現行法でも「共同親権」は選べるのに…DV加害者の武器となりリスクが増えるだけの改正案はいったい誰得なのかプレジデントオンライン / 2024年4月20日 10時15分.「子は親が苦悩する姿をまた見る」DVや虐待継続の恐れも 共同親権のリスク、当事者の声聞いて京都新聞 / 2024年4月12日 6時0分等離婚後共同親権民法改正案に関する記事PDF魚拓



離婚後の共同親権を導入する民法改正案に反対する集会が10日、国会前で開かれた。ドメスティックバイオレンス(DV)を受けた女性ら数十人が「被害者にとって非常に怖い法案だ」などと声を上げ、廃案を求めた。

 参加者は、衆院法務委員会で審議中の法案に反対する横断幕を掲げ「逃げ道ふさぐ制度はやめろ」「家族の在り方、強制するな」とシュプレヒコールを上げた。

 夫にDVを受けてきたという東海地方の30代女性もスピーチ。虐待・DVの疑いがあれば単独親権にするとした法案の規定に関し、客観的証拠がないとして自身は裁判所にほとんど被害を認められなかったと訴え「将来、DV加害者との共同親権になるかもしれないとおびえている」と声を詰まらせて語った。

 主催団体メンバーの斉藤秀樹弁護士は取材に、親権行使は医療などさまざまな場面で関連すると指摘。「父母だけでなく、子どもと関わる業種にも影響する問題だ。共同親権の場合の運用についてしっかり詰められていない」と話した。

DV被害者「怖い法案」 共同親権、国会前で反対集会

共同通信 / 2024年4月10日 16時43分



そもそも「国の借金」とは誰がどこから借りた金なのか。「国の借金が過去最大1286兆円超に」という報道の正しい見方〉から続く

4月下旬に毎日新聞が実施した世論調査での、次の衆議院選挙で政権交代を望むかどうかによると、「政権交代してほしい」(62%)という回答が6割にものぼった。政権交代を望む人が多い背景として、自民党政権が国民の声に耳を傾けようとしないことが挙げられる。

【画像】4月28日に行われる衆院東京15区補選には若くて元気な野党、無所属候補者もいるが…

実際、離婚後も父母双方が親権を持つ“共同親権”の導入が柱となる民法などの改正案が4月16日、衆院本会議で賛成多数で可決されたが、この決定にSNSでは批判殺到。オンライン署名『change.org』では現在約22万筆の反対署名が集まっている。政府はなぜ国民の声を聞かないのだろうか。元自民党衆議院議員で税理士の安藤裕氏に話を聞いた。

綿密な議論なく、急いで可決させた

まず共同親権について安藤氏はどのように考えているのだろうか。

「共同親権はとても難しいトピックです。これが施行されると、パートナーのDVや虐待などによって離婚した場合でも、元パートナーとの面会交流を拒否できなくなります。子どもを危険にさらす可能性があり、身体的被害はなくてもかなりの精神的負担を子どもに与えかねない。その一方で、現行の単独親権では、一方的に離婚を迫って元パートナーに子どもを会わせない“連れ去り”が許容され、その被害を訴えている人も少なくありません」

こうした共同親権、単独親権、それぞれで起きる問題点を指摘したうえで、今回の衆院本会議は具体的な内容について十分な議論がされないまま可決されたことに違和感を示す。

「一応、父母の協議によって共同親権か単独親権かを決められることになっていますが、DVや虐待があった場合、冷静な協議ができるはずがありません。また、協議の折り合いがつかないときは家庭裁判所が共同親権か単独親権かを判断するそうですが、その判断基準も綿密に議論されていません。与野党で時間をかけて話し合う必要があるにもかかわらず、かなり急いで衆院本会議を可決させた印象です」

与野党が議論できない背景

今回の共同親権のケース同様、インボイス制度も約54万筆のオンライン署名を集めるなど多くの批判が寄せられたが、昨年10月に施行。共同親権、インボイス制度ともに野党は批判的な姿勢を見せており、もう少し議論を交わしてもよかったように思うが、与党は強硬姿勢を一貫していた。

そもそも、なぜ与野党でじっくり議論されないのか。その理由として、安藤氏は小選挙区制の弊害を指摘する。

「本来、法案とは与野党が議論しながらよりよいものに作り上げていかなければいけない。しかし、小選挙区制が導入されて以降、各選挙区の議席を与野党で争うことにより、与野党の対立構造が顕著になりました。仮に野党の提案・反論に妥当性があったとしても、その提案を聞き入れてしまうと野党に手柄を与えることになる。それだと選挙で不利になってしまうため、野党の意見は一切聞き入れずに強引に進めるようになりました。共同親権にしても、インボイス制度にしても、与党の動きはある意味“いつも通り”です」

国民の生活がわからない、おぼっちゃま議員たち

とはいえ、野党の声が国民の声というケースも珍しくない。国民の声に耳を傾けなければ、それこそ選挙で勝つことは難しくならないだろうか。それでも国民を無視して適切な政策を講じようとしない背景として、「国民の生活をイメージできていない議員が多いことが大きい」と解説する。

「小泉政権時にエリート層の人たちを中心に入閣させ、そうした人たちを中心に政策を決めたことが定着して現在に至ります。エリート層は庶民の生活レベルはわかりません。加えて、最近の国会議員は二世、三世が増えています。当然、両親や祖父母が議員だった人は都市部で豊かな環境で育った人が多いため、やはり私たちの生活に思いを馳せることはできません。そのため、国民の苦しみを理解できず、適切な政策を検討することさえないのです」

このまま国会議員がエリート出身の議員、二世議員ばかりになってしまうことはリスクが高いのかもしれない。国会にこそ多様性を持って、そこにさまざまな人材を送り込む必要がありそうだ。

支持率アップのための最適解

他にも、与党議員は国民を舐めていることが大きいと安藤氏は指摘。その原因として自身の議員時代を振り返りながら口にする。

「私が議員だったころを考えると、頭の中が選挙でいっぱいいっぱいの与党議員が多かったです。時間をかけて国民のためになる政策を地道に議論するより、それっぽいきれいごとをいったり、アメリカの偉い人と一緒に写真を撮ったりなどしたほうが票につながると考えています。その手法で今日まで政権を維持しているため、その傾向が変わることはないでしょう」

4月中旬に日米首脳会談のためにアメリカを訪れ、その後バイデン大統領とのツーショットを自身のSNSに投稿していた岸田首相。その“成果”なのか、朝日新聞が4月20~21日に実施した世論調査によると、内閣支持率は26%(3月調査22%)と微増した。

安藤氏が指摘する通り、能登半島地震の被災地に行ったり、物価高に苦しむ国民を救うための政策を議論したりするよりも、外国人のビッグネームと一緒に写真を撮るほうが支持率アップにつながるのだという。

自民党政権を放置することの危険性

安藤氏は自民党政権が国民を舐め続けている現状を、今後も放置することを危険視している。

「自民党は憲法改正を進めており、その中で“緊急事態条項”を憲法に入れようとしています。緊急事態条項が設けられた場合、戦争や災害などの緊急事態において、国会や裁判所の承認なしに法律と同じ力を持つ政令を出せるようになります。ただの政令ではなく、財産権や移動の自由といった国民の権利を制限する強い政令を出すことも可能です。

さらには、選挙を停止して政権を永続的に維持したりなど、強力な権限が耐えられるため、選挙で政権を倒すことさえ難しくなります。『緊急事態条項は海外でも珍しくない』という声もありますが、今の自民党政権下で緊急事態条項が設置されると、地獄のような未来がやってくるでしょう」

オンライン署名の影響力

いかに現政権を放置することが危険なのかがわかった。しかし、国民の猛反対を押し切ってインボイス制度が施行されたことを思えば、国民の声だけでは政府を動かすことが難しいように思われる。どうすれば政府は国民の声を聞くようになるのだろうか。

「オンライン署名はイマイチ実態が見えないために、それこそ政府が舐めている印象を受けます。やはりデモのように目に見えるかたちで、政府に異を唱えるアクションは有効です。とはいえ、オンライン署名も徐々に影響力を持つようになってはいます。
だからこそ、岸田首相の事務所は当初は署名の受け取りを拒否していたものの、最終的には直接受け取りました。オンライン署名で異議を唱える、ということを継続することにより、政府の暴走を止める選択肢を一つ増やすことができます」

SNSで声を上げたり、オンライン署名をチェックしたりなど、政府に舐められない国民にならないと未来は必ずしも明るくない。

取材・文/望月悠木

「両親や祖父母が議員だった世襲議員は豊かな環境で育ったため、私たちの生活に思いを馳せることはできません」共同親権、インボイス制度…国民の反対を押し切り続ける岸田内閣がもたらす「恐ろしい未来」

集英社オンライン / 2024年4月27日 8時0分




20、21日実施の毎日新聞世論調査で、次の衆院選で政権交代してほしいと思うかどうかを聞いたところ、「政権交代してほしい」との回答が62%に上った。「政権交代してほしくない」は24%、「わからない」は13%だった。

 「政権交代してほしい」との回答は30代、40代、50代の7割弱。18~29歳、60代、70歳以上でも約6割あった。支持政党別では、立憲民主党支持層の9割強、日本維新の会支持層の約7割が「政権交代してほしい」とした。自民党支持層は8割弱、公明党支持層は約6割が「政権交代してほしくない」と答えたが、公明支持層では「政権交代してほしい」も3割弱あった。自民支持層では1割強。

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 自民派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた党内処分が「甘すぎる」と答えた人の74%が「政権交代してほしい」と回答した。自民の裏金事件対応への厳しい評価が、政権交代を望む声が大きいことの背景になっているようだ。【飼手勇介】

「政権交代」立憲支持層の9割強 公明支持層でも3割弱 世論調査政治
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毎日新聞 2024/4/21 17:43(最終更新 4/21 17:44) English version 405文字



4月19日から参議院で審議入りした「共同親権」導入を含む民法改正案。大きな論点である「別居親の同意が必要な場面」について掘り下げて考え、導入後に医療機関・教育機関・保育機関で予想される大混乱について指摘する。

【図を見る】子どもに関する意思決定で揉めるケースと揉めないケースの条件整理

「2人で決められる」に潜む落とし穴

離婚後の両親が共に親権を持つ、共同親権。本記事では、重要な論点となっている「別居親の同意が必要となる場面」を掘り下げて、共同親権導入後に何が起きるのかを考えたい。

まず、共同親権を推進する主張には、「共同親権を導入すれば、離婚後も別居親が子どもに関する意思決定に関与できるので子どものためになる」という内容が見られる。しかし、現行の法制度においても、いわゆる高葛藤でない(=両親が対等に話し合える)場合、必要に応じて別居親も離婚後に子育てに関与できている。


(*高葛藤事案:DV、ハラスメント、虐待など双方に争いがある事案。経済的DVや心理的ハラスメントは加害側に自覚がない場合がある)




一方、高葛藤な場合、現行の法制度であれば同居親が子どもについて単独決定できているが、共同親権導入後は相手と対等に話し合える関係ではないにもかかわらず、互いの意見を擦り合わせる必要が生じ、必然的に揉める場面が増える。

つまり、揉めるかどうかをわける上で重要なのは「共同親権か否か」ではなく「高葛藤か否か(=両親が対等に話し合える関係か)」である。本質と無関係な共同親権を導入したところで、改善するケースは特にない一方で、高葛藤なケースでは状況がむしろ悪化する。

この悪化するケースである「高葛藤な場合」×「離婚後は共同親権」は非常に重要なため、具体的に何が起きるのかをさらに掘り下げていく。

「高葛藤な場合」×「離婚後は共同親権」の子どもに関する意思決定について、推進派と反対派の主張には大きなギャップがある。

推進派は、「離婚後も両親が子どもに関する意思決定に関与できる」ことのメリットを強調するが、そこには以下2つの前提があることが忘れられていることを指摘する。


・高葛藤なため同居親と別居親が対等に話し合える関係ではない
・同居親が単独決定可能な範囲(急迫の事情がある場合、監護・教育に関する日常の行為)が条文ではあえて曖昧に記載されている


さらに、両親がそれぞれ意思決定できるということは、双方の意見が対立したままの場合、いつまで経っても意思決定できない状況が頻繁に発生することを意味する。具体的には次のようなケースが想定される。

共同親権による意思決定が困難となるケース

<想定ケース1(永遠に合意できない)>
・同居親は同意したが、別居親はいつまで経っても頑なに同意しない。話し合っても平行線のままで結論が出ない

<想定ケース2(意思決定の応酬)>

・話しあっても合意に至らなかったり、最初から話し合うつもりがない場合、一方の親が同意を求める相手(学校、医療機関等)に「○○に同意する」と連絡(*以下、「○○」には、手術、進学、海外への修学旅行(パスポート取得)、転居、習い事など子どもに関して親の同意が必要なあらゆる意思決定が入る)

・その後、もう一方の親が同じ相手に「○○に同意しない」と連絡

・以降、双方が真逆の連絡を相手に繰り返すこともあり得る

・結果、相手(教育・保育機関、医療機関等)は同意を得られたのか否かを判断できず大混乱に陥る

子どもに関係するすべての人が被る不利益

こうした状況で共同親権の不利益を被るのは、主な被害者を挙げただけでも以下の3者に広がっていく。

①離婚後の同居親と子ども
②子どもの意思決定に関係するすべての人(教育・保育機関、医療機関等)
③家庭裁判所 関係者(裁判官、調査官、書記官等)


共同親権を選択した場合、「高葛藤な場合」×「離婚後は共同親権」の子どもに関する意思決定で想定される出来事による不利益は広範囲に連鎖していく。

公的機関が不利益を被る可能性も

<「被害者① 離婚後の同居親と子ども」が被る不利益>

「高葛藤な場合」の家族では、同居親と別居親は対等に話し合える関係ではないため、別居親の同意が必要なあらゆる場面で揉める恐れがある。運よく合意に至ったとしても、同居親と子どもは時間的・心理的負担を被り、最悪の場合は次回以降は○○の検討自体を諦めることもある。

当事者同士では解決できず膠着状態に陥った場合、子どもが望む○○をいつまでも実施できず、最悪の場合は意思決定できないまま時間切れになる恐れもある。別居親の同意を得られないために進学先を決定できない、修学旅行に行けない、手術を受けられないという悲惨な状況が生まれる可能性がある。


<「被害者② 子どもの意思決定に関係するすべての人」が被る不利益>

教育・保育機関、医療機関、塾、習い事などの関係者も他人事ではない。膠着状態に陥ったり、双方が真逆の意思決定を応酬して、親の同意を得られたのか判断できない状況になれば確実に業務に支障が出る。訴訟リスクを回避するために本来は実施すべき○○を断念せざるを得ない事態もあり得る。

これが手術であれば子どもの健康や生命に関わる事態となる。現に、別居親(=面会を禁止された父親)が子ども(当時3歳の娘)の手術前に自らは同意していないと主張して病院を訴えた結果、手術時はまだ結婚中で親権があったことなどを考慮して大津地裁が病院側に慰謝料の支払いを命じたという判例がすでにある。

この件の支払額は5万円と少額だったが、医療機関が「親権を持つ親の同意を得る前の手術は訴訟リスクがあるので避けるべき」と今後考える十分な理由になるだろう。全日本民医連は今年3月11日付で共同親権に対する懸念を声明として表明。ただ、類似のトラブルに巻き込まれることが予想される教育・保育機関からは反対声明をまだほとんど確認できず、改正案の問題意識が当事者に十分に広がっていないことが懸念される。

<「被害者③ 家庭裁判所 関係者」が被る不利益>

同居親が単独決定可能な範囲(急迫の事情がある場合、日常に関すること)が改正案の条文では非常に曖昧であることに関連して、当事者同士では解決できず膠着状態に陥り、家庭裁判所に持ち込まれる紛争が激増することが確実視される。しかし、現時点においても家庭裁判所は期日が2か月以上空くほど人員不足。

今回の改正案に備えて本来は人員を増員すべきだが、実際は真逆で削減方針。このような状況で共同親権が始まれば、家庭裁判所がパンクすることは目に見えている。現に、各地の弁護士会の反対声明においても、反対理由のひとつとして家庭裁判所の人員不足への懸念が多く見られる。以下、一例を列挙する。

・札幌弁護士会「離婚後共同親権を導入する家族法制見直しに反対する共同声明」(2024年3月8日)*末尾で家庭裁判所の人的・物的体制の強化や財源確保の必要性に言及

・金沢弁護士会「共同親権について、十分かつ慎重な審議を求める声明」(2024年3月21日) *3段落目で家庭裁判所について、人的体制(裁判官、家裁調査官、書記官、調停委員等)の強化、物的体制(調停室、待合室等)の充実の必要性を具体的に指摘

・福岡県弁護士会「離婚後共同親権の導入について、十分に国会審議を尽くすことを求める会長声明」(2024年3月22日) *末尾で家庭裁判所の人的・物的体制の充実の必要性に言及

共同親権のせいで修学旅行に行けない?

「共同親権」導入を含む民法改正案が4月19日から参議院で審議入りした中、反対署名は22万筆を突破(4月22日時点)。4月上旬まで8万筆程度だったことを踏まえると、驚異的な伸びである。この背景には、3月から4月前半にかけての衆議院での審議中に法案の穴がつぎつぎと露呈したことが大いに関係していると考えられる。

例えば、3月14日の衆議院本会議では立憲民主党・米山隆一議員が「手術日まで2〜3か月の余裕がある手術は、同居親が単独決定できる『急迫の事情』に当てはまるのか」を質問。これに対して自民党・小泉龍司法務大臣は「手術まで2〜3か月の余裕がある場合はこれ(急迫の事情)に当たらないが、手術日が迫ってきた場合はこれ(急迫の事情)に当たる」と答弁。

医療機関勤務の方であればすぐにわかるとは思うが、小泉龍司法務大臣の見解は現場の実態と大きく乖離している。昨今の医療逼迫も踏まえると、同意から手術日まで準備期間も含めて数か月を要するケースは多々あるだろう。また、手術日直前まで親の同意を得られるかわからない状況では医療機関が手術日決定(リソース確保)を避ける恐れもある。

つまり、手術日が延々と決まらず、単独決定可能な手術直前は永遠に訪れないジレンマに陥ることが容易に想像できる。法案は机上の空論ばかりで、現場の運用を全く考慮していないことを象徴する答弁と言える。
(*国会質疑で露呈した欠陥については筆者のtheLetter「3人に1人が不利益を被る共同親権。「離婚禁止制度」を超えて「少子化促進制度」になり得る危険性」(2024年4月9日)参照)

また、4月2日の衆議院法務委員会では立憲民主党・枝野幸男 議員が約18分間にわたって、同居親が単独決定可能な範囲にパスポート取得(≒海外の修学旅行参加)が含まれるか否かを徹底的に追及。その結果、法務省の竹内努民事局長は答弁中に自らの主張の矛盾をあっさり認めてしまうほど深刻な答弁不能に陥り、共同親権が理由で修学旅行に参加できない子どもが出る恐れを払拭できないことも明白となった。



そして、これらはあくまでも一例であり、審議中に判明した穴は他にもある。今回の「共同親権」導入を含む民法改正案はすでに衆議院を通過したとはいえ、多少の修正でどうにかできる代物ではなく、まだまだ議論の余地が山積みの法案といわざるを得ない。

文/犬飼淳

共同親権導入後、別居親の同意が求められる場面で想定される膨大なトラブル…病院、学校、保育園では、手術の同意から海外修学旅行のパスポート取得まで思わぬ混乱の可能性

集英社オンライン / 2024年4月24日 8時0分




4月16日、民法改正案が衆議院で可決された。離婚後の親権を父母どちらかに限る「単独親権」を見直し、「共同親権」にできる内容を含む。参議院を経て今国会での成立が見込まれる。この法案について、コラムニストの藤井セイラさんが、可決前の法務委員会で答弁に立った弁護士に取材。「わたしのようにDVや虐待が原因で別居し、配偶者との話し合いが困難なシングルペアレントにとっては、リスクしかない法律だといわれた」という――。

■「連れ去り」「虚偽DV」は共同親権推進運動で造られた

共同親権が成立しかけている。これまで離婚後の子どもの親権は、父母の「どちらかが単独で」持つものだった。それが、父母の「両方が共同で」持つことを選べるようになる。「共同」とつくので一見よさそうだが、この民法改正は社会にとってリスクがあり、また個人的にもおそろしく感じている。

というのは、わたしは児童相談所から、DVと虐待を理由に「父親とお子さんを離すように」とアドバイスを受け、子どもを連れて家を出ているからだ。別居前、夫とは話し合いが成立しなかった。いまはワンルームに母子3人で暮らしている。

別居された側が「子どもを連れ去られた」と弁護士事務所に駆け込むケースは少なくない。「共同親権の導入を待ってから離婚したい」と相談する例も出ているらしい。だが、実は「連れ去り」「虚偽DV」「実子誘拐」などは共同親権運動の推進者たちが広めてきた造語だ。

わたしのような当事者からすると、子連れ別居はしたくてするものではない。勧告を無視して夫との同居を続ければ、児童相談所による一時保護(調査のため子どもを親元から離して施設に入れる)の可能性もあった。それだけは避けたいと考えると、家を出ざるをえなかった。

引っ越しの完了を伝えると、児相の担当職員たちは本当に喜んで「よかった、よかった」と拍手してくれた。それくらい虐待から無傷で逃げることが困難だと知っているからだろう(児相では父母の和解を強く勧められることも多いと聞く。ケースによる)。

■家庭裁判所はキャパ不足、DVの知識のない調停委員も

子連れ別居はつらい。経済的に不安定、24時間ワンオペ、仕事がしたくても時間の確保も困難。現にいまも子どもにアニメを見せながら、なんとかこの原稿を書いている。狭い部屋では隔離もできず、コロナもインフルエンザも一人がかかれば全員感染する。

家庭裁判所は慢性的なキャパシティ不足で、離婚調停はなかなか進まず、時間ばかりが過ぎる。ただ、父親と別居したことで子どもの笑顔は増え、食欲も回復、すくすくと育っている。学校や園の先生方からは「本当に家を出てよかったですね」といわれる。

家裁の調停委員の7割近くは60代以上だ。現代のDVや虐待について知識が十分でない場合もある。調停委員はDV加害者のウソも平等に受けとめて、面会交流(子に会わせる)や和解案(例えば、育児は母親、子は休日を父親と過ごす、離婚話は二度としない、塾や習い事の費用は払わないなどの一方的内容)の受け入れを提案してくることもある。

■共同親権で離婚後も父母の収入は合算され、福祉を受けられず

夫にはDVや虐待の自覚はなく、復縁を望んでいる。そのためわたしはいまだ婚姻中の身だ。自治体等の福祉サービスを受けたくても、夫婦あわせた世帯所得で判断され、はじかれる。

DVや虐待から逃げた母親・父親の多くは、なかなか相手に離婚を認めてもらえず、離婚成立までの数年間、ひとり親手当や生活保護なども受けられない。DV加害者は相手を支配することにこだわって調停や訴訟をわざと引き延ばすことがあり、これを「リーガル・アビューズ(法的嫌がらせ)」という。

離婚後も共同親権となれば、たとえ相手から養育費を受け取っていなくても、所得は元配偶者と合算される。単独生計なら生活保護を受給できたシングルマザー/ファーザーも、その多くが対象外となる。共同親権は離婚済みの家庭にも適用されるため、生活できなくなる人も出るだろう。これは実質的に「法の不遡及(ふそきゅう)の原則」に反するに等しいのではないか。

また、養育費というと高額に聞こえるが、法定養育費は子育ての実費にはとても届かない。そもそも養育費を受け取っているのは母子家庭の3割未満、父子家庭では1割未満だ。欧米や韓国のような養育費の立て替え制度や徴収制度も日本にはない。それらのインフラを整えず、共同親権のみを導入しようとしているのだ。

■元AKB秋元才加らも署名、爆速の法制化を危ぶむ22万筆

2023年秋の段階では、法案があまりにずさんなため、まさかこのままでは成立しないだろうと見る弁護士や心理士、支援職などの実務家も多かった。だが与党は強引にこれを通す。

2024年1月、通常は全会一致になるまで法案を揉む法制審議会を、共同親権は多数決で強引に通過した。そして2024年4月2日、衆議院の法務委員会にかけられ、わずか14日間、たった15時間程度の審議で可決された。これから参議院に入る。

急スピードでの法案成立を目指す与党に対し、共同親権に反対するオンライン署名は急激な伸びを見せ、4月17日時点で22万筆を超えている。



筆者作成

4月9日には劇作家の鴻上尚史氏がAERAdot.上の連載で、「『選択的夫婦別姓』は25年以上議論しているのに」進まない一方で「『共同親権』は、2024年中の成立を予定しているという爆速」と指摘した。

4月11日には大ヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」原作者の漫画家・海野つなみ氏がX(旧ツイッター)で「#共同親権を廃案に」と投稿、翌12日には、元AKB48の秋元才加氏が「STOP共同親権」の署名リンクと画像をポストして話題となった。ようやく国民に情報が届き始めたところだが、与党はまるで「問題点が知られる前に」と成立を急ぐようだ。

■親権とは「子どもに関する重要事項を決める権利」

そもそも共同親権とはなにか?

夫婦が離婚するときには、18歳未満の子どもについて「監護権」「親権」それぞれを父母のどちらが持つかを決める。

監護権を持つ側が、養育の実務担当者だ。子どもの衣食住、教育、医療などのすべてをケアする。「権」とはつくが義務に近い。一方、親権とは「子どもについての重要事項を決定する権利」だ。いまの日本では子育てを母親がメインで担うことが多く、離婚時には親権・監護権ともに母親が取得することが多い。父親が親権を持つケースは1割程度だ。

このまま共同親権が導入されれば、離婚後の監護権はどちらか一方のみのまま、しかし「親権は父母の両方が共同で持つ」ことが可能になる。すると、なにが起こるのか?

■共同親権下なら「子に関する決定」で脅すDV加害者も?

離婚後共同親権では、「急迫の事情」(緊急手術など)以外の子どもの「日常の行為」については父母の両方が決定権を持つ。

だからこそ「日常」の範囲がどこまでなのかが、きわめて重要となる。4月2日の衆議院法務委員会で、弁護士でもある枝野幸男議員(立憲民主党)が「急迫の事情」と「日常の行為」について明らかにせよと法務省に迫ったが、回答はあいまいなまま、可決に至った。

世の中には円満な離婚だけでなく、DVや虐待から逃げるための離婚もある。それらのケースで共同親権になるとどうなるか。「○○の書類にサインをしてほしければ○○しろ」という加害者/被害者の関係が離婚後も続くかもしれない。

おぞましいことだが、事実として、加害者が養育費の支払いとひきかえに元配偶者に性行為を強要するケースはこれまでもあった。今後は養育費だけでなく「子どもに関するあらゆる許諾」が支配や脅しの材料になりかねない。



男女共同参画局「男女共同参画白書 令和元年版」より。内縁関係を含む。検挙件数は平成30年(2018)

■元配偶者が反対すれば、子どもの体育や通塾も中止に?

教育機関や医療機関も大きな影響を受ける。共同親権となると、例えば「学校の体育でプールに入る」などの日常行為について、監護親(同居して育児をしている親)と別居親の両方が親権を行使できるからだ。

母親が「今日は体育の授業でプールに入っていいよ」とプールカードにサインをして子どもを学校に送り出したあと、離婚した父親が「うちの子をプールに入れないでくれ」と学校に電話すれば、その子はプールに入れない。法務省の見解では後出しの決定が優先されることになっている。

このような混乱が、学童、習い事、修学旅行、歯の矯正、任意のワクチン接種などさまざまな場面で起こる可能性がある。別居親の許可がとれず、ひとりだけ修学旅行にいけないようなことになるのか? 枝野議員のこの質問に、法務省は明確には答えられなかった。



写真=時事通信フォト

「共同親権」に関する超党派勉強会の初会合。枝野幸男議員、野田聖子議員ら=2024年2月9日、国会内 - 写真=時事通信フォト

■面会禁止の父が別居の娘の心臓手術を不服として病院に勝訴

実際に、別居親が子の心臓手術について事後の訴えを起こした例がある。2022年11月の大津地裁判決だ。当時「娘への手術、面会禁止された父親の同意なしは違法」と報じられた。家裁に面会を禁止されている父親が、3歳の娘の手術について事前説明や同意がなかったとして滋賀医科大に慰謝料を求め、地裁で勝った。

面会禁止ということは虐待やDVなど相応の理由があったのだろう。悲しいことだが、子どもの命や健康より、自分のプライドや配偶者への嫌がらせを優先させる人間もいる。

判例がある以上、共同親権が導入されれば、リスクを恐れて医療機関や教育機関が萎縮し、父母両方のサインのない子どもへの医療行為や教育を断る、という事態も考えられる。不利益を受けるのは子どもだ。

また、実務・運用面はどうか?

保育園や学校、学習塾やスポーツクラブ、病院やクリニック等が、トラブル回避のために、すべての子どもについて、血のつながる父母と同居か、シングル家庭か、ステップファミリーかなどを把握するのだろうか。証明には戸籍謄本が必要かもしれない。これが差別やいじめの原因にならないといいきれるか。

これらの個人情報はきわめて機微なものだ。園や学校や病院といった子どもと関わる組織や機関は、書面の変更、情報セキュリティの強化、場合によってはシステム改修などを求められそうだ。無責任な法案による負担増は、教育・保育・医療で働く現場の人たちに押しつけられる。

■改正の必要はなく、いまの民法でも共同親権は選べる

2024年4月の法務委員会に参考人として呼ばれた岡村晴美弁護士(名古屋南部法律事務所)に、共同親権について取材した。岡村氏はこれまで600件以上の離婚事件を手がけて、離婚相談に応じた件数は1500件を超える。



岡村晴美弁護士(名古屋南部法律事務所)、写真=本人提供

「『民法改正で、父母が協議して共同親権を選べるようになる』と説明されることがありますが、それは争点ではありません。

実は、現行法でも親権の共同行使(共同親権)は可能です。父母が協議できる関係であれば、親権を単独行使にするか共同行使にするか、現行法でも選択できます。一方、法案が通って、DVや児童虐待などで対立関係にある父母に共同親権が強制されればどうなるでしょう。それが子どもの幸せにつながるでしょうか。

現行法下での親権の共同行使の合意すらできない父母に、法改正をして共同行使を命じても、うまくはいきません。DVや虐待のあるケースでは、加害者が『子の日常行為についてゴーサインを与えること』を支配の手段として利用することが懸念されます。

改正案の共同親権制度は、DV等で関係がこじれて別れた人たちを含んで推進されてきたもの。物事を相談しあえる父母には、必要のない制度です」

■現行法でも面会可「共同親権で別れた子に会える」は嘘

推進派には「子どもに会いたい」「配偶者に連れ去られた」と主張する人も目立つが、はたして共同親権の導入で子どもとの面会が実現するのか? 岡村弁護士はこう語る。

「『共同親権で子どもに会えるようになる』はミスリード。面会と親権は関係ありません。

面会交流には民法766条という規定がすでに存在します。当事者間で協議できない場合は、家庭裁判所に申し立てをすればよいのです。面会による子への危険性がなく、養育費も適切に支払われていると判断されるなど、子の最善の利益にかなうとされれば、審判で面会が命じられます。

つまり日本の現行法は、面会交流について非合意型の審判制度を認めています。また親権という子に関する決定に関わる規律については、父母双方の合意がある場合にのみ共同行使を選べる。子の利益という観点から見てバランスのとれた法制度だといえるでしょう」

■造反の野田聖子氏「立法府の一員として違和感」と指摘

2024年4月16日の衆議院本会議では、自民党の野田聖子議員が造反、共同親権法案の採決時に起立しなかった。処分を恐れず反対した理由として「法律をつくる側としては、調理されていないものを出されるような感じ」「子どものための法律だったはずが、これでは私は賛成しかねる」と話す。

共同親権の導入で、婚姻関係になくても男性は子の親権の申し立てができるようになる。最悪のケースとして、ストーカーや元恋人が女性に不同意性交をして、妊娠・出産させたあと、子を認知し(法律上、女性は認知を拒めない)、家庭裁判所に親権の申し立てをする可能性も考えられる。

もちろんそれで親権が認められる可能性は低いが、女性は審理に応じるために、多大な精神的・時間的・経済的負担を負わされる。こういった粘着・嫌がらせ行為を可能にしてしまうのも、共同親権の「法の穴」のひとつだ。

また共同親権を選ぶと、再婚して新たなパートナーと子どもの養子縁組をする際にも元配偶者の同意が必要となる。離婚済み家庭にも適用されるので、すでに養子縁組をしているステップファミリーにも問題が立ちはだかるかもしれない。

■自民の伝統的家族観、また旧統一教会の教義に沿う内容

このように共同親権は多くの問題点を抱えているが、与党は強引に通そうとしている。2023年の第211回国会に共同親権の請願が出されており、その紹介者13名には、柴山昌彦氏、牧原秀樹氏、下村博文氏、三谷英弘氏、谷川とむ氏、保岡宏武氏など、旧統一教会と関わりのあった議員も多い。

日本の共同親権は、結果的に血統主義や家父長制を肯定する内容になっている。これは自民党の掲げてきた「伝統的な家族観」に沿うものであり、また離婚を実質的に否定していた旧統一教会の教義にも合致する。

共同親権推進派の谷川とむ氏は、4月5日の衆議院法務委員会で「離婚しづらい社会になるほうが健全だ」と話し、ネットで炎上した。はたして離婚しづらい社会は健全か。むしろ共同親権の導入で、ますます結婚や妊娠をリスクだととらえる人が増えるのではないだろうか。

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藤井 セイラ(ふじい・せいら)
ライター・コラムニスト
東京大学文学部卒業、出版大手を経てフリーに。企業広報やブランディングを行うかたわら、執筆活動を行う。芸能記事の執筆は今回が初めて。集英社のWEB「よみタイ」でDV避難エッセイ『逃げる技術!』を連載中。保有資格に、保育士、学芸員、日本語教師、幼保英検1級、小学校英語指導資格、ファイナンシャルプランナーなど。趣味は絵本の読み聞かせ、ヨガ。

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(ライター・コラムニスト 藤井 セイラ)

現行法でも「共同親権」は選べるのに…DV加害者の武器となりリスクが増えるだけの改正案はいったい誰得なのか

プレジデントオンライン / 2024年4月20日 10時15分



現行法でも「共同親権」は選べるのに…DV加害者の武器となりリスクが増えるだけの改正案はいったい誰得なのか

プレジデントオンライン / 2024年4月20日 10時15分

離婚後の共同親権法案、衆院通過 虐待・DV防止になお懸念

共同通信 / 2024年4月16日 13時48分



離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」の導入を盛り込んだ民法改正案が、12日にも衆院法務委員会で採決される。父母どちらかの単独親権のみと定めた現行規定を77年ぶりに改める。政府は「子の利益」を確保するためと位置付けるが、離婚後もドメスティックバイオレンス(DV)や虐待が継続しかねないという懸念が当事者たちから出ている。元夫のDVが原因で離婚した女性は、異例のスピードで進む国会審議を注視し、不安を募らせる。

 夫と子ども2人を乗せて車を運転している時だった。「時速100キロ出せ」「追い越せ」「おまえは何もできない」-。怒鳴り続ける夫の声が遠くなり、一瞬、気を失った。車はガードレールをこすりながら前進。後部座席の夫が慌ててブレーキをかけ、ようやく止まった。

 意識が戻り、助手席の子どもを見ると、恐怖のあまり目を見開いたまま固まっていた。けがはなかったが、車は大破。夫は「こんな事故を起こして、おまえのせいで人生が台無しだ」となじり続けた。

 DVが原因で離婚した京都府内に住む40代の女性は、当時を思い出すと今も涙が出てくる。

 婚姻中、夫は「ポン酢が切れていた」「子どもが雑誌を汚した」などのささいな理由で激高した。物を壊し、「リポート」の提出を要求した。クローゼットの扉はへこみ、ストーブや人形のベビーカー、スマートフォンは破壊された。子どもの予防接種や保育所の入所は、夫の反対でできなかった。渡される生活費は少なく、独身時代の貯金を取り崩した。「俺を怒らせるおまえが悪い」と責められ、夫の顔色をうかがう毎日だった。

 交通事故をきっかけに、妹に相談した。DVを指摘され、子連れで実家に戻った。自身と長子はDVによる適応障害と診断された。離婚調停を申し立てたがまとまらず、2年かかって家裁の判決で離婚が成立。DVの慰謝料も認められた。

 元夫は子どもとの面会交流を何度も申し立てた。自身と子を守るための別居を、調停委員に「子の『連れ去り』だ」と非難された。面会が母子の生活の安定を損なうという診断書はあったが、離婚から2年後に面会交流の実施が決定。

 当時幼児だった長子は「今は優しい顔をしていても、昔のことを覚えているから怖い」と言い、思春期に入ると面会を拒否した。小学生の次子は今も面会を続けている。

 法案ではDVや虐待の恐れがあれば単独親権と規定するが「追い詰められた状態では証拠を残すのは難しく、認められないかもしれない」。DVの立証が難しい中では、子連れ別居を諦めざるを得ない人がいっそう増えるのではないかと心配する。

 共同親権への変更は離婚後も申し立てられる。父母が折り合わなくても、家裁が決定すれば、進学や子の病気の長期的治療、子を伴う引っ越しなどで元夫の同意が必要になる。父母の意見が対立して期限に間に合わないなど「急迫の事情」がある場合や、「日常の行為」は単独で判断できるとされるが、「DVがあった関係性に引き戻される」と懸念する。「話し合いができないから離婚したのに、共同親権になれば、子どもは親が苦悩する姿をまた見なければいけなくなる。どういうリスクがあるのか、当事者の声をちゃんと聞いて、法案に反映させてほしい」と訴える。

「子は親が苦悩する姿をまた見る」DVや虐待継続の恐れも 共同親権のリスク、当事者の声聞いて

京都新聞 / 2024年4月12日 6時0分