学生時代からの親友がいた。家庭環境が複雑同士で、高校卒業してから親友は地元、私は上京し、離れ離れになった。それでも、半年に1度はお互いに会いに行ってて、会えるのは半年に1度位だけどマメに電話もしてて、誰よりも距離が近かった。

彼女は癖が強い子で、そのパワーがとても刺激的で楽しかった。だけど、いつからだろう？段々と環境が異なってきて、思想も異なっていた。

彼女が1人目を産んだ日、私は3年同棲していた彼に振られた。彼女が2人目を妊娠したとき、私は拗らせてまともな恋愛が出来ないでいた。

就職も上手くいかず、水商売を初めた。彼女も、子供産む前は元々水商売をしていて、お互い何度か昼職についても続かなかった。

時間にルーズで仕事も続かない。なんとかなるさ。で、お互いがだらしなかった。だけど、いつしか彼女は家庭を持っていて、私はずっと1人だった。「旦那いても、子供いても寂しいよ。寂しさは独身で彼氏いないのと一緒だよ。似てるね」と、彼女は言ってた。

20代半ば頃から、彼女は水商売を復帰した。旦那にはすぐ辞めるだろうし、お前には無理と言われたらしいが、彼女は生き生きしていた。「こんなに続いたの初めて」と楽しそうに言っていた。

彼女は水商売復帰してから、不倫を初めた。「旦那と居てもつまらないし、寂しいから」と、相手はコロコロ変えていた。付き合う度「こんなに好きになるのは初めて」と、お熱モードだった。

彼女に不倫相手が3人位出来てしばらくたってから、私は地元に帰る事になった。就職も上手くいかず、水商売上がりたいけど上手くいかない自分の駄目さに嫌気がさし、精神のバランスが崩れたのだ。

私の母親は水商売の出身だ。地元に帰っても精神のバランスが崩れていたり、また県外に出るのかまだ気持ちがフラフラしていたため、地元で水商売のお店でしばらく働く事になった。(結局、水商売か、、)なんて、内心思っていたけど、働いてるうちに目標が出来て、【毎日きちんと無遅刻無欠席】と、当たり前の事が出来るようになった。

私も親友も学生時代から【無遅刻無欠席】とは無縁で、親友と遊ぶとき「ごめん、この後仕事だから」と言うと驚かれたり、最初のうちは「休んじゃえよ」と言われていた。実際、彼女は行きたくないときは、子供を理由にして仕事を休むこと事が多い。

会う度に彼女の恋愛相手は変わっていた。コロコロと相手が変わっていて、「いったい私は誰が好きなんだろう」なんて嘆いていて、「なんやかんや本命は旦那だと思うよ」と、私は伝えていた。

彼女が男と遊ぶようになってから、私も恩恵を受けていた。彼女の不倫相手にご飯や遊びのお金を出してもらったりしたのだ。地元の水商売のお客さんを使って私も彼女と遊ぶ時同じようにした。

目標金額にいき、彼氏も出来たので、私は水商売を辞め、昼職に就職した。週一で親友とは遊んでいて、「彼氏が出来たら遊べないじゃん」と駄々を捏ねていたので、彼氏と彼女とご飯にいき、彼女の家に泊まった。

親友は、家につくと私の彼のことを「あぁいう人が不倫されるんだろうね」と、鼻で笑っていた。今思えば此処が私の中の引き金になったのだろう。彼氏がいないとき、彼女の不倫相手と3Pさせられそうになったり、不倫相手とご飯したとき「帰りたくない」と駄々こねる彼女がみんなをラブホに先導したときよりも、この言葉が1番胸につっかえた。

それでも、付き合った彼氏はあまり構ってくれず、すれ違いも多く、何だかんだと2週間に1度は親友と遊んでいた。

水商売同士の頃よりは時間帯は合わなくなっていたので彼女は寂しがったが、私は昼職に就職出来たのが嬉しく、無遅刻無欠席をきちんと昼職でも出来るのかが不安で毎日必死だった。

水商売に慣れきっていた私は昼職の雰囲気にびっくりした。女性ばかりの職場で、事務職というのも原因だと思うが、誰も容姿について言ってこないのだ。下ネタも聞かない。不倫話しも聞かない。最初は、どうやって話せばいいのか分からなかった。だけど、次第に居心地がよくなり、【不倫はみんなしてる】という概念が覆りはじめた。

みんな毎日仕事をして、子育てして、旦那さんと向き合っている。ランチの時間に「今日は旦那の仕事休みだから外で一緒にランチしてくる」なんて、微笑ましい話しやお姑さんの愚痴や、「もー、旦那が勝手に買ってきてさ！」なんて、微笑ましい夫婦喧嘩を耳にするようになった。

生まれて初めて【結婚っていいのかも】と、思えた。私の両親はダブル不倫で離婚し、私は自分と10個しか変わらない父親の不倫相手に育てて貰ったが、結局育ての母親は新しい男の元へ行ってしまった。水商売のお客さんは、口説いてきてもLINEのアイコンは子供だったり、店外デート口説いてくる癖にInstagramでは仲良し家族の投稿していたりもする。【どうせみんな不倫してる】が私の根底にはあった。

「旦那に不満はあるけど、でも、家族だから。1番向き合わなきゃいけない相手だよね。」と、仲良い歳上の同僚が言っていた。

親友に「不倫はそろそろやめた方がいいと思う」と伝えてみた。「うちだってやりたくてやってる訳じゃない」みたいな返事がきた。仕方ないと彼女は言う。

彼女は、私と遊ぶ時子供も連れてくる。彼女は、不倫相手と遊ぶ時子供を旦那に預ける。彼女は、子供を怒らない。私は、彼女の子供に怒ってしまった事が何度かある。そして、手を挙げてしまった事もある。彼女の子供について悩んだ事が沢山ある。

彼氏はバツ1で子供慣れしていたので、子供連れの彼女と遊ぶ時彼氏も呼ぶようにした。子供と彼氏が遊んでくれるので彼女と話すことができた。

バツ1の彼氏とは別れ話しを何度もして喧嘩もよくして、それでも別れられなかった。今度こそ別れようと親友に励ましてもらって、深夜のファミレスで背中を押してもらった翌日お別れをした。「貴方といたら私は浮気をしてしまうと思う」と、自分の気持ちをぶつけてお別れをした。

「これでやっと私と沢山遊べる！」と、彼女は上機嫌だったのだが、すぐに私には恋人ができてしまった。「ショックで旦那に泣きついた」と彼女からLINEが届き、拗ねていたので、翌週ショッピングモールへと出掛けた。

ショッピングモールでは別行動だった。子供2人連れてきて、1人を私に預けての別行動。(会いたいって言う割にコレだよ、、)と、私の中で糸が切れた音がした。

親友とは何なんだろ？いつからだろ？彼女と遊ぶ約束をするたびその日が憂鬱になっていたのは。遊ぶのが義務のように感じたのは。

新しい彼氏は真面目でまっすぐで人見知りで、そして、私をとても大切にしてくれた。彼を守りたいと思えた。

男遊びをもうしたくない。彼女とこのまま会っていたら、また男遊びに巻き込まれるかもしれない。新しい彼氏と距離を縮めたいのに、彼女が嫌がるかもしれない。もう、彼女に束縛されたくない。

私は親友と距離を置くことにした。

親友とはどういった関係を示すのかは分からないけど、昔みたいに半年に1度会って語り合う位がきっと丁度よかったんだと思う。

不満が爆発してしまい、そんな私の反応を初めてみる彼女からは「寂しかったから。ごめん。もう私から連絡しない」と返事がきた。それから連絡をしていない。

伝え方が悪かったなぁと反省はしているし、彼女の事は大好きだ。だけど、彼女と一緒に居る自分はもう好きじゃない。