京都の禅デートは退蔵院がオススメ

週末京都に住むようになって1年ほどになったのでいくつかオススメを。

有名すぎるお寺は人も多くて疲れるので、「ちょうど良い有名さ」の寺が一番。例えば借景で有名な円通寺も良いけど、妙心寺の退蔵院は素晴らしい。庭が綺麗でロマンチックなのと、この寺所蔵の国宝「瓢鮎図」が面白い。

※画像はwikipediaから

「ぬるぬるしたナマズをすべすべしたヒョウタンで捕らえてみよ」という禅のクイズが出題されており、これに対し31人の禅僧が答えている。この絵が面白いのは、国宝なのにギャグというかお笑いの要素が強いのだ。

まず主人公がバカっぽい。ヒョウタンもちゃんと持ててなくて落としそう。禅僧の答えも「油を塗れば捕まえられるのでは?(さらにヌルヌルして捕まえられない)」とかふざけており、いわば室町時代の「ボケて(写真で一言ボケるサービス)」なのだ。なので気軽に自分もクイズに参加できる。

実際に京都人がこの絵について様々にコメントする企画もネットで散見する。つまり庭も絵もクイズも楽しめるお寺なのだ。

このクイズについては、アマゾンか退蔵院の受付で買える「瓢箪図の謎」という本の解説が詳しいので、事前に読んでおけばドヤ顔で彼女に語れる。それがウケるのかは知らないが。

自分も試しにクイズに参加してみる。まず禅僧の大半がふざけながらも多くは「捕まえられない」と答えており、バカっぽい主人公は本当にバカで、できもしないことを試みている男だ。

自分は、ひょうたんは「おもわく」の象徴で、ナマズは「おのずからなる」モノの象徴かと思った。何を言っているかというと、

例えば私は元々は真面目な仕事をしたかった。しかし現在はふざけたコンテンツを作ってバカだと言われている。これは本当は不本意なのだ。(おもわくとしては)賢いと言われたかったのだが、どうにも上手くいかない。

そこでしょうがないので転身して現在こうなってるのであり、おのずからなったのであって、「おもわく」で今に至った訳ではないのだ。つまり「瓢鮎図」のバカ主人公はまさに自分でもあって、どうにか賢いと言われたいと思っている自分に対して、31人の禅僧が「無理無理」と突っ込んでいる。

キャリアはおもわくで作れるものではなく、おのずからなるものだからだ。そしておもわくがある限り、おのずからは得られない。得意な道を行けば良いのに、ついつい好きな道に、ナマズを捕まえに寄り道してしまう。

「おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな(魚を取らされる鵜をずっと見ていると社畜な自分ごとに見えてきて悲しくなる)」という句があるけど、「瓢鮎図」は取れない魚をずっと取ろうとしている男という、面白くも物悲しい、そして美しいというまさに国宝、コンテンツキングなのだ。

何度デートしてもつきあってくれない彼女にも、「絵の男が自分みたいで悲しくなってきた、もう諦めようかな」とでも言えば、ナマズから飛び込んで来てくれるかもしれない。

ということで庭・絵・謎ある退蔵院は禅デートにオススメです。


※「瓢鮎図の謎」についての真面目な話は余談なので興味のある方だけに。

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さいこー
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