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翠ジンソーダは、なぜ流行っているのか?【味わい編】《ジン③》

■ジンブーム 2つの理由

◇ジンブームの理由
 ① 「クラフトジン」からのブーム
 ② 「翠ジンソーダ」からのブーム

「クラフトジン」については、前回解説しました!

クラフトのお酒ブームの中で、なぜジンは特に流行っているの?《ジン②》 | 記事編集 | note

今回は、「翠ジンソーダ」からのジンブームについて、ご紹介します!


■翠ジン

翠は、サントリーから発売されているジンです。
サントリージン 翠 SUI (suntory.co.jp)

今は、コンビニなどで「翠ジンソーダ缶」も売られていますから、一番目にする「ジン」と言っても過言ではないと思います。

では、このよく見かける「翠ジン」は、なぜ売れているのでしょうか?

■翠ジンが売れている理由

チャーリー分析としては、3つの理由があると思います。

◇翠ジンが売れている理由
 ①   味わい
 ②   ジンソーダという飲み方展開
 ③   第3のソーダ割りとしての存在


■《理由①》翠ジンソーダの味わい

翠ジンは、それまでのジンとは、かなり香り・味わいが異なっています。

比較のため、まず、一般的なジンの香り・味わいについて、解説します。

ジンは、元来、ジュニパーベリーという「針葉樹の果実」で、必ず味つけされているので、独特のボタニカルの香りがあります。

このジュニパーベリーの香りは、ジンに飲み慣れてくると「爽快」と感じる香りなのですが、最初は「ムムッ!」と感じる『ジン独特の香り』です。

ジュニパーベリーとは、ジンに独特な香りをもたらすハーブ! その特徴や効能、魅力、たのしみ方などを紹介|たのしいお酒.jp (tanoshiiosake.jp)

「一飲は、百聞に如かず」なので、伝統的なロンドンドライジンの代表選手『ビーフィータージン』を飲んでみれば、最初は「ムムッ!」と感じる『ジン独特の香り』がわかると思います!

ビーフィーター ジン40度 700ml瓶 商品情報(カロリー・原材料) サントリー (suntory.co.jp)


一方で、翠ジンです。

ジンですから、もちろんジュニパーベリーで味つけされているわけですが、翠ジンに鼻を近づけると、『柚子』の香りを一番に感じます。
この「柚子の香り」が、翠ジンのフレーバーの最大の特徴だと思います。

「あれ、これって柚子酒?」ってくらい明確にわかる香りです。

翠ジンは、ジュニパーベリーなどの伝統的なボタニカルに加え、和素材が主に3種加えられています。

◇翠ジンの和素材
 ・柚子
 ・緑茶
 ・しょうが

翠のこだわりとは? | サントリージン 翠 SUI (suntory.co.jp)

正直なところ、「緑茶」と「しょうが」はパッとは感じられないのですが、「柚子」は簡単に感じ取れます。

実はこの柚子の味つけでは、裏技的なこだわりがあり、単に「柚子を使いました!」という簡単な話ではないそうです。

3パターンで味つけをした柚子のスピリッツをブレンドしているとのこと。


■3つの柚子フレーバー・スピリッツ

◆柚子浸漬酒
柚子そのものをスピリッツに漬け込む。
いわば梅酒をつくるのと一緒。
柚子の果汁感・ジューシー感が引き出される。

◆柚子蒸溜酒
スピリッツに柚子を加えてから、ポットスチルで蒸溜する。
イメージでいうと、モルトウイスキーの再溜(2回目の蒸溜)の際に、釜の中に柚子をぶっ込んでから、蒸溜する感じです。ある意味、一番メジャーなジンのフレーバーづけの製法。
柚子の上品な香り立ちが、取り出される。

◆柚子 凍結粉砕 浸漬酒
柚子を丸ごと凍結した後に粉砕してパウダー状にして、スピリッツに漬け込む。
サワーの-196製法みたいな、「生果実を搾ったのでなく、果実を丸ごと凍結粉砕しました!」という製法です。
果皮なども丸ごと入ることから、柚子の苦みが加わる。

《-196製法》
-196℃製法(FCI製法)とは、なんですか? サントリーお客様センター (suntory.co.jp)

ぬぬ。柚子フレーバーへのこだわりが、ハンパない!
そりゃ、「柚子の香り」が特徴的なわけですね。

逆にいうと、苦手な方もいる「ジュニパーベリーの香り」を、あまり感じとることができないので、
今までのジンの概念を覆すような、爽やかな香り・味わいのジン
という特徴を打ち出すことができています。

なので、「今までジンは苦手でした」という方でも、「翠ジンは飲める!」ということも起こるわけです。


■《理由②》ジンソーダという飲み方展開

ジンの飲み方といったら、やっぱり「ジン・トニック」が一番有名でしょう。
ジンを、トニックウォーターで割ったカクテルです。

◇トニックウォーターとは
イギリス発祥の清涼飲料水。炭酸水に糖分やレモン、ライム、オレンジなど柑橘系果物の皮やハーブのエキスなどを加えた、ほんのりと甘みや苦みを感じるすっきりとした味わいが特徴。

トニックウォーターとは?味やおいしい飲み方について解説! | クラシル (kurashiru.com)

ジンをトニックウォーターで割ることで、飲みやすくなるわけですが、トニックウォーター割りのデメリットもあります。

◇トニックウォーター割りのデメリット
A)トニックウォーターがなかなか売っていない
B)ベース・ジンの味わいを隠してしまう

ソーダってコンビニでも売っていますが、トニックウォーターって売っていないですよね?
居酒屋さんでも、お酒のソーダ割りは対応してくれても、トニック割りを対応してくれるお店は、ほとんどないでしょう。
本格的なBARでないと出会えない炭酸飲料、それがトニックウォーターなのだと思います。

一方で、フレーバーが添加されているトニックウォーターでジンを割るわけなので、正直なところ、
「ジンの銘柄の違い」
よりも、
「トニックウォーターの銘柄の違い」
の方が、飲み手に与える味の影響は大きくなると思います。

一方で、翠ジンで展開している「ジンソーダ」という飲み方。

ソーダはお家でも飲食店でも、すぐに手に入ります。
そして、ジンを、ソーダで希釈しているだけなので、ジンの味わいをダイレクトに感じることができます。

その時のベース・ジンが「柚子の香りが特徴的な翠ジン」であれば、ほのかな柚子の香りを感じる「爽やかな炭酸飲料」となり、
『今まで飲んだことのない爽やかな味わいのジン!』
として、飲み手にインパクトを与えることになるわけです。

また、一般的に、ジンのソーダ割りは、「ジンリッキー」というカクテル名で、提供されることが多いです。
(正式には、生ライムを入れないといけないのですが、居酒屋とかではライムなしのソーダ割りを、リッキーとしている場合も多いです。)

「翠リッキー」ではなく、「翠ジンソーダ」というど直球のフレーズで展開したのも、わかりやすくて、受け入れられやすかったのではないでしょうか?


■《理由③》第3のソーダ割りとして飲食店からの情報発信

次回に続きます!

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