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はんなり???!!!着付師物語 第二章②エピソード2

未来たちは、しょっ中補導され、警察署に保護された。
なんと言っても中学生だから、顔もまだまだ子供っぽいわけで、そんな子供が夜にうろうろしているだけでも目立つ。
しかも、喧嘩が勃発したり、一緒にいる仲間たちの中には、タバコを吸う子もいたから、捕まえてくださいと言わんばかりだ。

警察からの連絡があまりにもよく入るようになり、未来の母親は、夜に電話が鳴るのが、ある時から怖くなった。
超お嬢様奥様の未来の母親は、自分の娘の行動が警察沙汰になるようなことは、受け入れられない。
警察に保護されている者が家に帰るには、家族のお迎えが必須だ。
けれど、未来の母親にとっては、キャパオーバーすぎて、迎えになんて行けるわけもなかった。
だから、警察へのお迎えには、父親が来てくれた。
だけど、父親は3日は放置した。少しは懲りるだろうと思ってのことだ。
父親が迎えに来てくれるまでの3日間は、未来は会議室みたいなところで過ごし、食事も与えられ、警察官との楽しいおしゃべり時間もあったので、父親の目論見通りにはいかず、全くこたえていなかった。

未来は、喧嘩が強かった。
けれど無闇に理由なく、暴れたり、人を殴ったりするわけではない。
必ず、未来なりの正当な理由があった。

ある時、自分の友達が大怪我をして、未来たちのアジトに運ばれてきた。
とあるツッパリグループのメンバーに集団リンチにあったのだ。
未来はそのことでプチッと切れた。
金属バットを持って、飛び出していった。
仲間が引き止めようと追いかけた。
「おい!未来、1人で行ったって、袋叩きになるだけだ。お前死ぬぞ。やめとけ。とにかく、ケンジを病院に連れて行って、ケンジが覚えてる限りのやつらの名前をあげて警察にタレ込もうぜ!なっ!」

「ケンジのことは頼んだ。早く病院に連れて行きな。
わたしは、1人じゃ何にも出来ないクセに、集団で、リンチしたり、弱いものいじめする奴は許さない!!
つるまないと何も出来ない奴らだから、1人ずつ狙って仕返しする。
ちゃんと考えてやるから安心して。
わたし、強いから大丈夫。」

ケンジをリンチしたのは、悪名高い中学のヤンキーで、最近バイクを無免許で走らせて、暴走族の真似事をしてる10人ぐらいのグループだった。
だいたいいつも固まって行動してるし、たむろしているところも決まっていた。

未来の格好は、いわゆるヤンキースタイルでは無く、全然普通の中学生だった。
制服を着ることもあったけど、それも標準服のまま着ていた。
だから、普通に、1人で歩いてる分には、ヤンキーから目をつけられるほど目立っていたわけでは無いし、金属バットを持って歩いてても、部活帰りの少女に見えただろう。

未来は、目星をつけた場所に何食わぬ顔で、立っている。
例のヤンキーたちが、ガヤガヤ笑いながら、7〜8人ほどで固まって歩いてきた。
「さっきのリンチで、あいつ、懲りただろ。ハハハ、、、これからは生意気な顔で睨んでこねーだろ。」
「まじ、スカッとしたぜ、あいつ最後失禁してたよな。まじウケる、、、ワハハハハハ、、」

未来は堪忍袋の尾がキレた。けれどその集団に1人で殴りかかるほど、無駄なことはしない。
何気につけて、散り散りに別れるのを待った。
「じゃあ、また明日なー」
次の通りの角で2人、2人、4人、3人に別れた。
未来は男2人について行った。

細い路地に入ったところが、両サイド塀になっていた。人通りもない。
未来は、チャンスとばかり、金属バットを振りかざして、突撃した。
未来は小さく身軽なうえに、馬鹿力だった。
一打ちで、1人が気絶して、もう1人が逃げようとするも、許すわけもなく金属バットを振り回した。
よけられて、バットが塀を叩いた。
土壁で出来た塀には、見事な穴が開き家の中にの庭が丸見えだ。
それを見た男は震え上がって、赦しを乞おうと土下座した。
「すみません。許してください。俺らが何したんでしょう??
なぜ、あなたに殺されかけてるんですか?」
「はあ??!!お前らさっき、ケンジを集団リンチしただろ?
1人じゃ何も出来ないクセに!!ああ、2人でも何も出来ないんだな。
わたしがケンジの敵討とあんたらの躾に来てやったんだよ。
誤ったって許すわけないだろ!!」
バットは置いて、今度は、思い切り蹴りつけた。何度も何度も蹴りつけて、もう1人も道に転がって気を失った。

未来は、男たちをほったらかして大通りに出た。
すると、未来の先輩が血相を変えて走っている。
「先輩、とりあえず2人は躾終わったよ。
他の奴らはまた明日から順番にやってやる!
あいつら許さない!
けど、死んだら困るから、そこの公衆電話で救急車呼んでよ。匿名で!」
大声で声をかけた。

「未来、お前大丈夫なのか?俺、お前が集団リンチにあって死にかけてるって警察に駆け込んで、ポリ公連れて来ちまった、、、、、」

よく見ると、先輩の後ろにパトカーが停まって、窓から警官が顔を出していた。
警官が二人出てきた。
もう逃げようが無かった。
「キミ!喧嘩があったのか?現場はどこだ?」

未来は潔く、警官をさっきの路地に誘導した。
二人の男が気を失って倒れている。

「キミがやったのか??そんな小さな体で?女の子なのに、男二人を?」
「ええ!そうだけど、、、、こいつらが、私の友達を集団リンチして病院送りにしたから、、その仕返し、、」
警官は、目を丸くしながら、無線で救急車か応援を要請した。
「とにかく署まで同行してもらおう。詳しい話はそこで。」

未来は、仕方ないとばかりに警官に従いパトカーに乗った。


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