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宇治茶とマンガのルーツがある、京都・栂尾の高山寺へ

鳥獣戯画(ちょうじゅうぎが)という、ウサギやカメが描かれた絵巻物を知っていますか?今回紹介するのは、その絵巻物を所蔵し、お茶にも関わりのある高山寺です。京都・栂野という山深いところにあるお寺です。


高山寺が所蔵する、ナゾだらけの絵巻

高山寺は、1206年の鎌倉時代に明恵(みょうえ)さんによって開かれました。
明恵さんは宗派を問わず交流をしていたので、多くの人が集ったお寺だったそう。そういうことも関係しているのか、多くの文化財が残されていて、世界文化遺産にも登録されています。

代表的な文化財として、紹介したいのは、鳥獣人物戯画絵巻(ちょうじゅうじんぶつぎが)という、高山寺に伝わる甲・乙・丙・丁の4つの絵巻物。一番有名な甲巻は、擬人化したウサギやカメなどの動物が描かれています。

高山寺・石水院内で鳥獣戯画のレプリカを見ることができます

この絵巻物は、平安時代から鎌倉時代にかけて、複数の絵師たちによって描かれたもの。わかっているのはその程度で、誰が、何のために描いたのかは謎。そんなことがわからなくても、心が引き寄せられる絵巻物はミステリアスで魅力的です。

鳥獣戯画は、右から左へ動いていく絵巻物であるため、マンガやアニメーションのルーツであると言われることもあるそう。以下のNHKサイトで甲巻が閲覧できます。興味のある方は、見てみてください。

お寺とお茶の関係

高山寺はお茶発祥の地としても知られています。お茶を広めるきっかけを作ったのは、臨済宗を日本で開いた栄西さん。栄西さんが中国から持ち帰ったお茶の種を明恵さんに渡したことがはじまりです。

明恵さんは、高山寺の境内でお茶の苗を育て、宇治に広めました。その影響力は宇治茶として今も受け継がれています。また、お茶の効能に着目し、修行中の僧侶たちに眠気覚ましとしてお茶を勧めていたそうです。

なぜ僧侶がお茶栽培に取り組んだのかという疑問についても、当時の中国で行われていた僧侶のお茶を飲む儀式「茶礼」が影響しています。栄西さんはお茶の種や栽培方法だけでなく、茶礼も日本に伝え、お寺においてお茶は欠かせない存在となりました。

特別拝観でお茶摘み&茶室へ

訪れたのは5月。京都市の観光協会が主催している特別拝観で、通常非公開になっている茶畑と茶室を特別に見ることができました。

茶園

お茶の管理はお寺では手に負えないため、地元の方にサポートを受けながら手入れされているとのこと。高山寺は日本最古の茶園とも言われています。どこか最古なのかについては諸説があるようです。
お茶の木をDNA鑑定した結果、中国の古い品種に似ていることがわかったという興味深い話も耳にしました。

遺香庵

遺香庵という昭和初期に建てられた茶室も見学。その後、別の場所でお抹茶とお菓子もいただきました。高山寺は、紅葉の時期が有名ですが、青もみじもとても美しかったです。

石水院からの眺め

夢日記を40年も書き続けた明恵さん

鳥獣戯画と宇治茶といろんな逸話が多いお寺ですが、もう一つ紹介したいのが、明恵さんの夢日記です。

明恵さんは、19歳から40年間も夢日記を書き記していました。自らが見た夢を、自身に向けられた宗教的なお告げとして、日々の修行に生かしていたそうです。

夢日記の中には、心の中に秘めておきたいのではと思ってしまうような、女性との気恥ずかしい夢も。でも、それもまた人間らしく、真摯に修行に向き合っていたのだと感じるものでもありました。

訪れた際には、夢日記は展示されていませんでした。2021年に東京都国立博物館で行われていた特別展 「国宝 鳥獣戯画のすべて」見かけました。

高山寺の床の間に飾られていた愛嬌のある子犬

訪れる際には

高山寺へは、京都駅からバスで約1時間ほどかかります。山の中に位置しており、バスの本数はあまり多くありませんので、時間的な余裕を持ってお出かけください。境内は広く、山の中にあるため、スニーカーがお勧めです。
表参道の入口は傾斜が比較的緩やかです。

京都 栂尾山 高山寺
拝観時間 |8:30-17:30
石水院拝観料 |1000円 ※秋期入山料500円
アクセスはこちらをご覧ください。

茶畑と茶室を見学できる特別拝観に興味のある方は、下記サイトをチェックしてみてください。

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