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【翻訳】ラース・フォン・トリアー『The House That Jack Built』を語る

こんばんは、チェ・ブンブンです。皆さんは、好きな映画の海外評を読みますでしょうか?結構、国やメディアによってスタンスが違ったりして面白いですよね。日本は、どちらかというと海外評が出揃った上で評価する傾向が強いので、特に最近は逆張り傾向が強いかなという気がします。『グレイテスト・ショーマン』、『アンダー・ザ・シルバーレイク』、『ボヘミアン・ラプソディ』etc

話を戻そう、なんでこんな話をしたかというと、最近カイエ・デュ・シネマを結構買うようになりました。フランスのメディアはレトリックで語る傾向が強く、Google翻訳で簡単に訳せない。そんな中でも特にカイエの文章は、超絶技巧、高度な語彙のてんこ盛りで評を書いてくるので、結構読むのに苦戦します。でも読めた時の感動と、日本ではあまり見ないような表現がたまらなく好きで買うようにしています。ただ、なかなかその魅力を分かってくれる人が周りにいない。そこで、カイエ紙を一部ブンブンが翻訳したものをnoteに載せていこうと考えています。

今回は、手始めに『The House That Jack Built』日本公開にあわせ、カイエ紙がラース・フォン・トリアーにインタビューした記事を翻訳していきます。インタビュー記事なのでレトリックは特になく、最初の翻訳記事にふさわしいと考えたからです。もし興味があれば、是非2018年10月号のカイエ・デュ・シネマを読んでみてください。アンスティチュ・フランセ東京の図書室にも置いてありますよ。

Q.この企画の発端を教えてください。

シリアルキラーものを思いついたことから始まったんだ。私と活動している多くの女性は彼に魅了されたんだ。それはとっても異質なんだ。なんたって彼らは善良で知的な人たちなんだから。アメリカでの連続殺人犯罪裁判に集まる民衆は常に女の子でいっぱいだったんだ。俺はいつもこの異様さを見つけてきた。奴らは、ポップスターと同じ魅力を引き出す。だからこそ、俺はシリアルキラーとジャックの心に飛び込もうとしたんだ。俺はこの女たちのように魅力ではないので、資料を集めることにした。ジャックの目線から彼を見ることが重要だったんだ。もちろん、こいつはサイコパスだ。だがこれら全ての連続殺人は人生でもあり、我々同様、魂がある。俺は人が恐怖から耐えようとする様を絞り出そうとするんだ、人の中にあるものを把握しているもんでね。俺には殺人と恐怖の間にある人間を描く必要があった。それが人間だもの。

Q.タイトルはどこから来たものですか?

そりゃ、みんな知っているあの子守唄さ(マザー・グースの『ジャックのたてた家』)。だが、よく覚えていないんだいつこのアイディアが頭に降りて来たのかを。でも3つの要素、シリアルキラー、地獄、そして童謡《ジャックのたてた家》これらを結びつけるのはとても簡単だったんだ。

Q.どのようにしてマット・ディロンを配役したのですか?またどのようにして彼を悪魔的キャラクターに仕立てあげたのですか?

俺は丁度、彼に次のようにテキストを演じるよう言ったんだ。

「距離を作るな、探ってみたり突然啓示を受けるのを待ったりはするな。テキストを愛せ!ひたすらに言葉の先を行け!映画を愛せ!」

んで、彼はやってくれたんだ。難しいことだったが、彼は私を信頼してくれた。彼がしっかりやり遂げてくれてとても感謝している。

・おわりに

まずは軽く3つの質問に対する答えを翻訳してみました。結構、質問文にはネタバレに関するものもあったので、ここでは載せませんでしたが、ラース・フォン・トリアーのクレイジーさは十分伝わったと思います。

『ドッグヴィル』の頃と全く変わらぬ不良っぷりに、俳優もよくついてこれるなーと感心してしまいました。そんな『The House That Jack Built』は日本公開夏の予定です。邦題はどうなるのかしら、マザー・グース要素を破壊する邦題になりそうだ。『ジャック/惨劇の館』みたいにね。

ブンブンのブログ記事1:【釜山国際映画祭・ネタバレなし】『The House that Jack Built』《最悪》のエレクトリカルパレード

ブンブンのブログ記事2:【釜山国際映画祭・ネタバレ】『The House that Jack Built』トリアー流、ドナルド・トランプ、ポリコレ批判


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