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谷川俊太郎作「ネロ」と谷川さんのエッセイ朗読📚『私はこのように詩をつくる』🎧+『違い』

(約800字)

『ネロ』

ネロ
もうじき又夏がやってくる
お前の舌
お前の眼
お前の昼寝姿が
今はっきりと僕の前によみがえる

お前はたった二回程夏を知っただけだった
僕はもう十八回の夏を知っている

そして今僕は自分のや又自分のでないいろいろの夏を思い出している
メゾンラフィットの夏
淀の夏 
ウイリアムスバーグ橋の夏
オランの夏
そして僕は考える
人間はいったいもう何回位の夏を知っているのだろうと

ネロ
もうじき又夏がやってくる
しかしそれはお前のいた夏ではない
又別の夏
全く別の夏なのだ

新しい夏がやってくる
そして新しいいろいろのことを僕は知っていく
美しいこと みにくいこと 僕を元気づけてくれるようなこと 僕をかなしくするようなこと
そして僕は質問する
いったい何だろう
いったい何故だろう
いったいどうするべきなのだろうと

ネロ
お前は死んだ
誰にも知れないようにひとりで遠くへ行って
お前の声
お前の感触
お前の気持までもが
今はっきりと僕の前によみがえる

しかしネロ
もうじき又夏がやってくる
新しい無限に広い夏がやってくる
そして
僕はやっぱり歩いてゆくだろう
新しい夏をむかえ 秋をむかえ 冬をむかえ
春をむかえ 更に新しい夏を期待して
すべての新しいことを知るために
そして
すべての僕の質問に自ら答えるために

東京創元社 1955年

「ポエム・ライブラリィ2   私はこうして詩を作る」  

出典「二十億光年の孤独」より


水墨画を習っていた時期がありました。
愛犬のちびを絵画に残しておきたいと思ったからです。

水墨画は墨の濃淡のみで、絵を描く美術です。

基礎の「四君子」を習い、一つの作品を時間をかけて制作することに挫折しました。
仕事をしているときの趣味で、一晩寝ずに展示会用の作品を作りました。

四君子とは、

竹、梅、菊、蘭 のことです。

これと静物画を描けるようになり、山水画に入ってから暫くして、仕事との両立がかなわず、やめました。

リタイアしたら、また水墨画を習いたいです。
その頃の友達は、40年くらい先輩の方々でした。現在、当時のご存命の友達はいません。



旅行で買った品やいただいた土産物が出てきました💝



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