成人の自覚…?

早く家を出たい!

留学の為に実家を離れてからもうすぐ四年になる。四年前、留学を決意した理由は様々あるが

「早く家を出たい」

という気持ちが少なからずあったのは間違いない。決して家族が嫌いだったわけではない。ただ、今思えば、当時16歳の私は反抗期の真っただ中におり、特に考えることもなく、家庭内の些細なことに不満を感じていた。

私は三人兄妹の二番目として生まれた。いわゆる真ん中っ子である。歳はそれぞれ四つずつ離れている。どうしても一番上や末っ子に親の注意は行きがちなので、良くも悪くも進路などは特に何も言われることもなく、自由に決めさせてもらった。

一方で、兄の学費が嵩んだことに加え、下に妹が控えていること等からなるべく経済的な負担をかけてはいけないというプレッシャーがあった。また、他の二人は塾・予備校に通っている一方で、自分から行きたいと頼んでも、受験前の半年以外通わせてもらえなかった。それに加え、妹は同年齢比で私よりもお小遣いを貰っていたこと、家にいると常に家事の手伝いをさせられることなど、今思えば非常に些細なことに対しても不満がつもり、次第に「早く家を出たい」と思うようになった。

よく母は「外で頑張ろう、外に出ようと思わせるために、家の居心地を悪くしている」などと冗談を言うが、まさにその思惑通り、私は必死に勉強し、運よく奨学金付きの留学プログラムに合格、晴れて実家を離れることとなった。

少し考えれば…

大学受験の際に奨学金の申請のために必要だったので、両親の年収と一年間の一家の支出を計算した。そこで初めて、ギリギリながらも安くはない留学の費用を出し、不自由なく過ごせるよう、やりくりしてくれていることを知った。

今思えば、私は兄妹の間で勉強の要領はいい方だったので、私への塾の出費を抑え、より必要な二人に充てるのは合理的である。また、妹のお小遣いが私が同じ年齢の時よりも多いのは、母も働き始め、以前よりは経済的な余裕ができたからだろう。私たちの学費、課外活動費、生活費等を捻出するためにフルタイムで働いている母が、全ての家事をこなすのは到底無理があり、手伝いが必要なのは当然だ。

少し考えればわかりそうなものである。しかし、当時の私はそんなことを考えようともせず、ただ「不公平だ」、「ほかの家では~」などと一方的に不満を感じていただけであり、非常に未熟であったと今になって気づかされる。

成人の自覚?

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20年前の私です。20年って長いですね。

「文句があるなら、三人育ててから言いなさい」

と母はよく言う。

今更ながら、三人の子供を育てるのは大変で、父そして特に母は多くのことを犠牲にしてきたことだろう。とてもじゃないが、私にはできそうにない。とは言えど、まだしばらく文句は言い続けることになりそうだが笑

早いもので私も二十歳になった。

月並みではあるが、ここまで育ててくれた両親に感謝している。もちろん、不満をあげればいくらでも出てくるし、決して完璧ではないが、よい両親に恵まれたと思う。

こんなくさいことを言えるのは成人としての自覚とやらのせいなのか、それとも人のいない寮で妙に寂しく感じるせいなのかは不明だが、この折に素直にありがとうと伝えたい。

令和二年一月十六日

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