるかというのをよく見る必要があると思うんですね。
 かつて東アジアは、ベトナム戦争など紛争の地域でした。しかし、この地域に存在したCENTO、SEATOといった軍事同盟は次々と解体をされて、現在ある軍事同盟は日米と米韓のみですよ。NATOのような多国間の軍事同盟はアジアにありません。ここがまず違う。
 それから、アジアにおける安全保障の主要な担い手は、東南アジア諸国連合、ASEANであります。一九七六年に東南アジア友好協力条約を結んで、徹底した話合いを半世紀積み重ねてこの平和と協力の地域に変えてきたと、その大原則は、特定の国を排除しない、包摂的であるということなんですね。(資料提示)
 こういうASEANのような平和の大きな源泉があって、それを中心とした平和の枠組みが発展しつつあると、これもヨーロッパにない大きな特徴なんですよ。こういうアジアにあるヨーロッパと違う平和の条件、これをどう考え、そして、九条を持つ日本が本来の外交力を発揮をしてこのアジアに平和をつくっていく、そういう役割について総理はどうお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) アジアの地域、この域内各国の発展段階、政治経済体制など、多様性があります。
 そうした中で、このASEANが地域協力の中心としての役割、これをASEANが担い、そして、東アジア首脳会議、EAS、ASEAN地域フォーラム、ARF、あるいは拡大ASEAN国防相会議、ADMMプラスなど、多層的な地域協力の枠組みがあります。同時に、ASEANは、自由で開かれたインド太平洋、FOIPと、本質的な原則を共有するインド太平洋に関するASEANアウトルック、AOIP、これを打ち出しています。
 我が国としては、FOIPの推進とAOIPの支持、これを強力に打ち出し、何よりも国際法違反の蛮行、これは決して許さない、こうしたインド太平洋地域においても法の支配に基づく国際秩序を守り抜き、もって地域の平和と繁栄を確保するため積極的に貢献していく、こうした努力が重要であると考えます。
○井上哲士君 今もお話ありましたけれども、ASEANの加盟十か国に、日本やアメリカ、中国、韓国、ロシアなど八か国で東アジア・サミットというのがつくられてきました。ASEANはこれを強化して、行く行くは東アジア規模の友好協力条約を展望して、このASEANインド太平洋構想、AOIPというのを進めております。日本共産党は、この構想を目標に、地域の全ての国を包摂する平和の枠組みをつくろうと提案をしております。
 今、総理は、このAOIPとFOIPは共に推進すると、こう言われるんですね。しかし、これ果たして両立できるのかと。AOIPは中国も含めて地域の全ての国を包摂した平和の枠組みです。一方、FOIPはどうか。日米豪印のクアッドであるとか、NATO軍のインド太平洋関与を正当化する理念として用いられてきました。事実上のアメリカ主導の中国包囲網の構想だと言わなければなりません。
 総理は、先日、インドで、FOIPの四つの柱を発表して、包摂性、陣営づくりはしないと述べられました。しかし、例えばこの四つ目の柱ですよね。これを見ますと、自衛隊と各国軍の共同訓練、円滑化協定、物品役務相互提供協定などの整備、豪州、これは、豪州や英国軍との連携強化を進めるものであります。さらに、同志国の軍に対する無償資金協力、インドや米軍との共同訓練の強化、これ中国包囲の、包囲の陣営づくりそのものじゃありませんか、総理。(資料提示)
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、FOIP、これは特定の国を対象にするものでもなければ、特定の国を排除するものでもありません。同じ考え方に立つ国と協力をしていく、こうした枠組みであります。
 そして、御指摘の点についても、各国において法の支配を貫徹するために協力をしていく様々な取組、この空や海を通じて、こうしたこの法の支配を貫徹していくための取組を強力に、向けて努力をしていく、こうしたことを申し上げているわけであります。
 法の支配、国際法、あっ、国際法、これは、弱い立場の国のためにこそあるものであると思っています。脆弱な国が自由を、自らの自由や国益を貫徹するためにこそ、こうした法の支配が重要であるということで、この国際法を遵守する、こうした国際秩序をしっかりつくっていかなければならない、こういった考え方に立つものであります。
○井上哲士君 事実上の陣営づくりじゃないかと聞いたんですけど、お答えありませんでした。
 先ほど言いましたように、クアッドとか、そしてNATO軍のインド太平洋関与を正当化する理念として用いられて、実際にこの間、急速に共同訓練などが行われてきたわけですね。AOIPの中にはこんな軍事的な中身はありませんよ。
 先日、先ほど紹介した河野洋平衆議院議長はこういうふうにも言われています。日本は自由で開かれたインド太平洋と言うが、中国が入らないと自由で開かれた地域にはならないと、こういう指摘もされてきたんですね。
 私は、一方、AOIPっていうのは、中国もアメリカもオーストラリアもEUもサインしています。先日の日米共同声明でも支持が盛り込まれました。そして、今、このASEANとの協力関係を望む国が東南アジア友好協力条約に加入する動きが世界に広がって、もう既に五十か国、これウクライナも加わったわけですよ。排除による包囲網ではなくて、こうやって地域の全ての国を包摂した平和の共同体、AOIP、これこそ日本が本気で取り組むことだと思うんですね。
 今政府が進めているようなそういう排除のやり方ではなくて、安保三文書は撤回する、戦争の準備ではなくて戦争を回避するための外交努力こそするべきだと、そのことを強く申し上げまして、質問を終わります。
○委員長(末松信介君) 以上で井上哲士君の質疑は終了いたしました。

https://www.inoue-satoshi.com/parliament/2023/03/post-433.html
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国会質問議事録



2023年・211通常国会



予算委員会(安保3文書と平和の外交について)

https://www.inoue-satoshi.com/parliament/20230327%E4%BA%88%E7%AE%97%E5%A7%94%E8%B3%87%E6%96%99%E2%91%A0.pdf



https://www.inoue-satoshi.com/parliament/20230327%E4%BA%88%E7%AE%97%E5%A7%94%E8%B3%87%E6%96%99%E2%91%A0.pdf


https://www.inoue-satoshi.com/parliament/20230327%E4%BA%88%E7%AE%97%E5%A7%94%E8%B3%87%E6%96%99%E2%91%A1.pdf




https://www.inoue-satoshi.com/parliament/20230327%E4%BA%88%E7%AE%97%E5%A7%94%E8%B3%87%E6%96%99%E2%91%A1.pdf

https://www.inoue-satoshi.com/parliament/20230327%E4%BA%88%E7%AE%97%E5%A7%94%E8%B3%87%E6%96%99%E2%91%A2.pdf



https://www.inoue-satoshi.com/parliament/20230327%E4%BA%88%E7%AE%97%E5%A7%94%E8%B3%87%E6%96%99%E2%91%A2.pdf

外務省「軍縮・不拡散と我が国の取組」
「軍備拡張競争や兵器の拡散は国際の平和と安 全を損なうことにつながりかねません。無制限 に増大した軍備や兵器は、たとえ侵略や武力に よる威嚇の意図がなくても、他の国の不信感を 高め、不必要な武力紛争を引き起こすことにな りかねないのです。」 出典:外務省ホームページ「軍縮・不拡散と我が国の取組(概観)」より抜粋 2023年3月27日 参議院予算委員会 日本共産党 井上哲士 配付資料③・パネル

https://www.inoue-satoshi.com/parliament/20230327%E4%BA%88%E7%AE%97%E5%A7%94%E8%B3%87%E6%96%99%E2%91%A2.pdf

https://www.inoue-satoshi.com/parliament/20230327%E4%BA%88%E7%AE%97%E5%A7%94%E8%B3%87%E6%96%99%E2%91%A3.pdf



https://www.inoue-satoshi.com/parliament/20230327%E4%BA%88%E7%AE%97%E5%A7%94%E8%B3%87%E6%96%99%E2%91%A3.pdf


https://www.jlaf.jp/wp-content/uploads/2022/12/2022.12.17%E3%80%80%E5%AE%89%E4%BF%9D%E9%96%A2%E9%80%A3%EF%BC%93%E6%96%87%E6%9B%B8%E5%8F%8D%E5%AF%BE%E5%B8%B8%E5%B9%B9%E6%B1%BA%E8%AD%B0%EF%BC%88%E7%A2%BA%E5%AE%9A%E7%89%88%EF%BC%89.pdf



安保3文書の閣議決定の白紙撤回を求める決議

 

 2022年12月16日、岸田内閣は、国家安全保障戦略、国家防衛戦略及び防衛力整備計画(安保3文書)を閣議決定した。
 安保3文書は、国民的な議論も国会での審議もないまま、これまで政府が「平生から他国を攻撃する兵器の保有は憲法の趣旨とするところではない」として保有を認めてこなかった敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を明記し、そのための費用を含む今後5年間の防衛費を総額43兆円として、日本を軍事大国に作り変えるものであって、憲法前文、9条、41条など幾重にも憲法に違反する許されざるものである。

 国家安全保障戦略は、「我が国に対する武力攻撃が発生し、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、武力の行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、相手の領域において、我が国が有効な反撃を加えることを可能とする、スタンド・オフ防衛能力等を活用した自衛隊の能力」と定義される敵基地攻撃能力(反撃能力)を保有することを明記した。そして、この方針に従い、防衛力整備計画では、12式地対艦誘導弾能力向上型(射程を1000㎞以上に延伸)、島嶼防衛用高速滑空弾及び極超音速誘導弾の開発・試作を実施・継続するとともに、防衛力の抜本的強化を早期に実現するため、米国製のトマホーク(射程約1600㎞)を始めとする外国製スタンド・オフ・ミサイルの着実な導入を実施するとしている。これは、専守防衛の理念の下、相手国に脅威を与える兵器を保有しないとしてきた歴代政府の方針を根本的に転換し、日米安保体制下における日本の「盾」としての役割を大きく変容させるものである。

 敵基地攻撃能力は、「武力攻撃が発生していない段階」で行使することはないとされている。しかし、政府は「武力攻撃が発生した場合」とは「相手国が武力攻撃に着手したとき」であるとしており、実際に相手国からの攻撃がなされる前の段階から行使できる。そして、何をもって「着手」とするかについては、何ら判断基準が示されておらず、また、その正確な認定は困難であるから、敵基地攻撃能力の行使は、憲法にも国際法にも違反する先制攻撃となりかねない。しかも、安保3文書では、その攻撃対象も明示されておらず、「相手の領域」における様々な拠点や施設等が歯止めなく目標とされる可能性がある。
 さらに、この敵基地攻撃能力は、「2015年の平和安全法制に際して示された武力行使の3要件を満たす場合に行使しうる」と明記されている。すなわち、「我が国に対する武力攻撃が発生した」場合のみならず、「我が国と密接な関係のある他国に対する武力攻撃が発生し」我が国に一定の危険があると判断された場合(存立危機事態)に行使されることになるのである。これによって、例えば、米国に対する武力攻撃の着手があった場合に、我が国が当該相手国の領域にスタンド・オフ・ミサイルを撃ち込む事態が当然に想定されるのであって、日本は米軍と一体となっての全面戦争へと引き込まれざるをえない。

 加えて、他国の基地を直接に攻撃することができる軍事力を保有することになれば、北東アジア諸国をはじめとする周辺諸国に対する大きな威嚇的効果を持つこととなり、周辺諸国の反発を招き、外交上の緊張が高まることが容易に想定される。また、安保3文書は、スタンド・オフ・ミサイルの主要な配備先とされる南西諸島での陸上自衛隊の増強(第15旅団の師団への改編)や機動展開能力の強化等も明記しているが、これは、相手国からすれば「反撃」を加える対象となることを意味しており、沖縄を再び戦場にする危険にさらすものといわなければならない。
 敵基地攻撃能力の保有は、日本に平和と安全をもたらすものではなく、日本を際限のない軍拡競争に駆り立てるとともに、その行使によって相手国からの報復攻撃を呼び込み、沖縄をはじめとする日本の国土を戦争の惨禍にさらすものにほかならない。

 第2次安倍政権発足以降、軍事費は10年連続で前年度比を上回り、8年連続で過去最大を更新している。その結果、日本はすでに世界でも有数の軍事力を有する国となっている。
 そして、「防衛力整備計画」では、2023年度から2027年度までの5年間における防衛力整備の水準を、2019年の中期防衛力整備計画において定められた軍事費の約1.6倍にも上る43兆円とし、2027年度時点での予算水準がGDP比2%に達するよう所要の措置を講ずるとしている。しかし、なぜ5年間で43兆円なのか、なぜGDPの2%なのかについて、説得的な説明はなされておらず、「対米公約」による「規模ありき」の膨張と言わざるを得ない。
 このような「規模ありき」の「防衛費増」の財源については、「歳出改革、決算剰余金の活用、税外収入を活用した防衛力強化資金の創設、税制措置等、歳出・歳入両面において所要の措置を講ずることとする」としているが、すでに政府与党内では所得税を含む増税の方針が具体的に検討されており、防衛力強化の名のもとに、コロナ禍で苦しむ国民生活がさらに圧迫されることが大いに危惧される。また、増税への批判をかわすため、その財源に国債を充てることも取りざたされているが、それは、すでに国債発行残高が1000兆円を超える超赤字国家である日本において、さらなる負債を将来世代に押し付けるものにほかならならず、亡国の道としかいいようがない。
 今回の安保3文書は、財政、予算のみならず、日本の経済、技術、情報、インフラ整備などを含め、全面的に軍事を優先し、「戦争する国」づくりを具体化するものであって、国民の権利や生活に重大な影響を及ぼすものである。このようなものを、国民の信を問うこともなく、国会での審議もなく強行することは、民主主義を破壊する暴挙であって、絶対に許すことはできない。

 武力を武力によって制することでは、「正義と秩序を基調とする国際平和」は決してもたらされない。平和的な外交を積み重ねることにより、国際的秩序の維持と国際平和の確保を目指すべきである。
 自由法曹団は、日本国憲法に違反する敵基地攻撃能力保有を含む安保3文書の閣議決定に断固として反対し、その即時白紙撤回を求めるとともに、岸田政権による大軍拡及び憲法破壊を阻止すべく、より一層の強い決意をもって取り組むものである。





   2022年12月17日
                                 自由法曹団常任幹事会

https://www.jlaf.jp/04ketsugi/2022/1219_1442.html
2022年12月17日常任幹事会において、「安保3文書の閣議決定の白紙撤回を求める決議」を採択しました



かつて沖縄のアメリカ軍基地で訓練を受け、ベトナム戦争に行った元海兵隊員のアレン・ネルソンさん。ネルソンさんが亡くなって10年、平和を訴え続けたネルソンさんの遺志は、“沖縄とベトナムで”生き続けていました。



今年7月、1人の男性が沖縄を訪れました。ベトナム・クアンナム省で日本語学校の校長を務めるチン・ディン・タン先生。彼は、沖縄とベトナム、そしてかつてその両方に駐留したある人の架け橋となっています。

チン・ディン・タン先生「皆さんの前で報告できることを本当にうれしく思います。アレン・ネルソン奨学会の皆さん、本当にありがとうございます」

その人は、アメリカ人のアレン・ネルソンさん。かつて、沖縄のキャンプハンセンからベトナム戦争に従軍した元海兵隊員です。

1960年代から泥沼化したベトナム戦争。戦場に送られた兵士の多くは、貧しい家庭に生まれた若者たち。罪の無い人々への暴力に手を染め、戦後は彼ら自身もPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦められました。

ネルソンさん(2019年4月16日 特集より)「キャンプハンセンの上官は聞く、『お前たちは何がしたいのか』と。すると私たちはできるだけ大きな声でライオンのような声で叫ぶ。『殺すんだ』と」

そんな兵士の1人だったネルソンさん。ある時目にしたニュースが人生を大きく変えます。



1995年に沖縄で起きたアメリカ兵による少女暴行事件。かつての自分と同じ、若いアメリカ兵が起こした、あまりにも凄惨な事件をきっかけに、ネルソンさんは自らの過ちを告白し、戦場で何が起きているのかを語り始めました。

アレン・ネルソンさん(2017年3月22日特集より)「ベトナムではたくさんの死を目の当たりにした。戦争は映画とは違うのです」

「アレン・ネルソンさんの平和のメッセージ」と名付けられた今回の集会。自身がベトナム戦争でやったことを悔やみ、反戦・平和を訴えながらも、2009年に病で亡くなったネルソンさんの遺志を継いで開かれました。

それは、自分と同じように貧しさから学校に通えない子どもたちに、奨学金を送ろうというもの。今年で10年になりました。

タン先生「子どもたちにアレンネルソンさんが経験したこと、なぜこの奨学金を支給したいかを説明して配っております。2006年にアレンネルソンさんが来て、心からの謝罪をしたことを地元の方が知っていました。本当にこの奨学金のことを大いに受け入れています」

QABはおととし「アレン・ネルソン奨学会」のメンバーに同行し、ベトナムを訪ねました。

奨学金は、アメリカ軍が凄まじい暴力を奮ったクアンナム省で、10年間でのべ850人以上の子どもたちに贈られています。



児童「(Q:将来は何になりたいの?)お医者さん。社会に役立つ人になりたいです」「(Q:お勉強は何が好きですか?)英語(英語が好きなの、すごい!)すごい」

都市部の経済発展は目覚ましいベトナムですが、地方にはまだ支援の手を求めている子どもたちがたくさんいます。

タン先生「ベトナムは豊かになりましたが格差はまだ大きいです。テト(旧正月)の時、みんな新しい服を着て、ごちそうを食べて過ごしますが、貧しい子どもたち、そうできない子どもたちもいます。なので、この奨学金は激励という意味ではすごく大事だと思います」

また「アレン・ネルソン奨学金」には、ネルソンさんが生前語っていた、こんな願いも込められています。



ネルソンさん(2019年4月16日 特集より)「ベトナム戦争のことを話すのはとても苦しい。みんなに話すのも苦しい。それはもう抑えられない恐怖だ。でも、ある日気づいた。子どもたちに伝えなければならないと。私の話を聞いて、一人でもいいから、戦争がだめだと考えてくれたらよい」

戦争の真実を学び、平和な世界を築いてほしい。その願いは、沖縄の若い世代にも届いています。

学生「アレン・ネルソンさんが、自分のやったことの罪を認める勇気もすごいなと思ったし、そこから自分だからこそできることを見つけて発信していって、また周りの人が助けてくれて、それが今でも続いているのはすごいなと思ました」「中学生の時にアレン・ネルソンさんの本に出会ったんですが、そこから基地や戦争を考えさせられて、そこから平和活動を高校の友達とやっていた。”次の世代につなげる”、”忘れない”というのをキーワードに(活動を)続けていきたいと思っています」

1人の元兵士が残した贈り物。それは、同じく戦争に翻弄された歴史を持つ沖縄とベトナムで生き続けています。

https://www.qab.co.jp/news/20191003119586.html
Qプラスリポート 「平和の遺志」受け継ぐ 元海兵隊員のメッセージ

琉球朝日放送 報道制作局 2019年10月3日



宮古島に配備された陸上自衛隊。国は島の南東部に弾薬庫を建設する予定ですが、地元からは強い反発の声も上がっています。きょう、この後間もなく地域の住民を対象にした説明会が開かれますが、説明会を前に、計画の中止を求める反対集会が開かれました。



国が行う説明会のおよそ2時間前に開かれた抗議集会には60人を超える人が集まりました。

国は南西諸島の防衛力を強化しようと来年3月末までにミサイル部隊を島に配備するため、先行して弾薬庫を建設することにしています。



弾薬庫は島の南東部に位置する「保良地区」の採石場に造られることになっていて、集落からの距離はわずか200メートル。地元住民は安全が脅かされると建設に反対しています。

これまで宮古島の陸上自衛隊配備を巡っては住民にきちんと説明がされないまま駐屯地の中にミサイルが保管されていたことが発覚し、島の外に運び出す事態に発展するなど島民の反発を招いていました。

こうしたな中、弾薬庫の建設があすにも始まるのではないかと住民は危機感を募らせています。

地元住民「なぜここに危険なものを置くのか」「どんなに闘ってでもここに弾薬庫は置かせたくない」「まとまった集落のすぐそばに本当に危険な弾薬庫を置くという、陸上自衛隊の思惑がまったくわからない」

石橋記者「弾薬庫建設を巡ってはこれまで、住民側が求めた保管する弾薬の量や安全の確保について、国から十分な説明がなされておらず、住民からは、既成事実を積み重ねたいだけだと批判の声も出ています」

宮古島 陸上自衛隊弾薬庫建設 反対の声の中 住民説明会

琉球朝日放送 報道制作局 2019年10月3日



「9条を抱きしめて ~元米海兵隊員が語る戦争と平和~」が
ギャラクシー賞5月度月間賞を 受賞しました。

[ 番組内容 ]
戦後70年、日本は国家として他国民を誰一人殺さず、また殺されもしなかった。非戦を貫けたのは、戦争の放棄を定めた憲法9条があったからにほかならない。戦争は、国家間の争いだが、実際に戦闘に携わるのは紛れもなく人間。人殺し、殺し合いに他ならない。アレン・ネルソンさん。ベトナム戦争に従軍した元米海兵隊員だ。戦場で数えきれないくらいの人を殺害し、帰還後PTSDに苦しめられるが、自らの過ちを認めることをきっかけに立ち直った。96年から日本で講演活動を開始した彼が最も大切にしたのが憲法9条。暴力的な方法に頼らない唯一の道は9条の理念にあると訴え続けた。ネルソンさんの半生、証言を通し、‘9条’が日本で、そして国際社会で果たしてきた役割、意味を問い直す。

ナレーター:藤田千代美(関西芸術座) 2015/5/3放送   制作 読売テレビ

https://www.ntv.co.jp/document/news64.html

「9条を抱きしめて」ギャラクシー月間賞受賞!!



NNNドキュメント‘14「自衛隊の闇 ~不正を暴いた現役自衛官~」が、
第14回「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」公共奉仕部門 大賞を
受賞しました。

[ 番組内容 ]
所属する組織の不正を知ってしまった男が、正義の遂行のため立ち上がった。いじめによる隊員の自殺で自衛隊の責任が問われている裁判。かつて訴訟担当者だった現役自衛官が「重要文書を隠蔽している」と、自らの組織の[不正]を暴いた。「自衛隊が、不利な事実を隠したまま『不正な勝利』を得てしまう」今の生活を失ってしまうかもしれない恐怖と闘いながらの苦渋の決断だった。自衛隊は「文書は破棄した」と説明してきたが、一転。その後、200点もの大量の文書が開示された。今、裁判の流れは大きく変わろうとしている。「私は、組織に対してではなく、法の正義と国民に忠誠を尽くしたい」 今なお、組織に留まり一人、正義のために闘い続ける自衛官の姿を取材した。

ナレーター:二又一成  2014/2/23放送  制作 日本テレビ

授賞理由:自衛艦を見学したとき、艦内の食堂に「団結」と大書されてあるのを見て驚かされた。戦闘集団には団結が最大のモラルなのだ。団結は少数意見を排除する。まだ殺し合いの惨劇を体験していない自衛隊が、いまでさえ民間よりもはるかに自殺率の高いのは、密閉集団の中で、異物を排撃し団結を求めるからだ。ミサイル搭載護衛艦「たちかぜ」の21歳の乗組員の自殺は、「いじめ自殺だった」と裁判官が判断できたのは、自衛官の内部告発の証言があったからだ。この番組は組織内にあって、組織の明朗性をもとめて、毅然として証言台に立った自衛官を描いている。秘密保護法実施前の、あるいは自民党の憲法改定案にある「軍隊内審判所〈軍事法廷〉設置」の前に、自衛官の勇気を映像化した意味は大きい。たった一人でもできることがある、という実践が日本全体を密閉集団化させない道を拓く。(鎌田慧選考委員)

大島千佳ディレクター:自衛官いじめ自殺裁判の二審取材中の衝撃でした。現役自衛官3佐が「自衛隊の文書隠蔽」を証言したのです。「私は自衛隊のためではなく国民のために働いている」――彼の確固たる正義に、文書が暴かれ、自衛隊幹部が謝罪。裁判をも覆した3佐の志そのものが受賞に相応しいと感じます。闇に光を当てる尊さを胸に刻みたいと思います。

「自衛隊の闇」が「早稲田ジャーナリズム大賞」受賞!!
https://www.ntv.co.jp/document/news56.html



「3・11大震災 シリーズ 2つの“マル秘”と再稼働~国はなぜ原発事故試算を隠したのか?~」がギャラクシー賞8月度月間賞を 受賞しました。

[ 番組内容 ]
国が隠した2つの試算がある。「大型原子炉の事故の公衆損害…に関する試算」は日本初の原発が事故を起こすと損害は国家予算を超えるとの試算だ。マル秘の判を押され封殺された。2つ目が「原子炉施設に対する攻撃の影響に関する一考察」。イラクの原子炉が空爆されたので80年代に試算。「ミサイルの命中精度は極めて高いので格納容器が破壊される…」「1万8千人が急性死」 被爆国日本で原子力を推める為に隠し事はしないという「公開」の原則は今年まで切れ目なく破られていた。まもなく九州電力・川内原発が再稼働する。首相は安全といい規制委員長は安全とは言わない。このズレは?新基準での再稼働は都合悪い事も隠さず公開しているか?

ナレーター:杉本るみ  2015/8/23放送   制作 日本テレビ

https://www.ntv.co.jp/document/news65.html
「2つの“マル秘”と再稼働」ギャラクシー月間賞受賞!!

ウクライナ人もロシア人も戦争継続してたら死者が増えるだけ、集団的自衛権で戦場にいかされる形になるNATO軍に従事する西側の兵隊さんも殺されます。ウクライナ戦争早く停戦してほしいですね。



いつでも元気

2022年7月29日

日本兵のPTSD

聞き手・武田 力(編集部) 写真・酒井 猛

 戦場での体験が兵士の心を痛めつけ、帰還後もPTSD※に苦しむ人が多くいます。
 「戦地から帰った父親はPTSDだったのでは―」。
 三多摩健康友の会(東京)武蔵村山支部の役員を務める黒井秋夫さん(73歳)は、2020年5月に「PTSDの日本兵と家族の交流館」を建設。
 きっかけや思いについて聞きました。

※PTSD…心的外傷後ストレス障害。命を脅かすような強烈な体験をきっかけに、それがフラッシュバックや悪夢によって再体験されたり、不安や緊張が高まって日常生活に支障をきたす

 私の父親は1941年、2度目の召集で中国へ出征しました。旧「満州」でゲリラ討伐作戦に参加した記録が残っています。終戦の45年に捕虜となり、翌年に帰国。私は48年に生まれました。
 私が物心ついた頃には、すでに父親は無口で無気力な人間でした。定職に就かず、家はずっと貧乏。「自分はこんな大人にはなるまい」と、父親を軽蔑しながら反面教師にして生きてきました。89年に76歳で亡くなるまで、それが父親の本性だと思っていました。

元海兵隊員の証言

 2015年にピースボートに乗船した際、元アメリカ海兵隊員のアレン・ネルソンさんを撮ったDVDを観ました。ベトナム戦争に従軍した彼は、帰国後にPTSDを発症。家族や社会との関係をうまく築けず、「人生が変わってしまった」と証言していました。
 ネルソンさんの悲痛な表情と自分の父親の姿が突然重なって、雷に打たれたような衝撃を受けました。平和や歴史に人一倍関心を持ち、戦争で人間の心が壊れることは知っていたのに、自分の父親と結びつけて考えたことは一度もなかったのです。
 すぐにピースボート上で「日本兵だった父親について語り合いませんか」と、自主講座を呼びかけました。参加者からは家庭内暴力やアルコール依存、沈みがちで無気力な父親の姿など、さまざまな話が出てきました。ある女性は後日、「初めて父親の真実を理解した気がして、一晩中声をあげて泣いた」と明かしてくれました。

ひた隠しにされた事実

 米国ではベトナム戦争やイラク戦争に従軍した兵士の2~5割にPTSDの症状があったと言われます。太平洋戦争から帰還した日本兵に換算すれば約200~400万人。戦後、日本の5世帯に1世帯は、戦争による心の傷を負った元兵士を抱えていたことになります。
 それは家族のコミュニケーションや子どもの育ちにも影響を与えたでしょう。“平和で豊かな日本”という戦後社会のイメージは、重大な事実を見落として成り立っているのではないかと考えるようになりました。
 国は「(精神を病むような)軟弱な皇軍兵士はいない」と、日本兵のPTSDをひた隠しにしてきました。戦後、アジア諸国に対する謝罪や戦争責任にも真剣に向き合ってこなかった。帰還した日本兵が、心の葛藤や悩みを安心して話せる社会ではなかったのです。
 誰も声をあげずに事実が埋もれてしまえば、同じ過ちが繰り返されるかもしれない。私は強い危機感を持ちました。

殺す側にも癒えない傷

 2020年5月、自宅の庭に「PTSDの日本兵と家族の交流館」を建設。マスコミにも取り上げられ、当事者家族や研究者とのつながりもできました。講演を依頼されたり、武蔵村山市のイベントで友の会の健康チェックの隣で展示もしました。
開館から2年間でのべ1600人が訪れ、うち8割近くは学校帰りに寄る子どもたちです。資料や書籍などと一緒に展示された銃弾は、子どもたちに強い衝撃を与えます。「こういう物がウクライナの戦場でも飛び交っている」と伝えると、その恐怖を実感として受け止めてくれます。
 ロシアのウクライナ侵略は、一刻も早くやめてほしい。戦闘が長引くほど、PTSDに苦しむ人が増えることは間違いありません。殺される側だけでなく、殺す側にも決して癒えることのない傷を残すのが戦争です。

日本国憲法9条を体現

 交流館の入り口に掲げている白旗は、「戦わない(殺さない)で逃げよう」という私なりのメッセージです。武力でお互いが納得するような解決はありえない。いのちこそが一番大切なもので、「他国に再び銃を向けない」と誓ったのが日本国憲法9条です。紛争を話し合いで解決する外交努力こそ、政治家の役割だと思います。
 私が父親のPTSDに気づいていれば、もう少し違う親子関係を築けたかもしれない。今の世界や日本を見て、父親だったら何と言うだろう。後悔や申し訳ない気持ちを抱えながら、今は亡き父親の心に近づきたいと考えています。

https://www.min-iren.gr.jp/?p=45960
全日本民医連2022年7月29日
日本兵のPTSD

私は銃口向けられて殺されかけた事があって、心が病みましたが軍隊に行ってネルソンさんのように拳銃で人を殺した事がある人もPTSDのような心の病になってしまうのですね。
拳銃なんてなくなってしまえばよいのよ。
軍隊なんてなくなってしまえばよいのよ。
#ProhibitALLGUNS #日本も米国バイデン民主党政権のゴースト法規制やライフル所持禁止の法整備を見習って銃規制強化して下さい。#日本版レッドフラグ法制定を求めます。


 カウントダウンが始まった。7月1日、自民・公明両党は、安全保障関連法案について、今月15日頃の採決を目指す方針を確認した。憲法学者から違憲だと指摘されようとも、国民の多数が今国会での成立に否定的であっても、与党は聞く耳を持たないようだ。



 とりわけ自民党が強引に法案成立を目指すのは、安倍首相がこの解釈改憲によって事実上、憲法9条を形骸化させようと目論んでいるからに他ならない。そうして、なし崩しに既成事実をつくりあげたあと待ち受けるのは、本格改憲による「戦争のできる国」──これは抽象的な話でも脅しでもなく、事実である。



 だが、安倍晋三は戦争を知らない。無論、筆者も、この国で生きる大多数の人たちも、それがいかなるものなのかよく知らない。どうしてだろうか。



 戦後日本に憲法9条があったから──そう語るのは、アレン・ネルソンさん。海兵隊の一員としてベトナム戦争の最前線にいたアフリカ系アメリカ人だ。1996年から、日本全国で1200回を超える講演を行い、2009年、ベトナムで浴びた枯れ葉剤が原因とみられる血液のがんで亡くなった。享年61歳だった。今年の憲法記念日に放送された『NNNドキュメント 9条を抱きしめて ~元米海兵隊員が語る戦争と平和~』(日本テレビ系)という番組のなかに、生前の彼が語ったこんな言葉が収められている。



「ほとんどの国の子どもたちが戦争を知っています。アメリカの私の子どもたちは、戦争を知っています。イギリス、イタリア、フランス、オーストラリア、中国、韓国の子どもたち、みんな戦争を知っています。しかし、ここ日本では戦争を知りません。憲法第9条が戦争の悲惨さ、恐怖や苦しみから、みなさんを救ってきたからです」



 なぜ、彼は言い切るのか。それを理解するためには、2003年に講談社から出版された自叙伝をもとに、ネルソンさんの生涯を知るほかない。



 ニューヨークで生まれ、高校を中退。仕事を転々としていたネルソンさんが、海兵隊の採用担当職員に声をかけられ、海兵隊入りをしたのは18歳のとき。訓練を受けたネルソンさんは、翌年の66年、ベトナム戦争の最前線に派兵されるために、沖縄・嘉手納基地に赴く。当時、沖縄は返還前で、アメリカ兵は自分たちの国の一部という感覚でいたという。



〈わたしたちは東洋人の一人一人を見分けることができませんでした。みんな、同じ顔に見えましたし、それでもまったく問題はなかったのです。なぜなら、わたしたちは東洋人を、そして沖縄の人々を人間としてみてはいなかったからです〉



 そしてベトナムに派遣後、最初に遭遇した戦闘。味方の兵士が撃たれ、駆けつけたネルソンさんは、その〈目も鼻もない、ただ真っ赤につぶれた顔〉を見て戦慄する。〈みんな殺してやる、自分があんな目にあう前に、みんな殺してやる〉、そう心のなかで叫び、二度目の戦闘で初めて人を殺す。戦場で兵士たちは競い合って殺し、死体から頭を切り取って記念撮影をしていた。



 初めての殺人のあと、上官から労われたネルソンさんは〈とてもいい気分〉だったという。だがその後、〈名づけることのできない感情〉と目眩のようなものを覚えた。以降、人を殺すたびに感じるようになったこの感情は、罪の意識でも、恐怖でもなく、ましてや喜びでもなかった。



〈しいていえば、人を殺すことのあまりの簡単さへのおどろきといえるかもしれません。果てしない暗闇が目の前に突然に口を開けてわたしをのみこんでしまったような、なんともいえぬ感情でした〉



 しかしネルソンさんは、ある日の戦場で、〈戦争への考えを変えることになる決定的なできごと〉を体験する。ある村を通りかかったとき、部隊は待ち伏せ攻撃を受け、ネルソンは銃で応戦しながら一件の民家の裏庭にある防空壕のなかに身体をすべりこませた。豪のなかでは、若いベトナム人女性がひとり、苦痛に耐えながら壁に背を押し付けていた。なんと、彼女は出産の最中であったのだ。



 ネルソンさんは、思わず本能的に両手を差し出したという。そして彼女の中から生まれおちる赤子を、その両手で受け止めた。彼女はへその緒を歯で噛み切り、赤子を落ちていた布でくるみ抱えて、しばらくして豪の外へと走り出ていった。



 戦闘が終わったあと、仲間と合流したネルソンさんは混乱していた。



〈ベトナム人もまた人間なのだ、わたしと同じ人間なのだという、ごくごく当たり前の事実を、しかし、それまで決して考えてみることのなかった事実に思い当たりました。〉



 同時に、自分の母や姉妹と同じような人々を数えきれぬほど殺したことについて、感じることを禁じていた様々な感情が、ゆっくりと目覚め始めたという。〈自分はまだ人間のままでいるだろうか〉、そう自問しながら、彼は戦場を生き残った。だが、戦地から遠ざかったあとも"戦争"に苛まれ続ける。



 4年の契約期間を終えニューヨークへ戻ったネルソンさんは、23歳でホームレスになっていた。原因は、帰還後毎晩見るようになったベトナムの悪夢だ。神経過敏になり、精神科医の診療も受けるようになったが、薬は役に立たず、かえって副作用のため日常生活に支障をきたすようになっていたのである。PTSD(心的外傷後ストレス障害)だ。



 ベトナム戦争後にその症状が広く知られるようになったPTSDだが、アメリカでは今も深刻な社会問題であり続けている。『帰還兵はなぜ自殺するのか』(亜紀書房)によれば、イラク・アフガン戦争のアメリカ帰還兵200万人のうち、4人に1人がPTSDやTBI(外傷性脳損傷)などに苦しめられ、結果、毎年250名を超える自殺者を出しているという。



 これは日本の自衛隊の未来を暗示している。事実、イラク戦争にあたって、約1万人の自衛隊員が派遣されたが、帰還後に28人もの隊員が自殺していることがわかっている。通常の日本の自殺率と比べると、実に14倍だ。安倍政権が目指す安保法制によって、自衛隊の活動範囲は飛躍的に拡大する。にもかかわらず、政府は、自衛隊員の戦死やPTSD等のリスクについての説明を避け続けている。安倍首相は「日米同盟を"血の同盟"にする」と大見得をきったが、現実に待ち構えているのは比喩でない。もちろん、安倍首相自身は一滴も血を流すつもりはないだろうが。



 話をネルソンさんに戻そう。PTSDに苦しめられ、ホームレスを続けるしかなかったある日、たまたま再会した同級生に、ベトナム戦争について講演をすることを勧められた。ネルソンさんは迷ったが、結局、小学校にいき、子どもたちの前に立った。



 ぎこちなく語り終えると、子どもたちからの質問時間になった。そこで出たある女の子からの質問に、ネルソンさんは固まる。それは、彼の自叙伝のタイトルにもなっている。



「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」



 長い沈黙のあと、ネルソンさんは、目を閉じたまま言った。「殺した」。



 すると、だれかの手が体に触れた。ネルソンさんが目を開けると、質問をした女の子がそこにいた。彼女はネルソンさんを抱きしめ、涙を浮かべながら見上げて言った。「かわいそうなネルソンさん」。子どもたちは一人、また一人とネルソンさん体を抱きしめていった。ネルソンさんのなかで、何かが溶け出した。



〈自分自身のことが、とてもよく見えるような気がしました。

 何をすべきかもわかったような気がしました。

 わたしが戦ったベトナム戦争を、悪夢として時間の牢屋に閉じこめるのではなく、今もなお目の前で起きていることとして見つめなくてならないのです。〉



 ネルソンさんは、その後、日本での講演活動を開始する。きっかけとなったのは、1995年、沖縄で起きた海兵隊による少女レイプ事件だった。アメリカのテレビでそのニュースを聞いた彼は、そのとき、沖縄にまだ基地があり、アメリカ兵がいるという事実を意外に感じたという。ベトナム戦争が終わって、とっくに米軍は撤収していると思っていたからだ。ネルソンさんは何かしなければと、沖縄へ向かう。



 そして、日本国憲法のことを知った。ネルソンさんは、ホテルで9条の条文を読み、立ち上がるほどのショックをうけたという。前述の『NNNドキュメント』のなかで、こう語っている。



「憲法第9条を読んだとき、自分の目を疑いました。あまりに力強く、あまりに素晴らしかったからです。日本国憲法第9条は、いかなる核兵器よりも強力であり、いかなる国のいかなる軍隊よりも強力なのです。日本各地で多くの学校を訪れますが、子どもたちの顔にとても素晴らしく美しくかけがえのないものが、私には見えます。子どもたちの表情から、戦争を知らないことがわかるのです。それこそ第9条の持つ力です」



 9条こそが、子どもたちを守ってきた。ネルソンさんは、夢や理想ではなく、現実として語っているのである。そして番組のもうひとつのハイライトは、ネルソンさんが、アメリカ人政治学者のダグラス・ラミス元津田塾大学教授と9条について語り合う場面だ。VTRは少なくとも今から10年近く前のものであるはずだが、その内容は、まさに現在の安倍政権をめぐる日本の状況を示唆している。引用しよう。



 ネルソン「平和憲法は日本人が考え出したものではないとかアメリカ人に与えられたものだと言う人がいます。しかし、誰にもらったかは問題ではありません。平和憲法は私たちが進むべき未来を示しています。たとえ宇宙人がくれたものだとしても、これは全人類にとって大切なものです。問題は今、当初の平和の理念が置き去りにされようとしていることなのです」

 ラミス「私たちは平和憲法のもと、平和な日本で暮らしています。日本は世界一の平和国家と言われています。でも同時に沖縄には米軍基地がある。これはファンタジーです」

 ネルソン「たしかにそこは大きな問題です。日本人は間接的に戦争に関与してきました。しかし、9条のおかげで直接的に戦争には関わっていません。言い換えると、第二次世界大戦後、日本は新たな戦没者慰霊碑を建ててはいない。そこが私には素晴らしいと思えるのです」



 日本国憲法は"誰がつくったか"が本質ではない。条文が示す、戦争放棄、戦力不保持、平和主義の理念を見つめるべき──そう、ネルソンさんは訴えるのである。昨今、護憲派の人々は、改憲派やネット右翼らから「脳内お花畑」とか「9条教」などと揶揄されている。しかし、ネルソンさんが9条をこれほど高く評価するのは、戦場で人を殺し、生還後もPTSDに苦しんできた自身の体験があるからだ。



 ネルソンさんは、決して夢想家ではない。少なくとも、戦場の実態を知っているという意味では、安倍首相をはじめとするほとんどの改憲派の人たちよりもリアリストだろう。戦争で人を殺さず、殺されないこと。そのことをはっきりと規定した9条の条文が、ときの権力者の暴走に歯止めをかけてきた。ネルソンさんの言葉はその事実をあらためて私たちにつきつける。



 与党は、国会での安保法制改正案の強行採決を目論んでいる。あの戦争の終結から70年が経つこの夏は、日本が再び戦争ができる国になった夏として、歴史に刻まれるかもしれない。人を殺し、殺されることが「当たり前の事実」になる日を目の前にして、私たちはこのまま、手をこまねいているだけでいいのだろうか。(小杉みすず)

https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_1244/
「憲法9条は核兵器より強力だ」米軍元海兵隊員が語った本当の戦争と日本国憲法の価値



2015年07月04日(土)08:00Litera



守田です。(20140614 15:00)

昨年より、僕は「京都被爆二世三世の会」に参加させていただいています。毎月、例会があるのですが、今月は平塚淳次郎さんが参加され、講演してくださいました。このことを報告したいと思います。

平塚さんは、1975年8月6日に白血病で亡くなられた被爆二世・峯健一君の安倍野高校時代の担任の先生をされた方です。
英語科だった関係から、峯君の死後に彼のことを書いた英文パンフレット"DEATH OF A HIGH SCHOOL BOY"を製作され、各地の教員研修会で発表、さらに国際会議に招かれて、世界に峯君のことを伝えられました。
原爆とは何かをあらためて捉え、かつ被曝の次世代への影響を考える上でとても貴重なお話でした。

平塚さんは峯君と過ごした日々の体験を心に刻みつつ、教師として平和運動を担ってこられましたが、さらに1996年に元米軍兵士だったアレン・ネルソンさんが日本を訪れ、戦争体験を話してくださるようになって以降、何度も通訳として同行されました。
アレン・ネルソンさんは1947年ニューヨーク州ブルックリンで生まれ、貧困生活から逃れようと18歳で海兵隊に入隊。ベトナムに派遣されて過酷な戦場を生き延びらた方です。
自らたくさんの殺人を犯してしまったネルソンさんは、除隊後に後遺症に苦しめられ、家族から同居できないと言い渡されてホームレスを経験し、自殺未遂も繰り返しましたが、ある医師との出会いから回復されました。
その後、本当の戦争(real war)とは何かを伝えるのが自分の役目だと考えはじめ、米兵による少女レイプ事件あった直後の1996年に沖縄に30年ぶりに訪問され、語り部としての活動を始められました。

ネルソンさんは1996年から13年間のあいだに日本中をかけめぐり1200回もの講演を重ねられましたが、2009年3月26日に米軍が撒いた枯葉剤の影響によって発症したと思われる多発性骨髄腫で亡くなられてしまいました。
平塚さんは、ネルソンさんの平和への思いをさらに伝えたいと「アレン・ネルソン平和プロジェクト」を結成。昨年、ネルソンさんの語りを中心に編集したDVD『9条を抱きしめて』を製作され、普及活動をされています。
この日も、峯君との日々のお話に続いて、ネルソンさんと行動を共にした日々について語られ、『9条を抱きしめて』のダイジェストを見せてくださいました。

非常に感動し、共感しました。

二つのお話共に重要なのですが、今回は先にネルソンさんのことについて触れたいと思います。なぜかと言えば、前回の「明日に向けて(870)」でも書いた憲法9条の意義、精神を、ネルソンさんが力強く語ってくれていたからです。
アメリカの正義を信じ、ベトナムに派遣されて実際にたくさんの殺人を経験してきた元アメリカ軍兵士のネルソンさんが、自己回復の長く苦しい時を経てから語られていることだけに、深い実感がこもっており、胸を打ちます。
『9条を抱きしめて』の最後の方に出てくる、ネルソンさんの集会での講演の発言シーンから少し言葉を拾わせていただこうと思います。2か所から引用します。ぜひお読み下さい。

***

アレン・ネルソン

1996年に来日した時、ある人が日本国憲法の英文冊子をくれました。ホテルで第9条を読んだとき、立ち上がるほどのショックを受けました。信じられませんでした。
キング牧師の有名な演説「私には夢がある」のように力強い衝撃を与えました。
これこそ人類の未来、これこそ人類が持たなければならないもの、そうしなければ人類は滅亡してしまうだろうと思ったのです。
そして憲法9条を読んで気づいたことはこれは国の法律というだけではなく、私たちの生きるべき道を示しているということです。


日本国憲法第9条はいかなる核兵器よりも強力であり、いかなる国のいかなる軍隊より強力なのです。
日本各地で多くの学校を訪れますが、子どもたちの顔にとても素晴らしく美しくかけがえのないものが私には見えます。子どもたちの表情から戦争を知らないことがわかるのです。それこそ第九条の持つ力です。
日本のみなさんは憲法に9条があることの幸せに気づくべきだと思います。

ほとんどの国の子どもたちが戦争を知っています。アメリカの私の子どもたちは戦争を知っています。イギリス、イタリア、フランス、オーストラリア、中国、韓国の子どもたち、みんな戦争を知っています。
しかしここ日本では戦争を知りません。憲法第9条が戦争の悲惨さ、恐怖や苦しみからみなさんを救ってきたからです。

ご存知のように多くの政治家が憲法から第九条を消し去ろうと躍起になっています。断じてそれを許してはなりません。
みなさんとみなさんの子どもたちはこれまで憲法第9条に守られてきました。今度はみなさんが第9条を守るために立ち上がり、声をあげなくてはなりません。
第9条は日本人にのみ大切なのではありません。地球に住むすべての人間にとって大切なものなのです。アメリカにも9条があって欲しい。地球上のすべての国に9条があって欲しい。

世界平和はアメリカから始まるのではありません。国連から始まるのでもありません。ヨーロッパから始まるものでもありません。
世界平和はここからこの部屋からわたしたち一人一人から始まるのです。

***

素晴らしい!これが本当の戦争=real warを体験してきた元兵士の実感です。ネルソンさんは殺し合いの苦しみを通り抜けてきたからこそみえたものを、懸命になって私たちに伝えてくれました。何よりそれをみなさんと受け止めたいです。
私たちが「天国にいるものはそこが天国だとは気づかない」という名句を思い出す必要があると思います。ネルソンさんは地獄を体験された。だからこの言葉が出てきた。同時に私たちの国も第二次世界大戦という地獄を経験しました。その経験が9条を紡ぎ出し、今日まで伝えてきたのです。
そうです。まさに私たちの国は、第二次世界大戦以降、未だに兵士が一度も他国の人々を殺したことがない。子どもたちも戦争を知らない。だからこそ平和なのです。
アメリカはどうでしょうか。銃犯罪は日常茶飯事です。その上、前途を悲観した若者による学校での銃乱射による無差別殺人などが繰り返し起こっています。だからネルソンさんは言いました。「アメリカにも9条があって欲しい!」と。

さらに世界の混乱、ウクライナでの対立や、今まさに戦闘が激化しているイラクのことなどを考えるとき、私たちは「正義のための戦争」という野蛮をもう本当に超えるべきときに来ていることを自覚するべきだと思います。
軍隊がなければ信頼関係の醸成にしか安全を守る方法はない。そのためには相互理解が不可欠です。正義と正義を振りかざしあって、互いを罵り合って、衝突するのではなくて、相手の正義を理解する、その上で譲歩しあう、譲歩しあって妥結点を目指す。そのために信頼関係を重ねていく。
軍隊がなければその道しか選ぶことはできないし、事実日本は戦後の長い間、そうした道を辿ってきたわけですが、その道にこそ互いが和解し、互恵的に発展していく展望があるのです。
軍事力で一時的に勝ってもさまざまな歪みが残っていくだけで、必ず自国内部にも歪みをもたらします。力がすべてだという暴力的な発想が支配的になり、社会から相互理解を深めようとする人間的な力が失われていくからです。

そのために私たちが今、放棄しなければならないのは、自衛も含めて、軍事で物事の解決を図ろうとする発想です。自衛と言えども戦争は悪であり歪みをもたらすのです。
なぜか。ひとたび戦争を経験しそれを肯定してしまうと、問題の解決を、説得やものごとの真偽を確かめることによってではなく、武力によって決しようとする発想がはびこってしまうからです。
しかしそんな発想を持ち続けていたら、武器や軍隊の性能が信じられないぐらいに発達し、劣化ウラン弾をはじめ人間にも環境にも絶望的な破壊力を持ったものが増えるばかりの現代では、破局的な被害が広がるばかりです。ネルソンさんの言うようにまさにこのままでは人類は滅んでしまう。
自衛戦争、革命戦争・・・それやこれや「正義の戦争」という発想そのものを私たちは越えられなければならない。それは人類史における思想的な大転換です。だから私たちは今、もう一度、憲法9条を選び直していくことが問われているのです。

何度も言います。私たちは自衛隊が憲法9条違反であることをもう一度はっきりと認識すべきです。私たちの国は、すべての軍事力を否定した国です。人との信頼関係の醸成にすべてをかけると宣言した国なのです。憲法にはそうはっきりと書いてあるのです。そしてそれこそがネルソンさんが伝えてくれたように人類の希望なのです。
正義であろうとも戦争は止めましょう。正義を説得と、信頼と、愛で実現する道を選びましょう。その方途を見つけ、その能力を開発しましょう。
そのことで私たちはいかなる国のいかなる軍隊よりも強い思想、精神、魂を持ちましょう。憲法9条にもっと力を!


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以下、「アレン・ネルソン平和プロジェクト2013」のブログをご紹介しておきます。
DVD『9条を抱きしめて』のPR版も載っています。
購入先もここから分かります。1000円+送料です。ぜひ全編(50分)をご覧になって欲しいです。
http://d.hatena.ne.jp/shioshiohida+Allen_Nelson/

最後に、貴重なお話をお聞かせくださった平塚淳次郎さんにもう一度、感謝を捧げます。

https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/94b6e50b749131f1e9f0b962bfca8b14
明日に向けて(871)憲法9条はいかなる国のいかなる軍隊より強い!(アレン・ネルソン談)