あれから、の続き

関係が始まった当初はお互い我慢できず、毎週のように会った。会っても会っても恋しい。平日夜だけでは足りなくて、土日にも会った。仕事のていで。彼に夢中。少なくとも最初は、彼も冷静さを失っていたはず。昔付き合っていた20代の頃より、求め合ったと思う。やがて関係が落ち着くと、バレないように注意を払うようになり、細く長くを合言葉に、頻度も2週に1回。メールのやり取りも2.3日に1回に。そこから5年の月日を経て、互いの転勤などもあり、月1回が定着。今回は私の転勤でそれすらも難しくなり、家族より私を優先して日程調整してほしいと欲が出て、会えないならこの関係を続ける意味がない、潮時だと思ったのだ。

でも、大きな勘違いだった。彼を失うということの意味を分かっていなかった。しばらく会えないのと、永遠に会えないのとでは、全く違う。心がつながっていることが大事だったのに。私は大切なことを見失っていた。

もう終わりだとしても、ちゃんと終わらせたいし、今までの感謝も伝えたい。最後は笑顔で終わりたい。そう思って会いに行ったつもりが、気付けば、やり直したいとすがっていた。彼は、私の話を黙って聞いていた。そして、好きな気持ちは変わらない、だけど今の状態ではお互いに気を揉むだけだから、もう会わない方がいいかもしれない、私が望むなら別れを受け入れるつもりだった、でも、私がもう一度やり直したいなら自分もそうしたいと言った。

彼は、自分がどうしたいかではなく、この状況下で、どうすべきかという視点でこの関係を考えている。人の感情って理屈じゃないし、そんな風に割り切れるのかと私は思うけど、彼はかなり理性的だ。きっと、この関係に一線を引いている。

私は彼のようには割り切れない。なんなら普通の恋愛をしてるつもり。いつも苦しくて、この苦しさと向き合うのがつらくなると、投げ出したくなる。けれど、彼を失わないでよかった。これからも会えないことには変わりはない。前途多難。それでも彼と二人でいばらの道を進む。

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