「ライオンキング」鑑賞

2019年8月26日、京都二条駅前BiviのIMAXシアターにて鑑賞。

アニメーション版の「ライオンキング」も十数年前(か?)に劇場で鑑賞した。

その時の感想は「ストーリーには見るべきものはなかったが『ティモンとプンバ』のキャラクター造形は良し」と言うものだった。

今でもその記憶は鮮明にあって、今回の鑑賞でも過度な期待は一切しなかった。

フル3DCGによる映像はただただ美しい。

そして、子供や視覚技術に疎い人間が見たら実写と見紛う映像の最先端を体験するチャンスではある。

ストーリーは前作のまま(というか、同じ話である)。

スカー(ヴィラン)の末路はこうだったっけ?となる。(あまり覚えていないし、確かスピンオフストーリーもあったような気もする)

見ながら気になった点。

・表情の付け方のリアリティラインはこれで良かったのか?

アニメ調のデフォルメした仕草や表情が一切なく、しかし口の動きは人間のそれを完全にトレースしているので、監督(というかディズニー?)の本作でのリアルラインの設定が常に気になった。

「野生の王国」や「ナショナルジオグラフィック」などの野生動物の盗撮風と見るべきなのか、セルアニメーションの究極の進化系と見るべきなのか、こちらのポジションが決まらずに座りが悪かった。

・「僕は一体何を見せられているのか問題」

スクリーンを見ていると、ストーリーを追うことよりも哲学的な問題に思考がついつい切り替わって、話が入ってこない。と言っても単純なストーリーなんだけど。

それは、この完全すぎる映像表現は一体なんなのか?どう見るのが正しい鑑賞姿勢なのか?という問題がついつい頭をもたげてくること。

単純に前記のような「デフォルメ表現なし」のフル3DCGの制作意図は?ということなのだけれど、未開の地の人にこの映画を見せたとしたら絶対に実写だと言って聞かないと思うのだ。

製作者はそれがしたかったのか?

アニメーションの歴史を正しくは語ることはできないが、この「ライオンキング」での表現技法はアニメーションのカッティングエッジなのは間違いないことだと思うのだ。

しかし、そこで表現されているのはとことんリアルな自然界の物語で(ストーリーがリアルだと言っているわけではない)デフォルメやアニメションならではの表現というのはほぼ無い。

もちろん制作過程にはリアリティラインの置きどころに関する話し合いもあったに違いないが、最終的には完全にリアル方向に振り切った表現になっている。

鑑賞中終始そのことが「なぜ?どうして?」と気になって仕方なかった。

これはある意味褒め言葉でもあって、今後この類の映画が増えてきて当たり前になった時には笑い話や当時の思い出話になるようなエピソードなんだとは思う。

・音楽のピッチが気持ち悪かった

ディズニー映画に限ってそんなことは絶対にないと断言できるのだけど、ミュージカルシーンでのヴォーカルのピッチが微妙にずれているように感じて、これもやはり最後まで気になってしまった。

特に「ハクナ・マタタ」の最初のプンバのパートのずれが気になった。

いや、こっちの耳が悪いに決まってるんですよ。でも、気になった。

しかし、IMAXシアターで観る映画はあまりハズレがないのも事実。

これだけ文句を書きましたが「観るべきではなかった」とは一切思いません。

むしろ家庭のテレビで観ることにはあまり意味のない映画なんじゃないかと思います。

是非劇場で鑑賞してください。

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