見出し画像

【歌い手編27】ベルカント唱法の発声法を教えて その2(音域の拡げ方 編)

今さら聞けない歌い手お悩みあるある27

1.音を純粋に発声すること

昔のイタリア人の訓練手順は「母音を明瞭に発音する事」が優先されました、ベルカント唱法ではまず「音を純粋にする術をマスターする」と言われます。その上で先の「母音の明瞭に発音する」についても「声が鼻に抜けたり、喉に詰まったりする事なく、常に整って鮮明に出ているか否かに最大の注意を払う事」と言い換えます、つまり鮮やかな音と鼻声と喉声を明確に認識する事、できるようになる事が大切です。

ここで注目したいのは発声構造なのですが、実際の発声法は無意識の分野で筋肉が動く為、歌い手が意識できません(無意識に呼吸するような感覚と一緒です)。例えば『輪状甲状筋』などは意識的に動かせません。本書の例として「声帯を1秒間ごとに256回ずつ震わせてごらんなさい、そうすれば中央のハの音が出ますよ」という例が出されていましたが、そう言った身体的な状態から音を合わせる事は不可能でも、自分の"意識"で中央ハの音を出す事は可能なので、そこから"身体的な状態を合わせる"事は可能です。明確に母音に意識した母音の改良こそが、筋肉の脱力に意識が向かなくなり、その結果、声帯そのものの改善に健全で有益な身体的調節を作り上げる事ができます。

2.声区融合の組み合わせ

胸声(チェストボイス)と頭声(裏声)が融合することを声区融合と言いますが、ベルカント唱法は2声区理論で話が広げられています、その改善すべき声のタイプとして5つご紹介します。自分自身の声がどれに当てはまるかをみてみると良いと思います
1, 各声区が十分に発達し滑らかに結合し完全な対等関係にある状態(発声技術の理想)
2, 聴いてギャップを持ちながら共につかわれている状態
3, ファルセットのみで胸声が除外されている"好ましくない状態"
4, 胸声ののみでファルセットが除外されている"好ましくない状態"
5, 各声部が発達,純化されてなく最初から結びついている"もっとも好ましくない状態"

1,2については望ましい状態については耳には心地よくゆったりしてきこえるが,中声域や低声域では無理をしないと増幅も減少もできない、高音が出なくなる、ヴィブラートが揺れ声になり、短い呼吸をくり返すので音質も張りつめてしまうということから好ましくない状態です。4,5は好ましくない状態になります

3.誤った声区の修正方法

実際に二つの声区を融合していく手順としてはまず、それぞれの声区を別々に練習して強化させて融合させる方法が取られます。

チェストとファルセットの両声区の融合方法はブレイクポイント(声がひっくり返る部分)を見つけてなじませていきます。自分の限界よりも4.5音ファルセットでも、チェストでも声が出せるようにします。

4.高い音や低い音など音域の広げる方法

高音は頭に突き抜ける意識、低音は胸を響かせる意識を持たせます、その上でチェストボイスでの今の段階の最高音と最低音を自分自身で認識してください

『ハ』で最高(最低)音の1音の音を3回押して発声します、そして4回目はそこよりも半音高い(低い)音を発声します。これを繰り返します

この時に出来るだけ、脱力して力が入っている部分の力を抜く努力をしていきます。あごの下、喉周り、お腹周りなど力んでると思う部分を直接動かすのもオススメです。最初は出る所から、段々とその音を使える音にしていきます。

NEXT⇨【歌い手編28】ベルカント唱法の発声法を教えて その3(音感向上のコツと揺らぎ 編)

===============

いかがでしたでしょうか、少しでもお役に立ったらよかったら♡マークの応援よろしくお願い致します。ちゃぺのnoteでは公式LINEで音楽活動や歌に関する悩み相談をお待ちしています。全てに返信できる訳ではありませんが、なるべく返信を心がけています

公式LINE https://lin.ee/uR3Bddp

画像1

Twitter:@chape_game

Youtube:ちゃぺちゃんねる

参考文献:茨城大学 コーネリウス・L・リードのベル・カント唱法の音楽科教育導入に関する考察
ベル・カント唱法―その原理と実践 単行本 – 1986/12/1


音楽を目指す皆様のお役に立てる様に今までの知識をフル稼働させて仕事の合間に運営しています。頂いたお金は音楽制作その他今やっている企画の活動費に当てさせて下さい。