「LGBT理解増進法案」は拙速すぎる…継続審議にすべき“2つの理由”とは6/10(土) 6:02配信DIAMONDの記事がまともだと思えたので掲載。





「性的指向及び性同一性の多様性に関する国民の理解の増進に関する法律案」、いわゆるLGBT理解増進法案の与党案が5月18日、国会に提出された。立憲民主党はこの与党案の内容は不十分であるとして反発しており、同日対案を提出した。全会一致による成立を目指していた同法案は、国会での審議の上、採決による成立を探る方向となったようだ。その後、日本維新の会及び国民民主党も独自案を提出。これによって3つの法案を同時に審議することとなった。その後、与党と日本維新の会及び国民民主党との間で修正協議が行われ、本稿執筆時点でその修正案が衆議院内閣委員会で可決された。しかし、そもそもこの法案は今国会で成立させる必要はあるのだろうか?(政策コンサルタント 室伏謙一) ● 「当事者」からも 懸念や反対の声  自民党内での議論では、反対や慎重論が多く、この法案を審議した政務調査会の部会でも、反対が賛成を上回っていたようだ。そうであれば、党内議論を重んじる自民党としてはより慎重な進め方をするのかと思いきや、賛成少数にもかかわらず部会長一任を強引に決め、その後まともな議論をさせずに党の案として決定してしまった。  自民党で反対や慎重と聞けば、LGBTに対する偏見や否定論のように思い込んでしまう方もいるかもしれないが、そうではないというか、法案の内容を踏まえた弊害への懸念や、いわゆる「当事者」の人たちからの懸念や反対の声を踏まえた意見であった。  例えば、性別不合当事者の会、白百合の会、平等社会実現の会及び女性スペースを守る会の関係4団体は、去る3月16日、「『性自認』に基づく差別解消法案・理解増進法案に関する共同要請書」を岸田文雄首相および各党党首宛てに提出している。同要請書は全7ページにわたり、要請の趣旨として次のものを挙げている。(要請書記載のものをそのまま引用する)。  1 gender identity:性自認ないし性同一性(以下「性自認」という。)に関する差別解消法または理解増進法を作成し審議するにあたっては、拙速に提出することなく、女性の権利法益との衝突、公平性の観点からの研究・検討をし、先行した諸外国の法制度と運用実態、混乱などの問題、またその後の制度変更などもしっかりと調査し、国民的な議論の上で進めて下さい。 2 仮に法令化するのであれば、生物学的理由から女性を保護する諸制度・施設・女性スペース、女子スポーツ等々において、元々は男性だが自身を女性と認識する方を「女性として遇せよ」という趣旨ではないことを明確にする、また別途女性スペースや女子スポーツに関する法律を制定するよう求めます。 3 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律のうち「手術要件」は削除せず、男性器ある法的女性が出現しないようにして下さい。  また、同要請書の中で、「いわゆるLGBT法連合会に集う方々の団体だけが、性的少数者の集まりではなく、その代表でもありません。多くの性的少数者、まして社会に埋没しているトランス女性・トランス男性、もとより法的性別を変更した者は団体に集うことなく、法律が無くてもいわゆるヘイト事件まではまずない日本において、日々生活しています」として、「声の大きい」特定の団体等の意見を踏まえた法制化に警鐘を鳴らしている。
● 学術研究が不十分な分野で 誰が普及啓発などを行うのか  こうした中、岸田政権は、6月9日に衆議院内閣委員会での審議入りを強行、各会派たった10分の質疑、しかも内容を批判したり、反対したりするのではない、確認的質疑のみの、合計1時間20分の審議で採決しようと画策、与党及び日本維新の会・国民民主党による修正案が提出されたため、これに加えて当該修正案についての質疑も行われ、全体で2時間20分程度となったが、それでもその程度。しかも、13日火曜日には衆議院本会議で採決し、15日に参議院内閣委員会、翌16日に参議院本会議で可決、成立させる日程が予定されている。  当事者団体から反対や懸念の声が上がる中で、与野党内からもさまざまな意見が出される中で、そんなに拙速に成立を図って大丈夫なのだろうか?そこで本稿では、与党案に的を絞って内容を検証してみたい。  まず、この法案、国による基本計画の策定や、地方公共団体、事業者等が理解の増進に必要な対応を行うよう努めることを規定した、全11条から成る、いわゆる理念法である。したがって、毒にも薬にもならない法案であると評する声も聞かれる。  しかし、努力規定とは言っても、地方公共団体は小学生から始まって、理解の増進を図らなければならなくなるであろうし、国の施策に対する協力を拒むことは実態上困難であるから、事実上協力義務が規定されているに等しい(あくまでも地方分権推進の観点から、義務付け・枠付けなどをすることが容易ではないことから、このような規定となっているのだろう。そもそも当該事務は自治事務になるのか、法定受託事務となるのか?)。  事業者も普及啓発や労働環境の整備、相談の機会の確保などが、実施状況の公表と相まって、事実上義務化されていると言っていいし、国および地方公共団体の実施する施策への協力についても同様である。さらに、学校も、小学校から大学(大学院を含む)まで、理解増進に関し、教育、啓発、教育環境の整備、相談の機会の確保などを行うこととされ、事業者同様、事実上義務化されていると言っていいし、施策への協力についてもまたしかりである。  しかし、事業者にせよ学校にせよ、そうしたことはやったことがないところがほとんどであるから、どこかの「専門的」機関や事業者、団体などに任せざるをえない。そこに巨大なLGBT理解増進マーケットが広がっているように見える。  政府は基本計画を策定することとされており、本分野を巡る情勢の変化を勘案し、関連施策の効果に関する評価を踏まえて、おおむね3年ごとに計画に検討を加え、必要に応じて計画を変更することとされている。  この手の規定ぶりは、政府が基本計画を策定することとされている法律ではよく見られるもので、何ら不思議はない規定である。ただし、この分野に関してということになると、(1)情勢の変化をどう把握し、どう考えるのか、(2)施策の効果をどう評価するのか、(3)上記の(1)や(2)を行うに当たってどのような者に意見を聞いたり、委嘱や委託をしたりすればいいのか――という問題が出てくる。  なにしろ専門分野として体系化されているとはまだ言い難いし、何か学問的な実績が積み重なってきているとも言い難い分野である。極論すれば、「私が専門家です」と主張すれば専門家になりえてしまう分野であると言えなくもない。むろん、草創期の学問分野であっても、平衡感覚を持って考察・研究し、意見を述べることができる研究者や専門家であれば、特段懸念は生じないのかもしれないが。  もっとも、法案には第9条に国による学術研究の推進も規定されており、他の法令でも同様の規定は見られるものの、この分野に関する学術研究はまだまだ不十分であるという認識であるということだろう。
● 事務の所管が想定される 内閣府に深刻な負担増の恐れ  第10条には、国、地公体、事業者および学校の、知識の普及や相談体制の整備についての努力規定が置かれている。「努めるものとする」とはされているが、何もしなかったり、取り組みが不十分だとされたりした場合における国会や地方議会における追及、メディアやネットを通じての批判、誹謗中傷などを懸念すれば、やらないという選択肢はないに等しいし、形だけやっておくということも難しくなるだろう。そうなれば、同条についても実質的には義務、少なくとも努力義務規定と考えた方がいいだろう。  本法案が国会で可決され、施行されたとして、その所管、本法案に基づく事務の所掌はどこになるのかと言えば、内閣府となることが想定されているようだ。法案の付則には内閣府設置法に新たな所掌事務として基本計画の策定および推進が追加される旨規定されている。  では内閣府のどこの部局が所掌することになるのかと言えば、これは少々専門的な話になるが、設置法に規定される箇所から考えると、内閣府の政策調整担当の政策統括官ということになるだろう。  ただし、国の行政機関の定員は簡単に増やすことができない。現段階ではこの法案は公布してすぐに施行されることとされているので、すぐに担当する人員が必要になる。だが、すぐに増やすことが出来ないとなれば、取りうる方法は、既存の政策統括官の下(付=づき=とされる)の人員に併任という形式により、現在担当している事務に加えてこの法案に基づく事務まで担当させることしかない。  具体的には、課長に当たる参事官に新たにこの分野を担当させて、その部下たちがその詳細な事務を担っていくというもの。ということは、端的に仕事が増えるということ。政策調整担当の政策統括官付はただでさえこの併任により多くの仕事をしているというのに、さらに、しかも特殊な分野の仕事を負荷されるというのは負担でしかないだろう。  もし当該事務を新たに設けるのであれば、組織・定員の手当てにめどをつけてからにするのが妥当のはずである。学生の公務員試験離れが問題視され、処遇、特に働き方の改善が求められている中で、仕事を増やすことを平然とやろうとは、何という自己矛盾か。  ちなみに、与党及び日本維新の会・国民民主党による修正案の柱は、第1条の目的に「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない現状に鑑み」を追加すること、「性同一性」という用語を「ジェンダーアイデンティティ」に変更すること、学校の設置者が行う教育や啓発等について「家庭および地域住民その他の関係者の協力を得つつ行う」という一文を追記すること、国及び地公体が行うべき施策の例示から「民間団体等の自発的活動の促進」を削除すること、与党案の第11条の後に、新たに第12条として「この法律に定める措置の実施等に当たっては、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとする。この場合において政府はその運用に必要な指針を策定するものとする。」を追加することの4つである。これによって与党原案よりはまだマシになったとの意見も聞かれる。  ただ、いずれにせよ、以上のように、政策面と組織面において二つの問題があり、懸念が多い法案であることは明らかである。先に紹介した要請書にもあるように拙速な審議ではなく、さまざまな問題点、懸念点を明らかにし、強行とも評したくなるような採決をすることなく、せめて継続審議とするぐらいの良識は持ってほしいものである。さもなくば、さまざまなところで亀裂や分断を生むことにつながりかねないように思われる。

室伏謙一

「LGBT理解増進法案」は拙速すぎる…継続審議にすべき“2つの理由”とは

2023/6/10(土) 6:02配信DIAMOND




「性自認」に基づく差別解消法案・理解増進法案に関する共同要請書

令和5年(2023年)3月16日

日本国内閣総理大臣 岸田文雄 殿
各政党党首 殿


 私たち4団体は、それぞれ性自認と身体に違和を持つ者を含む様々な性的少数者の団体、市井の女性らを中心とする団体、そして性犯罪被害者の支援を続けてきた団体ですが、上記につき政府、各政党及び国会議員の皆様に、次のとおり要請します。

 国民間においても、どうぞ様々な情報を入手して、「何をもって許されざる差別とするのか」につき広く議論して下さい。マスメディアは先行した諸外国の正確な情報、多方面からの見解を提供して下さい。

要 請 の 趣 旨


1 gender identity:性自認ないし性同一性(以下「性自認」という。)に関する差別解消法または理解増進法を作成し審議するにあたっては、拙速に提出することなく、女性の権利法益との衝突、公平性の観点からの研究・検討をし、先行した諸外国の法制度と運用実態、混乱などの問題、またその後の制度変更などもしっかりと調査し、国民的な議論の上で進めて下さい。

2 仮に法令化するのであれば、生物学的理由から女性を保護する諸制度・施設・女性スペース、女子スポーツ等々において、元々は男性だが自身を女性と認識する方を「女性として遇せよ」という趣旨ではないことを明確にする、また別途女性スペースや女子スポーツに関する法律を制定するよう求めます。

3 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律のうち「手術要件」は削除せず、男性器ある法的女性が出現しないようにして下さい。

要 請 の 理 由


1 性的少数者に対する差別解消・理解増進の法制が、俎上にのぼっています。

もともと、誰に対しても不合理な差別は許されません。憲法第14条、民法第1条、第90条、第709条、労働基準法第3条等々の趣旨から、いわゆるトランスジェンダーへの揶揄、仕事差別といったことは許されない事柄です。

トランスジェンダーには、きつい身体違和があるトランスセクシャルTSと、身体違和はないが性別違和があるとする狭義のトランスジェンダーTGのみならず、(「性自認」とは関係がない筈と考えますが)いわゆる異性装者トランスヴェスタイトTVがあるともされるところ、これらの人に対する不合理な差別は、もともと許されないのです。

 この前提のうえで、私たち4団体は、「性自認」をそのまま法令化することは、男性器あるが自身を女性と認識する人をいわゆる女性スペース等でも「女性として遇せよ」「そうしなければ差別になる」趣旨と読め、そのためにこそ活用される可能性が極めて高いことから、大いに心配しています。


2 すなわち、制定されれば、たとえ理念法であっても「女性として遇せよ」の運動や訴訟において、様々な女性スペースについても「利用公認しなければ差別だ」「尊重していない」と主張される怖れが多分にあります。

 「性自認」は主観的かつ曖昧な概念で外観からは分からないのですから、「何をもって差別とするのか」の議論がされず不明確なまま法が制定されれば有効に利用されます。「女性として遇せよ」であれば、ほとんどの推進論者が言う女子トイレだけでなく、女湯・女子更衣室・女性専用マンション・病院・シェルターといった施設でも同様に考えるのが論理的です。更に、女子スポーツ選手権も、男性としての身体、体格、筋肉を既に持ったものが参加資格をもち得ることとなり崩壊していきます。様々な統計も信頼性がなくなります。近代法の基本的な前提である「性別」の定義があいまいになる問題でもあります。


3 なにより、女性スペースの防犯上の問題があります。女子トイレや女子更衣室などの女性スペースは、無防備な状態にある女性を守るために存在します。

「女性と認識する」という人に対し女子トイレが「利用公認」されれば、そう主張する男性が堂々と入れることとなり、性加害(ハラスメントを含む)な目的の男性も入りやすくなります。個室に引きずりこまれての性暴力被害、個室の盗撮被害の増加や盗聴、さらに使用済みの生理用品を見られたり、持ち出されることも増えると心配します。警戒心が薄く抵抗する力のない女児、障害のある女性が性暴力被害に遭いやすくなるのでは、とも心配します。実際、性犯罪は男性の女性に対する事件が圧倒的な割合になるのですから、当然です。女性スペースは女性らの安心安全のためにこそ、できたものです。

 また、女性を自認していても、性愛の対象が男性であるとは限らず、女性に対して性愛を持つ「レズビアン」と自称する人もいます。客観的には異性愛者の男性と女性なのに「レズビアン」の関係にあるという形になります。そのために、レズビアンやバイセクシュアル女性からは、女性としての不安に加え、レズビアンの権利が危機に瀕するとの不安の声が上がっています。既に日本のレズビアンバーには2019年、男性器あるパスポート上「女性」の外国人が入ろうとして混乱しました。この男性器あるパスポート上「女性」の外国人による同様のトラブルは、日本の温泉などでいつ起こっても不思議はありません。

 性犯罪被害者を長年支援してきた者は、女性スペースにおける性犯罪の増加を心配しています。言うまでもなく、性犯罪の加害者は圧倒的に男性器ある者であり、被害者のほとんどは女性です。報道される事件は、相当に軽度の事件と逆に死亡にまで至った事件だけです。多くの事件は報道されず、被害届出さえできない事案も未だ多く、まして被害者が子どもや知的障害がある場合、事件化するには困難を極めます。性加害目的の者が女子トイレ等に少しでも容易に入れるようにしてはなりません。

 性犯罪被害者の多くは、トラウマにより「男性」を怖れています。被害を受けた女性は、女性スペースの身体的には男性の人がいるかもしれないこととなると、公衆の女子トイレなど、公的な女性スぺースを利用できない可能性が高くなります。性犯罪被害者を支援してきた者は、女性被害者の社会への復帰がより困難になると心配しているのです。

 そして、何より、性同一性障害(性別不合)により、もともと男性であったが性別適合手術を受け法的女性になった人は、自らの信用性がなくなってしまうと怖れています。「女子トイレには男性器ある男性は入っていない」というルールがあるからこそ、法的女性として女子トイレに安心して入れるということなのです。手術などを予定しないいわゆる狭義のトランス女性を含めて、多くが「女子トイレの利用公認を」などと求めていると考えるのは誤りです。


4 いわゆるLGBT法連合会に集う方々の団体だけが、性的少数者の集まりではなく、その代表でもありません。多くの性的少数者、まして社会に埋没しているトランス女性・トランス男性、もとより法的性別を変更した者は団体に集うことなく、法律が無くてもいわゆるヘイト事件まではまずない日本において、日々生活しています。

 そもそも、トランス女性に対して揶揄し時に暴力さらに性的暴力をふるうのは男性であり、一部の男が男子トイレから排除し、入りにくくさせています。この事態をこそなくさなければなりません。

 LGBT法連合会に集う団体活動家は、「女性として遇せよ」としてトランス女性の「女子トイレの利用公認」などを説いて運動しているのですが、これこそが「性の多様性を尊重」していないものであり、方向性をまったく間違えていると考えます。

 いわゆる女性装、女性っぽい感じの男性が、男子トイレを使っても良いではないですか。性別は現生人類になる前から男と女でした。性分化疾患の方がいますがどちらかの性別であるものです。多様性があるのは、時代と地域で異なる社会的・文化的な「性ジェンダー」なのであり、「性別セックス」ではないと考えます。

 また、これら団体は、信頼性と同情できる「トランス女性」だけを念頭に置いて主張を展開・説明します。当事者の話では自殺も考えた、自死率が高いなど涙を禁じ得ない話もありましょう。自死率についてはその他の事柄を原因とする精神状態ともども検討しなければなりません。が、その通りだとしても、法を制定する場合には、すべての「トランス女性」を考慮しない訳にはいきません。実際、この2月、大阪府高石市では「トランス女性」だとしてネット上でも公開していた男が準強制性交等や準強制わいせつで検挙されました。推進論者は時に「性犯罪をした者はトランス女性ではない」などと説明しますが、防犯の観点を忘れた妄言と言うべきで、御都合主義に過ぎます。

 政府におかれては、どうぞ、幅広く、意見を聞いてください。


5 昨年6月28日、岸田首相は、ドイツで開かれたG7サミットの首脳コミュニケで、「性自認、性表現あるいは性的指向に関係なく、誰もが同じ機会を得て、差別や暴力からの保護を確保することへの完全なコミットメントを再確認する。」に調印しました。

 しかし、それは決して元々は男性の女性と認識する人を「女性として遇する」ことを約束し合ったものではありません。性自認や性表現と身体的な性別の違和がある人についても、不合理な差別や暴力があってはならないとしたものです。日本においては、先行した諸外国のようにトランス女性を「女性として遇する」のでも、「性自認だけで法的性別を変更できる」のでもない形で「誰もが同じ機会を得て、差別や暴力からの保護を確保」することを示してください。

 実際、上記コミュニケは、続いて「この目的のために、我々は、長年にわたる構造的障壁を克服し、有害なジェンダー規範、固定観念、役割及び慣行に対処するための我々の努力を倍加させることにコミットする。」としています(日本語仮訳24ページ)。

 その趣旨からすれば、むしろ「男性は(その時代・地域での)男性らしい服装であるべきである」という有害なジェンダー規範を打破することが求められています。男性側こそが性の多様性を認めて、女性装の人を含めトランス女性が男子トイレなど男性スぺ―スに入りやすくしてこそ、固定観念や慣行に対処するものと評価できます。

 イギリスでは、昨年4月の首相発言にあるように、行き過ぎた「性自認の法令化」が女性の権利法益を侵害していることから正常化に舵を切り、苦労を重ねています。地方政府のスコットランドでは性別変更をより容易にする議決をする一方で、女子刑務所でトランス女性による強姦事件が発生したことなどで混乱を重ね、この2月、首相が辞任するに至っています。米国政府は我が国に様々な要請をしている模様ですが、この問題については米国各州で実に方向性が異なり、それぞれに混乱があって参考になりません。

 日本では、先行した諸外国のような同性愛者やトランスジェンダーへのヘイト刑事事件はまずありません。時にあるのは、男子トイレ等で時に見かける、男性によるトランス女性ら性的少数者に対する嫌がらせ・迫害・暴力です。これを減らす努力を重ねるとして、G7サミットで正しく対応できるのです。

 政府におかれては、諸外国の状況をしっかりと調査した上で、方向性を定めて下さい。

よって、要請の趣旨1記載の通り求めます。


6 しかし、諸般の事情から、何らかの形で理解増進法といったものをどうにも作らざるを得ない場合には、元々は男性で「自身を女性と認識する人」につき、女性の生物学的性別に着目して存在する諸制度、女性スペース、女子スポーツ等々につき「女性として遇せよ」の趣旨ではないことを、明確にされるよう求めます。

あわせて、別紙の「女性スペースに関する法律」及び「女子スポーツに関する法律」の各法案を参考に別途の法律を共に成立させて下さい。

 どうぞ、法案の作成と提出・審議にあたっては、女性の権利法益との衝突、公平性の観点からの研究・検討をし、その際、先行した諸外国の法制度と運用実態、混乱などの問題、またその後の制度変更などをしっかりと調査し、国民的な議論の上でして下さい。

  よって、要請の趣旨2記載のとおり求めます。

7 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律は、身体違和がきつい人について性別適合手術を公認し、その生活の便宜のために後に法的性別を変更できるとしたものです。希望しない人に手術せよというのではないのですから「断種手術」などと言われる筋合いはありません。同法は、男性器あるままの「女性」はあり得ないなどの考えに基づきますが、それは国民の意思と合致しているのではないでしょうか。

 そして、法的性別を変更した当事者にとっては、身分証明書の記載と身体的状況が一致することこそが社会からの信頼も確保している根拠になっていることを忘れてはなりまんせん。「私たちにとって、手術要件は決して『過酷な条件』ではなくそれこそ『身を守る盾』」とも表現されています。

 まして今日、「性自認で性別変更を」の思想運動の影響か、その診断が容易に得られてしまったという報告もあり、手術要件を外せば、一気に「性自認で法的に性別変更ができる」ということと同様になる蓋然性があります。同法の手術要件は削除せず、男性器ある法的女性が出現しないようにして下さい。

 よって、要請の趣旨3記載のとおり求めます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

性別不合当事者の会 事務局長 森永弥沙

白百合の会 代表 森奈津子

平等社会実現の会 代表 織田道子

女性スぺースを守る会― LGBT法案における『性自認』に対し慎重な議論を求める会―
共同代表 山田響子/野神和音/森谷みのり 



四 団 体 の 紹 介



🟣性別不合当事者の会  
 2021年12月21日、トランスジェンダリズムの進展に危機感を抱いた性別不合当事者有志により結成。「①既存の性別二元論を崩さずに、男性中心主義の社会構造を批判し、女性と共存共栄する。②行き過ぎたLGBT活動を批判しつつ、GIDの常識的な範囲の人権保護と社会適合を訴える。」を基本理念とし、要望書の提出、啓発活動などをしている。
https://note.com/ts_a_tgism/

🟢白百合の会 
 代表森奈津子は数年前から性自認至上主義に疑問を呈してきたバイセクシャルの作家であり、知り合いらが交流し、2021年春から世論形成を図ってきており、2021年11月7日成立


🟣平等社会実現の会
 1983年に設立し40年目を迎えるアジアで最初の性暴力被害者支援団体である「東京・強姦救援センター」の創始者・相談員らにより、2022年3月29日成立。約1万5千件の相談(性的マイノリティの方々を含む)経験をもとに、性暴力被害者の現状・不安と「性自認」優先による弊害について発言している。


🟢女性スペースを守る会 ― LGBT法案における『性自認』に対し慎重な議論を求める会―
 2021年9月18日、その趣意書に賛同する市井の女性を中心に集まった賛同者2000人弱の団体で、「性自認」を法令化する危うさについて広く国民と各界へ啓発活動、各政党や候補者のアンケート稼働、要請活動をしている。    https://note.com/sws_jp
https://womens-space.jp/

https://note.com/sws_jp/n/n715106b13f00
4団体の要請書を提出しました!

女性スペースを守る会

2023年3月16日 23:02