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恋のために聴いた曲は古くならない♪

            ( 約1,000字 )

2016年にリリースされて、7年になる。
米津玄師の曲は、当時はまだTVの露出が頻繁ではなかったものの、再生回数は非常に多かった。

「LOSER」の歌詞
(抜粋)

ぼんやりと好きな人がいた。
その人のタイプの人はぜったい私じゃないだろうなぁ、と思いながら過ごしていた。

親友に話した。
彼女は好きな人には必ず告白をする人で、私の恋愛下手もよく知っていた。

「もう大人なんだから、ご飯でも食べましょう、って言ってみなよ」
と、うれしそうにアドバイスをくれた。

「携帯電話を持ってるとき、ね、何気なく、
他の人がいないなぁ、って思ったら聞くんだよ。会う日はお休みの日、とか決めないで、仕事終わりとかね。さらっと聞く感じでね。
おいしいもの食べたいなぁ、ってノリで」

彼女の言う、さらっと聞く感じがまるで分からなかったが、何度も何度も「LOSER」を聴いた。
他の曲を挟まない位に、繰り返して聴いた。
伝えなきゃダメだぞ!と自分に言い聞かせた。


あるとき、ちょうど休み時間に一人でその人がいるのを見かけて、気になっていた香水の名前を聞こうと思った。

柑橘系の香りがしていたが、同じものを買おうとしたわけではない。

「なんかイイ匂いだから、ブランドの名前が分かれば欲しくて‥‥でも、会社には付けて来たりしないので」
と、手をバタバタしながら聞いたのを覚えている。
いつもはのんびり話すのに、ちょっと早口になって、それが自分でも可笑しくて、余計に慌てた感じになった。

「何だったかなぁ、ドンキかどこかで買ったかも。一応、ブランド品だけど、毎回決まったのを付けてなくて、こだわってないから。
多分、香水じゃなくて、オーデコロンだと思う」

と、香りの元まで分からずじまい、ときた。

折角の会話の糸口がみえたと思ったら、
キャッチボールが途切れそうになり焦った。

「あの、ご飯、食べにいきませんか」

唐突すぎるのはわかっていたが、引っ込みがつかなくなっていた。

私は頭の中では米津玄師の曲がかかっていて、
この機会を逃したら、
一生、後悔し続けそうに思えた。

「うん、行こう、いつにする?」
と日程は、2、3日先に即決だった。

携帯電話にメルアドを登録して、あれよあれよという間に約束の日がきた。

私が一週間以上、死ぬほど聴いていた米津玄師の曲は、今でも聞いている。
大好きな曲のひとつになった。

後にも先にも、その1回しか、恋愛の好きを伝えたことはない。




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