和樂web Facebookの2021年を総決算——エンゲージメント率20%超の秘密を公開
どうも、和樂web編集部スタッフの安藤です。唯一の男性スタッフ(30代)でして、なぜか年配の男性から好かれるので、高木編集長に「じじ殺しの人格者」との肩書きをつけてもらいました。
さてそんなじじ殺しが主に担当しているのは和樂webのFacebook運用でして、2020年9月からいわゆる「中の人」をさせてもらっています。
Facebookといえばユーザー層の高齢化が指摘されていますが、実は和樂webは月間最大200万に及ぶサイト訪問者の約10%をFacebookからの流入が占めています。
これInstagram、Twitter、Tiktokなど、その他さまざまな音声コンテンツを含め各種SNSを運用する和樂webの中でもダントツの数字。
ここでは昨年1年間の和樂web Facebookの運用実績を紹介しつつ、運用に際して心がけている点などを公開(することでさまざまな方からのご意見やアドバイスを期待)したいと思います!!
2021年和樂web 人気投稿ランキング
和樂web Facebookのフォロワー数は、約83,000(2021年12月末現在)となっています。
以前の記事でも運用の方法を紹介していますが(詳しくはこちら)、現在も毎日2〜3回の投稿を継続しており、その内容は基本的に和樂webで公開された最新記事と、過去のアーカイブ記事の中からおもしろそうなものをピックアップし、【カッコ】でくくったタイトルと、50字〜100字ほどの紹介テキストを付け加えたものです。
2021年は毎月約80本、計997本の投稿を行いました。
そして、2021年最大の「リーチ数」を計測したのは↓↓↓の投稿。
基本的に和樂web Facebookでウケるのは、ちょっぴり下ネタと、江戸時代の刑罰を詳しく解説したような残酷系。このことは各投稿をジャンル分けした統計データからもかなりハッキリ出ていまして、この投稿も「遊女」というフレーズが刺さったと思われます。
しかし現在、和樂web Facebookはあまり「リーチ数」を重要視していません。
それよりも、フォロワーとの関わり合いやつながりを大切にしたいと思っています。
Facebookにおけるもっとも濃い「関わり」の形といえば、コメント。
2021年、最も多くコメントをもらった投稿はこちら↓↓↓の記事でした。
コメント数は205。
「ゆけ〜ゆけ〜デューク・フリード ゆけ〜ゆけ〜グレンダイザー」
と主題歌をコメント欄で歌う人が続出。さらに
「懐かしい~異星人が攻めてきたらどうしようと本気で思ってた笑」
とか、作品の思い出をコメントしてくれた方が多くいました。
何より、30代ゆえにこの作品を知らず、タイトルに【聞いたことない】と付けたことへのツッコミを多数頂戴しました(笑)。
続いて、コメント数ランキング第2位はこちら↓↓↓
コメント数は161。
「小学生だった半世紀昔、よく戦闘機のプラモデルを作りましたが、飛燕はそのスマートな格好良さに憧れたものでした」
「子供ころ、一番すきだった😆 次に、雷電」
とか
「パプアニューギニアで回収された飛燕がレストアを待っています」
といった情報を教えてくれる人も。
一つのコメントに対して、「〇〇という話もありますよ」「△△だったそうですね」といった感じで、コメント欄の中で会話がふくらんでいく様子がありました。
また、同じプラットフォームのSNSでありながら、Instagramでは伸びるけどFacebookでは伸びないという住み分けがかなりはっきり分かれていることも、和樂webのSNSの特徴でもあります。
平均12%、最大27%のエンゲージメント率
こうしたフォロワーとの「関わり」を数値化したものが「エンゲージメント数」。「いいね」やコメント、シェアの数などを総合した数字で、重要な指標の一つです。
企業ページアカウントでインサイト(集計)機能を使うと、任意で選んだ「競合ページ」と自社のアカウントを比較することができます。
2021年6月第3週の記録がこれ↓↓↓
1位から5位のアカウントは、ページへの「いいね」が100万を超えるテーマパークやコーヒーショップ、航空会社などの超有名企業アカウント。和樂web Facebookの「いいね」数は10分の1以下の約8万です。
一方で「今週のエンゲージメント」を見ると、和樂webのエンゲージメント数は10万。投稿数が多いとはいえ、10倍以上のフォロワーを持つアカウントに匹敵するか、それらを上回るエンゲージメントの数となっています(フォロワー数が増えるとエンゲージメント数が減るというのはセオリーなのですが、同規模のアカウントと比較しても3〜5倍の数でした)。
このエンゲージメント数をリーチ数で割った数値が「エンゲージメント率」(フォロワー数で割ることもあります)。この率から、リーチした人の何%がエンゲージしてくれたかという割合を知ることができます。
下の表↓↓↓は週ごとに集計した2021年のデータ。
飛び抜けて上がっているのは、先程紹介したリーチ数第1位の記事を投稿した週。週全体で19.96%のエンゲージメント率を記録しました。
また、同じ遊女に関する話題で、1投稿で27%のエンゲージメント率を記録した投稿もありました。
年間平均エンゲージメント率は12.63%。増減があるとはいえ、投稿した記事に対し、1年を通じて10人に1人〜2人は常になんらかのリアクションを取ってくれた計算になります。
「むかーし、むかし...」で始まるテキストは「読んじゃう」
和樂web Facebookの目的の一つは、サイトへのリンクをクリックしてもらうことです。ビジネスっぽい言い方をすると、サイトへの流入UU数を最重要KGIに設定しています。
ただ、リンクだけ貼って投稿しても「おもしろくないじゃん!」ということで、わたくし「中の人」が各投稿に毎回50字〜100字ほどのテキストを書き添えて投稿しているわけです。
(年間1000本投稿したということは、このために年間5万字〜10万字も書いていたんですね...小説家かよ)
2020年以前は200字以上書いていたこともあるのですが、Facebookの仕様上、スマホアプリではテキストの冒頭50字前後しか表示されないので、言いたいことを5~10字でまとめた【タイトル】も付けるようになりました。
この他にもいろいろなことを試してみましたが、2021年にいちばんはっきりとした効果として実感したのはこれ。
投稿テキストを「昔話」みたいにするとエンゲージメントが激増する
ということ。たとえば、↓↓↓
「配信スコア」という部分を見ていただきたいのですが、いずれも通常のスコアよりも3~4倍上昇しているのがわかります。
もちろんサムネなど、テキスト以外の要素も関係しているはずですし、これ以外にも高い上昇率を示した投稿は多々あるのですが、中の人の感覚としては、
「昔話形式」にすると、やたら伸びる。
過去の投稿を、テキストだけお話形式に変えたところ上昇率が上がったというケースもありました。
こども食堂での体験と出川イングリッシュ
そもそもFacebookに限らず、現代人のSNSのタイムラインには情報が氾濫しまくっています。そんな中で、どうやってコンテンツに目を留めさせて、「もっと読みたい!」「詳しく知りたい!」と思わせるか——。
たとえとしては不適切かもしれませんが、わたくし実は仲間と一緒に地域で「こども食堂」を運営していまして(こういうことにも自由に時間を割けるのがフリーランスの魅力)、幼稚園児〜小学校低学年くらいの年齢の子供たちがワイワイガヤガヤしているとき、すみっこで「むかーし、むかし...」って絵本を読み出すと、子供たちの意識が「!!!」ってなるんですよね。「はーい、しずかにしてねー!」って大きい声出すより、楽(笑)。
1人が近くに来て座ると、もう1人もう1人ってどんどん集まってきます。周りでワイワイしている子もたぶん耳だけは聞いてる感じ。これって、大人も結構一緒なんじゃないかなと。
なんていうか、「むかーし、むかし...」で語り始められると、どこか無視しにくい。子供たちのようなリアクションはせずとも、耳が向いちゃう感じ。
数秒聞いて、あるいは数十字読んで「ああ、なにか昔話が始まるのだな」と認識した時点で、もう脳内に絵を描かされている。いわば半分以上その世界の中に引き込まれてる。聞いたことないお話であればなおさらで、「続きは?」って聞きたくなる。
余談ですがこれって出川哲朗さんの適当英語「出川イングリッシュ」と同じな気がするんです。
小さい日本人からこんなふうに話しかけられて「はあ?」って思った瞬間、もう相手は出川イングリッシュの世界の中に引き込まれちゃってる。
「ちょっと尋ねてもいいですか?」と前置きするよりも、
っていきなり聞いたほうが、相手の返事を得やすいことは同番組でもたびたび紹介されています。
50~100字ほどのテキストで人の注意を引こうと思うと、過激な言葉を並べたくなるんですが(実際に和樂web Facebookでも下ネタ系の言葉をよく使うのですが笑)、「昔話」の語り出しって想像以上のパワーがある。
単に情報に触れるだけより、エンゲージメントの「深さ」が違う気がします。深くエンゲージしてくれているから、リアクションも得やすくなる。
マーケティング的に言えば、
情報よりもストーリー
ということなのかもしれませんが、漫画でも動画でもない和樂web Facebookはサムネとテキストの一本勝負。しかもSEO的な文章に嫌気がさしている人も多い(自分自身を含め)。じゃあどうやってストーリーを読ませるか?
という状況の中で、和樂web Facebookの中の人は「昔話フォーマット」が結構アリなのでは——と自信を深めているわけです(もちろんライターさんの記事自体の面白さがあってのことですが)。
記事そのものの都合もあるので連発はできませんけどね。
まとめ | 数値化できない空間と台湾カステラ
2021年前半には、まだ「どうやってフォロワーを増やすか」「より多くリーチするには」といった点に焦点を当てて運用を行っていました。
しかし、「このアカウントの価値は何か?」と考えてみると、フォロワーが数百万にもなる巨大アカウントになることよりも、より密にフォロワーと関わるというか、運用側も一緒にキャッキャ言って楽しめることのほうがより大きな価値を生むように感じます。
かといって、内輪だけで盛り上がっているクローズドな空間というのも違う。
ではどんな空間=アカウントになるべきか?
と考えた時、
地元のお客さんが集う明るいカフェ
のような空間がいいなと感じます。
コアな常連さんだけでもないし、駅ナカのチェーン店とも違う。お客さん同士、あるいは店員さんともゆるーい顔見知りのような空間。基本ほっといてくれるけど、話しかけて盛り上がることもある。来てもいいし来なくてもいい。だけどいつでもオープンで、食べたいもの・飲みたいものはいつもちゃんとそろっている。大きすぎず、小さすぎないお店。
そういう空間ってイメージはできるけど、数値化できなくない…?
そう、数値化できなくていいと思います。
「むかーし、むかし」の言葉の魅力だって、きっと数値化はできない。そんなゆるふわっとした空間が持つ価値とか魅力って、むしろこれから上がっていく気がするんです。
データを紹介した割に台湾カステラみたいにふわっふわの結論ですが、そんなふうに今後も運用していきたいと思っています。今年も1年よろしくお願いします。
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