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~岸本裕真氏と将棋世界付録を語り合う~

インタビュー企画の番外編です。今回は岸本裕真氏(Kisy君)を招き、将棋世界令和6年4月号の付録「岸本裕真 詰将棋作品集」について語っていただきました。この付録は長手数作品が多く、鑑賞するだけでもなかなか大変ですが、本記事はKisy君と私(シナトラ)が作品にまつわるエピソードや作品内容についてテキトーにお喋りするというだけの内容なので、誰でも気楽に読めると思います。皆さん、付録を手元に置いてからこの記事を読んでください。付録が無いと何の話をしているのか分からないと思います(図面を載せていないので)。そして、まだ付録を入手していないという方は即、ご購入を!以下のリンクよりどうぞ。


シナトラ(以下シ):将棋世界の付録買いましたよ。
Kisy(以下K):ありがとうございます。久保さんとは違って買いましたか。
シ:え?久保さんには布教したん?
K:うん。
シ:じゃあ俺にも布教してくれて良かったや~ん。
K:久保さんと会った時に、電車で暇やったから、今読んでもいいですよってつもりで渡したら、そのまま「ありがとうね~」って感じでカバンにスッとしまって(笑)。
シ:Kisy君としては試し読みさせただけのつもりやったんや。
K:久保さんは完全に貰ったつもりやったみたい。
シ:結果的に持っていかれてる(笑)。
K:そこで何も言わんかった僕も悪いねんけど。
シ:僕「も」って言ったら久保さんが悪いの確定してまうけど(笑)。
K:あ、確かに。久保さんは良い人です(笑)。

シ:気を取り直して、付録の話をしましょう。まず、なんでこれを作ることになったのか、その経緯を知りたい。
K:突然會場さんから電話かかってきて。「Kisy、付録書かない?」みたいな。
シ:良いなぁそれ。願ってもない機会って感じやろ?
K:そうそう。しかも将棋世界の付録って短編ばっかりのイメージやったから。「僕で良いんですか」って聞き返してもうたくらい。僕じゃ力不足かなと思いつつも断るのは勿体なさすぎるし。
シ:まあ看寿賞を2回とったタイミングでもあるし。
K:最初は短編を39作載せるつもりやったけど、そんなに短編作ってないから會場さんに相談した。それで、最悪『3・5・7手ランダム詰将棋』から引用しても良いよって話になった。それでも39作は集まらんなと思って。しかも僕の短編クオリティ低いし。それで、無理にお願いして長編もOKにしてもらった。
シ:個人的には、「ランダム詰将棋収録の40作から39作を厳選して収録!」みたいな世紀の大ボケがあるかなと思ったんやけど(笑)。
K:ないないない(笑)。
シ:ちなみに20作っていう数は偶然?
K:うん。ページ数を数えながら良い作品から拾っていったらたまたま20になった。
シ:じゃあこれが今の時点の代表作20局?
K:今思うと入れたかった作品はあるけど。煙とか。
シ:でも煙1作入れたら3作くらい減るよね。
K:そうなんよ。
シ:あと共作は全部省いてるよね。
K:うん。共作を入れたら5作くらいは変わってくるかな。
シ:なるほど。ほな、そろそろ作品の中身について語り合いますか。

No.1 [Catch The Rainbow]

4段目に7種合が出て、全て盤上に残る作品。

シ:この作品はどう?
K:めっちゃ好きやねんこれ。
シ:分かるよ。
K:これね、結構評判悪かったりするんやけど。
シ:あっ、そうなんや。
K:合駒をズルい出し方し過ぎってことで。
シ:そういう考え方の人が小林看空さんの『天使』(詰パラ1980年5月・合駒選択の余地がない7種合)を見たらどう思うんかな。個人的にはズルいということは無いと思うけど。
K:反省点は84香かなあ。攻方の駒が挟まってるから。
シ:4段目に虹をかけたみたいにしときたいわけね。
K:この点は修正可能ならばしておきたい。
シ:僕なんかはむしろ、合駒制限があるおかげで煩雑さが無くなってて好き。ある種、戯作風の仕立てというか。
K:僕の全体的な傾向として、変化紛れを使って気合でどうにかするのは望んでなくて。
シ:えっ、望んでないんや。
K:実は望んでない。基本は分かりやすく作りたい。複雑なこと考えるのって難しいんですよ。
シ:それは分かる。けどKisy君がそのタイプというのは意外やわ。

No.2

長編曲詰「イ」。

シ:これは山路さんご夫婦に送った曲詰やんね。
K:そう。許可取ってないから付録には書かなかった。
シ:44銀不成ね。
K:ここは気合で入れた。ポイントはこの初手と、打った67桂の二段跳ね。かつ、途中で41桂合が出るんやけど、これが57桂不成まで跳ねるところ。
シ:普通作みたいな手順やな。それを曲詰の中でやってる。あと還元玉やねんな。
K:そこも結構拘ってる。
シ:曲詰であんまり好きじゃないのは、舞台から離れた場所でなんかやって、玉を引き連れてきて最後は炙り出しみたいなパターン。これは舞台内で出来てるね。
K:そういうパターンは言葉を選ばずに言うと嫌いなんよね。そういうのは煙でやっとけば良い。
シ:舞台の中で出来ることを活かしきってないからな。本作は活かしきってますね。
K:曲詰は元々置いてある駒を最大限活かしきらないと意味がないんですよ。煙は収束が3枚になるから、盤面全体をうまく使って構成で見せる必要があるけど。曲詰にはそういう制限が無いし。元々駒置いてあるんやから、それを活かしきる方向で作らないと可哀想やん。
シ:可哀想とはおもろい表現。名言いただきました。
K:なんか恥ずかしいな、そう言われると。

No.3 [三鈷峰]

作者初の看寿賞に輝いた煙詰。

K:これはねえ、頑張りましたよ、ほんまに。
シ:一番頑張ったくらい?確かに3~4年費やしたって書いてある。
K:僕は詰将棋を雑に作りがちなところがあって、修正ポイントが何かと見つかるんよ。もっと上手く作れたなあとよく思うんやけど、本作に関しては見当たらへん。徹底的にやった。
シ:なるほど。
K:なんでかって言うと、看寿賞を取りたいがために作ったもんやから。
シ:(笑)
K:23銀中合はよくある筋やけど、煙にできたのが大きいと思う。
シ:確か43桂消去が創作のポイントなんやっけ?
K:これを入れないと52角の利きが通ったままになるから、逆算の幅が相当狭くなる。あと余詰め消しになってる。
シ:なるほど。この作品って初形で角が2枚とも幽閉されてるやん。こういう置き方やと逆算が大変なんじゃないん?
K:そう。基本は煙詰では大駒を活用したいんやけど、本作に関しては角を閉じ込めないと玉が脱出できない。
シ:それって大変な方に進んでない?
K:手順が最善になるように尽くした結果、こういう逆算しかありえないと思ったんよね。自分の逆算しやすさよりも手順を重視した。
シ:序盤に香銀バッテリーを組み立てるのもポイントやんな。
K:そうやね、全体を線で結ぶ意味で。
シ:ちなみに、この作品は何種合とかそういうテーマは意識してない?
K:それは突っ込まれがちやけど気にしてなくて、収束の3回の中合で満足してるから。そこから先はおまけっていうね。
シ:7種合に拘ったら7種合にも出来たん?
K:いや、飛合が出ない。
シ:飛合が出ないから良い手を入れる路線に行ったってこと?
K:いやー、元から狙ってなかった。そもそも44飛を取る手を入れてる時点で7種合は厳しい。右辺で中合が3回出てるわけやから、逆算の方針としては左辺で中合が出るような手順を入れるか、もしくは29香27銀を組み立てる手を入れる。つまり、収束の3回の合駒が活きるような方向ね。

No.4 [天動説]

初形で攻方王が55にいる煙詰。

K:これ好きなんですよ。
シ:どの辺りが?
K:オリジナリティがあるんですよ、これは自分が作った中で初めての狙いを持った煙。
シ:この初形だと煙らせようがないように見える。これを「王が2回動く煙」と捉えたら『アツクナレ』との比較になるやんか。
K:看寿賞選考の言葉で、「王2回移動はアツクナレがあるから~」って触れられ方をしたけど、そういうことじゃないのになと思って。
シ:作者的にはその比較は嫌なんやね。55におるのが偉いってこと?
K:狙いを持ってないと55には置けないわけやから。
シ:55って唯一の2回動かないと詰まない地点やもんな。
K:それで言うと15とか59とかもあるんやけど。
シ:ほんまや。それで言うたら11とかもあるんか。ロイヤルバッテリーを組めへんから論外やけど。
K:可能な箇所かつ見た目が面白いのが55やから、そこを選んだ。
シ:この初形から煙らせたところが良いと。
K:もちろん手順も結構面白いと思ってて。26ページの第3図あるやんか。ここから76龍、94玉、96飛は95歩合で詰まない。
シ:76銀で入れば85銀~87龍の筋があるから桂合になるわけね。
K:それから「第2図以下の手順」も見てほしいんやけど、78龍のところで88龍とやっちゃうと打歩詰になるのがポイント。
シ:龍を控えるのね。ちなみにさあ・・・
(ここから今後の煙詰創作のアイデアの話になったので省略。スミマセン!)
シ:解説の「コペルニクス的転回から~」って、何なんこれ。
K:これカッコつけました。
シ:なんかカッコつけてるよね。何これ。
K:天動説と言えばコペルニクス的転回やから。
シ:あー!そういうことか!全然気付かんかった。これ急に何言ってんねやろって思ってたわ(笑)。
K:タイトルが『天動説』やからね。
シ:急におかしくなったんかと。
K:普通は書かんでしょこんなこと。
シ:どの層に刺さる文章やねんって思ってたけどそういうことやったんか。
K:おかしくなったわけではありません(笑)。
シ:良かったー。
K:危なっ。インタビュー受けてなかったらおかしい人と思われてた。

No.5 [Weather Report]

準7種合煙詰。

シ:おい、もう30分も経ったのに4作しか進んでないやん。まあ後半はサクサク進むやろからええか。
K:この作品に関しては、収束を先に大学院では発表したことがあって。
シ:そうやんな。
K:あれが無かったらなー。看寿賞取れててもおかしくなかってんけど。
シ:その原図はどんな感じやっけ。
K:第7図が一番近いかな。第7図からさらに2回くらい合駒出して、初形が右上に収まってて。その図で完成かと前は思ってた。
シ:ミニ煙で。
K:飛合は一応出るの分かったけど、7種合は厳しいなと思って。汚くなるくらいやったら、右上のコンパクトな図にしておくほうが良いと。
シ:うん。
K:そしたら、(原図発表後の)技術の向上によって、c図のさ、84飛合が出るようになったのよ。
シ:38ページのね。
K:これがね、我ながらめちゃくちゃ上手くて。これで7種合出る雰囲気になった。
シ:この84飛合はどう凄いん?
K:第 5 図から c 図にかけての逆算は、第 5 図の段階で 84 飛合を出すっていう意思が無い と出ないわけよね。84飛を取る手順をここで入れてるわけやから。それで、なんやかんやで出たっていう。
シ:なんやかんや?解説には正算と逆算を織り交ぜたとあるけど。
K:飛合出そうやなと考えて、逆算だけやとそこに辿りつけへんから、飛合が仮に出たっていう図を考えて、そこから逆算と正算でガッチャンコするみたいな作り方をした。
シ:ふええ。飛合を出すのは7種合のためのパーツやから分かるねんけど、地点が84というのはそこが一番やりやすいから?
K:そうやな。色々試したけど。85に龍がおる形が後の逆算に良い影響をもたらしそうなのもある。途中で飛と龍で追うところあるねんけど、その時も常に飛を持駒にして打つことを考えてた。飛を打つタイミングを計ってるわけね。
シ:タイミングを計る?
K:飛を持駒にしないといけないから。合駒出すために。
シ:どういうこと?
K:煙詰で合駒出そうと思ったら、1回逆算の過程でね、攻方に出す駒が来ないといけないわけよ。
シ:え、そうなん?
K:基本はね。合駒は取らないと残ってしまうから。
シ:ああ、そうか、普段詰将棋を逆順で考えへんから何言ってるんか分からんかったわ。
K:飛と龍で追うところでは飛を打たないとあかんという頭やから。そうすると、第5図くらいで86飛がついに入るなと思って、ここで84飛合くらいは入れときますかとなるわけよ。盤の大きさ的にもこの辺りがちょうど良さそう。
シ:ここの追い方が面白いと思うんよな。
K:飛と龍での追い方は色々あるから、他の案では左端で飛合が出る案もあって。でも逆算が難しかった。まあ、この飛合さえ出れば7種合まで行けるだろうという感覚。結局は銀が移動合になったけど。
シ:銀は打合にしたかった?
K:もちろん。でも物理的に厳しかった。
シ:原図は大学院に発表したからスマホ詰パラで発表と。
K:そうそう。
シ:ちなみに、煙詰って全部で何個作った?
K:7~8くらい作ってるんじゃない?
シ:数も覚えてないくらい作ってると(笑)。この付録ではこれで煙詰は終わりやけど、他に入れたかった作はある?
K:『Whitesnake』。ただ、あれは無防備煙にならなかったので没。
シ:95とだけがね。ちなみに、今後作ろうとしている煙はどれくらいあるの?
K:まあ、2作くらいかなあ。テーマ的に。作りたいのは。

No.6 [幻日環]

史上初の7種合3回で作者の代表作。看寿賞受賞。

K:これはまあ言うまでもないでしょう。
シ:逆に?まあ看寿賞のコメントとかもあるしね。
K:作品を見ろ、と。
シ:なるほどね。じゃあこの作品は置いといてさ、この作品のパーツを抽出して馬屋原さんとの『月光柱』、俺が名付けたヤツね。それに転用してるじゃないですか。
K:名付けたくだり要らんなあ。
シ:要るやろ!俺が名付けたってのを主張していかんと(笑)。
K:確かに。失礼しました(笑)。
シ:『月光柱』の話に戻るけど、あの作品では『幻日環』の中に含まれる52香のユニットというのか、そのパーツを転用してるわけやん。こういうユニットを使った一番最初の作品って何なんやろ?
K:何なんやろなあ。
シ:XでKisy君が52香のユニットに対して「Kisy(きっしー)回生手筋」って名付けてたやん。
K:「Kisy(きし)回生手筋」ね。
シ:名付けてたけど、あの構成自体が流石に元祖ではないはずやん。15金にしろ57角にしろ、これだけ意識的にやったのは勿論初めてやろうけど。
K:ネーミングが良いかなと思って。「Kisy(きし)回生手筋」っていう。
シ:あっ、あれ「Kisy(きし)回生手筋」って読むんか。俺「Kisy(きっしー)回生手筋」やと思ってて、どういう意味やろってなってたわ。
K:四字熟語とかけてるわけよ。
シ:分かんなかった~(笑)。あれもおかしくなったんかと思ってた。
K:いやいや。それは分かってよ流石に。
シ:いや失礼しました。こちらのお笑い力不足で(笑)。
K:逆に申し訳ないわ(笑)。
シ:結局、「Kisy回生手筋」のオリジナルは分からんかったな。誰か調べてほしいわ。
K:お願いします。
シ:あとさ、トリプル7種合といえば最近添川さんが発表してたやん。それはどう思ってる?
K:あれねぇ、やられたと思ったね、流石に。
シ:やられたっていう感想になるんや。
K:だって物理的に出ないと思ってたもん。
シ:剛力で出すのはダブルが限界やと思ってた?
K:僕も作るとき、最初は剛力でやるのを考えたけど、流石にサイクルやろと。
シ:まあ、その方がね。
K:テクニックで出すもんやと思ってたら、添川さんにパワーで出されたから「なんやこれは」と。
シ:出るんかい!となったわけね。
K:そうそう、出るんかい!と思った。
シ:もし、添川さんのトリプル7種合が先に発表されてる世界線で、Kisyがサイクルを思いついたら、4回転させてたわけ?
K:させてるでしょ、それは。
シ:その世界線見たかったわ。
K:4回転させるとしたらこの構図では無理やから、今持ってる別の構図を使うやろな。
シ:えっ、この構図って絶対無理なん?4回転。
K:無理無理。だから今持ってる別の構図になる。
シ:別の構図があるの?じゃあそっちで4回転作って発表してよ。
K:いや、それもめんどくさいんよな。
シ:『幻日環』だって大変やったやろ。
K:いや、そっちはね・・・
(ここからの内容は非公開、スミマセン!)

No.7

短編曲詰「リ」。

シ:曲詰の17手。やっと短編が来たわ。
K:結構うまくできたと思ってて。短編らしい仕上がり。
シ:序の6手ね。ここで馬がスイッチバックする。
K:この逆算が上手く行った。収束は習いあるタイプやけど。
シ:前例あるのって多分43銀からやろ。24龍からあるんかな?
K:無いんちゃうかな。
シ:43銀からならまあ良いんじゃないと思う。共有財産でしょ。短編だとどうしても共有財産の比重が大きくなってしまうのが残念なところやけど。4手目同玉の変化とかギリギリやな。
K:盤端まで追ってギリギリで耐えてる。短編の曲詰では一番上手くいったかな。
シ:ここまで弩級の作品が並んでたのに、ここから急に手数が短くなる。なんでこの並び順なん?
K:これはね、締切に追われ過ぎて、原稿を出した順番でそのまま載せたから。1番にあれが来たのは、狙いが分かりやすいし、変化紛れも分かりやすいから書きやすかったんよね。それから、長編で採用したいのを順番に書いた。それで『幻日環』まで書き終えて一旦提出した。
シ:うん。
K:そこからはページの調整をしないとあかんから。1ページで収まるやつを並べないといけなかった。それでこういう並び順になった。
シ:ふむふむ。
K: 〆切がかなりギリギリだったので、掲載順を入れ替えるのは難しくて。編集部には大変ご迷惑をおかけしました。

No.8

玉方角不成連続7回の記録作。

K:デパートで発表する時に「一級品しか採用しません」と書いて自作を採用したっていう。
シ:あー、Kisy君が詰パラの担当になった最初の号での話やね。それについて、誰かに何か言われたみたいな話を前に聞いたけど。
K:○○さんから、「一級品じゃなかったらボロクソに書いてやろうかなと思いましたが、それなりに良いですね」みたいに書かれた記憶がある(笑)。
シ:これはあくまで「連続」がテーマよね。連続に拘らなければまだ回数は増やせる。
K:実は連続に拘ってもまだ1回は増やせる。
シ:そうなんや。
K:でもそれをするとプラス10枚か20枚くらい増える。
シ:じゃあこの形が最善か。単純に記録を追い求めるならぐちゃぐちゃにするんだろうけど、そうしなくて良かったと思う。この作品はいわゆる「Kisyの記録作」系列の作品に見えない。綺麗に出来てるから。そう言うと他のKisy君の記録作を汚いって言ってるみたいになるけど(笑)。他のよりエレガント。
K:そうね。エレガントやと思う。
シ:他に誰かから反応とかあった?
K:概ね良い反応やったよ。だって「一級品しか採用しません」のコメントは(過去にデパートを担当していた)大崎さんと馬屋原さんのパクリやから。
シ:そうか、既存の手筋か。え?自作を載せたのもパロディー?
K:いやそれは自分でやった。
シ:そうなのか。
K:いやまあこれは我ながら一級品かと。
シ:これさ、15と、同角は当然として、そこで26歩と突いちゃうと14玉でダメやけど、37桂と打つと14玉には26桂、13玉、15香、同龍、31角から両王手して詰むんよね。そこが上手くいってる。
K:そう。これは無駄なく出来た。
シ:確かに無駄がない。これは良いKisyが出てる。
K:(笑)

No.9 [逆わらしべ長者]

発表時新構想の持駒変換。

K:これはね~、『わらしべ貧者』さえ無ければ胸を張れる作品なんやけど。
シ:これって、この付録の中で一番古い作品?
K:創作した順番ではNo.16が一番古い。発表では本作が一番古いね。
シ:初期の作品よね。発表が7年前。最初期のKisyでは代表作やろ?
K:僕がこれ発表したちょっと後に、広瀬さんの『わらしべ貧者』の発表があって、『逆わらしべ長者』が明確に下位互換だから微妙な感じになったっていう。

広瀬稔『わらしべ貧者』
詰パラ2018年1月

86金、66玉、55銀、同銀、63龍、64飛合、同龍、同銀、69飛、68香合、同飛、同金、58桂、同金、69香、68歩合、同香、同金、58桂、同金、67歩、55玉、46金、同角、56歩、65玉、87馬まで27手。

シ:やけどKisy作のほうが先なんやろ?
K:まあ一応。
シ:発表時期から考えても広瀬さんはKisy作を見る前に作って投稿したんだろうけど、それでもKisy作の発表が先なら進化の系譜には残るやん。これって発表時点では新しかったんやろ?
K:新しい。発表当時は滅茶苦茶新しかった。
シ:二段構えの不利変換が過去に無かったのか。
K:そう。そして『わらしべ貧者』が龍→飛→香→歩を実現してる。
シ:三段の不利交換が出てしまったわけだ。
K:かつ、持駒に桂があって、変換のために毎回捨てないといけない。
シ:龍+桂2を歩1に変えるって話ね。
K:そうそう。そんな感じ。
シ:でもまあ桂はスイッチとして機能してるだけで本質ではないと思うけど。頭が丸いから。
K:あー、そうそう。
シ:まあその三段変換がKisy作の上を行ったと。上を行ったというか四段はやりようがないから多分最大だよね。
K:ただ、その時の僕は二段で良いと思って発表した。今では、龍も加えて作っておけば良かったなーっていう後悔がある。
シ:そうしておけば、破られない一号局に出来た。
K:創作時も、理屈的には龍から出来ると気付いてたけど、まあええかと思って発表した。やりたかったことは実現出来たし。
シ:まあ2017年やからなあ。
K:甘さが出たわ。新人ならではの。
シ:今やったらな。
K:今やったらそら龍から作りますけど。

No.10 [SBR]

全手順馬の最長手数記録作。

K:良いですね~、これ良いですね~。
シ:そうかなぁ?
K:いやこれね、全手順大駒は馬しかできないんやって。
シ:いや、分かるよ。そうやねんけど・・・。
K:なんか歯切れ悪いなあ。
シ:なんていうんかな。記録作やなーっていうくらいの感想。8番やったら、記録作かつ良い手順、と言えるけども。
K:これは、誰かが発見しててもおかしくないのに、僕が見つけたっていうのが嬉しかった。
シ:誰も発見しようとしてなかったんちゃうん(笑)。
K:いやいや。発見しようとするでしょ。こんな短い手数でできるテーマは。
シ:これはYouTubeで発表したんよね。狙いを分かった人はどれくらいいたの?
K:結構おったで。
シ:分かるんや。まあ作者名もあるか。
K:いや、解答募集の時は作者名伏せられてたけど。
シ:あ、伏せられてるんか。じゃあこの狙いって伝わるんだ。
K:金少桂さんに至っては、狙いの看破と同時に「これ馬で出来るんだ~、他の大駒じゃできないですからね!」みたいなことを言ってくださった。
シ:この図を既に見てる立場からすると、まあ出来るんじゃねと思っちゃうけど。
K:いや出来へんよこれ。
シ:これ作るの難しいん?
K:難しいで結構。この構図しか無いんやから。
シ:そんなに難しいかなぁ?
K:創作難易度的には、シナトラ君との合作くらいあるよ。
シ:これが?そんなに難しいんこれ。
K:考えること多いんやから。
シ:考えることなんか、4手目が駒余りになる仕組みだけじゃねと思うんやけど(笑)。
K:違う違う。しかもさ、記録作を作ろうとするときには、他の駒のことも考えるわけやから。
シ:あー、飛・角・龍バージョンね。
K:他の駒も考えた上で馬でしか出来ないと気付く、その過程が必要やから。
シ:うーん・・・はい(笑)。
K:どうも共感を得られてなさそうやけど、まあええや。語りたいことは語れた。

No.11

あえて逆王手しない5手詰。

K:これね、作品集の表紙にするか悩みました。『幻日環』にするかこれにするか。
シ:なんでやねん!
K:易しいからさ。解こうかなって気持ちになるから、思わず手にとってくれるかなって。
シ:これ載せるんやな。
K:これ結構好きやけど。
シ:No.10とこれだけが5手詰なんかな。
K:うん。
シ:5手って、もっとなんか作れるんじゃない?
K:作れへん。
シ:5手詰でこの2作が載るの?って思うんよな。
K:これ一応、詰パラの800号記念やから。
シ:発表先が大事なん?
K:唯一の保育園に載った作品。だって、看寿賞は2回取ってるけど、保育園は1回しか載ってないから。
シ:なるほど、希少価値で言うとね(笑)。

No.12

打歩打開のための飛ワープ。

K:これはどうですか?
シ:これは傑作。
K:なんかな、久保さんとイノテツさんもこれめっちゃ良いって言ってた。でも僕はなんか、あーそうなんやーって感じ。
シ:いや、だから君は分かってない。全然分かってない。
K:(笑)
シ:おもろいやろこれは。
K:うーん。
シ:それが分かんないかね?
K:うーん。
シ:これはKisy作品の中で一番好き。
K:評価高すぎやろそれは。
シ:いやほんまに。歴史的価値とかを考慮したらそりゃ『幻日環』になるけど、そういうのは度外視して、自分の好みだけでいうとこれ。
K:へ~。
シ:YouTubeで発表するんやと思って。
K:いや~。まあ自分なりに評価してるのは、最初に76飛移動するところやね。
シ:あー、96歩合対策のとこ?うーん、そこかなあ?単純にシステムとしてさ、85玉に対して2通りの王手が出来て、それぞれ別の位置でバッテリーが組めて、そのフロントピース2枚の位置関係を操作するっていう、仕組み自体が新鮮やと思う。相当見たことない設計。
K:この構造自体はすぐ出来たから何も思わへんかった。
シ:これやから素人は・・・
K:なんで作者やのにそんなこと言われなあかんねん(笑)。
シ:大変失礼しました(笑)。それはそうと、本作を見てて思ったのは、例えばの話やねんけど、はじめ79飛78角型でスタートして、そこから77飛78角型に組み換えると何かができて、やけどそこで打歩詰になるからまた79飛78角型に戻すっていう。そういう往復の構造には出来ないかな?
K:一歩稼ぐ筋は考えたんやけど、飛と角の移動を限定させるのが厳しい。
シ:79飛スタートに出来たらさらに面白い気もする。もちろん本図は本図で、簡潔に出来てて文句なしやけど。
K:方法はあるんかなあ。ちょっと僕の発想では厳しかった。この図は左端に寄せてるけど、左にスペースを作ってさらなる工夫ができないかというのも考えたことがある。でもちょっと厳しかった。この図でも無理してるんで。

No.13

限定打からはじまる手筋もの。

K:これは正統派ですね。
シ:正統派。ちょっと前に解いたけどえらい難しかった。
K:3手目難しいでしょ。
シ:10分くらいかかった気がする。中合の処理で無理してないのが良い。
K:本作に関しては初手47角が収束に効いてくるというのが全てかな。
シ:うんうん。
K:僕らしいよね。序盤の展開が最後に活きるっていうのが。
シ:Kisyらしいかなぁ?
K:分からんけど(笑)。
シ:発表先は?
K:昔に暁将棋部屋さんのブログで発表されてんけど、そのブログが今はもう消えてて見れない。
シ:宙ぶらりん状態なのね。
K:だからここで供養した。
シ:詰将棋メーカーに出しといたら?
K:まあいいでしょ。ここに載せたんで。
シ:こういう作品で39作揃えられたら良いんやけどな。
K:分かるなあ~。これは奇跡的な完成度やったね。もうこんなん作られへんもん。自作とは思われへん。
シ:何なんやろな、これ。
K:たまたま短編作ってみようと思ったら出来たのがこれやってん。
シ:そんな感じやね。
K:運で出来た。
シ:まあ詰将棋は運ゲーやからな(笑)。
K:ほんまにそう。

No.14

初形曲詰「R」、ミニ煙。

K:これはしょうもないけど、色んなものを載せておこうと思って載せました。
シ:初形曲詰はこれ1作だけか。炙り出しは何個もあるけど。
K:うん。
シ:ミニ煙に出来ますっていう器用さを証明した、みたいな?
K:そうそう。一応こんなこともやってますっていう。
シ:たま~にな。
K:そう、たま~に。
シ:解説にあるけど、初形曲詰煙って正算と逆算どっちでも作れるんや。
K:添川さんとか橋本孝治さんは正算でしょ。
シ:そうなんや。
K:だって橋本孝治さんの『コロナ』は正算やろ。
シ:あー。

No.15

金を繰り替える短編。

K:まあまあかな。
シ:こういうのは普通だと思っちゃうな。57金~47金~57金っていう動きは良いけれど。全体の仕立てとしては今一歩かなと。
K:「詰将棋つくってみた」で駒井さんから賞もらったから入れようかなと思って。アイラブ駒井さん。
シ:なるほど(笑)。
K:あかん、ここnoteに使われてまう。

No.16 [轍]

連続飛合。

K:これはもう懐かしすぎて。
シ:中学生くらいとちゃうん?作ったの。
K:これ研修会の時に作ってて。最初50手くらいやってんけど、うまく纏まらなくて。というか、うまく纏まらないから50手まで伸びてたわけやけど。推敲を重ねてこうなった。
シ:合駒ロジックが意外にシンプルな点が買える。これで余詰無いんや。
K:持駒を飛飛金に変えると、今度は飛2連合が出来なくなるので15飛を取るしかなくなって収束。
シ:収束が不満なんやっけ?
K:うん。ちょっと捌けなかったって。
シ:個人的には全然OKやと思う。
K:これね、元々詰パラの新人コンクールに投稿してたんやけど、その時は攻方37桂を17に置いてて、そしたら余詰があったみたいで。
シ:え?
K:ビックリするでしょ。なんでか分からんねんけど。
シ:今でも分からんの?
K:うん。
シ:37に駒打たれて困るんかな?
K:かもしれん。当時僕は柿木持ってなかったから、完全に自力で検討しててん。少しでも余詰の可能性減らしたくて37桂を17に置いたけど、それがむしろ悪い結果になったという。
シ:紛れの面でも37桂型のほうが良いね。

No.17

同列の邪魔駒を3枚間接消去。

K:これは載せなくてよかったな~、ほんまに。
シ:なんで?
K:17番よりは創棋会作品展のやつかな。
シ:でもあれは解説が1ページに収まらなかったんやろ?
K:無理やり収めたら良かった。
シ:17番はあんまりなん?
K:あんまりではないけど、もうちょっと発展がありそう。
シ:これって一緒に詰備会に行った時の作品やっけ。
K:そう。
シ:創作過程のもっと重い図を見てるから、まあこれくらいで出来てるならという気はする。No.19とネタが似てるけど。ちなみにこれって縦型で作るものなん?
K:うーんと。
シ:あっ、桂使うからか。これ以外の角度は無いってことか。
K:横じゃ無理でしょうね。

No.18

全手順歩の最長手数記録作。

K:これ、良いでしょ。
シ:何すかこれ。この初形曲詰みたいな形。
K:(笑)
シ:ロジック見ていきますか。4手目64金って移動合するのは取ったらいいの?
K:そんな感じなんかなぁ。
シ:いや、取っても全然詰まんな。
K:どうやって詰ませるんやろ?
シ:54歩って突いて61銀成ってこと?だから63を空けるために移動合するのか。
K:あっ、そういうことですわ。
シ:いやなんで俺のほうが分かっとるねん(笑)。右側のやり取りは単純に44を埋めた分だけ攻方が得をしていると。
K:収束、先に72歩成だと23飛合がある。
シ:24に王がいるから左右非対称になるのね。前の記録は何手?
K:7手が最高やったかな。
シ:それを一気に13まで増やしたってこと?凄いやん。理論値なんやろ?
K:これね、我ながらエグいよ。
シ:お見事でした。
K:その割に、評価が低い。
シ:破られないことが確定している記録には価値があるはずで。『詰将棋年鑑』で拾ってもらえたら良いな。

No.19

4香打ち換えによる間接邪魔駒消去×4。

シ:これ、ほんまにこの駒数要るんですか?
K:しょうがないな。
シ:1枚も減らせない?
K:いや、それは分からんけど厳しい。少なくとも、右側しょうがないしな。
シ:右側ってしょうがないんや。ちょっと分からへん。
K:変化紛れ追ってみ?ほんまに大変。こんな作り方したくないんよ。
シ:最初の桂消去の意味付けは明快やね。その後、55から打った時に34に逃げられる心配が無くなるわけやん。最初の2回で42玉と行けないのは43桂と44桂が強いからよね?
K:そうかな?
シ:そうかなって(笑)。
K:多分そう。
シ:だって逃げ道として一番強いのは42やん。馬の利きも角の利きも止まってるうちにそっちに行きたい。やけど桂がおるから行っても捕まっちゃうってことよね?
K:そうやね。
シ:44桂まで消してもう1回54香って打つと、今度43玉には33歩成の1手詰やから42玉。ここを1段目でギリギリ耐えようという話なのね。
K:そう。ほんまにしんどい。
シ:これ香が成れる必要があるから、3段目までに玉がいなければならない。そこがしんどいよな。
K:システム上、41龍って入る手が必須やから。そこが結構きついよね。41龍と入らないとあかんのに、33歩成、31玉は耐える必要がある。
シ:41龍は42歩を消した意味付けね。確かに41龍以外の意味付けは用意し辛いのか。
K:例えば、42歩消えた意味付けを歩で処理しようと思うと、香4枚持ってる時点でヤバいわけよ。
シ:なるほど。これで55香と打つと、晴れて63桂が消去できる。龍利きが通って詰みか。
K:うん。
シ:これは最短の収束を心掛けた?
K:いや、心掛けてないけど、変化が長いからさ。短くするなら56埋めるとか方法あるんだろうけど。
シ:「詰将棋つくってみた」での反応は?
K:Judgeの武島さんには「もっと配置が少なければ歴史に残る作品だっただろう」と言われた。馬屋原さんは大絶賛やったけど。
シ:でしょうね(笑)。馬屋原さんはNo.10も大絶賛やろ?
K:うん、大絶賛よそりゃ。18番も大絶賛よ(笑)。
シ:まあ俺は小絶賛くらいにしておこうかな。
K:いやー、19番は馬屋原さん大絶賛やったわ。大喜びやったもん。
シ:もうええて(笑)。

No.20

合駒3枚動かしの曲詰「千」。

K:ラストね。
シ:これはどう?
K:まあ結構よく出来たと思うけどね。
シ:これよく出来てるよなあ。どう考えてもよく出来てる。
K:58銀不成と57桂不成を合駒で出せてるのエグない?
シ:ちょっと待ってな。鑑賞したときに、おーっと思ったのは覚えてるねん。
K:ちゃんと見てあげてこれ。
シ:ちょっと待ちーな。お兄さん。
K:早く!早く!
シ:46銀、同香、66銀、同香。1回目の合駒動かしの時点でもう凄い手順やな。
K:うん。
シ:なるほど。全体を通して、誰かが普通作で作っててもおかしくないくらいの好手順や。
K:この不成が曲詰で趣向的に入ってるのがミソ。普通作としても良いと思うねんな。
シ:確かにな。曲詰にならなくても見れるレベルやわ。2地点で打歩が設定されてるから2種不成が出るのね。最後がこの作品というのは決まってたん?
K:これは3ページ使うからね。
シ:これ曲詰で一番良いんじゃない。
K:我ながらさ、曲詰うまくない?
シ:煙より上手いんじゃない?多分曲詰が一番上手い。Kisy君は曲詰作家やわ。
K:こんなに記録作を作ってるのに。
シ:記録作そんなに作ってる?
K:『幻日環』とか。
シ:あれを記録作と捉えたことなかったわ。うん、やっぱり曲詰作家やわ。

【総評】

シ:付録全体を通しての感想とかあります?
K:全体的に作り込みが甘いなという気はするけどな。トップ20でこれかあって感じ。
シ:上のほうがあまりにも良すぎて、20作集めると下が追い付いてきてない。
K:20番の曲詰くらいのレベルのものをもっと入れることができたらな。
シ:この付録が出来た、ということに対する感想は?
K:ほんまにありがたいね。マイナビさんありがとうございます。
シ:人の縁やもんなぁ結局。『ランダム詰将棋』を我々が出したのもさ、人の縁でやらせてもらえることになったもんね。
K:うん。この付録なんか僕が一番向いてないからさ。
シ:普通は短編しか載らんからな。
K:絶対にもっと適任の作家がおるから、そういう作家を差し置いて自分の付録が出たことは申し訳ないけど、それはともかくとして嬉しい。
シ:この付録の反響はあった?詰将棋界・指将棋界問わずに。
K:あったよ。加古川青流戦にこの前出たんやけど、めっちゃ話しかけられたもん。「将棋世界読みました~」って。
シ:面識の無い人からも?
K:そうそう。「青い鳥」も買いましたって言われた。
シ:良いな。そうやってまた縁が広がっていくと良いよね。
K:そうや思い出した。入れたい作品あってん。スマホ詰パラ発表の曲詰「エ」。
シ:馬鋸のやつやっけ。
K:そう。
シ:なんで入れなかったの?
K:ページ数の関係で。
シ:折角やから、入れたかったけど入れられなかった作品を全部言ってよ。
K:スマホ詰パラ発表作から曲詰「エ」と「ニ」、煙詰の「Whitesnake」。それから、合作もほんまは入れたかった。
シ:合作ならどれ?
K:シナトラ君との小学校。それから馬屋原さんとの『月光柱』、あと中学校の三本不明作。
シ:半期賞?
K:それは三本裕明作。それも入れたい。最後に馬屋原さんとの『下剋上』。
シ:王を入れ替えるやつか。
K:僕のnoteに大体書いてます。
シ:『下剋上』って確か評判悪かったような(笑)。
K:うん。不当な評価を得ています。
シ:俺は別に嫌いじゃないけどな。あれ不当な評価受けてるんや。
K:もっと評価高くあってほしい。お願いしますよ。
シ:俺に言われても困るんやけど(笑)。

【今後の展望】

シ:今回Kisy君の作品集が出たやん、これを毎年続けたいよな。
K:そうそう。
シ:この流れを止めたくない。3月の付録がキッズチャレンジやから、そこで「小学生ってここまで作れるんや!」ってみんなが思うわけやん。そして翌月に「大人怖え」みたいな(笑)。その落差をウリにしてほしい。毎年4月には、小学生が震え上がるような作品集を(笑)。もしも今後があるとして、Kisy君的に出してほしい作家は誰?
K:まず上谷さんでしょ。
シ:うん。
K:それから山路さんも。
シ:中編も入ってきそうな気がするけど。
K:短編コンクールであれだけ優勝してるし短編だけでもいけるでしょ。
シ:確かに。短編で看寿賞も取ってるし。
K:シナトラ君も出してほしい。色んな意味で震え上がらせてほしい。
シ:色んな意味ってなんやねん(笑)。
K:ほんまに詰将棋か?みたいなやつで。
シ:Kisy君にそれ言われたくないんやけど(笑)。こっちは正統派なんやけどな。
K:どこがやねん。あと武島さん。
シ:あー、武島さんね。それは見たいですねぇ。
K:あと天月春霞さんも見たいですね。
シ:あー、確かに。じゃあ、見たい作家は武島さんと天月さんということで(笑)。
K:はい(笑)。
シ:この文化が毎年続くと良いなあ。
K:あと、逆に田島秀男さんに出してほしいな。
シ:え?
K:面白そうやん。
シ:いや、面白いのは確定なんやけど、小学生が震え上がるどころか逃げ出してしまうかもしれん(笑)。凄すぎて。
K:そういえば僕の付録、奨励会員の人が解いてくれてるらしいんやけど、1番から解いてて、飛ばそうとしないから、ほとんど難しい順に解くことになってるって言ってた。
シ:やっぱり並び順が(笑)。長い方から原稿を書いたのが不思議やわ。
K:その方がページ数を把握しやすいから。
シ:なるほど。
K:しかもあれって、出題ページが左側に来るようにならないといけないから。
シ:言われてみれば!解説に使えるページ数は必ず奇数になるわけね。
K:そう。2ページで書きたい作品あってんけど、そういう理由で選べなかった。
シ:今後、解説に複数ページ使うタイプの作家が将棋世界で付録を作る際には、参考にしてほしいな。
K:そうです。注意しましょう。

シ:では、そろそろ終わりますか。言いたいことは全部言えました?
K:うん、言えたかな。
シ:1時間52分も喋ってたみたいやわ。ほな、お疲れさん。
K:お疲れ~。


最後までお読みいただきありがとうございました!

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