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ホーチミンのおまけ文化で反省したこと

ホーチミンはおまけ文化

ホーチミンのスーパーに行くと、おまけをつけてるキャンペーン商品がたくさんあります。ホーチミンにはおまけ文化がある。

いやホーチミンには、と言うか、ホーチミンの今が、そう言う時代なのかもしれません。なぜなら日本も昔は調味料にスプーンがついてたり、お砂糖に小皿がついてたりして来てたもの。メーカー名が入ったやつ。

正直、使わない。
食器だったらお家にあるものとラインナップが合わないし、1個だけ形が違うものがあったら収納が不便。調味料であっても、中途半端な量だったり、そもそも普段食指が動かないから買っていなかったものだと、なかなか封を切るに至らない。何より「使いたい!」と言う欲をそそられないデザインだったりもしますしね。

と言って、捨ててしまうのも罪悪感が。
なので普段はおまけがついていない商品を意図的に選んでレジに持っていくのですが…?


おまけに関するレジ攻防

おまけなしの商品に気づいたレジの人がハッとなって、こう言うのです。

「これね、おまけがついてるの!!ちょっと待ってて!!」

え、あ、いやその。。。とこちらが何かを言う間も無く、すぐさま他のスタッフを呼び事情を説明、そして呼ばれた人はダーっとその商品がある場所に走って行き、満面の笑みとともに「はい、これ!!」と、嬉しそうにおまけ付きの商品を渡してくれる。。。

走らされて余分な仕事をさせられたのに、なんでそんなに嬉しそうなの。なんでそんなに動けるの。ちょっと呆気にとられながらも受け取るしかないワタクシ。。。

ってか、受け取るしかない。これを断れる人がいたら教えて欲しい。あんな無邪気な笑顔で、「おまけもらえてよかったね!!!」と差し出されたものを「そんなもん要らん」なんて、言う気も起こらない。最強善意のオマケ攻防、ちぇりさん完敗。

そして食器棚に不揃いな形の小皿やスプーンが増え、使わない白砂糖が溜まっていく。。。(砂糖がおまけについていることが結構ある)。


インスタントコーヒーのおまけの巻

ある日、おまけ、と言うか、そのお店のプロモーションで、1,000k(約5千円)お買い物をしたらインスタントコーヒー1箱のもらえると言うプロモーションをやってました。

そうとは知らずに、人から頼まれた買い物などもしていたため、この日は楽々その金額を超えたのですが、レジの人が仕切りにレシートを持ったままあっちに行け、と指をさす。いつもと違う指示になになに?と聞き返したら、インスタントコーヒーがもらえると言う。

インスタントコーヒーは好きです。日本では飲みませんでしたが、ベトナムのそれは事情が違うし味のカテゴリーも違うので、自宅で飲むベトナムコーヒーはワタクシ、ほとんどインスタント。(それに酒を入れたりするアレンジはするけど)

が、その時は急いでいたし、なんかレシートをどっか別の場所に持ってってサインをして。。。とか、手続きが面倒臭そう。なんだったらもうスルーしようかと思ったのですが、レジの人が、ついにはレシートを持ったまま持ち場を離れて「こっちこっち!!」と私を誘導するではないか。

えー、スルーしようと思ったのになー、と、ちょっと面倒臭がりながらも仕方ないのでその場に行くと、係りの人がいない。あー待たなきゃいけないのか。だったら尚更面倒臭い、やっぱりいいや、と思ったものの、レジの人が大声で係りの人を探し回ってくれ初めて、これまた断れない雰囲気に。

結局係りの人を見つけてレシート確認、私が署名をして商品を取りに行って。。。と、10分くらいの時間がかかってしまいました。もらえたのはインスタントコーヒー1箱。この1箱のためにスッタモンダ。

家に帰ってからこのことを旦那さんに話しつつ、

「もう、コーヒー、1つのためにあんなにまでしなくていいのにさぁ」

と、笑い話のつもりで独り言ちたところ。。。


おまけの重さ

「ちぇりさん、そりゃあ一生懸命になるですよ」

と、真顔の旦那さん。笑ってもらうつもりだったのに、予想外の真面目な返し。思わぬ展開に(え?え?)となってたら、曰く、

そのコーヒーの価格はいくらですか、と。
そうですね、おそらく300円くらいのやつだったかと。それが2箱もらえたので、実質的には600円分くらいのオマケ。

では、彼女たちの時給はいくらですか、と。
それは知らないけれども。。。そういえば、ローカルのカフェのバイトさんたちの時給は100円ないと聞いたことがある。

ローカルどころか、日本の牛丼屋さんがホーチミンに進出する際、求人広告を出してたんだけど、そのお店ですら100円なかった。なかったと言うか、100円に遠く及んでなかった。日本のお店でしかも結構な良い場所に出すお店ですらそれか、と驚愕し、色々聞いて回ったら、カフェ店員さんでそのくらいだろう、と言う話。

スーパーの店員さんがそれより安いと言うことはないと思いますが、極端に良いとも思えない。例えばカフェ店員さんと同じくらいの額だったとしたら。。。

8時間分くらいの労働額になる。
倍額もらっていたとしても、4時間分の対価。
日本で時給4時間分、8時間分を換算したら。。。そりゃ、せっかくその額に相当するものがもらえる機会があるんだったら、是非とも!と思うはず。

たまたま自分には、そのおまけの額が何でもないと思える境遇にあっただけで、その目線から(そんなの要らないのにな)と思っていた自分の無知さ加減、想像力と思いやりのなさにハッとし、同時に、おまけを手渡してくれた子の嬉しそうな笑顔が思い出されて、果てしなく申し訳ない気持ちになったのでした。


おまけは嬉しく貰うように切り替えました

ホーチミンのことが好きだ好きだと言いながら、見事な口先女である。なんと傲慢であったことか。

一緒にいる人がどんな人かってのは大事なことですね。誰とでも仲良くしましょうなんて、あれ、危険です。だって私が話した時に「そやなー、しょーもなっ」という人だったらどうでしょう。私はずっと彼らの気持ちをおざなりにする人間でしかいられなかったかもしれません。

一緒にいる人は選ぶべき。大事なことに気づかせてくれる旦那さんで本当に良かったと心の底から感謝しながら、以降おまけは「ありがとう」と、喜んで頂くようにしています。

もらってきたものを旦那さんに「こんなのもらったー♪」と報告すると、旦那さんは必ず「良かったねー♪」と言ってくれます。私に良いことがあると、旦那さんはとても喜んでくれる人なので、私が喜べば、おまけは結果的に旦那さんも幸せにしてくれると言うことがわかりました。おまけは偉大っ。

使い道がないなぁ、と思っていた食器やスプーンも、食卓には上らないまでも、調理段階での道具として使ったり、砂糖は溜まっていく一方ですが(笑)、いつぞやは「あー!お砂糖買い忘れた!」と言うお友達に差し上げることもできました(笑)

ちなみに、インスタントコーヒーは美味しくいただきました。そしてそのコーヒー飲むたび、ちょっとだけ(あの時のスタッフさん、ごめんなさい)って思います。

人の幸運をあんなに嬉しそうに喜んでくれる人たちは、そうそういるもんじゃなよなぁ、彼らの気持ちは素直に受け取ることができる人でありたいよなぁ、と思いつつ、ホーチミンのおまけについて書いてみました。

おまけ、意外と悪くないですよ。

2019年11月





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