10.本当に会わなくなったその後のこと その1
それから1年後には、なかやまに彼氏ができ、俺も彼女ができた。
新しい彼女のSHIGETAとは、付き合う前に数回デートした。
というか、デートする前に告白していて、振られていたが、何故かデートをしてくれるという変な関係だった。
その落とすか落とせないかが懸かっているデートの時に、なかやまというものすごいわがままな女がいて、俺はそのなかやまがいかに好きだったかを話してしまった。
話を聞いたSHIGETAは俺に聞く。「うーん。じゃあ、もしその人が、子どもを連れて、KNTさんのところに戻ってきたらどうしますか?」
俺は想像した。
なかやまが手を繋いで子供を連れてくるところを。
無意識にニコニコしていた。
一瞬も笑おうと思ってないのに、気がついたら顔が笑ってしまっていた。想像したその光景はかわいくて、愛しすぎた。
とんでもなく俺にとって幸せだな、と思った。
それが本心の答えだった。
別れてから半年が経っても、まだなかやまが好きだった。その想像はあの頃の2人のどっちの幸せも満たしていた。
あの頃のな。
だからこう答えた。
俺「それでも戻りはしないけど、そうなったら嬉しい」
その後、俺の方はSHIGETAと婚約したが、2年付き合っても心から愛すことはこれから先もムリだろうと、婚約を破棄してしまった。
一方なかやまはその後、岐阜で新しい彼氏とセックスしまくっていた。
俺とできなかったうっぷんはかなり晴れたと言っていた。
そんなある日、ラインが来た。
なかやま「あのね、KNT」
なかやま「子供を授かった」
俺「なにその言い方笑 おめでとう!」
妊娠検査薬が陽性になったところだったらしい。
あとからエコーの写真が来た時、俺は嬉しすぎて泣いた。
当時別れた本当の理由は子供のことではなかったが、本当の理由を理解した今でも、それでも俺は同じ反応をしただろう。
なかやまはそのあと一時危険な状態になりながら、帝王切開で子供を産んだ。
退院し、しばらくして来たラインはこんな内容だった。
「アルバム、使ってるよ。これからたくさん写真をとるね。車でもたくさんいろんな場所へ連れてく。」
「ありがとう」と送って、やっぱり俺は嬉しくて泣いた。
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