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娘の父親

私は彼にもうとことん傷つけられたのかもしれない
彼になら傷つけられてもいいと思ったのかもしれない

そのくらい好きな人だった
大好きな人だった
彼との子どもが欲しい
そう初めて思った人だった

ずっと一緒にいたい人だった
信じたかった

友達や親にどれだけ反対されても彼を守りたかった

方向性が違う
そう気づいても彼と一緒にいたかった
別れたくなかった
なんとかして一緒に進める道を探したかった

心から愛したい愛し尽くしたいと思っていた

でもそれは叶った
私は彼を愛したし、満足するまで愛し尽くすことができた

そして気づいた
私は尽くすタイプじゃないってこと
私はお姫様になりたかったんだ
私は女王さまになりたかったんだ

彼と付き合って
私は自分が大事にされたいってことに気づき
それを許すことができた

娘ができて私は自分を一番大事にしようと決めた

そこから彼とは別の道を歩むことになったように思う
私は彼と付き合うために無理していた
それに気づかないくらい自分の気持ちが見えなくなっていたのだけれど

そのことに彼が気づかせていってくれた
私はどんどん自分に戻っていった
自分に戻っていくのと同時に彼への不満が募っていった

本当の私に戻っていくと
彼とは一緒にいられないと感じるようになった

私は本当の自分をずっと受け入れられなかった
愛さないと愛されないと思っていた
尽くさないと大事にされないと思っていた
間違っていたんだ

彼が教えてくれた

そして最後彼はすごく高い崖から私を突き落とした

もう二度と彼への思いが戻らないくらいの衝撃を
私に与えた

つい戻ってしまいたくなる私への
愛なのだと
私は思う

人生は完璧なのだ
寸分違わず完璧なのだ

そう思う

だから、心配せずに進めばいい
そう思う

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