#映画検定対策　『男はつらいよ』を要チェック

2019年8月27日 06:55

おはようございます、チェ・ブンブンです。

久しぶりの映画検定対策記事です。今回の映画検定では間違いなく『男はつらいよ』に関する問題が出題されると踏んでいます。過去問を見てもチラホラこのシリーズに関する問題が出題されています。実際、キネマ旬報ベスト・テンには頻繁に本シリーズから選出されており、常に一定ラインのクオリティを持つことから、その年の豊作・不作を占う鍵を握っています。

また、今年の年末には第50作目が公開されます。それに併せて、10月から東京・角川シネマ有楽町、愛知・ミッドランドスクエアシネマ、大阪・なんばパークスシネマで《男はつらいよ 4Kデジタル修復版上映》が開催されます。

ということで簡単に試験に出そうな寅さん映画を情報をまとめていこうと思います。

『男はつらいよ』とは?

『男はつらいよ』はアポロ１１号月面着陸、ウッドストック、シャロンテート事件、オルタモントの悲劇と文化史が賑わった1969年に作られ、その後50本も作られた大人気映画シリーズです。

しかし、元々はテレビシリーズでした。1968年10月から全26話放送されたのですが、最終話で寅さんがハブに噛まれて死んでしまうというエヴァンゲリオンもびっくりエンディングにお茶の間が騒然となり苦情が相次いだため、罪滅ぼしとして映画版が作られました。

そしてこれはある意味テレビ屋映画の走りでもあります。大した宣伝もなく8月27日に公開された本作は思わぬヒットを記録し、速攻で続編製作が決定。なんということだろうか、11月にはすぐさま『続・男はつらいよ』が公開されたのです。そしてその年のキネマ旬報ベスト・テン、日本映画部門において1作目は6位、2作目は9位にランクインする快進撃を放ちました。

実は個人的に2作目こそが『男はつらいよ』を軌道に乗せた作品と言える。1作目はドラマ版に対する謝罪の気持ちが強いので大人しいのですが、2作目では寅さんがラブホで母と対峙し、自分のアイデンティティを求める攻めた内容になっているのだ。これ以降、本シリーズは通俗な笑いの中に山田洋次の当時の社会情勢とコミットさせていくスタイルが確立され、早撮り、テクニカルな人情喜劇に批評家も大衆も嵌っていくのでありました。

実は、よく言われる「幼少期はよくわかなかったが、大人になると涙が出てくる。」という意見の由来は底にある。不器用で、2010年代の冷たいご時世においては冷徹なレッテルが貼られてしまいそうな寅さんは、毎回騒動を起こすし、厄介者なんだけれども、社会の歯車になりコントロールできない他者を知る社会人になると、その自由奔放な不器用さに愛くるしさを覚えるのです。ブンブンも高校時代に1作目を観て、「つまんない」と思ったのですが、社会人になる直前に全作品観たら、あまりの熱いドラマに胸が揺さぶられました。特に寅さんがジャック・タチ映画のような動きをしながらサラリーマンの異様さを批判した第34作『男はつらいよ寅次郎真実一路』、寅さんが英語もドイツ語もわからないのにウィーンで最強のコミュ力を発揮する第41作『男はつらいよ寅次郎心の旅路』はブンブンの心に刺さりました。

《男はつらいよ 4Kデジタル修復版上映》作品は押さえよう

『男はつらいよ』シリーズは50作品もあるので、一気に50作品フルマラソンしようとすると正直発狂します。これは１ヶ月半かけてフルマラソン完走したブンブンが語っているので間違いありません。

なので特集上映で流される作品の特徴を押さえておきましょう。

「男はつらいよ」
マドンナ:光本幸子

記念すべき1作目。帰郷した寅さんが妹さくらの縁談を爆破してしまう回

「続・男はつらいよ」
マドンナ:佐藤オリエ

第2作目。寅さんが母に会う回。

「男はつらいよ望郷篇」
マドンナ:長山藍子

第5作目。実は3作目『男はつらいよフーテンの寅』は森崎東、4作目『新・男はつらいよ』は小林俊一がメガホンをとっている。1970年は3人の監督がそれぞれ寅さんの襷を渡したリレー年だ。そして実は本作でシリーズを終わらせる為、テレビ版キャストも集結している記念碑的作品だ。

マドンナをテレビ版でさくらを演じた長山藍子にし、マドンナの母をテレビ版では団子屋のおばちゃんを演じた杉山とく子。テレビ版で博役だった、
井川比佐志が恋敵を演じています。

「男はつらいよ柴又慕情」
マドンナ:吉永小百合

第9作目。ペプシが協賛に入っており、「とらや」にも黄色いペプシ冷蔵庫が導入されている。本作のマドンナである吉永小百合は第13作『男はつらいよ寅次郎恋やつれ』でも同じ役で続投している。尚、おいちゃんは森川信が逝去したため、松村達雄に受け継がれた。

「男はつらいよ寅次郎忘れな草」
マドンナ:浅丘ルリ子

第11作。『シティーハンター』における槇村香ポジションであり、寅さん最大のキューピッド浅丘ルリ子ことリリーが登場した回。本作のマドンナは割と続投する傾向があるのですが、浅丘ルリ子は本作以降『男はつらいよ寅次郎相合い傘』、『男はつらいよ寅次郎ハイビスカスの花』、『男はつらいよ寅次郎紅の花』、そして番外編『男はつらいよ寅次郎ハイビスカスの花特別篇』でマドンナを務めた。

「男はつらいよ寅次郎恋やつれ」
マドンナ:男はつらいよ寅次郎恋やつれ

第13作目。吉永小百合リベンジマッチ回。『柴又慕情』で｢友だちを続けるのじゃダメかしら｣と恋人になることを断った歌子と寅さんの愛の行方はいかに?

「男はつらいよ寅次郎相合い傘」
マドンナ:浅丘ルリ子

第15作目。寅さん映画に疎い人でも『アメトーーク!』の男はつらいよ大好き芸人回で紹介されたりして噂は予々知っていることでしょう。最も有名な神回の一つ。何と言ってもメロン騒動での人情喜劇は笑いとしんみりが同時に押し寄せる素晴らしいエピソードでした。寅さんとリリーの両想いの癖して間合いの詰め方が悪すぎて離れてしまうところはハンカチ必携です。

「男はつらいよ寅次郎夕焼け小焼け」
マドンナ:太地喜和子

第17作目。大人気神回の一つ。なんといっても山田洋次監督はこの作品でもって、「プロにただでものを頼むではない」という強いメッセージを残しており、これは全国のフリーランスやアーティストに多大な勇気を与えるエピソードとなっている。また前年に日本で公開され話題となった『JAWS ジョーズ』を前座に取り入れ、佐藤蛾次郎の身体が真っ二つに食いちぎられるゴアシーンがあるのが特徴である。

「男はつらいよ寅次郎純情詩集」
マドンナ:京マチ子

第18作目。京マチ子がマドンナを務めている。本作はとらやVS寅さんの仁義なき戦いが繰り広げられており、寅さんが満男の家庭訪問をめちゃくちゃにしてしまったせいで、いつもは宥める側にいる博がガチギレして無視を決め込む修羅場を迎えます。

「男はつらいよ寅次郎ハイビスカスの花」
マドンナ:浅丘ルリ子

第25作目。本作の舞台は沖縄。沖縄で寅さんはリリーと共同生活し、遂に結婚か...と予感させるメインストーリーに沖縄の米軍基地問題を絡めていく作品だ。茹だるような暑さが画面から漂う作品である。

「男はつらいよ浪花の恋の寅次郎」
マドンナ:松坂慶子

第27作目。本作のマドンナ松坂慶子は第46作『男はつらいよ寅次郎の縁談』でもマドンナを担当している。遂に満男が成長し、中村はやとから吉岡秀隆に変更されています。

「男はつらいよ口笛を吹く寅次郎」
マドンナ:竹下景子

第32作目。寅さんと相性の良い新ミューズこと竹下景子が登場するのだが、彼女は3作全てで別々の役を演じている。

『男はつらいよ口笛を吹く寅次郎』:酔いどれ和尚を助ける娘・石橋朋子役
『男はつらいよ知床慕情』:恋に奥手な獣医・順吉の娘りん子役
『男はつらいよ寅次郎心の旅路』:ウィーンのツアーガイド江上久美子

「男はつらいよぼくの伯父さん」
マドンナ:満男→後藤久美子、寅さん→檀ふみ

第42作目。本作から第二の寅さんとして満男の恋が描かれることとなる。大学受験に失敗し、浪人人生を歩んでいる満男は家に居場所を失い、かつての初恋の相手・泉を追って旅する内容となっている。

「男はつらいよ寅次郎の休日」
マドンナ:満男→後藤久美子、寅さん→夏木マリ

第43作目。満男がようやく大学生となり泉といちゃつく回。彼は尾崎豊に傾倒する。また第19作『男はつらいよ寅次郎と殿様』で巡査役を務めた寺尾聰が泉の父親を演じている。

「男はつらいよ寅次郎紅の花」
マドンナ:浅丘ルリ子

第48作目。実質の最終回。寅さんの最終回は、阪神・淡路大震災が舞台。寅さんが震災の現場にひょっこり現れる。そして｢お疲れ様でした｣といって震災で壊れた被災地をバックに去っていく衝撃的な展開を迎えます。そしてこれが遺作となった。

ブンブンの『男はつらい』評一覧

下記は、ブンブンの各作品のレビューです。研究のお供にどうぞ。

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