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“あれ”と“ARE”が見れると思って課金したわけじゃない。関連性の薄い意外な単語の組み合わせタイトルが、ボクの想像力を刺激したのだ。

怯えている。

Androidで、ホーム画面を一番左までスワイプすると「Google Discover」というニュースフィードのようなものが出てくるのはユーザーであれば誰もが知っているであろう。

そこには過去に自分が読み進めた記事から自分という人間のペルソナが丁寧に分析され、自分が興味関心を持つであろうポテンシャルの高い記事が陳列されている。

家族であろうと、
あれを他人に見られるのは結構、恥ずかしい。

妻にエロ動画を鑑賞しているのがバレることに抵抗はないが、その動画タイトルを見られるには恥じらいがある。

そんな感覚とどことなく似ている。

ボクが普段、家族に格好をつけて、
“もうさすがにアイドルには興味ねんだわ”、なんて言っていても、きっちり深キョンの破局記事が表示されるし、

“おっさんだから今さら美容に金かけても…”
なんて斜に構えて言っていても、アンチエイジングの広告がビシッーと出てくる。

「Google Discover」は、すべてお見通し。

ボクの偽りなき内面を覗き込まれているようで、じつに不愉快極まりない事態となっている。


数日前、年末の挨拶まわりの最中さなか
何の気無しにボケっとAndroidを一番左までスワイプし「Google Discover」をみた。

「ミス東大の初ビキニ…」

トップ画像には奇麗なお姉さん。ボクの内面をグリグリえぐる刺激的なタイトルが掲載されていた。

才色兼備のセクシー系か…

ほお……
見たいな。

………めっちゃ、見たい。

……是が非でも見たい。

…電車内。
貪欲な姿勢は、禁物である。

そう思って中身をクリックするのに少しばかり躊躇ちゅうちょしたけれど、でもそんなためらいよりも好奇心の方がまさっている。ボクは、周囲に誰もいないことを入念に確認したのちに、静かに奇麗なお姉さんの画像をクリックした。

飛ばされた先は、
デジタルFRIDAY。

目に飛び込んできたのは、肌をあらわにした奇麗なお姉さん。

ほお... なるほど... ふむふむ...

5枚程度の画像に、撮影時の数秒動画。
しかしこれで谷間もしっかりと堪能できるのだから不足はない。

そう思って、記事を閉じようとしたが、
しかしカノジョは引き続きスマホ越しにボクを見つめてくる。「もっとワタシを知りたいでしょ♡♡」とささやきながらこちらをガン見しているのだ。

99円。

いずれはgoogleの画像検索で無料で見れるようになるであろう。
しかし、その頃には忘れている。奇麗なお姉さんの名前とともに、今日の記憶だって。

だからいま見ておきたい。
続きの120枚の写真を今すぐみたい。
その強い欲望から次第に想像力が刺激され、有料に隠された秘密を探す無限の旅が幕を開けるのだ。

気がつけばボクは、
静かに支払い手続きを済ませていた。

noteの有料記事

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残り 2000字 /3画像

noteで有料にする記事。
これについては散々、多くの識者が“是非”を述べている。中には、こんなのを有料にしたって……的な他人の有料記事を批判するお節介きわまりない意見も散見される。

どこの世界にもお節介おじさん(おばさん)はいる。

ボクが株を始めた若かりし頃に、“絶対に失敗する”と正論ぽい理由をつけて批判してきた人生の諸先輩が何人もいたが、結果として、ボクにとってはまったくのお門違かどちがいだった。
もしもあのとき投資を始めていなかったら、我が家のいまの生活も、ボクのリーマンとしての幕のおろし方に対する考え方も、ガラリと違っていたと断言できる。

だから、

noteなんて、有料にできる機能が無制限にある限り、内容が薄い記事だろうがナンだろうが、信念をもって堂々とヤレばいいのだ。

迷うことはない。
お金が「好き。」もしくは、「くれ。」と。
堂々と、表明しちゃえばいいのだ。

そう。ビシーっと。


しかし、

しかしだ。

そんな感じでnoteの無料と有料の境界線にフレキシブルな論者であり続けるボクでありながらも、1度たりとも有料記事を購入したことがないという事実がまずもってある。

“奇麗なお姉さんの画像”や、似たような商売である電子書籍にはまったく抵抗なくポチるくせに、1記事有料売り記事に課金するのには抵抗を感じるのはなぜなのかについて、ボクの中では未だに結論を出せずにいる。

少し考えてみた。

おそらくボクのnoteへの課金判断は書籍とは違うのだろう、というのは分かる。だって好きなnoterさんの記事ですら、有料になるとポチることはないのだから。

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残り 1620字 /

“この先、見たいんだったらおカネ払ってネ♡”
ミス東大の初ビキニと同じ。
当たり前だが、書き手側に主導権がある。
それは全然いい。

でもこれをみたとき、
はたして、あと1620文字でボクの欲望を満たしてくれるだろうかと、深く考えてしまう。

100円なら?
200円なら?

いや違う。
きっと額の問題ではない。
限られた文字数に、期待を賭けて記事にカネを払い、裏切られるダメージは甘く切ないのだ。

だから

これなら一層のこと、

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残り 18字 /

こっちの方が“ボク”はいい。

流石に18 文字で大どんでん返しは起こらない。続きの文章へのワクワク感、期待値はない。

先と違って書き手のnoterさんが、読者の善意を当てにして
「お金が欲しいの♡」
とお金に対する真摯で一途な思いを大声で発表しているようで、なんだか目的が明確でわかりやすい。

つまり、

特殊なノウハウを提供するようなたぐいの記事は別として、著名人が書いたわけではないnoteでおカネを支払うのならば、
まだ見えぬ記事に対してではなく、noterさんへのサポートという意味で支払うほうが、“ボク”としてはスッキリくる。

noteの有料システムに問題提議をするわけではないけれど、アイドルや芸能人、著名人だったら内容がないものでも「普段の私」コンテンツとして課金が簡単に成立してしまうけれど、

“素人集団の書き物”をそもそも売りにし、どんな記事でも簡単に有料化できるnote村の作品においては、実際に課金する読者側には最初から“大丈夫かな?”という色眼鏡が存在している。

だから収益化の成功は、
相当ハードルが高いのだ。

ミス東大の初ビキニの有料部分は…

120枚にわたり、奇麗なお姉さんの角度を変えたセクシーポーズを十分に堪能できた。
一通り見終わったボクは、先ほどまでの様々な興奮が嘘だったかのように突如として大いなる冷静が襲ってきた。

セクシー過激度でいうならば、
いたって普通だったかな。

でもそれは最初から知っていた。
有料だからって大事な部分を隠す布切れの表面積に変わりはなく、メンズが本当に見たい“アレ”と“ARE”が見えるわけではない。

じゃ、なぜにボクはこれに課金をしてしまったのか。

なんにしても課金(購入)するものは、コンテンツ全体を1パッケージとして捉えたいという心理が働いている。読み物ならば、商品として成立するのは頭から最後まで読み終えたとき。

この心理が働くが故に、課金する。

ならば、著名人という圧倒的なアドバンテージのない素人(noter)は、肝心な部分を有料にして隠してしまってはならないのではないか。課金せずに読めるところがただのイントロダクションでは信者か情弱以外は、商品として成立させる前にそこでUターン、回れ右となるのが目に見えて分かっているから。

つまり無料部分こそ、全力を注いでクリックしてもらえるようにしなければならないのだ(お節介おじさんの意見)。

本当は、“アレ”と“ARE”をむさぼるように見たいけれど、見れなくともいい。

今回の99円。

“東大”と“ビキニ”

相反する何の関連もなさそうな2つの単語を組み合わせた無料のタイトルが、ボクの想像力を強く刺激した。

その時点で、
作り手に軍配が上がったのだ。

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