見出し画像

長女に人生の先輩ヅラをしたところ、そこには“2打席連続で死球を与えたレベル”の壮絶な修羅場が待っていた。

あつまれどうぶつの森。

定期的に我が子にブームが訪れる。
ちょうどいま、訪れている。
マリオ、カービィ、スプラトゥーンと話題の新作がでるたびに、

“これ、今まで買った中で一番面白い!”

なんて情熱的になるが、
それらは一度クリアをしてしまうと飽きがくるようで、結局、“あつ森”へと帰還する。

いつの時代だって、
“あつ森”をはじめとした育成ゲームには、
圧倒的な中毒性がある。

でも育成ゲームの真の凄さは、
これだけの感動の再会を果たしても、少し経つと、またどこかに行ってしまうところにある。

数週間後、情熱的な時間が嘘だったかのように、さよならも言わずに去っていく。

いま我が子の元に訪れた“あつ森”ブームも、マリオ新作が出たことによって、そう長くは続かないだろう。でも刹那的だからこそ、その限られた時間だけは情熱的に愛することができるのだ。

2週間前の土曜日のこと

長女が「あつ森」をする姿を
後ろからボーっと眺めていた。

魚を釣って、リンゴを拾い、昆虫を捕まえ、それらがある程度たまると“たぬきち”のところにもって行き換金する。
そうして得られたお金は、家の増築ローンの返済に充てて、ふたたび増築するためにローンを組みなおす。

増築→労働→返済、
増築→労働→返済、、、

リアル世界でもあるあるの
ローン無限ループ。
その様相をみていると
次第にムズムズ、そしてソワソワとしてきて、ついには我慢できずに口を出してしまった。

「カブを買ってから家のローンを支払ってみなよ」

あつ森には、
リアル世界の株(株式)の代わりにカブ(野菜)がある。需給の関係で、日々、カブ(野菜)の価格が変動し、買った値よりも高い値で売ると、その差額が利益となる。

ゲームをやりながら、
少しばかりかお金のお勉強。
“桃太郎電鉄”もお金の仕組みを知ることのできる良き教育ツールだが、“あつ森”も独特な感覚で、これもまたなかなかいい。


ボクは、子どもが小学生のうちに、お金の知識を身に着けさせたいと思っている。自身の平凡極まりなく過ごしてきた人生の中で、唯一、自信をもって
“人生そのものを変えられるよ”
と伝えられるのは投資だから。

時間は有限。
それゆえ、リーマンの労働収入には限界がある。

22歳から65歳まで週に5日間、1日8時間。
しっかりと身柄を拘束されて、
生涯手取りの“中央値”はわずか2.15億円

2億円なんてのは、
大金にみえるが、年間500万円の生活をすると40年で消化する。
たったのその程度のもの。

家を買ったり、
車を買い替えたり、
旅行をしたり。
加えて、老後2000万円問題だとも言われるし、年金では足らない分を現役後のために残さなきゃなんない。

労働収入というのは、有限の労働力(時間拘束)を差し出すことで得られる対価であって、それはすなわち働き続けなければ1円も獲得できないことを意味する。

その事実、
その効率の悪さを
小学生のうちに教えたい。

娘は“ふんふん”とうなずいて、
ボクのいうとおりに、
魚を釣ったり、リンゴを拾ったりで得られたありったけの所持金でカブを買った。

ボクは先生面して、
“これで不労収入のできあがりね。楽しみやん”

そう言い放った。

20年前、ボクが社会人になりたての頃

44歳。
就職氷河期世代のボク。

サービス残業・休日出勤に従ずるサラリーマンは、現代では会社に飼い慣らされた“社畜”と各方面から揶揄やゆされるが、ボクの若手時代は、そんな社員は愛社精神のあふれる“模範的社員”と賞賛されていた。

終身雇用が当たり前、
入社した組織に定年まで忠誠を誓う、
今の子には信じられないかもしれないが、そんな時代だった。

そういえば今や絶滅危惧種となるが、

「ワンアウトから犠牲フライでしぶとく一点をもぎとるような組織をめざそう」
「おまえはストレートを待ちすぎや。そんなんだとカーブがきたら対応できないやろ」

そんな感じて
なにかあればすぐに野球に例える昭和真っ盛りのおっさんが上司にウジャウジャといた。

忠誠心、長時間労働、サービス残業、野球。

入社して一ヶ月。
今でも忘れられないエピソードがある。

休日返上したときに、
普段から馴れ合いを許容してくれていた平社員のおっさんに
「ホント参りますよねー。手当貰わないとやってらんないすよねー」
と気軽に話しかけたところ、

この時ばかりは、
顔つきが一変。真剣な顔で一蹴された。

「野球選手は延長戦やれば手当がでるのか?それより延長をやってでも勝負がつくまでやるのがプロの仕事だろ!」

鬼の形相でボクを諭したおっさん。
今でも忘れられないあの時の顔としゃがれ声。ビビッてしょんべんちびりそうになった。

ムリ。
まったく響かなかった。

入社一ヶ月で悟った。
こんな社会、世の中に、
ボクが適応できるあろうはずがない。

黙々と延長戦(残業)やら、早朝練習、休日ノックを受けるような“模範的社員”には、なれなかった。

行儀良く真面目なんて出来やしなかった。

信じられぬ大人との争いの中で、
リーマン不適合者のボクが出会ったのが“株”だった。

とは言っても、株価ボードを日々眺めて、安いところで買って、高いところで売りサバくほどの器用さはない。

株価に一喜一憂もしたくない。

そうだ。
毎年、増配する株を買って放置し
だたただ配当金をもらい続けようか。

最初は年間10万だった配当金が、
時間、追加、増配があいまると年間100万、200万・・となっていく。投資は時間と継続が一番大切。
いつしか配当金が年間生活費を超えたとき。会社に縛られないワークスタイル、フリーな働き方、それが実現する。

そんな一冊の投資本を
擦り切れるほど繰り返し読んだ。

よっしゃ、やるか。
そう思ったのが27歳。

そんな地味なことをやるんじゃなくて、
リーマン辞めてフリーになってガポガポ稼げば?と偉い人はいうだろうけれども、
ボクレベルの能力では、それで食べていくのは極めて難しい。ボクひとりならともかく家族もあるし。

それに自分の城を“建てて生きる”ことにエネルギーを使うくらいなら、
そのエネルギーで別のものを“ててイキたい”。

それがボクという人間だ。

そうして投資を始めて17年。
平凡極まりない人生で、
というか平凡極まりない人生だからこそ、地味なことをずっとやり続けてこれた。
結果、配当収入が膨らみ、50歳でリーマン引退してお気楽カフェでもやろう、と計画できるようにまではなれた。

ボクが子どもに伝えたいこと。
それは、投資でお金もちになれるよ、
ってことじゃない。

不労収入が得られることで、心に余裕が生まれ、他人、上司からの評価を気にすることもなくなる。支配からの卒業。自分で選択カードを切れる自然体な人生を歩んでいけるよ、ってことだ。

人は、この選択肢しかない、
ここで評価されなきゃ後が無い、
そんな強いプレッシャーから生まれる成長マインドは、時として心身の負担を覆い隠す。

成長することはいいことである。成長を目的のひとつにすることも否定しない。
ただ、成長、必死すぎる状態、あるいは、成長「だけ」が目的になってしまうことは恐いことだと考えている。

ボクが実感してきた成長とは、
普段やっていることを周りを気にせず、真面目に誠実にコツコツやっていて、気が付くと身に付いたものが大半だから。

まさに、このnoteしかり。

だからボクは、我が子に投資を勧めたい。
残業代を稼ぐために時間と身柄を拘束されることなんて、どれだけお金にも自身の成長にも、効率の悪いことをしているか、
ってことをね、
分かる子にね。

待ちに待ったゲームのできる週末。長女は、“あつ森”を1週間ぶりにやった。

パパの教えをって買ったカブ(野菜)。
ありったけの大金で買ったカブ(野菜)。

どうなったかな〜。
親子共々、楽しみで期待に胸が踊る。

お、
おおお!

ん?
んんん?

え!?
えええ!?えええええ。





腐っていた。 
黒くなっていた。




うそん。

どうやら“あつ森”のカブ(野菜)は、
リアル株と違って1週間置いとくと腐ってしまうようだ。

まったく状況がつかめずに、
意味もわからずにフリーズする長女。

いやいやいやいや。
まてまてまて。と。
こんな子どものするゲームで、そんな残酷な設定があろうはずがない。

腐ったところでやな、、、、
このカブはきっとなにかに使えるってば。長女に先生づらした手前がある。
慌てふためいたボクはすぐにググった。

あった。

「腐ったカブは、ハエやアリを捕まえるエサとして使えます」

スマホを見ながら、それを長女に読み上げたボク。このとき、もはや長女の顔を直視できなくなっていた。

「カブなんてもう絶対に買わない!もう貯金しかしない!」
顔は見ることはできないが、声のトーンから長女が怒り心頭、半泣きの状態であることは察した。

場はもはやプチ修羅場。

いやあ、教訓できたね。

ボクも、あなたもね。
事前調査が悪かった。
負けるべくして負けたのだよ。

「勝ちに不思議の勝ちあり 負けに不思議の負けなし」

故野村克也氏(元プロ野球選手)の、そんな名言を自身の教訓にしつつ、そしてあなたにも伝えたいな。

この記事が参加している募集

noteのつづけ方

野球が好き

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?