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はんなり???!!!着付師物語第4章❷真面目?な女子大生??

 未来は、とある短大の秘書科に入学した。中学に入学して以来、まともに勉強してこなかった未来にとって、勉強自体が新鮮で面白かった。だから真面目に勉強した。もちろん、次女、長男への父の特別ボーナス事件の時の決断があったから、向き合う姿勢が最初から違っていた。未来は自分で決めたこと、自分への約束は、何がなんでも完遂させたいという性格だ。だから、しっかり勉強すると決めたなら、先生たちが教えてくれることは一言一句逃したくないと心から思っていた。
教授たちが、ここまで真面目に勉強する女子大生は見たことがないと感心するほどだった。
それにしても、やらないなら何もやらない、やるなら徹底的にやるというこの極端な性格は、幼児の時から何も変わっていない。
面白いのは、つい数年前は、地元で有名な悪ガキで不登校だった未来が、女子大生になった途端真面目すぎる優等生だと周りに思われていたことだ。
秘書科では、一般常識からビジネスマナーまで、とにかく社会人になった時にある意味最も役立つ情報を学ぶことが出来た。
未来がその後の人生で仕事をしていく上で、それまでの未来が全くもって身につけていないことを短大で学べたからこそ、この破天荒な娘が社会でちゃんと受け入れられたのだ。短大に入学したことで、本当に実益のある学びが得られたと自他ともに認めている。

短大を好成績で卒業した未来は、ある会社に入社した。未来の配属はいわゆる一般職で事務的な仕事だった。未来はその仕事が面白くなかったし元々営業を希望していた。けれど、当時はまだまだ女性にとっての機会は不平等で、女性の営業なんかはいなかった。未来は営業職に変わりたいと強く希望し、なんとか配属を変えてもらった。
営業になった未来は、父親譲りのビジネスセンスと人好きを活かして、次々に仕事を取り、営業課では飛ぶ鳥を落とす勢いで好成績となった。すると、営業で女に負けてる男たちの嫉妬が、未来が身体を売って仕事をとっているという噂を生みだした。十代の時の未来なら、そんな器の小さい男は、殴る蹴るしてのしていただろう。
けれど、さすがにもう成人しているから傷害事件はまずいし、昔ほど血気盛んではない未来は、同じ土俵に立ってやることもないかとその会社を辞めることにした。
そして、もう一度アメリカに行くことを決めた。「とんぼ返りしたニューヨークにもう一度行こう!」

未来の二度目の渡米は、20歳だった。この時は、トムの家に長期でステイするのではなく、直接ニューヨークに向かい、観光ビザの期限ギリギリいっぱいまでの長期旅行だ。その前に所持金がなくなれば帰るかもしれないけど、そこは節約してでも長く滞在しようと決めていた。
だから、未来は当時治安が悪かったニューヨークで、出来るだけ安いホテルを取ったから、本当にボロくてなんだか物騒な雰囲気だった。
ある朝、未来は、ホテルの向かいのデリに朝食を買いに出た。
朝パンを買ってホテルに戻ると、いきなり左脇にピストルを突きつけられた。ヒヤッとした触感は、鈍く冷たい。銃口を初めて自分の身体に接触された時、ここは銃の国アメリカだという日本ではあり得ない命の危険の身近さをひしひしと感じた。
金を出せと脅された。けれど、未来は、手にパンを握りしめているだけで、バッグも財布も持っていない。パンのお釣りの1ドル札一枚とコインだけがポケットに入ってると犯人に告げた。未来は銃口を突きつけられたままリネン室まで促され、中に押し込まれた。リネン室にはホテル受付にいた従業員と掃除のおばちゃんが拘束されていた。
荒れ狂っている犯人は、銃を振り翳して怒鳴っている。まともな様子ではないから、いつ打たれて死ぬかも分からない状況だ。未来は本気で死を覚悟した。
けれど、タダで死ぬのは絶対に許せない。「こいつを道連れにしてやる!」と心の中で誓った未来は、泣き真似をして顔を両手で覆いながらその指の隙間から犯人の隙を狙うべく観察していた。思い切り泣き叫ぶ未来に犯人はイラッとし、「うるさい!!だまれ!!殺すぞ!」と叫びながら、なんと、天井に向かって一発撃ったのだ。初めて聞く銃声に、死ぬ!と思った瞬間に頭に浮かんだのは母親の顔だった。付き合ってた彼でも、仲のいい友達でもなく、脳裏に浮かぶのは母だけだった。「人間死ぬ時って、お母さんの顔を思い出すんだ、、、」妙に冷静に、つぶやいた瞬間、リネン室のドアがバンっと勢いよく開いて、ポリスたちが突入してきて、あっという間に犯人を取り押さえた。
事無きを得た未来だったけれど、人生の中で、死ぬかもしれないと思った
三回の事件のうちの最後の一回がこのピストル突きつけられ事件だった。
あとの二回は、父親に折檻された時とトムに殴られた時だから、なんと言っても身内にやられてることで、本当に殺すところまではやらないだろうけれど、今回は、強盗が無差別に殺人を犯したかもしれない訳で、九死に一生を得た未来だった。

続き

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