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『人を活かす経営の新常識』(前川孝雄さん著)を読んで昨今重要度が増している観光振興のキーワードを見つけた件

人材育成の専門家集団 ㈱FeelWorksが、出版事業に乗り出し、その記念すべき最初の発行物として2021年9月15日に生まれたのが当書『人を活かす経営の新常識』。

著者は、同社代表取締役でもある前川孝雄さん。リクルートで「リクナビ」の編集長などを勤め、青山学院大学の講師も務めるほか、企業コンサル実績が豊富な、人材育成業界のばりばりの第一人者だ。

当書は全8章にわたり、50の講話が語られている。その扱う話題は、今の日本の企業が直面する人材育成上の課題が多岐にわたるのに従い、当書の扱う範囲も実に幅広い。

若者の早期離職、女性活用、コロナ禍下のオンラインマネジメント、そしてパワハラ防止などなど、多彩で抜き差しならない課題に真っ向から挑み、それぞれの難問に「解」を出している真摯な態度が実にまっすぐで読後感は爽やかでさえある。

その中で、実は観光振興の吸引力の強化とそのネットワーク・コミュニティが健全に発展するためにぜひ知っておきたい点が2点抽出できた。

P18の「オキシトシンVSドーパミン」とP19の「働きがいのエピソードを共有しよう」の2か所で述べられている。

実はその2つとも、私自身が魅力発掘プロデューサーとして地域に入って、観光振興を進めるにあたり密接な課題感として最近とみに募ってきていた内容と相通じるものがあったからだ。

集客力強化のキーワードは、「幸せホルモン」

オキシトシンとは、良く知られているドーパミンに比して、家族間や親子間などのふれあいでより多く発生するホルモンで「幸せホルモン」とか「愛情ホルモン」と言われているらしい。そして、コロナ禍のせいで、このオキシトシンが分泌される環境・経験が激減していると感じていた。

私は人間の欲望を「食欲」「性欲」「睡眠欲」の3つにわけて、先日本を著した(『まちの魅力を引き出す編集力』)が、その「性欲」を細分化して掘り下げて行くと、どうもこのオキシトシンに行きつくのでないか、と、先日ペットの猫を優しく優しくなでながら考えていた。人は何を「可愛い」と思うのか?そしてそれはなぜか?それがわかれば、観光資源はより魅力を増し、オキシトシンを分泌させる機能を高められるであろうと。私の場合は、赤ちゃんやふわふわの猫などと接する時に、きまって胸から腕の付け根が「軋む(きしむ)」ような感覚をもつのである。

ははぁ、これは「オキシトシン」が分泌されてるのか

そして、私はきまってそれらに手を伸ばして「ふれあいた」くなる。

そう、観光資源により強力な集客力を持たせるには、このオキシトシンをもっと分泌させればいいのである。

なぜなら、「可愛い」と思った結果、人は、それを「触れたがる」。つまり、接近する。この「接近する」とは、「そこに向かって行く」ということに他ならない。これぞ、観光客を誘引する最もシンプルな誘因因子なのだ。リモートが増える今だからこそ、この「リアルに直接行きたくなる(触れあいたくなる)」欲望は、気の毒なくらい発散できずに、欲求不満になっている人が大勢いると推察する。だからこそ、このオキシトシンを誘因する工夫をそれぞれの観光プランのディテールで、磨き上げていきたい。

「エピソード共有」を失うとネットワークは崩壊する

さて、本書で次に語られているのが「働き甲斐のエピソードを共有しよう」である。これは、今もっとも大事なビジネスマナーのひとつであると私は痛切に感じていることで、リモートワークになってから加速度的に失われている、深刻なテーマである。すべての社会人、つまり社会の中で生きている人間に知ってほしいのが実はここである。こちらは、詳しくは本書を読んでのお楽しみにしておこう。

思わぬところで気づきをもらえたこの本。

人を大切にして、地域を大切にして観光に取り組もうとしている方におすすめします。







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