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【実録】ホーチミンで狂犬病に対する処置が必要な動物に噛まれた際の顛末

予期せぬ自体

ホーチミンに長く住むなら、狂犬病(もちろん、回避したいその他の病気に対する)ワクチンは大切ですよという話をしました。

その後なんと家人が、ある動物に噛まれてしまったのです!日頃から付近に動物が寄ってきたら注意する用心深い人が、何事か?!と思ったら。。。

「ネズミに耳を噛まれてしまった…」

あなた、ドラえもんですか。。。。(苦笑)

どうやらローカルのお友達宅で休んでいる時にやられた様子。該当箇所を見てみてもほとんど傷は認められないし、本当に噛まれたのかな?とも思ったのですが、直後に触れると出血していたというし、これは安全サイドの処置を取らないわけには行きません。

世界的に、ネズミは狂犬病を媒介することが少ない動物、とされていますが、アメリカなどではその通りでしょうが、そもそも狂犬病発生率の高いベトナムにおいては鵜呑みにできません。

が、幸いにも予防接種を完了していたので、暴露後(感染が予測される事態後)接種は、当日中になるべく早く1回、その3日語に1回の合計2回で済むはずです。

が、このたった2回が、すんなりとは行かなかった。。。


かかりつけのRuffles Medicalで初診

まずはかかりつけのお医者様がいらっしゃる、Ruffles Medicalに行きました。事情を話し、その後の指示を仰ぐためですが、懸念した通り。。。

ワクチンが、ない。

先の記事でも、ホーチミンではいつでもどこにでもワクチンがある、というわけではない。それは承知していたので、やっぱりな、という感じでしたが、これ、予防接種をしていたから落ち着いて入られた話。

予防注射をしていない状態で、もしもその後のめどが立たなかったことを考えてみてください。命に関わる病気に感染したかもしれない状態でワクチンを探さねばならない、とか、なかなかな恐怖だと思います。

そしてホーチミンにある全ての病院が連携しているわけではありませんので、自分たちでワクチンを探さねばなりませんでした。


ワクチンをどうやって探す?

もちろん、診察してくださった病院にご協力を仰ぐこともできたかもしれません。ただ、連携していない病院同士では限界もあると思いますので、今回は、家人が属する会社が契約をしてくれていた、

という、メディカルサポート(医療通訳業務も含む)を利用しました。

こちらに事情を話し、ワクチンがある病院を探してもらい、そこで受けることにしたのです。幸いにもなんとか見つかりましたが、7区まで行かねばなりませんでした。

ここは、予防接種を打っていても打っていなくても同じ手間ではあります。ただ、ワクチンが見つかり接種できるまでの間のメンタルへの影響は、雲泥の差だったと予想します。

予防接種しといてよかったね、と胸をなでおろした瞬間でした。

ワクチンを接種するにあたって

さて、WellBeさんが事情は全て病院側に伝えてくれていますが、彼らは医療資格を持っていないので、接種の必要性を示すものを用意してほしいと言われました。いわば、最初に診てもらったお医者さんからの診断書的なもの。

これをもらっていなかったので、急遽最初の病院に連絡をし、お忙しい中、先生に証明書的なものを書いていただきました。

ワクチン接種はできるだけ早い方が良いので、まず、接種することを最優先に予約を取って、証明書を受け取る前に病院に向かいつつ、電子データで証明書を送ってもらうという手段を取って事態を乗り切ったようです。

これ、もし個人情報は電子データでは送れない、とか、言い出すところだと更に時間が遅れたし、予防接種を打っていなかった場合、その時間が遅れることで命に関わる危険が増す場面です。恐ろしい。

というわけで、もしも初診を受けた病院にワクチンがなく、別の場所で摂取しなければならない場合は、

ワクチン推奨の根拠を示す、ドクターの証言

的なものをもらっておくと、より迅速に対応できると思いました。


2回目のワクチン接種をスムーズにするために

さて、初回のワクチン接種が終わって、やれ安心、ではあったのですが、それではまだまだすみません。

予防接種をしていても、最初のワクチン接種から3日後に再度、ワクチンを受けなければならないのですが…

再び、ワクチンがない

引き続き、WellBeさんが探してくれていたのですが、当日になるまで相当苦戦されていたようです。

狂犬病の予防接種もそうですが、暴露後接種も、きっちりとしたスケジュールに沿って接種しないと効果がなくなる場合があるそうで、1回目のワクチンが手に入ったらと言って安心している場合ではないのです。

予防接種を受けた時には、3回の接種が必要だったので、最初から3回分のワクチンが確実に確保されていることを確認して受け始めました。なので、可能であるならば、

複数回のワクチン接種が必要な場合は、それが全て確保できる病院を探す

のもポイントかな、と思いました。
もし、叶うなら。

暴露後初回のワクチン接種は時間との戦いでもありますから、あまりそこにこだわりすぎるのは良くないかもしれません。が、状況は把握しておかなければなので、初回ワクチンを接種する際には、その後必要回数分が確保されているのかどうか、確認が必要です。

またワクチンには数種類あり、複数回重ねる際には、同じ製薬会社のものでなければならない場合もあるかもしれませんので、ワクチンであればなんでもいい、というわけでもないことを知っておきましょう。

そうです、更に選択肢が狭まるのです。それくらい、有効に活用するためのワクチンを手に入れるというのは、ホーチミンでは狭き門であることがあるのです。噛まれたら打てばいいんでしょ?という簡単なことではないのです。

今回の2買い目接種は、接種が必要な当日にギリギリ見つけることができました。本当に運が良かったというしかありません。その決着がつくまでの間、冷静でいられたのは、やっぱり予防接種を完結させておいたことが大きいです。

本人が何より心配になる場面ですが、そばにいる人間だって、大事な人の命に関わる事態を平静で過ごせるわけがないのですから、本当に予防接種をしておいて良かったと思いました。


保険に関して

予防接種に関しては、保険は効かないことが多いと思います。が、暴露後接種に関しては、事故に遭遇したようなもの。たいていの場合は必要不可欠な処置として保険が降りると思われます。

が、属する保険契約内容によって違ってくると思うので、危険に遭遇していない平穏な内から確認しておくのが良いと思います。保険の細かい内容まで、全てチェックしている方って少ないと思うのですが…

・特定の危険が予測される自体に関して
・居住地域の提携病院(保険が有効とされる病院)

の確認くらいはしておいた方が、いざという時に何かとスムーズだと思います。また、クレジットカード付帯の海外保健などを使う場合、保険利用に関しての問い合わせ先はカードに記されていないことがあり、必要な場面で結構戸惑うことがあるかもしれません。

携帯電話に登録しておきましょう。
いざという時に、ゆとりってないものです。少しでも早く事を進めなければならないのに、不要にマゴマゴするなんて、勿体無い。

また疾病に対しては保険が有効でも、病院が提携外・対象外というケースがあります。狂犬病に限らず、自分の保険が何に対して有効で、どこの病院で使えるかというのは把握しておいて損はないと思います。


ローカルの病院にはワクチンが豊富にある?

ローカルの方と長く接し、ベトナム生活のベテランであろう方から、

「ベトナムでの狂犬病発生率は高いのだから、ローカルの方には暴露後接種を無料で行う病院もあり、ワクチンがない、といのは違うのではないか」

というご指摘を受けました。
そのようなことが行われているとは、確かに私は知りませんでした。ただ今回の経験を通して、ローカル機関で接種を受けようとした場合、可能性としては、ホーチミン市内なら、

・ホーチミンパスツール研究所
・ホーチミン市予防接種センター

が、あるらしかったのですが(これはその方から教えていただいた情報でもあり、かつ病院からも提案された機関でした)ここはWellBeさんの管轄外。

つまり通訳は自分でどなたかに依頼しなければならない、というのが一つ目のネック。なんとかできる問題ではあると思いますが、時間を要するし、知り合いに頼むとなればその方にお手間をかけていただくことも、念頭に置いておかねばなりません。

そしてこの2つの機関には、保険も適用外、ということが判明しました。これが2つ目のネック。

いえ、命には代えられませんから、お金のことは後からどうとでも。ですがこれ、予防接種をしていなかったら、暴露後接種は2回では済まず、もっと回数を重ねなければならないかもしれません。そうなるといくら命には代えられないと言ったってなかなかな金額になるやもしれず。

ワクチンが国内にないわけではない、というのは朗報ですが、それをスムーズに活用するためには、

▶︎現地言語に堪能である
▶︎有効な保険範囲を持つか財力に問題がない

ということが前提になると思います。
また上記2機関であれば大丈夫だと思いますが、狂犬病に限らず、ワクチンの必須保管環境は非常に繊細。その他の小さなローカル機関が、どのくらい正確にワクチンの管理をできているのかは、私には判断ができません。

実際、新生児が受けるべきワクチンに関しても、ものがないというだけではなく、あってもワクチンの管理状態がどの程度であるかというのが不明で効果に確証がないため他国で受ける、というケースもあると聞きます。

また、ローカルの病院では有効手段がない限り、かなりの待ち時間があるのが通常運転と聞きます。それが大怪我をして血を流している状態でも変わらず、実際私の知り合いは事故で顎の骨を粉砕すると言う大怪我をしたにもかかわらず、数時間放置の上、傷口洗ったら「今日は帰ってください」と言われた人がいました。

狂犬病暴露時に関しては、さすがに時間が非常に大きな意味を持つので待たされない、とは思いたいですが、上記のような緊急事態でも「数時間待たされた上に大した処置もしてもらえない」環境下で、私たちが思う「当たり前」が、どのくらい遂行されるのかは疑問。

これが濡れ衣的認識だったとしたら、現地の医療機関に対して大変失礼な予測ですし、そう言う病院を利用するしかない方に対してもまた、失礼な物言いになるかもしれませんが、まだ私が書いていない、そして私が収集している情報や実例案件を総合すると、少なくとも自分は積極的に利用しようとは思えないし、ましてや、人様にも勧めることができません。

可能であるなら、より安全と思われる方法を選択しよう、と、私なら思います。私の認識が足りていないだけで、医療機関の現状を正しく把握していない可能性があるかもしれませんが、なにぶん狂犬病に関しては命に関わることなので、自分が知り得る限りの情報で判断できる中の最大限安全な選択をするしかないと思っています。


より安全な対応をするために

そんなわけで、実際に狂犬病に対する処置を必要とする場面に遭遇し、改めて思いました。

予防接種は大事

その上で、

保険を有効にしておく
保険の有効範囲を把握しておく
最終手段としてローカル機関を使うために言語の確保を考えておく

などは考えておくべきかな、と思いました。
ローカルに密着し、言語を操れ、ローカル事情にも精通しておられるベテランの方からすると生ぬるい対策かもしれませんが、現実問題、そこまでローカルに入り込めていない在住者が多いのも事実。

それぞれの段階に合わせた対応策を持っておくことが必要かな、と思います。できることは日頃余裕のあるときにしておいて、どうぞみなさん、安全に、楽しく過ごしましょう。元気な体あってこそ、ですからね♪


2019年7月22日
ちぇり


その後、ワクチン在庫について情報をお寄せただきました

先に書いた記事について、追加情報を添えたいと思います。
ワクチンの在庫について。

我が家はかかりつけ病院に暴露後に必要なグロブリンなどがなく、他を当たる際に、Wellbeという医療通訳機関を使いました。結果、見つけてもらいましたが、苦戦したのは事実。

で、実は。。。
日系の病院には、割に安定してウイルスやグロブリンはあるはずだという情報をくださった読者さんがいらっしゃいました。最近はワクチンを輸入してくれる会社があり、割に安定供給されているはず、と。

こちらにも問い合わせてみたところ、もちろんどちらも「常に確実にあります」とは言えないわけですが、問い合わせた時点であったところもあれば、なかったところも、という結果になりました。

が、我が家が必要とした時に在庫をお持ちであったと考えて良い病院もいくつかあった?!

ではなぜ、「ない」と言われたのか。

WellBeさんは通訳会社。通訳を必要としない日系の病院は選択肢として外す傾向があるという話を入手…orz

そりゃそうだわな。日本語で病院に不自由がないとなれば、通訳会社に頼む必要性は減るわけだから、なるべく自分たちが活躍する場面をアピールできた方が良かろう、と言われたら、わからんでもない。。。

実際、別のケースで私が絶対に賛同しないローカルの病院を、いの一番に推奨してくる傾向があるという話も多々聞いいてる。。。(言いなりにならず、希望の病院をしっかり伝えたらそちらを優先はしてくれます。でも事情を知らない人が多々、ちぇり推奨しません病院に連れて行かれているという話を聞きます)

ただし、そもそも日系病院と提携していないという可能性は無きにしも非らずなので(そこまでは確認できていません)演出として意図的にチェックしなかったのではなく、提携先しか在庫の有無をチェックできなかった、ってことで、システムとしてできなかった可能性もあります。そこの本当のところはわかりませんが…

日系病院にあったものをWellBeがチェックでできていなかった・もしくはないとされたのは事実です。なので、もしもの時、または予防接種に関する問い合わせの際、WellBeさんに探してもらって「なかった」と言われた場合は、日系を自分で当たってみるという選択肢もあるかと思います。

ただ、私のスタンスとしては、ワクチンやグロブリンが安定供給されていたとしても、やっぱり予防接種は受けてて欲しいなと思います。家人がそこの知識を持った上で良い判断をしてくれる人でよかったな、と心底思います。

今後も何か情報があれば追加していきますが、不足な部分もあるかもしれません。ご自身でもお調べになって、ベトナムでの事情も加味して、ご納得のいく判断をしていただければと思います。

2019年7月25日
ちぇり


ホーチミンだけじゃない!日本でもこんなことが!

狂犬病の恐ろしさ、日本は安全、と思ってらっしゃる方がいるかもしれませんが、安全すぎてその怖さを忘れ、「可愛いワンちゃんに注射針刺すなんて可哀想!」とか「ワクチンは怖い」とか、勝手な解釈で最近飼い犬にワクチンを打たない人がいるそうですよ。

人間も、すべき予防接種をあれこれ理由つけてしない人たちがいるそうです。そう言う人自身がどうなっても知ったことじゃないのですが、伝染・伝播することは、他の人にも影響のあること。

自分がパンデミックの原因になるかもしれない、なんて思ったら想像するだけで恐ろしいのですが、彼らには想像力も罪の呵責もないのでしょう。

と言うわけで、こんな事例を見かけたので貼っておきます。

これは、飼い犬に予防接種をさせていない人に向けての話になってますが、要は日本も安全では無くなっている可能性があると言うことです。ごく稀な例ではあると思いたいですし、実際そこまで多い例ではないと思うので、日本ではそこまで切羽詰まって、人間の方が予防接種を受けなければならない、と言うことではないかもしれませんが…

自分が動物に近寄らなくても、無責任な飼い主は存在し、動物の行動は制御できないことがあるのです。ましてやその危険性が、世界的にも高いと言われているベトナムでのことならなおのこと、です。

どうか、避けられる危険は避ける準備を、お考えくださいませ。

2019年9月8日
ちぇり

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