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2023年自作ベスト6

毎年恒例の自作まとめです。

↓去年までのベストはこちらのマガジンからどうぞ。


先に、今年の主な発表や活動を纏めておきます。

詰パラ→小学校・中学校・高校・デパート・詰備会作品展・将棋パズル雑談・フェアリーランドで発表。4年ぶりに入選回数ランキングに載りました(!)。
プロパラ→引き続きHelpmateコースを担当。作品投稿と、掲載作へのコメントをお待ちしています。
風みどりブログ→「詰将棋つくってみた」と「創作チョー入門」で30作弱発表。
夕刊フジ→週間担当をさせていただき5作発表。
note→約50記事投稿。今年の1月、2月は全く書けていませんでしたが復活できて良かったです。再開のきっかけを与えてくださった高坂師匠に感謝!
詰将棋年鑑→『2020-2021』で短編のJudgeを担当しました。作家としては8作載ったので思い残すことはありません。フェアリーを作っている人が掲載数的に有利になる傾向がありそうですね(笑)。肩の荷が下りたと思ったのも束の間、『2022-2023』でも短編のJudgeを担当することになりました。引き続き頑張ります!


今年はフェアリー詰将棋やチェスプロブレムに触れる時間があまり無く、ほとんどの時間を伝統ルールで遊んでいました。というわけで今回のベスト6は全て普通詰将棋になります。伝統ルールが1作しかなかった去年とは対照的ですね。それでは、今年結果稿が出た作品(→発表は2022/10〜2023/9)のベスト6です。


6位

詰将棋パラダイス2022年12月

75角、66歩合、同角、38玉、65角、27玉、56王、87香成、28歩、38玉、57王、65飛、39歩、47王、66飛、48銀まで17手。

この作品は「2枚角の限定打+それぞれのラインを切って打歩打開」という手順イメージから創作しました。繋ぎの手が無く、テーマに関する手のみで全体を構成しています。ただ、三段目の歩3枚は痛恨。ある作家にはこの初形だけで拒否反応を示されてしまいました(苦い記憶!)。その人は私のことを配置重視の作家だと誤解しているようです。私はあくまでテーマの実現を第一に考えるタイプなので、こういう図面で発表することにそれほど抵抗がありません。

坪倉光誠「ブルータス手筋を2回行い、それに対して妙防が飛び出し、最後は大駒が消えるという盛沢山の内容でした。完璧な短編だと思います。」

若手に褒められた!


5位

詰将棋パラダイス2023年8月

25桂、17馬、56桂、37玉、65桂、77香成、34桂、27玉、81馬、37玉、36馬まで11手。

dual avoidance(非限定回避)を自分なりに表現した作です。桂の配置には少しの自由度があるのですが、初形のキャッチーさというかインパクトに拘った結果こんな図面になりました。15とや左上の配置に荒削りなところがあって、あまり褒められたものではないというのは自覚しています。

担当(山田渉太)「(前略) 1つのロジックで4枚全ての跳ね方が限定された見事な構想作。」

担当に褒められた!


4位

仲村勇之助氏と共作

詰将棋パラダイス2023年4月(改)

56銀、同龍、43馬、54龍、同馬、同桂、45飛、55角合、同飛、同桂、92角、83飛打、同角成、同飛、63飛、同香、74馬まで17手。

角には飛合、飛には角合のやり取りで、易しく作れたので結構満足しています。
なお、今回掲載するにあたって序を少し手直ししてみました。7手目が非限定になる代わりに、盤上1枚減かつ序に銀捨てが入ったという変更です。原図に比べ、構図に安定感が生まれたような?

宮田敦史「目まぐるしい飛角交換の繰り返し。よく成立させたもの。」

プロ棋士に褒められた!

今年は思い出せるだけでも他に角さん、小林さん、岸本君、それから父親(!)との共作を発表しました。来年には高坂さんや長谷川君との共作も発表されることでしょう。なぜこんなに共作しているのか分からないのですが、未完成の図やアイデアについて会合で話すことが多いからのような気がしています。


3位

詰将棋パラダイス2023年3月

45桂打、同角、54金、同角、45桂、同飛、63金まで7手。

構造を分析してはじめて面白さに気が付く作品もありますが、本作はむしろ逆で、分析さえしなければ面白いといった感じでしょうか。手順の表面的な奇妙さという点では良い線行ってる気がします。配置にも不満がなく、こういう7手詰を量産できたら良いのですが、そう上手くはいかないんですよねぇ。半期賞。
あ、あとこれは詰備会での話なのですが、

行き詰まりさんに褒められた!


2位

詰将棋パラダイス2023年7月

44と、73と、45と、36玉、34と、54香、35と、46玉、45と、56玉、55と、同香、57歩、46玉、66飛成、56金、同龍、同香、47金まで19手。

初手45と、それから5手目35とが、作者の設定した誘い手。「両王手できる局面であえてしない」というのはたまに見るテーマではありますが、連続で行った例は過去に無いような気がします。
このテーマを成立させる鍵その①が54角と24銀です。2手目56玉には45角、6手目46玉には35銀を用意しています。鍵その②は61と、51香の移動による露骨なゲートオープン。両王手よりも飛の利きを通してからと金を引くほうにメリットがあるという設計です。収束には自由度があったので、と金がルントラウフするように作りました。この軌跡も相当レア?

担当(岸本裕真)「(前略) と金を還元させてしまうのが流石の纏め。と金寄りに対して玉が戻れない仕組みと、そもそもと金を捨てなければいけない意味付けが上手く出来ている。作者の発想と技術が集約された一作。」

同級生に褒められた!


1位

詰将棋パラダイス2023年5月

75飛、65歩合、同飛、55歩合、同飛引、46玉、47歩、同玉、69角、同香成、45飛、46歩合、同飛、同玉、47歩、同玉、45飛、同銀、37金、57玉、58歩、47玉、77金まで23手。

元のアイデアは「打歩打開のために飛を捨てたいが、そのライン上にもう1枚邪魔な飛がいる」というもの。65飛を45に捨てるためには、先に55飛を捨てなければならないシステムです。それを実現するだけなら11手くらいで可能で、実際に原理図は高校生の頃に出来ていました。ただ私としては、どうしても序で2枚の飛を重ねてストーリーっぽくしておきたかったのです。それで発表まで6年もかかってしまいました。
96角が序の成立のために必須と思われる配置なのですが、それによって初手に限定打をプラスできた上に、69角と捨てる手も入ってくれて(捨てるタイミングも勝手に限定された)、その瞬間が去年で一番嬉しかったように記憶しています。
というわけで、今年の発表作の中では1番のお気に入りです。

自分に褒められた!


(番外編)

詰将棋メーカー2023年12月28日
(スマホ詰パラNo.18314改)

21飛成、43銀、25龍引、17玉、16龍、同玉、21香成、15玉、16歩、24玉、25歩、23玉、33香成、同と、22成香まで15手。

初手21飛成!が、2手目17玉の時に16角成、同玉、22香生!というブリストルでの打歩打開を用意した最遠移動。これ自体が新しいかなと思い、上記の筋をそのまま作意にしてスマホ詰パラに発表しちゃったのですが、その1年半後に、22香生を変化に隠せることに気付いてしまったんです。
作意では最遠移動した飛を原型消去し、空いたスペースに21香成!として収束します。初手35〜95飛を消すために必然の配置である35香を、捨てる収束が付けられて大満足。
改良図なので本編には入れませんでしたが、結局これが一番良いような気もしています。ちなみに、スマパラNo.21426(2023/12/30発表)も最近自作を見返していて気がついた改良ですし、今回の4位の作品も改良図です。自分の詰めの甘さを自覚した1年でした。とほほ・・・


というわけで、元は5作の予定が7作も紹介することになってしまいました。来年は社会人になる予定で、詰将棋と向き合う時間がどれくらいとれるのか分かりません。楽しめる範囲で楽しもうと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。感想などありましたらnoteのコメント欄かXにお願いします。

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