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イカれたラジオスター「Creepy Nuts」にハマったタイ🇹🇭在住の50代、今晩リアタイしますが何か?

みなさん、Creepy Nutsをご存知だろうか?
全国的なヒット曲である「のびしろ」だけは知っている人が多いかもしれない。

フリースタイルのHipHopの全国大会で3連覇を果たしたことのある最強ラッパー「R指定」と、世界一のDJの称号を持つ「DJ松永」の2人組のヒップホップ・ユニット。それがCreepy Nuts。

詳しくは公式を見よ!

今では売れっ子の彼らだが、数年前までは全くの無名だった。
それでもなぜか、オールナイトニッポンの2部にあたる、「オールナイトニッポン0(Zero)」に、メジャーデビュー前の2016年11月12日から単発で出演、2018年4月4日からはレギュラー出演していた。

彼らの担当していた火曜日の1部は星野源のオールナイトニッポンで、筆者はタイから日本のラジオが聞ける端末でたまにリアタイしていた。星野源さんが「このあとはCreepy Nutsのオールナイトニッポン0(Zero)です」と紹介するたびに、「誰だこいつら?」と思っていた。

そんなある日、たまたまラジオをつけっぱなしにしていると、そのままCreepy Nutsの放送が始まった。どうやらR指定というやつが一人で話しているようだ。相方がDJの世界大会に行っているとか何かで。
なんと優勝したんだと??ちょっと興味が出てきてそのまま聞いていた。
すると、そのDJ松永と中継が繋がった。なんかめっちゃハイ。世界1位になったんだからそれもそうだろう。でもなんか変。「ロンドンでエド・シーラン探します」とか言って、街頭インタビューみたいなことを始めた。
イカれてる・・・ていうか、めっちゃオモロいwww

その後、ほとんど毎週欠かさず彼らのラジオを聞くようになった。彼らの音楽にも触れた。
彼らのファンになった。

Creepy Nutsにハマった原因

ラジオが面白いだけではなく、彼らの音楽性はなかなかのものだった。
ヒップホップといえば、ジャラジャラと飾りをつけて、ダボダボのズボンやサイズの大きいパーカーを着たコワモテでヤンチャなやつらが激しいビートに乗せて社会的メッセージをラップする、というのが典型的なスタイルだが、Creepy Nutsは違った。

R指定は10代の頃からラップが上手くその技を磨いてきたが、特に不良というわけでもなく、おかんに「あんたのリリックか?」とノートを指摘されて恥ずかしがるシャイボーイだし、DJ松永は中高とサッカーをしていたけれど未経験者にどんどん抜かれていってベンチにも入れなくなってしまい、突然DJやりたいと思って学校辞めて引き篭もった陰キャだし、二人ともメインのHipHopに対するコンプレックスを持っていた。
だが、それを逆手に取り、誰もが共感できるような歌詞の楽曲を次々と生み出した。その代表がこれ。

特徴的な歌詞を抜粋してみよう

生まれてこの方 一体いくつ
分岐点を見過ごしてきたんだろうか
墓場に入るまで あと一体いくつ
可能性の芽を摘んでしまうんだろうか

かつて天才だった俺たちへ
神童だったあなたへ
似たような形に整えられて
見る影もない

こんな感じで、上手くいかなかった人生やコンプレックスの数々を吐き出している。いわゆる典型的なヒップホップだと、ボースティングと言って自分がいかに優れているかというのをアピールする歌詞が多いのだが、それとは全く逆を行っている。
それがいわゆる「陰キャ」と呼ばれる人たちとマッチングし、深夜ラジオといういわば地下空間で磁場を持ち、まるで熱せられたマグマが噴き出すように、彼らはブレイクした。

筆者も、バンドでドラムをしていたことがあり、プロを目指したこともあるが、体ごと本気で音楽にのめり込むまでに至らず諦めた経緯がある。なので、この歌は刺さった。あそこでああしていたら・・・という分岐点を何度かすぎ、可能性を摘んだ経験がある人間には、たまらない。

一方Creepy Nutsは、深夜3時からのラジオ枠を「夢ラジオ」と自ら名づけて、いろいろなヒップホップ・ドリームを叶えていった。
その中で象徴的なものがある。同じオールナイトニッポンの、月曜1部を担当していた菅田将暉との共演である。
もともとはラジオの中でリスナーのメールを通していじり合い、菅田将暉が番組内で密かに韻を踏んでCreepy Nutsのことをネタにしたりとしていたことがきっかけで、2020年に楽曲「サントラ」が生まれた。

この曲がとにかく最高で、R指定の高速ラップに菅田将暉のストレートなハイトーンボーカル、DJ松永の超人的なスクラッチと、3人の魅力がたっぷりと詰まっている。彼らはこれでテレ朝の「ミュージックステーション」出演を果たす。
その後も、菅田将暉は「3人目のCreepy Nuts」と自ら名乗り、DJ松永が東京オリンピックでDJプレイを披露した時にも、自分の手柄のようにしたりと(笑)微笑ましい交流が続いていた。

そして、2022年3月をもって菅田将暉がオールナイトニッポンを卒業することとなり、彼が担当していた月曜1部を、Creepy Nutsが引き継ぐこととなった。

2022年03月14日、菅田将暉のオールナイトニッポンの最終回より1つ前の回には、Creepy Nutsがゲスト出演し、全く湿っぽさのない(笑)はしゃいだトークを繰り広げた。

そして、菅田からバトンを受けたCreepy Nutsは、オールナイトニッポン第1部を担当した・・・が、たった1年で辞めた(笑)

これは、古参リスナーはある程度頷けると思うのだが、1部に上がってから、彼らのトークにはなんとなく違和感を感じていた。それは、2部(ゼロ)にいた時の「夢ラジオ」的な展開を彼ら自身が楽しんでいた頃とは違う、何か背伸び感というか、収まりの悪さというか、ギラついてエド・シーランを探していたあの頃とは何か違うな、と感じていた。

2023年3月20日、Creepy Nutsのオールナイトニッポンの最終回より1つ前の回には、菅田将暉がゲスト出演し、これまたやっぱり全く湿っぽさのない(笑)はしゃいだトークを繰り広げた。

Creepy Nutsのオールナイトニッポン卒業の理由は、「音楽活動に専念するため」だった。
「のびしろ」で全国的なヒットも飛ばしたが、本人たちがおそらく本気で出られると思っていた紅白歌合戦からも声はかからなかった。
(それはDJ松永の失言も遠因だとは思われるが、記事の趣旨からハズレるので割愛する。)
本人たちが納得する音楽活動ができないなら、かつて拠り所だったラジオがその足枷になってしまっているなら仕方ない・・・だが、その割には新曲がなかなか出ず、ちょっとヤキモキしたファンもいたことだろう。
その間にR指定は結婚し、子供ができ、曲の中に匂わせた。

金色に輝く肌さながらビリケン ha, huh
幸福呼びこむ神様ビリケン huh
ゆりかごで空に足をピンと伸ばしてる
Baby like ビリケン huh
おおきに top billin'
お父ちゃんの仕事もビリケン huh

この曲は反響はあったものの、大ヒットとまではいかず、ファンとしてはこんなもんじゃないだろう?と思っていた。
すると・・・出た。バケモン級のやつが・・・

https://youtu.be/210R0ozmLwg?si=WhKho8Ve8Q559GKM

アニメが世界のマーケットと繋がっているのは誰もが知ることだが、そこにCreepy Nutsが加わるとは思わなかった。
ビートそのものは、ビリケンでも使われている現在のヒップホップの流行りであるジャージー・ドリルなのだが、ちょっと不気味さのあるDJ松永でしか作れないトラックと、R指定特有の高速かつケレン味のあふれるキッチュな歌い回しが、アニメのキャラクターの雰囲気とバッチリハマり、アニメのダンスがTikTokで世界中で真似されるという世界的な現象を生んでいる。

まさに現代の音楽シーンの王道的な売れ方。これを、インディーズで何処の馬の骨かもわからない状態で地下ラジオで夢を語っていたコンプレックスの塊の陰キャのやたら仲の良い2人組が果たすとは・・・。

そしてなんと本日2024年2月19日(月)の今夜、日本時間で25時(タイ時間23時)体調不良により事前収録ができなくなったAdoの代役として、一夜限りの「Creepy Nutsのオールナイトニッポン」が復活を果たす!

そして、この放送直後のオールナイトニッポン0(ZERO)に控える「フワちゃんのオールナイトニッポン0」も、おそらく出演する(笑)
なぜなら、以前この並びで生放送されていた時に、フワちゃんがCreepy Nutsを引き留め、無理やり出演させ、R指定と一緒にカラオケして盛り上がるという神回があったからだ!
フワちゃんは昨日の「オードリーのオールナイトニッポンin東京ドーム」にも出演しており、春日とプロレスを披露していたのだが、そんなことで疲れ果てるようなヤワなやつじゃないと信じている。

そして、もしかすると、その後の「上柳昌彦 あさぼらけ(翌朝4時からの放送)」にも出てしまうのかもしれないw
なぜなら、Creepy Nutsのいわゆる「キモイベ」と呼ばれるオールナイトニッポン関連のイベントで、「クイズあさぼらけ」として0(ZERO)放送直後にそれを受けて様々な反応をした上ちゃんこと上柳昌彦さんを取り上げたことがあるほどの仲なのだから。
上ちゃんは昨年病気療養中に「のびしろ」を聴いて泣いたという逸話を持つ。そして最近も喉の不調により3週間ぐらい休んでいた。
そんな上ちゃんを激励したいと、根は優しいイカれた二人組が考えたとしても不思議ではない。

とにかく、これほどまでに50代のタイ在住おじさんの心を揺さぶるヒップホップユニットは他にいないのである。

今晩、必ずリアタイします。
ただ、完走できる自信は全くない(笑)

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