おかん、はじまりのおわり
ボンチノタミ、ジョーカーです。
前回のあらすじ
母の審神者業もすっかり日常となった今日この頃。
正直、我々姉妹よりも真剣に審神者の仕事に毎日取り組んでいます。
日課をこなし、育成を進め、イベントにもときどき参加して……という、マイペースな審神者ライフ。
11月某日。母が審神者になってちょうど2か月。
この日、ついに母審神者最大の事態が起こります。
この日の深夜、出張帰りで疲れていたわたしは早めに就寝したものの、夜中0時過ぎ頃にお手洗いに起きてきました。
起きたついでに居間に立ち寄ると、スマホを眺めている母の姿が。
寝る前の鍛刀か遠征でもやってるのかな? と思っていると、母が突然こちらを見て
「4時間きた」
と一言。
母が鍛刀で4時間を出したのは今までに2回。
小狐丸と数珠丸でした。
3度目、ついに念願のじじいはやって来るのか……!?
わたしも隣で画面を覗き込んで、手伝い札を使用する母を見守ります。
緊張の一瞬。
「わーーーーー!!!!!」
夜中にもかかわらず声をあげる母。
思わず拍手するわたし。
驚いて飛び起きて自室から飛び出してくる妹。
(そしてせっかくの母の記念の瞬間、動画撮り損ねたな~と思っているわたし。既にわたしのスマホはポケモンスリープで睡眠計測を開始しておりベッドに置いてあったため録画できませんでした)
「びっくりした……何事かと思った……」
と胸をなでおろす妹。
しかし、わたしも妹も念願の推しが来た瞬間というのがどれだけ嬉しいものかというのは身に染みてわかっているので、そこについては、そう、わかる。わかるよ。お母さんだってそうなっちゃうよね。わかるよ。という気持ち。声出ちゃうよね。
念願のじじいと権限を噛みしめるようにじっと画面を見つめる母。
「嬉しい~」
「早くお守りつけなきゃ」
「近侍にもして」
「刀装と馬もつけて」
「あっ、近侍にしたら出陣できなくなっちゃうからやめて」
「あ~嬉しいなあ~~!」
はしゃいでいる。母がはしゃいでいる。
母が審神者を始めてちょうど2ヶ月、新たな男士が来たらどうするか、は、もうすっかり手慣れたものです。
出陣の際にはお守りと刀装をつけて、レベルが低いうちは焦らず育成をして……あっというまにレベル1の三日月宗近の出陣準備がととのいました。
そんな母を見て、妹が「慣れてきてから来てくれてよかったね」とぽつり。
確かに、よくわからないうちにうっかり折っちゃった、溶かしちゃった、という事故もなさそうだし、育成の仕方も母なりにあるようなので、姉妹も安心してじじいの顕現を喜ぶことができました。
その後、鍛刀回数を確認させてもらったところ、253回目の鍛刀だったということがわかりました。
ちなみに、レシピはALL950でした。
いちばん最初に教えたやつじゃん……!
と、いうわけで、
母の本丸に、念願の「じじい」がやってきました!
「念願の三日月はきたけど、今後はどうするの? 続ける?」
最初は「じじいが来るまではやろうかなあ」なんてことも言っていた母。
実際に来てみて、今はどうなのかな? 満足しちゃったのかな? と思い、聞いてみると……。
「これからも頑張るよ~。じじいがきて、ようやく始まったっていう感じ。ここからは、三日月と一緒に歩いていくよ」
そう、じじいの顕現がゴールではないのです。
母の本丸はパワーアップして、ここからまた新たな始まりを迎えるのです。
2ヶ月という期間で、審神者としての毎日が身についた母。
推しが来たから満足、というわけではなく、今後の本丸ライフを推しとともに歩いていくことにしたようです。
これからも、ゆっくりと自分のペースで、楽しんで続けてくれたら嬉しいなあ。
おかん審神者『三日月をさがして』編
~完~
次回、じじいを連れて江戸城へ潜入します。
おかん審神者の始まりはここから。
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