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9.最後の日々 その12

4ヶ月ぶりに会ったなかやまは5歳くらい歳を取っていたように見えた。
大好きな地元、大好きな実家にいるにも関わらずだ。荷物がくることで、本当に「別れた」と実感したらしい。終始暗かった。

なかやまのお母さんがでてきた。
なかやまの友達がきたことにかなり喜んでいた。めちゃしゃべる笑

お母さん「もう帰るの?」
俺「はい笑 明日も仕事なので」
お母さん「え!え!え!ちょっとくらいゆっくりしてったらいいのに〜!」

かわいいお母さんだった。
なかやまも人懐っこいけど、あれはお母さん譲りだったのか。

ただ、俺とOとOの彼女は、これ以上いたら、なかやまがどうにかなりそうなことは予想できた。
お母さんと話もしたかったが、俺らは早々にきりあげた。

Cはなかやまとその日が初対面だった。
C「KNTさん、もっといい人いますよ」
O「いや、あいつ変わりすぎ。今日かなりやばかったし、怖かった」
俺「本当はあんなんじゃないんだよ、今日やばい。たぶんもう別れたってわかったんだと思う」
O「CがKNTに話しかけた時のなかやまの目ーめちゃくちゃ怖かったぞ」
C「見た見た」
俺「そうだった?」

確かに何か異常なのはわかったし、じっとりとした目で俺のことを見ていた。が、大丈夫かなあ。と思った。

名古屋城見て、川崎へ帰ったあと、なかやまから電話があった。

なかやま「荷物ありがとう。」
俺「いえ〜、お母さんかわいかったなあ?」
なかやま「いつもああなんやて笑 人が来ると嬉しいの笑 あれがKNT?ってそわそわしてたよ笑」
俺「どうしても家にあげたそうだったな笑 慌ただしくてすみませんって言っといて」

なかやま「うん、言っとくけど…もう、戻れないの?」

俺に戻らずに、子供産みなさい。
なかやまの気持ちをちゃんと知らなかった俺はそう思った。

俺「戻らないよ笑」

なかやま「1度別れるって言ったら、KNTはそうだもんね」

俺が「別れる」を使う時は、本当に「別れる」時だよ、と、付き合い始めから話していた。付き合っていた時は忘れていたみたいだが、本当に戻らないと知ってやっとわかったようだった。

なかやまがいう「別れる」は別れなくても言う笑
その別れる詐欺を俺はいつも乗り越えてきたから、本当に別れると思わなくなっていたようだ。
ただ、俺が使う時は本気だということも、なかやまは忘れてしまっていた。
そして、本当に別れた後に思い出した。
もう取り返すことはできないのだ。

俺「次の人を見つけて、子供産めよ」

なかやま「でも、その人とも出来ないかもしれないじゃん」

俺「その時はその時。何度も言ってただろ、子供欲しいって。できる可能性が0と、数パーセントある。では、話が違うじゃん。俺は0なんだよ。なかやまはかわいいから、すぐ彼氏ができる。もう俺は隣にいないけど、応援してるよ笑」

なかやまは喉の奥で「わかった」と言った。


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