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Seasons of Love 日本、アメリカ、そして世界

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社会のこと、世界のことについて、徒然なるままに語ります。
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記事一覧

タイタニックと教室の片隅の小さな私

タイタニックと教室の片隅の小さな私

25年前に大ヒットした映画「タイタニック」のリマスター版を観てきた。
映画の懐かしい映像に触発されて、25年前の自分がどこで何をしていたのか鮮明に思い出すことができた。この映画が公開された1997年、一緒に映画館に足を運んだ当時の友達とは、今は誰一人連絡先も分からず、どこで何をしているのかも知らない。現在の私の親友たちとはもう長いつきあいだが、1997年の頃はまだ知り合ってさえいなかった。そう考え

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カワイイはもう古い

カワイイはもう古い

サンフランシスコに20年暮らしている友人が、先日、ラインで私にこんな話をしてくれた。

CNNなどのニュース番組で海外の諸都市を紹介するコーナーで、数年前から「ロンドン、パリ、ソウル!」と読み上げられるようになった。以前だったら「ロンドン、パリ、東京!」の順番だったはずなのに。いつのまにか東京はソウルに抜かされていたんだ。

今の韓国には経済や文化を含めとても勢いがあるから、ソウルが世界から注目さ

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逆カルチャーショックの話

逆カルチャーショックの話

カナダに永住している友人が今、日本に一時帰国し、数年ぶりに故郷の東京に数か月滞在している。彼女が感じた「逆カルチャーショック」の話を私にしてくれた。興味深い視点が多かったので、ここにシェアすることにした。

彼女が驚いたのは、この数年で大きく変わってしまった日本の価値観だという。彼女の目に映る今の日本は「勝ち組」「負け組」にこだわり過ぎているように感じるそうだ。たとえば本屋に行くと、仕事で成功して

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ハンバーガーには抗えない

ハンバーガーには抗えない

最近、夢中になっているTik Tokのチャンネルがある。アメリカ留学中の大学生の女の子が、現地の食べ物を次々に食べては紹介してくれる食レポ投稿だ。大学の学食から始まり、ファーストフードに、まあまあ良いレストラン。スーパーの総菜コーナーに、大学で無料で配られるちょっとしたスナック菓子まで、彼女の食レポは網羅する範囲が広くてとても面白い。私にとっては懐かしいアメリカの大学のキャンパスを背景に、そこで生

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ロンリープラネット、出版しました!

ロンリープラネット、出版しました!

電子書籍だからこそできる表現があります。 アメリカ西海岸の町、サンフランシスコを舞台にした小説「ロンリー・プラネット」を刊行しました。ITバブルとウクライナ戦争の影響で地価と物価の高騰が止まらないサンフランシスコで、アートに魅せられ、アートに生きることを選んだ熱い男たちの物語です。「現代において、アーティストは社会の最下層」であるという厳しい現実にもがきながらも、アートを通じて多様な人種・国籍の異

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ウクライナを想うとき、30年前の「アグネス論争」の自由さを思い出す

ウクライナを想うとき、30年前の「アグネス論争」の自由さを思い出す

先日、作家の友人が取材でウクライナに行き、とても良いインタビュー記事を書いてきた。ウクライナで芸能活動をしている人に世界の現状について意見を訊ねたものだ。取材相手が向こうの芸能人だけあって、政治家とも一般市民とも違った、とても興味深い角度から、しかも多角的に突っ込んだ記事はとても読みごたえがあり、素晴らしいと思った。

知人のよしみで私はその記事がメディア媒体に掲載される前に個人的に読ませてもらっ

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世界はイズムであふれている

世界はイズムであふれている

小説「ロンリー・プラネット」販売開始しました!
昨日、編集長から写真が送られてきました。私の原稿の校正作業の風景です。兵庫県にある小さなひとり出版社、白兎舎。はくとしゃ、と読みます。立ち上げたばかりの新しい出版社です。

私はこの会社から2冊目の小説を、単行本だったデビュー作とは趣向を変えて、電子書籍という形で出すことに決めました。タイトルは「ロンリー・プラネット」。アメリカはサンフランシスコを舞

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祖父はコックとして真珠湾攻撃に行った

祖父はコックとして真珠湾攻撃に行った

パールハーバーから今年で80年になると、先日のニュースが伝えていた。報道ステーションとnews zeroでは、生き証人とも言える御年103歳の元軍人、吉岡政光さんがテレビのインタビューに答えていらした。「人がそこにいると分かっていたら攻撃などしなかった。わたしたちは、ただ命令に従うしかなかった。ハワイにはあれ以来一度も行ってない」など、胸を締めつけられるような言葉が胸に響いた。

2400人以上も

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コロナの夏、いちばんの想い出~初めてのラジオ出演とおもてなし

コロナの夏、いちばんの想い出~初めてのラジオ出演とおもてなし

静岡県は伊豆で、ラジオ番組に呼ばれました!コロナで世界が大きく変わった2020年もあと4カ月で終わりですね。早いものです。関東地方はまだ暑い日が続きますが、夕方には鈴虫の鳴き声も聞こえてきたりして、秋は確実に近づいています。去りゆく夏を振り返ってみました。出版後初めて迎えた夏。5月に小説本を出してから、まるでキリスト教の暦みたいに、出版前はBC,出版後はADと、自分の心境が変化しました(笑)

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読者歴21年目の節目

読者歴21年目の節目

先日、漫画家の小林よしのりさんに拙著「おもてなし2051」を献本しました。

「ゴーマニズム宣言」で知られる小林よしのりさんの読者を続けて、はや20年になります。20年という数字に何か自分の人生の節目のようなものを感じたので、読者を始めた原点を振り返り、noteに綴ることにしました。20年前の自分が今に繋がっていることを思うと、色々と込み上げてくるものがあります。しばらく昔話におつきあい下さい。

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小林よしのりは、アメリカ人からどう見られているのか?

小林よしのりは、アメリカ人からどう見られているのか?

「よしりん先生」の愛称で知られる小林よしのりさんは、鋭い政治風刺とユーモアあふれる作風の漫画を長きにわたって描き続けていらっしゃいます。作品の中で小林さんはアメリカを批判し、アメリカに追従する日本政府を糾弾してこられました。その高いメッセージ性は時に読者の反感を買い、論争が巻き起こることも度々ありました。そんな小林さんの漫画をアメリカ人はどのように見ているのでしょうか? アメリカの人々の目から見て

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コロナ・ファシズム下の自粛警察を振り返ってみよう

コロナ・ファシズム下の自粛警察を振り返ってみよう

有名人の受難コロナ・ウイルスの感染者数が減り始め、日常も少しずつ戻りつつある今日この頃、この2カ月あまりを振り返ってみると、自粛を破った多くの芸能人がメディアで叩かれてきた。なかでも私が最も気の毒に思うのは、バイリンガールちかさんの炎上だった。

「バイリンガールちか」こと吉田ちかさんは、アメリカ育ちの英語力を生かして世界中を周る動画を配信している人気のユーチューバー。独身の頃は英会話レッスンやひ

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アジア人、コロナ、この国から出て行け!

アジア人、コロナ、この国から出て行け!

お笑い芸人の村本大輔さんが、ニューヨークの深夜の路上で罵倒されたというツイートが話題になっている。「アジア人、コロナ! この国から出て行け!」と叫ばれたそうだ。ヘイトを発したのは車椅子に乗ったお婆さんだという。村本さんのこのツイートに対して、私は以下のようなリプライをした。

「アメリカの障碍者は強いんですね。自分が車椅子に乗っていても他人を差別までする。日本の障碍者みたいに、ただただおとなしくす

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