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夫がワンと鳴く件について


我が家のゴリラ夫、ときどき「ワン」って返事するんですの。

LINEにもよく「ワン」って送られてくるけど「わかった」の誤変換かなぁと思ってたの、でもリアルで「ワン」って言われて、この男、誤変換ではなくワンと答えてるんだって気づいたのよ。

…なんという倒錯的な…

「あの、かなりの歳下妻に対して、いい歳のおじさんが、ワン、はまずくない?」

「だって俺はネコかイヌならイヌだろう…ワン?」

ってアイスコーヒー飲みながらいかついゴリラみたいな夫が堂々と答えるのよ。

「なんていうか、イヌだよ?ほら、妻にイヌ呼ばわりされてもいいの?!」  

と問うと

「別に?いいワン!むしろ可愛がられたいワンッ…あああ!なんか楽しくなって来た…ッ!俺は今!ひさびさに孫たちが帰省してきてコーフンしてるおばあちゃん家で飼われてるイヌみたいになって来た…ッ!家にいるとこうリラックスしてなんかこう常にムラムラするよね…俺は可愛い可愛いイヌ!そーだ!今から!3回回る!回ってワンといいます!ご覧くださいッ!」

「止めて!勘弁して!解ったから!さすがにちょっと見たくないから!」

「えっ…喜ぶと思ったのにぃー。俺の…忠誠の証?」

そして夫は続けた。

「そもそも夫である俺よりも、猫達の方が100倍も大事にされてるこの家で、俺が人間をやって、なんの得がある…ワン?」

えっ…。

「むしろイヌになった方が絶対妻に大事にされて家庭内の地位が上がるはずワン」

「…貴方がそれでいいならもう何も言わないワン…」

「うーんなんか違うね。君はどうもイヌっぽくない。君は、ネコの仲間だね、フシャーってかんじだね」

「フシャー…って、ニャン、でな…いの」

「お皿を洗え!フシャー!だろ」

「あなたそれでいいの?!あなたの人生、それでいいの?!」

「いいよ」

「自分だけフルタイムで仕事をして、皿を洗わされ、イヌ扱いされて、それでいいの?」

夫はワンの件は完全にどうでも構わんらしく、ワンを忘れてひたすら皿の話だけ語ったわ。

「そりゃ皿は不満だけど…皿は不満だよ...仕事から帰ってきた俺が夕方まで昼寝してた妻のために皿を洗うのは正直意味が解らないよ...だが、皿を洗わないけどHして貰えないよりは、皿を洗ってHさせて貰えるならば、それでいいというか、ありがたいです、いえありがとうございます!……ァーーーッ!!!Hな話(←どこがだ)をしてたらなんかムラムラして来ましたッ!!!ととととりあえず!!なんとかしてください!なんとかしてください!今!ちょっとこれを!こう…なんというかとりあえずあれをこれして下さいッ!お願いします!お願いします!」

その返事をきいてあたくし声を失ったの。

そんで夫はあたくしをいかつい腕で後ろから羽交い締めにしてぶっといガチガチのなんかをジーンズ越しにグリグリ押し付けてたわ。 

「ああああ!それなりには気持ちいいけど…ひたすらにもどかしいだけでますますムラムラするだけのこの感じ!却って頭が!頭が悪くなって来ましたッ!知能指数がゼロに近づいて来た…ッ!これが…これがまさにいぬのきもち…すんません!お願いします!直接!直接何とかして下さいッ!」

「ちょっと!紅茶が飲めないでしょう!90度のお茶をぶッかけるわよ!いやよ、あなたのその要求に答えてたらいつまでもきりがないもの。今日買い物に行けなくなるわ。あと動物雑誌に謝れ!全世界のイヌにも謝れ!だいたいあなた、どこまで…どこまでプライドを捨てれば気が済むの!?いつも思うけど、あなたって、家で男としてのプライドを捨て過ぎじゃない!?」

「ふ、笑わせるなよ、男にはなぁ、男には、プライドよりもっと大切なものがあるんだ!エロい事する時はなぁ、プライドなんか棄てれば棄てるほど気持ちいいんだ!いやこれホント、男はプライドを脱いで女性の前で恥をかなぐり棄てどうにでもなれと全てを委ねれば委ねるほどによりより気持ちよくなってより長時間のあいだ無限の快楽の世界にたゆとう事が可能になるのだ…ッ…そして俺は男などという汚らわしい存在なんかでは無いッ!俺は…可愛いイヌ!俺は!とっても愛らしい、可愛いだけが取り柄のワンコだァッ!君も時々可愛いって言ってくれるじゃないか!」

「…世間的に言ってあなたはかなり、可愛くないはずよ…とくにこのフォームは可愛くないわよ…まぁあたくしはあなたがどんなにアフォでも可愛いと思ってるし許容するけれど…」

「あっところでこの動き、EXILEのなんだっけほら冒頭のダンスと同じだよね?チューチュートレインだっけ?ねぇ君、これからこのフォームをEXILEと呼ぼうネ」

「謝れっ!EXILEに謝れッ!tribeとかファミリーとかいろいろ派生してる凄い人数のEXILEのひとりひとり全員に土下座して謝れッ!」

もうよくわかんないけど、この男が枯れるまでは、皿を洗わない方向で、努力することにします。















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