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「百姓暮らし」でこれからの時代へのヒントを発信する たそがれ野育園代表”菊地晃生”さん

秋田県潟上市で、コドモもオトナも一緒になって生きる力を養う、たそがれ野育園を運営されている菊地晃生さんにお話を伺いました。

菊地晃生さんプロフィール
出身地:秋田県潟上市
活動地域:秋田県
経歴:大学で建築・都市計画を学んだのち、高野ランドスケーププランニング(株)にてランドスケープデザインに従事。2007年に帰郷、祖父の田畑を受け継いで就農し、妻とともに「ファームガーデンたそがれ」を立ち上げる。
現在の職業及び活動:不耕起栽培で育てた米と野菜の直販を中心とした米・野菜・加工品の販売をはじめ、2014年からは〈たそがれ野育園〉を主宰し農地での学び場づくりを行っている。たそがれ野育園の取り組みで第6回・環境省グッドライフアワード森里川海賞を受賞。
座右の銘:収量競争する従来の田んぼから、人が集い、つくること・食べることを共有する<共創・共奏・共想>田んぼへ

本来自分でできる仕事を自分の手でやっていこう

記者:菊地さん現在の活動の中心を教えてください。

菊地晃生さん(以下、菊地):現在"たそがれ野育園"といって、職業や年齢問わずどんな方にでも田んぼを使っていただけるような仕組みを作って、入園料をいただいて種まきから収穫まで手仕事でお米の自給体験をできるという場作りをしています。最近ではお米の自給体験だけでなく色々なクラスがあるのですが、基本的な考え方としては、本来自分でできる仕事を自分の手でやっていこうという百姓の暮らしの全体を伝えたいと思っています。

そしてゆくゆくは、学校にできるのではないかとも思っています。そして子どもたちの感性を養う教育をしたいです。
今は食べ物も添加物や農薬が多く使われているものもありますが、子どもは自分で判断して選択する事ができません。そんな時に意識ではなく人間そのもので生まれてきた感性を働かせることで、自分で判断ができるようになると思うんです。

記者:本来ある感性を養うことで、これからの未来を生き抜く力になっていきそうですね。

子ども達に何を伝えられるのかっていうのが考え方の基本

記者:どんな心の在り方や認識の変化が今の活躍に繋がっていますか?

菊地:子育てに向き合うことが、意識が変わっていくきっかけになったと思います。野育園を始めたきっかけも子育てでした。一度子どもを保育園に預けたことがあるのですが、その時にお金を稼いで誰かに子どもを預けるのではなく、それも合わせて百姓暮らしなのではないかと思い直したんです。それで田畑を食糧生産の場所というより子育ての場所という位置付けにして自分たちの手で育てることにしました。その後公開で野育園を始めました。
そうして子どもを育てていかないといけない、つまり自分以外の他者を育てていかないといけないという状況になった時に、自分がこうしたいっていうことよりも子ども達に何を伝えられるのかっていうのが考え方の基本になっていきました。

農業から学ぶところもあります。農業では作物が採れる時もそうじゃない時もあります。またその年の収穫物は次の年のタネである時もあるんです。だから農業の中で、結果というのはありません。全てが次のステージのプロセスになります。
そこから、僕個人がどうっていうことよりも、地域全体がどんな方向性にいくべきかとか、地球上で人類の役割っていうのがどこにあるのかっていうことを考えるようになりました。子ども達にもそういうことを伝えていくことが大事だと思っています。

記者:子育てや農業を通して、個人の人生を基準にする考え方から、子どもたちの未来や社会全体、地球全体を基準にする考え方に変わっていかれたのですね。

人間本来の、土とつながっている感性があれば、共存していける

記者:AIが活躍する時代に求められるニーズとはなんだと思いますか?

菊地:やはり感性じゃないでしょうか。人間本来の、土とつながっている感性があれば、道を外さずに、AIとも共存していけるのではないかと思います。逆に共存できなくなるのは、人間が地球とのつながりや存在価値を失った時なんじゃないでしょうか。
それともう一つは、共存意識です。かつての地域社会は、田んぼをみんなで維持し合うという意識があったので、水を汚したり無駄にしたりせずに次の田んぼに導いていくことをやっていたから、集落の人たちのチームワークや共存意識が培われていたと思います。今は田んぼが無くなったことで、地域の中で何かを一緒にやることの意味がわからなくなっています。でもその地域の中で意識を共有していくってことは、こういう変化の激しい時代だからこそ必要なのかもしれないと思い始めています。これまで培ってきた地域社会の良さを残しつつ、世代の違いなどによる価値観の違いを超えて、みんなで未来を考えていく必要があると思います。

記者:確かに便利になればなるほど薄れていってしまいがちな人と人や自然と人の繋がりを回復するのは必要だと感じます。

今できることを全力でやりながら方向性を修正していくことが必要

記者:どんな美しい時代を作っていきたいですか?

菊地:もはやこうして皆必死で生きていることが美しいと思うんです。近代産業主義の負の遺産のようなものは嫌な世界に見えてくることもありますが、人類がこれまでにやってきた過ちも含め、それさえも許してどうしていくかを考えないといけないですよね。

うちの近くに八郎潟っていう琵琶湖に次ぐ広さの湖があったそうなんですが、そこが干拓されて現在村ができているんです。美しい村と称して作られた湖の上の村です。ですがそれがなかった時の湖を見てみたいと、今あるものをネガティブに見てしまう自分もいます。ただ、やってきたものは取り返しがつかないから、今できることを全力でやりながら方向性を修正していくことが必要だと思います。まさにそれをやっている時が美しいんじゃないでしょうか。諦めたらそこで終わりだって、そういう人たちが増えたら、少し社会も変わるのではないかと思っています。

記者:過去や今を認めて受け入れながらも、より美しい世界を諦めずに、まさに自分たちの手で未来もつくっていきたいという菊地さんの意志を感じます。

菊地さん、今日は本当にありがとうございました。

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菊地晃生さんについての詳細情報についてはこちら
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編集後記

今回インタビューの記者を担当した大野と荒牧です。農業と教育の相性の良さをとても感じましたし、未来を見据えた新しい農業の形を開拓されている菊地さんのお話を聴いて、農業に対するイメージも変わりました。より多くの人にこうした農業の新しいイメージを知ってもらうことで、都市部と地方の課題解決にも繋がっていきそうで、本当に希望を感じました。

この記事は、リライズ・ニュースマガジン“美しい時代を創る人達”にも掲載されています。


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