話題の安藤忠雄展「挑戦」。ご本人のギャラリートークが自由すぎてお茶目だった

原寸大の「光の教会」を建ててしまったことでも話題の、国立新美術館で始まった安藤忠雄展。実際の教会は十字架にガラスが入っているが、こちらは安藤が理想とした、ガラス無しで外とつながっている。

「原寸大」はもう1つ。大阪市にある安藤忠雄建築研究所だ。


幸運なことに、初日の開館と同時に行ったら安藤忠雄のギャラリートークを聞けたのでうるおぼえでレポート。怖い人のイメージだったけど、話しぶりは大坂のオモロイおっさんでお茶目。すごく無邪気だった。

会場の質問に熱心に答えていた。

Q. なんで大坂にずっと住んでるんですか?

普通は賢い人が偉いでしょ、大坂はオモロイ方がええ。
学校の学力テストで大坂は全国で2位なんです。

下から2位ね。ちなみに最下位は沖縄です。
まあそんなところがええんですかな。

むかし、住吉の長屋っていう悪名高い建築を作りました。評論家が不便やっていうんですね、建築として合理的じゃないって。

でも建築の要件って、住んでる人の人生やからね、その人がどうしたいか、っていう。大変やけど楽しんで住んでる。

まあでも大坂はオモロイ人が多いですわ。昔サントリーの佐治さんとよく飲み歩いてたんやけど、よく考えたらお金をはらったことがない。それである日、あれ請求書どないなってんやろっ、て言ったら「俺が払っとるんや!」って大声で言われました、ガハハー

Q. なんでそんなに元気なんですか?

今76歳で、もう内臓あんまりないんです。ガンで摘出してね、膵臓も完全にない。手術のまえに医者に膵臓とって大丈夫かって聞いたら「膵臓をとって生きてる人はおるが、元気になったやつはいない」って言われましてね、オモろいおっさんやであの医者も。

それで膵臓とったりまあ色々とったんですが、全然大丈夫、元気です。
夢と希望があればええんです、目標があるうちは元気やから。

Q. 原寸大の光の教会について

ほんまに大変でしたわ、建物の中に建物たてるって。

ほんまに大丈夫かって、いろんな検査が大変やったんですが、最後に「建ててる途中で地震が起きても大丈夫ですか?」って聞かれて、「じゃあ工事中は地震を止めときますわ」って言ったんです、ガハハー

Q. 中国での寺院建設について

中国で寺つくったら人気でてねえ、中国から寺の依頼ばっかりくるんですわ。うちは寺専門ちゃうでって思うんですけど(笑)。

中国って100億とかすぐお金集まる、でしばらくすると中止。まあ中止はええんですが、請求するには中止になる前に設計図つくらなアカん。ハハハー

Q. 美術館の建築について

美術館つくってると芸術家と話すんですが、まあ芸術家ってのは大変ですわ。何言うてるのかわからん。

建物から突き破ってアートつくろうとするからね。でもまあそれでええんです、人のために生きるとか弱いから生き残れない。それくらい自分のために生きるのがええんです。ハハハー(会場も笑って拍手)

建築ってのは施主の言うことを聞かなあアカん。でも自分の言うことも聞かなアカんのです。こうしたいっていうね。2つとも大事。

って感じでした。仕事だと怖いんだろうけど、人間としては愛嬌の塊というか、会話でもサービス精神がすごい。内臓がなくても元気ってすごいな。

この展覧会、かなりおすすめです!

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