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はんなり???!!!着付師物語 第二章❺未来、家から蹴り出される!

未来は、ベッドに入り、真剣に考えた。

、、、ああ、死ぬかと思った。まだ苦しい。
顔、、熱かったな。大丈夫かな、、
お父さんを怒らすと、やっぱり相当まずい。
次怒らせたら、殺される。
でも、わたしもキレやすいからな。
理不尽な目に遭ったら、自分を止められないし、今のままの環境だと、やっぱりケンカは付きものだし、、、どうすればいいんだろう?、、、
とにかく、お父さんから離れなくちゃ。
近くにいるから、お父さんの耳に何でも入る、、、、、

「そうだ!!」
未来は、飛び起きた。
「外国に行けばいいんだ!!わたし、アメリカに行きたい!」

さっきまでぐったりしていた15歳の少女は、夢と希望を携えた瞳で、ベッドの中でアメリカでの生活をイメージしながら、そのまま眠りに落ちた。

翌朝、未来は目覚め、キラキラした目でリビングに行くと、母親や兄弟たちも家に帰っていた。
未来の起こした暴行事件を知ってるからか、お父さんの機嫌が悪いからか、みんな暗い顔をしている。
母親に至っては、未来の顔を見るなり涙を浮かべている。
けれど、当の未来だけが、ケロッとしているどころか、アメリカに行く計画を家族に話さなきゃと、ワクワクしている。

父親がリビングに戻ってきた。
「未来、お前は、反省したのか?
これからのこと、ちゃんと考えて、みんなの前で、宣言しろ。
家族に迷惑をかけるようなことはこれからはしないよな!」

「うん!迷惑かけないようにする。
わたし、いいこと思いついたの。
アメリカに行く!!
前からアメリカには行きたかったの。
今の環境から離れれば、喧嘩もしなくて済むし、お母さんにも心配かけなくて済む。
お父さんにも迷惑かからないでしょ。
離れて暮らすんだから。
ねっ !いいアイデアだと思わない。」
未来はキラキラした目で嬉しそうに語っている。

一同は唖然として、押し黙っている。

父親が、静かに話し出した。
「そうか。未来、一人でアメリカで暮らすっていうんだな。
けど、15歳のお前は、アメリカの法律上、一人で部屋に放置すれば、保護者の虐待とみなされるから、やっぱり一人で暮らすのは難しい。
だから、住むとこだけは、お父さんの友達の家に住めるよう手配してやろう。
3日以内には、単独渡米出来るとこまでは、お父さんがお膳立てしてやる。
それまでに、いろんな準備を整えろ!いいな。」

母親は狼狽えている。
「未来ちゃん、本当に?急にアメリカ行くだなんて、、しかも一人で、、、まだ15歳なのに、、、、お父さんも、そんなに急がなくても、もっと話し合って、ゆっくり段取りしてもいいんじゃないですか、、、3日って、、、」

「お母さん、心配しないで。わたしワクワクしてるんだ。アメリカだよ!
自由の国アメリカ、憧れてたんだ!」

父親は、その場で秘書に電話をした。
「フロリダのトムに連絡を取ってくれ。
未来をそっちにやると。
それなりにこちらは、お礼をするから、とにかく、どこでもいいから、家で寝るところだけ用意して、後は、こき使うなりなんなり好きにしろと告げてくれ。
それから、タンパ空港行きのチケットの手配も片道一枚だけ頼む。
2日ほどで手に入るな?
オッケー、段取り出来たらすぐに持ってきてくれ。
トムには、あとで、わたしからも電話するからと言っておいてくれ。」

流石に実業家の父は、仕事が早い。
未来でさえ驚いた。しかし、目の前でこれを見たことで、覚悟も決まった。

母親や兄妹たちはこのやり取りを固唾を飲んで見守るしかなかった。

3日後の朝、未来が起きてすぐリビングに降りると、大きめのスーツケースが置かれていた。
母親が、心配そうな顔で、それを未来に差し出した。
「未来ちゃん、これ、当面の着替えや要りそうなもの、お母さんが買って来たから持って行ってね。
それから、これお母さんのクレジットカード。
要るものこれで買えばいいからね。
今日の夕方のフライトのチケット、お父さんが用意したって、、、」

お父さんがズカズカとリビングに入ってきて、いきなり未来が手に持っていたクレジットカードを取り上げた。
そして、スーツケースと未来を引きずり、玄関に蹴り出した。

「お前は、お前の自由意志で、一人家族から離れてアメリカに行く!と勝手なことを言ったな。
俺の言ったことを本当の意味では理解してないし、反省もしてない。
なら、お前一人、すぐには帰れない海を渡った遠い異国で生きてみろ。
それでも、住む場所は確保してやったんだ。
この片道のエアチケットと五千円だけをお前にやる。
あとは、身体売ってでも自分で生きる覚悟をして行け!」

「お父さん、まだ、中学生の女の子なんだから、、、そんな、厳しい、、、せめて一応このクレジットカードは渡しちゃダメなの?」

「こいつは、俺の娘だ。大丈夫だ。
なっ!!未来。
これがお前をアメリカにやる条件だ!表に車が待たせてある。特別待遇だ!ほら早く行け!!」

未来は、文字通り父親に蹴り出され、アメリカへ向かった。




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