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友達と食べるラーメンのたった20分間の魔法。【元気をもらったあの食事】

私についに好きな人ができた!
彼は私よりひと回りくらい年上で、面倒見が良く、バリバリ働く大人の男性という印象。
ご飯に誘ってくれて、会話が楽しくて、好きになるまでに時間がかからなかった。
何より、私は誰にも話すことができなかった悩みを彼に打ち明けることができたのは、自分でも驚きだった。
会ってまだ一月も経っていないのに、すっかり信頼を寄せている私がいた。

でも、会うたびにどんどん好きになっていくのと同時に、同じように不安が積もる。
私たちは、ちゃんと付き合っていない。
一度、彼にどこの会社で働いているんですか?と聞いたことがある。「言っても分かんないから」とその一言で終わり。聞かれたくないのかなと思って口をつぐむ私。
この出来事は、勝手にその後の私を空回りさせるきっかけとなる。

その後は、いつも通り1週間に1回くらいのペースで会って、楽しい時間を過ごす。
でも、彼が仕事内容のことをはぐらかしたりする度に、どうして会社名言えなかったんだろうとモヤモヤする私がいた。
ちょっとした発言に勝手に壁を感じて、落ち込む。そんなことを繰り返していた。

ある時、私の発言によって怒らせてしまい、謝罪のLINEを送ったときのやりとりの中で、彼のある発言に私の抱えてた不満が爆発した一言を返してしまった。

自分の返信した内容に(やばいやってしまった!)と青ざめる私。
しかし、時すでに遅しとはこのこと。
何をやってるんだろう。
結局、「お門違いなことを言ってる」と言われ、しばらく連絡が途絶えた。

2日間、ご飯がろくに食べられない。落ち込む。どうしてこうなってしまったんだろうと悔やむ。
3日目、何か食べないとと思って胃に入れる。2日間で空っぽになった胃に急にご飯が入るととても気持ち悪い。
4日目、お腹空いたと感じ始め、いつもより少なめのご飯を食べる。

そして5日目。この日は久しぶりに友達と銀座に出かけた。友達が大好きなアニメのイベントがあったのだ。半年ぶりくらいに会う友達の変わらなさに安堵する。

イベントが終わって、18時くらいに外に出る。「東京駅まで歩こう」と言って歩き出す。
何食べようかって話しながら、今日はまだ何も口にいれてなかったと思い出す。
「そうだ、東京駅のラーメンストリートに行ってみよう!」
よく私たちは、会うとラーメンを食べるのだ。

入るラーメン屋さんを決めて、やっと席に着く。
ようやく座ることができ一息ついたところで初めて彼の悩みを友達に話す。
「失言しちゃって、多分すごい怒ってて、もしかしたらもう連絡来ないかもしれない、、」
「仕事先教えてくれなかったことにずっとモヤモヤしてて、どう思う?」なんて言いながら、話をしている最中にラーメン登場。
ラーメンに箸を入れながら、話し続ける。
(やっぱりラーメン一杯きついかも、、)と心の中で思いながら、友達のアドバイスに耳を傾ける。
すると友達が、「人の気持ちなんて長く続かないから、もしまだ怒ってるような人なら逆にやめた方がいいよ。めんどくさい。」とばっさり言い放った!
その言い方があまりにも可笑しくて、ふつふつと笑いが込み上げてきた私は、急に力が抜けた。
(あ!なんか大丈夫かも。)と思って、気づいたらラーメンをペロリと平らげていた。

ラーメン屋を後にした後、人が少ないベンチに腰をかけ、おしゃべりタイム。
さっきと打って変わって、私は、彼はこんな人でね、こういうことがあって、すごい嬉しかったんだなんて報告をする。話しながら、さっきまで怒らせたかもしれない、もう連絡来ないかもしれないと暗くなっていたのに、ただ純粋に会いたいななんて思い始めてる。

その後、しばらくして彼と会うことになり、彼がいつもと変わらず普通に接してくれたおかげで、1日楽しかった。
楽しいなら、相手の仕事先とかどうでもいいかなんて考えながら、連絡取らなかった日々を考える。
こんなに1週間が長く感じたことはあったかな。
恋をするって本当に大変だななんて、まるで初恋の気分。

友達と食べた、たった20分間のラーメンの時間は、まるで魔法にかけられたように心が軽くなった。
次、ラーメンを食べる時は、どんな報告ができるだろう。
そう。私の恋物語はまだ始まったばかり。
この続きは、またラーメンを食べながら。


#元気をもらったあの食事

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