結婚式場を決めるその前に、読むべきアドバイス

はじめに

消費者契約は自由契約であるため、双方が納得の上で契約するのであれば何ら問題ない。ただし、現状では式場が圧倒的優位に立つような仕組みになっていると感じたため、消費者側の知識向上と対策の検討を計る目的で筆をとった。本文書に書かれている内容は筆者の実体験に基づいたものであるが、特定の他者を攻撃する目的ではないということを明示したい。

式場の基本戦術

期日や回数を限定することで特別感を出し、(見方によっては)消費者の脳を錯乱させて契約を迫る。

実際にあった手法

1.式場の見学に行ったときに「今日中にご契約いただければ 20万円値引きさせていただきます。」という “当日限定値引き” によって勧誘された。加えて「通常は皆様、多くて 1〜3箇所の見学で決められてますね。」という “赤信号皆で渡れば怖くない” 作戦によってさらに契約率を高めているようだった。この手法は、見学に行ったほとんどの会場で採用されていた。

2.式場の見学に行くと、ほぼ毎回挙げたい式の規模での見積りを出してくれる。しかし、基本的にこの見積りは “最小価格” だと思って良い。どんなにケチってもこの最小価格を下回ることはないし、よほど意志がはっきりしたカップルでなければ 50万円〜200万円くらいは上がると思って間違いない。どういった部分で価格が釣り上がるかというと、主に会場の装飾品(テーブルごとに置く花やテーブルクロスなど)、ゲスト関連の食事、引出物(引菓子)、しきたり品、それから音響・映像関連の費用だ。なぜ見積りが ”正しくない" かというと、いったん契約して一定の期日を過ぎてしまえばキャンセル料(通常、数万円〜数十万円)をとる契約になっていたり、ゲストの顔を想像する段階に入ってしまうとその費用を節約しにくくなってしまうため、先に契約だけ済ませてしまおう、という魂胆だろう。営業や心理学の世界では、”フット・イン・ザ・ドア” と呼ばれる有名なテクニックである。

3.俯瞰的な見積書から詳細なプラン内容の検討に入った段階で、より高額なプランを提示されることがある。なぜこのタイミングかというと、前述の通りもう後戻りできない状況であるということと、何度か高額な金額を目にするうちに、その上がり幅が大したことないと錯覚してしまう現象が起こるためである。例えば、あなたが 200万円の車を買うとしよう。消費税は令和元年6月現在 8%である。したがって、16万円の消費税がかかる。さて、これに +4万円でカーナビが付けられるとする。実際に日常で千円、二千円の勘定をしていれば、4万円というのは非常に高額である。しかしこの文脈では、4万円のカーナビが安く感じられないだろうか(カーナビが 4万円というのは確かに破格ではあるが)?それと同じことが連続的に(花や食事、飲み物など、一つずつ検討していくのが通常だろう)行われるのである。

4.自分の稼いだお金を超えた範囲の出費により、消費が大胆になる。結婚式や披露宴をあげるカップルの多くはまだ財布も別々だったり、家庭によっては親がいくらか援助してくれたり、場合によってはブライダルローンを組んで支払いを行うということもあるだろう。つまり、部分的に自分の稼いだ金ではない金で式をあげることになる。基本的に人間は自分の稼いだお金であれば、計画的かつ合理的にコントロールできる。しかしひとたびその制約がなくなると、途端にそのタガが外れてしまうのである。例えば、クレジットカード、奨学金、仕送りなど、誰にでも使いすぎたという経験はあるのではないか?そういったところで、ついついプランを上げすぎてしまう可能性があり、危険である。

5.「撮影は無料でしますので、もし映像を見てみて良かったらご購入ください」という手法でセールスにあった。当初は「どうせ買わないけど、無料なら撮るだけ撮ってもらおうか」と思うのだが、巧妙なのはゲストに対しての思いを利用するところである。どういうことかといえば、映像の中にゲストのコメントやメッセージを含めるのだ。当然、新郎新婦はそのコメントやメッセージを当日目にしていない。ゲストがせっかく考えてくれたコメント、メッセージをなかったことにしてしまうのはしのびない、ということで、購入を促す仕組みになっていた。販売を始めた段階で編集も終わって媒体に焼き上がっているはずなので、期日など付ける必要はないはずなのだが、比較的短い期日で決めてくださいと煽ることで、挙式の費用感に頭が染まった状態で映像の価格を目にすることになり、安いと錯覚してしまう効果も上乗せされていた。

よく聞くが実際にはあわなかった手法

「人生で一度きりですので」という文句でのセールス。人生一度きりでないカップルが増えていることを踏まえてなのかそうでないのか、セールスはおろか「人生一度きり」という言葉すら出てこなかった。


対策

いくつか有効だった考え方や取り組みを列挙してみる。

1.どういう式を挙げたいか、式場見学の前に2人(またはご家族の交えて)で話し合っておく。具体的に「こういう式がいい!」というイメージがあれば、見学の段階でそのイメージを伝えることで、見積りにも反映される。その際に、メモや音声録音がされていると、もし式場側が “意図的に” 見積りに反映していなかったときに 2人にとって有利になる可能性が高い(筆者は弁護士資格を有していないため、断定することや法律相談には乗りかねる。一般的に証拠が提示できれば有利になる可能性が高い、という点で書いている)。

2.見積りの取得時「このプランは皆さんアップグレードしていますか?」という質問をする。相手が詐欺師でない限り、見積りのプランがあまりにみすぼらしいものであれば答えてくれるだろう。相手が詐欺師の場合はやはり録音が有効であると思われる。

3.式の後の生活を 2人で話し合う。式の後で子どもが欲しいのか、家が欲しいのか、車が必要なのか、新婚旅行はどうするのか、など、具体的な費用が見えてくると、式に使って良い金額に歯止めが効くようになる。

4.後から料金が発生するタイプのものは、極力プランから除外する。「買わないのであれば無料」という言葉の裏に隠されているのは、「なんとかして買わせる方策を練り込んである」である。誰かの思いが無駄になったり、誰かへの迷惑がかかったりする場合もあるので、最初から買うつもりがないのであれば、極力そういったものは除外するようにした方が良い。

まとめ

何度見返しても、消費者側不利な状況になっていると思われる。筆者が体験した内容だけでこの量なので、日本全国の事例を集めれば、かなりの文量となることだろう。この文章が、これから誰かが幸せな家庭を作るための礎の1段になると幸いである。

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