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★ドボクスキーの北海道冬ごもり紀行 ⑦:廃止直前の根室本線に乗って

北海道の冬の長旅。ぬかびら源泉郷に泊まり、タウシュベツ川橋梁を見学し、氷の世界を満喫しています。続いては、3月いっぱいで廃線になってしまう、JR根室本線の富良野~新得(※東鹿越~新得間は、水害に被災して不通になっており、結局復旧しないままに廃線が決定)に乗りたくなったので、そちらに向かいます。

■第6日(2/7)

①ぬかびら源泉郷→帯広へ

宿の温度計は、この日の朝も、マイナス20℃でした。
ぬかびら源泉郷の営業所の朝の風景。
乗客はどうやら1名だけのようです。
バスの車窓から。雪の十勝平野を走ります。

バスは、ほとんど乗客のいなかった、ぬかびら源泉郷から、上士幌町内で少しずつ人が乗車し、音更町内でも乗車し、少し活気が出てきた状態で帯広に到着。少し時間があったので、市内をふらっと散策しました。

帯広市内で見つけた、カラーマンホール。
肥沃な大地、十勝平野、という感じのデザインでした。
帯広の大通りに面した、十勝信用組合の本店の建築。
十勝地方の中心街、という感じがよく出ています。

②帯広→南富良野町へ

帯広から、南富良野町まで、十勝バスが運転する、旭川行きの都市間連絡バス、「ノースライナー」に乗車します。

ノースライナーは、高速バス仕様のバスです。
ビジネス客や海外からの観光客も乗せ、結構盛況で発車。

このバスは、特に高速道路に乗ったりすることはなく、一般道を走っていくつか途中停留所でお客さんを拾っていき、旭川を目指します。

新得駅を経由します。
新得駅からは、国道経由で狩勝峠を越えます。
一直線に見えるのは、昭和40年代までの根室本線の廃線跡です。
しばらく廃線跡と平行して走る国道。
かつては眺望が素晴らしいことで有名だった旧線です。
峠に近づくとともに、雪が深くなってきます。
そして、すっかり凍結した雪の峠道になりました。
今回の旅行で、車を運転する気になれなかったのは、
この写真の道を運転できる?と思うからです。
そして、狩勝峠を越えて、雪国に到着、という感じです。
道の駅南ふらの に到着。乗客の皆さんは休憩、私は降車。
黄色がシンボルカラーの十勝バスです。

③南富良野町内を散歩

南富良野町の名産物は、何と言ってもじゃがいも、のようです。
湖池屋のポテトチップスの工場も、町内にあるようです。
道の駅に併設されている、食堂街。
南富良野町の繁華街、と言っても良いでしょう。
実はこの道の駅、「モンベル」の道内最大規模の店舗を併設しています。

実はこの場所、2016年の台風10号による豪雨災害で、地区一帯が浸水する大きな災害が発生した場所です。その豪雨災害が・・、JR根室本線を今でも不通にしてしまった災害です。

町内には、浸水深と避難場所の標示が。
セコマ発見。北海道のほぼすべての市町村に出店しているそうです。
こちら、南富良野町の役場です。
こちらは、役場のすぐ横にある、幾寅開拓の父、木田幸次郎さんの顕彰碑。

木田幸次郎さんは、江戸時代に三重県松阪に生まれ、明治34年に伊勢集団を組織してこの地に移住し、農業や林業を根付かせた、開拓の父なのだそうです。そういう石碑が建つのが、北海道ですね。

この交差点で、国道38号が曲がっていきます。
幾寅は、そういう場所に栄えた町です。

④JR根室本線の踏切を眺める

鉄道線路が見えてきました。JR根室本線の踏切です。しかし、先ほどご紹介した2016年の水害で根室本線は大きな被害を受け、今も運休中で、2024年3月末での廃線が決まりました。つまりもう列車が通ることが無くなってしまった踏切です。

JR根室本線の踏切。既に遮断機が外されています。
踏切の先の線路は、除雪されていないのでこんな感じ。
バックに見える山は、国設スキー場です。
幾寅原野東9号踏切。雄大なネーミングです。
鉄橋が見えます。もう列車が走ることはないです。
こちらが、幾寅駅方面です。

⑤幾寅駅を訪ねる

ここを訪れた目的は、ずばり現在運転休止中の、JR幾寅駅を訪ねることです。この駅は、映画「鉄道員(ぽっぽや)」の撮影で使われたことで有名で、今でも観光客が訪れるスポットです。

幾寅駅の駅舎。古くて趣のある駅舎です。
駅名標は、「幾寅駅」ではなく、「幌舞駅」になっています。
駅舎は、運休中も映画の記念展示コーナーが併設されています。
代行バスの待合室というのが、本来の用途ですが。

「鉄道員(ぽっぽや)」の映画は、浅田次郎さん原作の直木賞受賞作品。高倉健さん主演の映画では、ローカル線の終着駅、「幌舞駅」として映画の舞台になりました。広末涼子さんが、制服姿で出てくるのが個人的にはとても懐かしいです(笑)。

展示コーナーは、映画撮影当時の貴重なアイテムが多く展示されています。
高倉健さんの制服。JR北海道社員という設定だったのですね。
見ていて飽きない展示がたくさんあります。
駅のホームに行ってみましょう。
幌舞駅と、幾寅駅が同居しています(笑)。
階段を登ってホームにたどり着く。
この雰囲気が、映画の舞台としてふさわしかったそうです。
幾寅駅の駅名標。もう列車は来ないです。
映画では、こんなアングルのカットがよく使われていました。
駅前のお店の建物も、映画の撮影セットとして使われました。
気動車のカットモデルがシンボル的な駅前広場。
こちらも映画のセットとして使われた建物。
幌舞駅の駅名とは違い、とても控えめについている、
JR幾寅駅の駅名。

⑥根室本線に乗る

さて、鉄道代行バスに乗り、隣の東鹿越駅まで行きます。新得駅と東鹿越駅の間が、現在も災害運休中です。

鉄道代行バス。結構沢山乗っています。
代行バスが踏切を渡ります。
東鹿越駅に到着。バスと列車の乗換駅として、
廃止直前に人が多く利用している状況です。
代行バスから降りる人、また新得方面に乗る人。
意外と海外の観光客が多かったです。
1両編成のキハ40が待っていました。
東鹿越駅の駅名標。もうすぐ見納めになってしまいます。
さて、乗り込みましょう。
キハ40の車内。ボックスシートもそろそろ見納めです。
この風景も、あとわずかで見られなくなります。
山部駅。この辺りの駅は、風格漂い素敵な駅舎が多いです。
布部駅。廃止された後の駅舎、どうなるのでしょうね。
富良野駅。北海道のへそだそうです。
この駅までの区間が、廃止されます。

今回の旅行では、富良野駅からさらに同じ列車に乗り、根室本線の起点、滝川駅を目指します。

上芦別駅。キハ40の国鉄時代からの橙色の首都圏色と交換。
芦別駅。地元の高校生でしょうか。
こういう通学風景、残ってほしい気がします。
赤平駅は、立派な駅舎ができています。

芦別市、赤平市は、どちらも戦後石炭の採掘等で栄えた町ですが、炭鉱が閉山になり、人口減少が著しく、赤平市は1万人を割り込むなど、人口がとても少ない市が続くエリアです。

そして、終点 滝川駅に到着。
途中の雪で、キハ40も雪化粧。本当にお疲れ様です。

⑦滝川駅周辺を散策

滝川駅は、根室本線の起点であり、函館本線との分岐駅として発展しました。

函館本線と根室本線の分岐点として栄えた駅。
今は、特急は石勝線経由となり、各駅停車のみが分岐する駅に。
滝川駅の駅名標。
駅前広場。雪深く、お店もまばらで、人影もまばら。
思った以上に寂しい駅前でした。
閉鎖されている、大型商業施設の跡地。
中心市街地の活性化という面では、深刻な状況のようです。
こちらは、国道12号の交差点付近。
滝川市の国道12号は、空知川の南に、
「直線国道」があることで知られています。
中心市街地のアーケード。
18時台でこの状況。かなり寂しい状況です。
寂しい街の中で見つけたお店で夕食。なべ焼き蕎麦、美味しかったです。
石積みの倉庫もある、興味深い町並みでした。

■終わりに

廃止される根室本線に乗りたくて、帯広から南富良野町までバスで行き、幾寅駅の駅舎=映画「鉄道員」のセットの展示を観つつ、根室本線で滝川駅まで来ました。鉄道の旅、とても面白いですが、利用客が減り、鉄道輸送の歴史に幕を閉じようとしている部分もあります。廃止される前に訪れることができたのは、良かったと思います。

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