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はんなり???!!!着付師物語 第3章❶未来アメリカに行く

未来は、ワクワクしながらアメリカ行きの飛行機に乗っている。
飛行機が離陸し、機体が空高く上がっていった。
窓から下を覗き込むと薄い雲の下に波立つ海面が見える。

「あれっ?波が止まってる、、、上空から見ると、波って止まって見えるんだ、、、、ということは、日本のしかも自分の街だけにとどまってると、それは止まってるのと同じじゃん。
それはダメだな。
わたしは止まらない!わたしは一生こうやって飛行機に乗って世界を股にかけて生きていこう!!」
その時、未来は誓ったのだった。

未来のフライトスケジュールは、中々ハードなものだった。
まず名古屋空港から成田空港へ、そこからLA行きに乗った。
LAでトランジットして、オーランド経由のフロリダ州タンパ空港への長旅だった。
未来は、元々ショートスリーパーで1日3時間しか寝ない。それ以上寝ると頭痛がするのだ。
それもあって、相当長いフライト時間をほとんど寝ないから、未来にしてみれば早く目的の地に到着しないのかなと、ちょっとイライラしていた。
そして、なんと経由地のオーランドで、間違えて飛行機から降りてしまった。
タンパ行きの飛行機は、未来のスーツケースを乗せたまま行ってしまった。
未来は、機内持ち込みの小さなリュックしか持っておらず、英語も話せない。
しかも夜中にオーランドについたから、ほとんど何もないオーランド空港は、お店も空いていなければ、何もないといった状態だった。

未来は周りを見渡してみた。
数名のちょっと柄の悪そうな黒人たちが固まっていて、未来をニヤニヤと見ているように感じた。
未来は、元々怖いもの知らずだけど、父親からも「身体売ってでも自分でなんとかして生きろ!」と言われていたからその時が来たと思った。

〜わたしがここで何とかタンパに向かうには、あの黒人たちを頼るしかないのかな。他に誰もいないもんな。お金もないし、、、
こんなに早く、お父さんに言われたように自分の体張ってでも前に進まなければいけない事態になっちゃったな。でも仕方ない、とにかく声をかけに行くしかないかな、、〜

なんと肝の座った中学生なんだろう。
その場に座り込んで泣き出しても仕方ないような状況なのに、未来は強い気持ちで、前に一歩踏み出した。
その時、未来の腕を後ろから誰かが掴んだ。
流石に未来も驚いて、振りほどいて逃げようとしたけれど、振り向くと、日本人のビジネスマンらしいおじさんだった。
外国人に捕まったと思って一瞬覚悟しただけに、拍子抜けしたけれど、やはり場所と時間、空気感も手伝って、未来は今までにないくらい警戒心を持っていた。
「君、中学生ぐらいだね?こんな空港に真夜中一人でいるってことは、経由場所なのに間違って降りちゃったんだね。
朝まで飛行機は飛んでないから、明日の飛行機の手続きをしないといけないけど、とりあえずは、この空港隣接のホテルに泊まるしかない。
とにかくついてきなさい!」

未来は、そのおじさんに対して、不信感しかなかった。
〜こんなアメリカの田舎の空港に一人いる日本人の十代の女に手を出したところで、どこにもバレないと思って、このおじさん、自分の娘みたいな歳のわたしを買おうとしているんだろうか。〜
未来は、しばらく疑心暗鬼に、ホテルの方向に歩こうとするビジネスマンを突っ立ったまま見ていた。
ビジネスマンは、未来がついてきていないことに気づいて、振り向いてもう一度言った。
「ついてきなさい。こんなとこにいたら、あそこに屯している黒人たちに連れて行かれてレイプされたって仕方のないような状況だってわかってるのか?さあ、ついてくるんだ!」
なかなかに強い口調だった。

未来は、それもそうだなと納得した。
〜あそこの黒人たちにまわされるよりは、このオヤジに抱かれる方がマシか、、、〜

何という腹の括り方なのだろう。
未来の性格には親も呆れるほどなのが良くわかる。

未来は、おじさんについてホテルのレセプションに来た。
そして、おじさんは翌日のフライトについてレセプタントと話したようだ。
「明日の朝のフライトの手配をコンシェルジェがやってくれるからね。タンパ行きでよかったね。」
未来は、コクリと頷いた
〜ああ、要はホテルの宿泊代と飛行機代を体で払えってことだね、、、まあ、無事にフロリダ行けるなら我慢するしかないか、、、〜
未来は、覚悟を決めた。



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HP 女流作家 風乃音羽

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