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お金2.0読了レポート

お金や経済とは何なのか?
それを探るための思考の跡が書き綴られている。

未来の方向性を決めるのは、お金(経済)、感情(人間)、テクノロジーである。

経済とはネットワークそのもので、人々は各々の欲望・欲求で動く。現代社会の要望を大別すると、本能的欲求、金銭欲求、承認欲求にわけられる。つまり、これら欲求を満たす仕組みを作ることで経済が成立する。

持続的かつ自動的に発展する経済システムの基本的な要素は5つある。

・インセンティブ
参加者の報酬が明確であること。
3M(儲けたい、モテたい、認められたい)が欲望として強い。

・リアルタイム
時間によって状況が変わることを参加者が知っていること。

・不確実性
運と実力の両方の要素があること。

・ヒエラルキー
指標が可視化されている(偏差値、年収、順位など)こと。ただし、リアルタイム、不確実性を担保するために新陳代謝を強制的に促す仕組みを組み込む必要がある。

・コミュニケーション
参加者同士が互いに助け合ったり議論したりする場があること。

さらに、持続性、安定性をもたらす2つの要素がある。

・経済システムの寿命を考慮
長期間の運営により階層が固定化されるから、寿命がきたら別のシステムに移る選択肢を用意すること。

・共同幻想
参加者が共同幻想を抱いているとき、システムの寿命は延びる。利害がぶつかり合っても同じ思想や価値観により譲歩できる可能性が高まる。

経営者にはこれらの要素を理解し、よくできた経済システムを作ることが求められる。

自然と経済とは根本的なところで似ている。だから自然というものについても考察する必要がある。

自然がバランスよく成り立つ要因は基本的には3つある。

・自発的な秩序の形成
誰かがルールを決めているわけではない。

・エネルギーの循環構造

・情報による秩序の強化(DNA)
選択の可能性があること。この情報が企業でいうところの理念、ビジョンに当たる。


自動化と分散化が混ざって起こる自律分散というコンセプトが次世代の成功モデルである。個々の存在がバラバラに行動しているのに、全体では上手くバランスが取れている状態をつくりだすことが求められる。ex.ビットコイン、インターネット、自然界

このようなテクノロジーによって経済の民主化が起きている。
今後はお金そのものには価値がなくなり、いかに経済圏を作れるかが重要な時代になる。

お金からお金を生み出す経済=資産経済という。世の中に流通するお金の9割は消費経済ではなく資産経済で生まれる。
価値媒介の手段がテクノロジーによってお金だけではなくなり、お金の価値が相対的に下がる。
データや人材が企業の持つ価値として大きいものになっており、財務諸表から企業価値を判断することは現実乖離している。
可視化された資本ではなく、お金などの資本に変換される前の価値を中心とした世界になる。(価値主義)

つまり、お金そのものの価値は相対的にどんどん小さくなってきている。

価値には3種類ある。

1.有用性としての価値
資本主義がメインに扱う価値。

2.内面的な価値
個人の内面的な感情と結びつけて使われる。

3.社会的な価値
個人ではなく社会全体の持続性を高める活動など。ex.NPO

資本主義の問題は1.のみを価値として認識している点。これを解消した価値主義が今後の主流になってくるだろう。

市場経済と民主政治とは補い合い、バランスをとっている。多くの人に価値提供するビジネスは公益性を帯び、民間組織が政治的問題を解決しようとするとビジネスとしての持続可能性が求められる。つまり、経済と政治との境界が曖昧になる。

マズローの五段階欲求でいう、最上級の自己実現欲求のさらに先の欲求である、社会全体の自己実現を助けたいという利他的な欲求が生まれてきている。

株式会社は理念を掲げて社会的な価値を追求する。宗教は内面的な価値を取り込み経済を形成する。経済と宗教の境界線は消える。

広義での経済というものの存在感が薄れ、個人が経済を作り、あるいは選択して生きていく時代。この中では如何に個人としての価値(価値主義としての)を高め、経済ネットワークの中で強みを発揮できるかが肝となる。

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