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Frank Sinatra-Put Your Dreams Away

今日聴いているのは『Put Your Dreams Away』。


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ここまでの3作と同じく、コロンビア時代のバラードの名唱を寄せ集めて作られたアルバム。ここまで紹介した中では『The Voice』が一番近いのだが、こちらのほうがよりロマンチックだ。サウンドもお風呂で歌ってるかのようなエコーのかかり方をしていて、アルバムタイトルの通り「夢の世界」を連想させてくれる。とにかく綺麗で私も好きなアルバムの1つ。今日は本作の感想を書くことにする。


【感想】

スターターは”I Dream of You”。この曲を聴くだけでもアルバムの世界観がよく分かるだろう。

続く”Dream”は日本でもとても有名な曲だ。パイド・パイパーズ盤が全米1位だが、ソロシンガーの録音としてはシナトラ盤が代表だろう。シナトラとしては珍しく女性コーラスを用いている。

”I Have But One Heart”は19世紀に作られたナポリ民謡で、イタリア系アメリカ人であるシナトラはこの曲の2番をイタリア語で歌唱している。ちなみに、シナトラのキャリアにはイタリア系の影響が強く出ている。

5曲目の”The Thing We Did Last Summer”はこの美しいアルバムの中でも出色の出来。私のような感受性の乏しい人間でも、この歌を聴くと何か懐かしい気持ちになってくる。聴き手を引き込むシナトラの歌の力は勿論だが、伴奏も完璧だ。

“Mam’selle”は1947年に全米No.1になったシナトラ初期の代表作。歌詞に♪Violin will cry…と出てくる通り、泣きのバイオリンが特徴的な曲である。後に『Nice n’ Easy』(1960年)に再録されている。

“It Never Entered My Mind”はロジャース&ハートの大傑作。これほど美しい旋律はなかなかお耳にかかれないというものだ。マイルスをはじめ多くのインストや歌入りの録音が残されているが、私の知る限りではシナトラ版がベスト。ただしこの録音ではなく、後のアルバム『In The Wee Small Hours』(1955年)に収録されたバージョンの方である。とはいえ、1947年に録音されたこのバージョンも、情感が漂っており非常に良い。

締めくくりは表題曲の”Put Your Dreams Away”。ラジオやテレビでのショウのエンディングにシナトラが好んで用いた、彼のsignature songである。美しいメロディが聴き手を夢の世界に誘ってくれる傑作。


【総評】

寄せ集めとは思えないコンセプトがあり、初期のシナトラの魅力の大半はこのアルバムから摂取できると言っても過言ではない出来だろう。時折プチプチという音が聞こえてくるがそれもまた味わい深い。初心者にもオススメの1枚。


【この1曲】

今回はもちろん”Put Your Dreams Away”。60年代後半のテレビスペシャルでのバージョンをどうぞ。

https://youtu.be/qlragIjVgQ0


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