Noise×Kotobaniによるコラボ詩対談

先日アップしました、「おもいでの詩(うた)」。これはノイズさん(https://note.com/noisefull)とのコラボ詩でした。読んでいただいた方、ありがとうございます。この詩はいわゆる連詩に相当すると思うのですが、実は完成した詩は、二人の詩が(段落ごとに互いの詩を返しているのではなく)入り組んだ形になっています。実際色分けすると、以下のような感じです。(黄:Kotobani,青:Noise)

おもいでの詩(1)

今回は、実際にどのようにしてこの詩が出来上がったのか、その製作過程を対談形式でお伝えしようと思います。それぞれの詩に対する考え方も垣間見えていて、自分にとっても大変貴重な話ができました。長いですが、ぜひご覧ださい!

――対談開始!!――

――お互いの印象と詩のイメージ

Kotobani(以下K):のいずちゃんの印象は、うーんと、あの、内容はね、もうあの……なんかめっちゃ言葉選んじゃうな録音しだすと(笑)。急に慎重になるな。あの、とにかくTHE真実っていう。もちろん言葉を選ぶうえで色んな技術的な所はあると思うんだけど、あの、あの……録音しだすと急にダメになるね(笑)。文芸的な?それこそ。色んなもの読んできたんだなっていうのは感じるけど、でも根本はとにかく真実。真実性っていうのがすごくあるなと

Noise(以下N):おぉー嬉しいいい。(ぱちぱち手を叩く)

K:自分もそこは共感するなと思ってたし。詩の表現に関しては、自分にない部分としての魅力があると思ってて、結構俺は言葉をつらつらーっていう感じよりは、わりともう、これ!これ!みたいな。単品なんだけど。商品を陳列するみたいな。一個一個。一つの詩の中でも。のいずちゃんはこうすらすらーっとつらつらーっと続いてって言葉自体がそうだしあと句読点の使い方とか今回の詩の「僕、朝焼けを待ちながら」とかそこでこうぐっと惹きつけられるのがすごいいいなと

N:ことばにくんは、なんだろう……THE詩みたいな感じのイメージ

K:まじで?

N:そう、なんか王道の詩を行ってる感じ。言葉をすごい考えて出してるみたいな感覚がある。

K:ありがとうございます。  

――今回連詩をしてみた率直な感想

K:僕は、連詩っていうのが初めてで。連詩って言うのかな今回のは。

N:たぶん(笑)

K:詩をこうラリーみたいに続ける感じが初めてだったので楽しかった。何が楽しかったっていうと、普通は詩って個人に完結してて、発信して終わりなんだけど、それに返ってくるっていう。まずそこが面白いし、さらに自分がじゃあこの次どうしようみたいなのが楽しかったです。

N:私も新鮮で楽しかった。

K:あ、新鮮だった?

N:そう新鮮。やっぱ一人では絶対生まれないものができるっていうのが、めちゃくちゃいいなぁと思って。お互いの世界が混ざりつつ、新しいものができてる唯一無二感がよかったです。

K:ね。ただでさえ自分の詩っていうのはまぁ唯一だと思うけど、さらにねそれに返すってことだからね。

――連詩というものに対してどのように考えているか

K:今の話にだいぶ含まれてるけど、のいずちゃんは初めてではないじゃん?

N:まぁね一回だけやった。

K:うん、だからそのときも含めてでもいいし、俺は完全に初めてだから。完全に手探りだったんだけど。教えてもらいながら。
連詩とは。のいずちゃん的には?俺はもう特になかった(笑)。

N:私も特にない(笑)。単純に共同作業。詩は基本的に自分の世界をばりばり表現していくものだと思うけど、連詩は自分の世界はあれどお互いの世界に影響されあいながら表現していく。あえて影響されあいつつ、

K:あえてね。

N:そうそうそう。っていうものかなぁと。

――テーマ決めについて

K:最初にテーマ決めたじゃん?で、今思い返すと色々出たなっていうね。その中で月とか夜とかハロウィン。最初のいずちゃんハロウィンって。ハロウィンしか浮かばねぇって(笑)

N:ハロウィンで頭がいっぱいだった(笑)

K:実際これ今話しているのもハロウィンの三日後。タイムリーな。
自分は震災っていうのが急にぽんと出てきて。そしたらのいずちゃんが、色々全部入れたらいいよ、含めたらいいよって感じで。のいずちゃん的にはとにかく色んなものを出してそれを全部含めちゃおうって考えだったの?

N:そう、がっつり震災をテーマにすると、絶対なんかもう震災のことしか考えられなくて、読んだ側がね。偏るなぁって思って。

K:テーマを出す出さないに関わらずってこと?表に

N:うん。あ、まぁがっつり今回は震災をテーマにして書きまーすとかだったらいいんだけど、うーん、まぁ私的には震災っていう単語もそういう雰囲気も出してないけど、過去の出来事とか思い出とか風化したもの、させたくないことを全て含んで表現したつもりだから、どれも直球じゃなくて、偏らずにできるほうがいいかなぁと思ってそんな感じにした。

K:なるほどね。自分はそれに全く共感して。書く上でも、これっていうよりはざっくばらんに。むしろテーマは、ないよりはあるほうがいいのかなぐらいな感じだったから。しかもテーマもこれって決めちゃうとね考えるときもテーマとズレちゃうかなみたいなのができちゃうし。

N:でもたぶんね、たとえがっつりテーマ決めても書き方あんま変わんない(笑)

K:大体いつも自分の中でテーマが決まってる感じ?

N:いや決まってない。適当に書いてる。浮かんだものを書いてるからタイトル決めがめちゃ辛い。

K:それはどういう意味?辛いって

N:これについて書いたっていうものがないから。このフレーズたちを書きましたみたいな感覚だからタイトルいらないかなぁって思うのがほとんどかなと。

K:決めるにしても最後の最後だよね。ケーキにイチゴ乗っけるぐらいのね。

――内容について

K:じゃあ最初、俺の、自分の詩ね。  

今さら歌うよ瞬く間にいなくなって
知らない間に現れて耳触りの良い語らいだけ残して
嫌なら去るよ手持ち無沙汰になって
知らない内に入らなくて肌触りの良いおもいでだけ抱いて
隠されたものが夜に満ち満ちて
点の様なきみが無数に散り散りになって
僕は安請け合いな指先を噛む

この最初の詩なんだけど、自分はこの詩のイメージはだいぶ歌よりなのね。さっきTHE詩って言ってくれたんだけど。歌でいうと歌詞の一番みたいなつもりで書いて、

N:うんうんうん(激しく頷く)

K:あとね、自分でテーマ広げた中で震災っていうのがだいぶこの一番、最初の詩に入ってるかな。つまりもうすぐ震災から十年経つ中で、記憶とか薄れていく中できっとテレビとか報道で「絆をもう一度」みたいな、そういう安っぽい言葉がまた出るだろうなっていうね。その中で本当に言葉に意味を込めてるかとか、そういうのを自分への反省としてかなり意識した感じで。「今さら」から始まってるから。耳触りに良いことだけ残していいんだろうかとか。きっと自分たちの知らない中に綺麗なことじゃなくて、感動的な物語になる前の色んな風化していってることとか、表にも出てきてないこととかがあって。むしろ綺麗っていうよりはドロドロっとした部分が置き去りにされてるんじゃないかなっていう。それが夜に満ち満ちてくるイメージ

N:まさしく、最初に詩をもらったときは歌詞!と思ったの。歌っぽい、歌詞っぽいって。頭の中で活字とか言葉というよりはメロディーとともに流れてくる感覚があって。

K:嬉しいな。

N:この流れに合わせて繋げようかなぁって考えたんだけど一瞬。結局合わせることなくとりあえずそれに呼応するものを次で書いた。

孤独すら滲まなくなった麻痺した心が雨に濡れて
知らぬ間に涙を流していた、僕、朝焼けを待ちながら
窓際にきみが置いていった飴玉を舐めて溶けていくそれはきみの愛のよう
金縛りが、僕を縛りつける、過去のおもいでの向こう側
いつだって満月は真実を照らしていたんだよ
熱に、浮かされて、溶けていく

N:えっと、「瞬く間にいなくなって」「残して」「嫌なら去る」「おもいでだけ抱いて」っていうフレーズから、記憶でも誰かがでもなんでもいいけど、何かが今はいないのかなぁっていう雰囲気で続けてみた。でも「僕」は思い出を抱いているから、取り残されているか、どこか縛られてるんだろうなという気がして金縛り、思い出に縛りつけられてるみたいな感じのが出てきたかなって感じ。

K:なるほどね。ノイズ節って言っていいのかわからないけど、あーのいずちゃんの詩だっていう感じで。あと、ノイズ節なんだけど、一つ新鮮な。自分としては愛っていうのが逆にカウンターストレートみたいな感じで、ビシっときて。金縛りとか、思い出とか、過去を思い返すような描写をやっぱりすごく受けて書いてくれたんだなっていう。で、真実って言葉も出てきて。この詩を始めるくらいのときに、お互いスタイルは違ってもいいよねみたいな話をしてて、ただ俺はのいずちゃんの詩には真実性があると思ってて、自分もそこは大事にしてるみたいな話したじゃない。だからそれを言葉にしてくれたのかなっていうのがあったかな。この満月は真実を照らしていたんだよ、が。
で、それにじゃあどう続けたかというと。

孤独のすき間に朝焼けが雲を連れてきて
意味ないものに意味を見出す僕を映し出した

えっと、まず短いね(笑)。これはねちょっと間空いてたよね、ここ返すのに。

N:うん、数日あった。

K:数日あったんだよね。自分で長文最初送っといて、それにそれだけのものがさらに返ってきたときにじゃあどうしようっていうのもあったし、この次どうするみたいな。結構第一手より第三手のほうが難しかった。

N:あっ、そう?

K:第一手は何も考えずにスタートできたから。

N:確かにね。

K:どうする自分、じゃあ第一手を貫くか、それともさらに続けるかみたいな、文体も含めて。で、ちょうどね、朝帰りしたんすよこの日(笑)。夜飲んでて。でね、そんときに、あんま終わりに近づけちゃまだあれだなっていうのもあるけど、ここでちょっと、朝焼けを待ちながらってあったから、朝焼けっていうのに自分は、じゃあ朝焼け出しちゃおうってなって。自分が過去の金縛りに苦しんで、ふっとこう朝焼けが雲を連れてきてっていうイメージ。で、なんか意味ないものを見出す、ここはわりともう、ここの部分あんまり考えてないんだけど。そんなに意味込めてないけど意味込めてる風を出してる(笑)。風だねこれだいぶ。これあとでね俺、ここなしでとか色々言いだすんだけど。

N:このフレーズ送られてきたときに、これは最高!!と思って。

K:まじで。

N:最終的にこの詩全体を見渡しても、ことばにくんが出したフレーズ、まぁ自分も含めてだけど、これが一番パンチあるかもと思って。私の中では。これたぶん私に刺さってるっていうだけかもしれないけどめちゃめちゃ好きで、これはこのままでいいかなーって。

K:そうやって言ってくれてたもんね。変えようかなって言ってた。

N:そう、これは変えちゃいかんって強く推した(笑)。
  えっと……じゃあ私が書いた部分読むわ。
  「窓ガラス弾く、誰かの涙
   僕の鏡に映る感情の残像が……」

K:鏡じゃなくない?瞳じゃない?

N:作っちゃった!!ちょっと待って作っちゃった(爆笑)。

K:まだ出してないよ、世に出てないから変えてもいいよ(笑)。

N:瞳です、瞳で(笑)。

僕の瞳に映る感情の残像が戸惑いながら
忘れられないでいるよ

これは完全に「意味ないものに意味を見出す僕を映し出した」を言い換えただけ

K:そうだったんだ。

N:意味ないものに意味を見出す虚しさとかを感じて、そういう背景で雨を降らせてみて。うーん……、感情の残像かな。「意味ないものに意味を見出す僕を映し出した」ものが感情の残像。そんな深いこと考えてないんだけど、そんな感じ。あと「感情の残像」はなんか韻を踏みたくてぶち込んでみた(笑)。

K:「感情」「残像」ね。

N:特に意味はないんだけど……。

K:でも「残像」っていうくらいだから、過去をみてる……。

N:過去ねぇ……過去。過去と今の僕の抜け殻かなぁ。

K:あ、抜け殻ってことね。あ、それが僕なんだ。意味を見出す。

N:うん、そうそう。

K:なんかあって今になったっていう、今を含めて?それこそ抜け殻とか。

N:うーん……かな。

K:自分は感情の残像っていうね、フレーズがいいなと思って。

N:おっ。

K:自分が急に二行にしたもんだからそれに合わせてくれたんだなっていうのは思ったかな。「忘れられないでいるよ」っていうのが、これ後々ね、すごく好きになる言葉。このときも好きだったし、後々ピースでここって嵌めたときにいいなって。

N:この「忘れられないでいるよ」はこの前の二つの文脈には合ってないんだけど、自分的には。

K:うん、わかる。

N:ここだけ、一段落でことばにくんが出した歌感覚にやられて、ここだけ私の中では歌ってる感じ。忘れられないでいるよ~って歌いながらぶち込んだ。

K:いい意味で浮いてるもんね。

N:歌にしたらいい感じで入るだろうなーって思って。

K:次なんだけど、

遠くを目遣り不意に訪れた沈黙に何を語ろうにも
それこそ、沈黙をもってしか表し得ないとしても
口を紡ぐぐらいなら目を見開いて
角をたてぬよう後を濁さぬよう
ぽつりぽつりと滴る、声、きみ、願いのすべて
その言葉は真実に満ち溢れていたんだ

あんまり覚えてないなここ(笑)。ここで結構全体を意識したのかもしれない。形骸化してる絆とかの言葉に対して、なんて言ったらいいかわからない……言葉にすると神聖化されることもあるじゃん。綺麗になっちゃうっていう。その歯がゆさみたいな。でもこれ「きみ」がなんなのかっていうのはわりと固まってないんだけど、けど「きみ」の声とか願いとかは真実に満ち溢れていたんだんだよっていう言葉以外のものにすごく注目している感じ

N:なるほどね、うーん。

K:黙ってるっていうのもどうなのっていうのがあるから、だから目を見開いてとか。あとね、「遠くを目遣り」は窓ガラスから遠くを眺めているイメージで書いたかな。

N:あっ、なるほど。

K:窓ガラスが誰かの涙を弾いてて、その視点をさらに遠くに目遣るみたいな。

N:このフレーズは自分の中であんまり入ってこなくて。よくわかんなかった。急にここだけぐわっと浮いてきた気がして、どうしようと思って、あんまり自分の中に入ってこなかったからその次はあんまり意識せずに書いた。

愛は、孤独
僕は今夜も孤独に押しつぶされながら
愛を、歌う
僕は今夜も孤独を押しつけながら
きみを抱きしめる
僕を抱きしめる
愛は、孤独だと、愛していますと伝えることはそういうことなのだと、覚悟が足りない罪深さを抱えて、僕は、永遠に、独り

K:そういうのもあるって俺はのいずちゃんが勧めてくれた「今日は誰にも愛されたかった(谷川俊太郎、岡野大嗣、木下龍也)」で理解しました。あえて、みたいなね。あえて受けないっていう。

N:ここは完全に何も受けてない(笑)。最後はただ書きたいことを書きました(笑)。で、たぶん分量的にもこれで最後かなーと自分で思いながら、でもワンチャン次続くかもしれないなーとも思いながらそんな感じで書いた。

K:俺もちょっとは考えてみたけど、まさにその通り。これもう終わりかなって思って。続けようと考えた時間は短かったね。迷わなかったわりと(笑)。

N:だろうと思う(笑)。

K:だろうってどういうこと?(笑)。技術的とかフレーズ的にというよりは、まぁ分量的にかな?

N:ね、わかる。

K:まぁこんぐらいかな、さっと読めるのはっていう。あ、そうだ。のいずちゃんが「私のターンはこんなもんでいいかな」って言ってるから、のいずちゃんのターンが終わったからあとは俺が書くか書かないかだってなって、俺はいいかなってなったね。

N:完全に私が終わりってなってから、「僕は永遠に独り」から「独りを噛みしめる」にちょっとだけね直した

K:そうだね。そこは続くかもしれないと思って「独り」だったもんね。
「愛は孤独」から始まる文章に対しての自分の印象はね、愛は孤独とか、愛を歌うってだいぶ調子が整ってる、結構これだけで詩って言えちゃうのがきたなっていうね。完成度高い詩。まぁ逆に言えばあんまり他を受けてない。言葉的にも、愛とか独りとかわりと象徴的な言葉が出てるから、わりとその詩全体を印象付けるかなり強めの感じ

N:確かに。なんかめちゃめちゃぶちこんでるよね。

K:ぶち込むっていうかもう象徴的。

N:こんな繰り返してたんだって思う。

K:調子がもうそれこそ俺は歌っぽく感じたし。歌だったらここがもう大サビみたいな、ラストの。これで完成って。素晴らしい!て思って終わりました。

――ここで一番最初にできた詩を、完成品としてアップした詩との違いがわかるように載せておきます↓

今さら歌うよ瞬く間にいなくなって
知らない間に現れて耳触りの良い語らいだけ残して

嫌なら去るよ手持ち無沙汰になって
知らない内に入らなくて肌触りの良いおもいでだけ抱いて

隠されたものが夜に満ち満ちて
点の様なきみが無数に散り散りになって
僕は安請け合いな指先を噛む

孤独すら滲まなくなった麻痺した心が雨に濡れて
知らぬ間に涙を流していた、僕、朝焼けを待ちながら
窓際にきみが置いていった飴玉を舐めて溶けていくそれはきみの愛のよう
金縛りが、僕を縛りつける、過去のおもいでの向こう側
いつだって満月は真実を照らしていたんだよ
熱に、浮かされて、溶けていく

孤独のすき間に朝焼けが雲を連れてきて
意味ないものに意味を見出す僕を映しだした

窓ガラス弾く、だれかの涙
僕の瞳に映る感情の残像が戸惑いながら
忘れられないでいるよ

遠くを目遣り不意に訪れた沈黙に何を語ろうにも
それこそ、沈黙をもってしか表し得ないとしても
口を紡ぐぐらいなら目を見開いて
角をたてぬよう後を濁さぬよう
ぽつりぽつりと滴る、声、きみ、願いのすべて
その言葉は真実に満ち溢れていたんだ

愛は、孤独
僕は今夜も孤独に押しつぶされながら
愛を、歌う
僕は今夜も孤独を押しつけながら
きみを抱きしめる
僕を抱きしめる
愛は、孤独だと、愛していますと伝えることはそういうことなのだと、覚悟が足りない罪深さを抱えて、僕は永遠に、独り

――表記の問題について

N:とりあえず「きみ」「おもいで」を……。私がひらがな派で、どっちに合わせようか的な感じでひらがなになった。
これ、ひらがなにして何がよかったって一番思うのは、「ぽつりぽつりと滴る、声、きみ、願いのすべて」の部分あるじゃん。ここが「きみ」がひらがなになって、「声」漢字「君」漢字「願い」漢字じゃなくて間にひらがな入ったのがめっちゃ見た目いいと思った。

K:漢字に挟まれてひらがなっていうのがいいってこと?

N:最終的に見たときに、あ、この、間の「きみ」はひらがなで正解だって思った。

K:あーできたときにね。ここはね俺全く「きみ」をひらがなにするとか考えたことが……なくはないけど、ニュアンスの違いまでは考えてこなかったから。なるほどなーって感じで。えっと、のいちゃんの言葉でいうと「きみはこの世界にいないというか僕の前には現在いない感覚」なんだって(連詩作成時のDMのやりとりを読む)。

N:ほう?(笑)。そうね、そう、そうだよ。

K:忘れてた(笑)?

N:いやいや(笑)。もう「きみ」自体は出てこないからね。全部過去のことで語ってるから。でも基本的に私たぶん「きみ」ひらがなでいつも書いてるから癖なんだよね。

K:で「僕」は漢字がいいと。

N:そうね。「僕」って漢字のほうがわかりやすい感じがする(「きみ」と対称的になるから)。普段も漢字で、たまーにひらがなにするけど。

K:じゃあその普段の感覚に合わせてって感じか。あと「おもいで」はひらがなでってなったね。

N:なったね。「おもいで」ってでも私使ってる?……あ、使ってた。

K:俺が最初に使ったけどね。最初の詩で。で、「おもいでの向こう側」っていう風に。だいぶこの辺は受けてるねこっちの詩を。

N:受けた。

K:あとになってここは対応してる文字、言葉は見える化してもいいっていう話だったね。ひらがなにあえてして。

N:そんな感じっすね。

K:詩全体の話の中で、俺がのいずちゃんに聞きたいところなんだけど。さっきもちょっと話したけど。のいずちゃんが「孤独のすき間に」っていう俺のところを、ここは残そうっていうかこれはいいと。私のほうをリズムとか長さ変えようかなって言う風に言ってたんだけどこれどういう?最終的にはそんなにいじってないけど。

N:いじってないね(笑)。

K:これどういうことなのかなって振り返ったときに思ったんだけど。

N:一段落で、いいまとまりの歌詞みたいなのをくれたけど、それに合わせて書いてないから、送ったときにも「孤独すら滲まなくなった麻痺した心が雨に濡れて」この冒頭の部分がまず長ったらしいと思って。急にアンバランスになったかなってずっと気になってて。

K:バランスが気になったんだね。

N:「僕は安請け合いな指先を噛む」から急にここ入りづらくなる感覚があって。あと「窓際にきみが置いていった飴玉を舐めて溶けていくそれはきみの愛のよう」もくそ長くて。自分的には長くないけどリズムがうまくいってないかなって思ってたんだけど、結局いいフレーズが出てこなくて……削りようもなくそのままだけど。結局組み合わせようって話になったから。

K:そうだね。それでわりと解決したかな。この辺で全体のバランスを考えるようになったんだね。修正と同時に。リズムとか。

――詩を組み合わせる試みについて

K:そこでもう自分から提案したのかな最初。したね、ハンバーガーって言ったんだけど。バラバラにして新しく作っちゃおうっていうね。したらのいずちゃんが「何言ってんのと思ったら全然いけそうじゃん」って返ってきて。

N:あのハンバーガーが意味わかんなくて(笑)。

K:そこが気になった?

N:組み合わせるの面白いじゃーんって思って、いいねぇって感じ。

K:あ、いいねぇって感じ?なんだこいつじゃなくて(笑)。

N:うん。ちょっとハンバーガーの件がよくわかんなかったけど(笑)。

K:これね深夜テンションだから、朝起きて何言ってんだ俺ってなってるから(笑)。だいたい朝後悔する。何言ってるかわかんなくて(笑)。

N:でもせっかく一緒に作るから、ただお互い出しただけじゃなくて、また練り上げていくっていう凝ったことやるのいいね!って感じでめちゃめちゃいいアイデアだと思う。

K:(組み合わせるの)いいじゃんそれってなって、のいずちゃんから第一案が送られてきたんだよね。

N:あーそうでしたっけ。

K:その前に一度俺が送ってんだけど、これはねもう機械的にやっただけで、こういう感じっていうだけだから。アイデアっていうよりは組み合わせるアイデアだけを示したかったから。実質のいずちゃんの送ってきたのが第一案な感じ。

N:そうだね。こんな感じに組み合わせてみようぜっていうので、私が勝手に組み合わせてみたのを送ったんだよね。今それを探してる(DM遡り中)。

K:最初の二つの段落に関してはそれがそのまま完成品になってる、はず。細かい修正はあったかもしれないけど。その組み合わせ方自体はそのままGOになった。

N:うん、そうだね。

K:「私なりに組み合わせてみたものだけど、ことばにくんの遠くを目遣りの段落が私の中にあんま入ってこなくて入れられなかった」ここでも言ってるね。「遠くを目遣り」から始まる俺の連詩だね、五番目の。

N:そう、そこだけすっ飛ばして組み合わせたんだね。

K:まぁいきなり全部ってわけにも……難しいもんね。とりあえずって感じだよねここは。で、俺は「すごくいいと思う」と。のいずちゃんはこのとき組み合わせた理由まで送ってくれてこんな丁寧な文章。ここについてのいずちゃん覚えてる?どういう風に思ったか。

N:もう一番最初のところはあんまり覚えてないんだけど…。これを送ったときは、私が一番最初に組み合わせた順番が結構気に入ってて、これ以上組み合わせられるかな…って思いながら(笑)

K:これ以上っていうのは第1段落、第2段落を作って、その残りってこと?あ、じゃなくて今の組み合わせがベストってことね?

N:そうそう。まぁ、でもいずれにしろ雰囲気は崩さずにどれもいけてるよね、って思う。

K:うんうん。そうだね。本当によくできてると思ったよ。すげぇ!ってなったからね。

N:で、次ことばにくんが「3段落目から変えてみた」って。

K:うん。この辺なんかごちゃごちゃしてくるね1回ね…なんか…あんまり覚えてないなぁ。色々考えた感じは出てるねDM見てると(笑)

N:すごい自問自答もしてる感じ(笑)

K:してんのかこれ(笑)これまた深夜テンションだ(笑)深夜1時だから。あぁなんか自分なりに考えたんだね…覚えてないや。あ、でもね、ここで考えたことが最後まで活きている部分もあって「角を立てぬよう後を濁さぬよう」っていうところが俺もあんまりしっくりきてなかった…なんかあんまり自分の感情が入ってなかったんだけど、ここの行を逆にしてみたの、自分で自分の詩を。「角を立てぬよう後を濁さぬよう 口を紡ぐぐらいなら」ってここ入れ替えをしたんですよ。なんか逆にしたらしっくりきたのね、ここ、自分で。

N:なるほど。

K:なんか意味を逆転させてみたらその方がいいじゃん、ってなって。これ最後までそうなってたはずだよね。

N:なってるね。たしかに。

K:これ自分の中の「しっくりしない問題」が自分の中では解決したっていう(笑)

N:いいことだ(笑)

K:そうそう、ありがたいことに。のいずちゃんがこの段落を放置してくれたおかげで(笑)答えが出せたっていう。

N:あ、ここでさ、「忘れられないでいるよ」を…

K:そうそう、「忘れられないでいるよ」をどうするか問題ね。ここはさっきしゃべってた、歌っぽいし印象的なところね

N:うん。

K:自分はここはね、「忘れられないでいるよ」の浮き具合を活かすんじゃなくて、これをなんとかしようと思っちゃったのね、最初。だから「意味のないものに意味を見出す僕」に「は」をつけて「忘れられないでいるよ」って続けたくなっちゃったんだけど。でも後になってのいずちゃんの話の中でね…。

N:あぁ、かかってないよって。

K:うん、かかってないよってね。ここは、「映し出した」「忘れられないでいるよ」ってつながりのない感じで全然むしろいいなって後でなった、俺の中でも。
あとこの完成した第4段落のところで、「それこそ、」で始まるところは1つ発見だったかな。「それこそ、」で始めちゃうっていう。

N:そうだね。そうそう。

K:ここの第4段落って俺の言葉だけで作っちゃってるんだよね、「忘れられないでいるよ」以外は。だからほとんど俺の言葉だけをパズルみたいにやってるから。ある意味冒険できたというか。自分がいいと思えばそれでOKじゃんって思って。

N:そうだね。

K:「それこそ、」で始めてみたらここはそのまま最後までいったね。

N:「遠くを目遣り」から「真実に満ち溢れていたんだ」までがいい感じにくっついて、いい切り方だと思う。

K:切るってのは「それこそ、」?

N:そう。「それこそ、」で区切ったのは、すごいいい切り方だなと思う。

K:そう。これはね、よし!って感じだった自分も(笑)あとこの句読点「、」使う感じも、普段あまり使わないかもしれない、だいぶこれも触発されてると思います、これ。「声、きみ、願いのすべて」も触発されてる

N:いいね、ここめっちゃいい。

K:「きみ」がひらがなにもなったしね。あと(DM見て)…今これ見てて面白い(笑)。色々議論していって、のいずちゃんも「少し説明くさくなってるからちょっと待って」みたいな(笑)ちょっとそれあんま好きじゃないのかな、みたいな(笑)俺は「あ、そっか」ってなって(笑)「ちょっとごめんシンキングタイム」ってコーヒーの画像が来て、あ、シンキングタイムか、って思って(笑)

N:モーニングの写真送りつけた(笑)

K:面白かった、ここ(笑)

N:そう、なんかね。全部説明しようとしちゃってる感じがしたから。

K:難しいよね。でもさ、すり合わせるためには、多少は説明がいるから。
1人だったら全部頭の中でやればいいけど、言葉にしないといけない部分が出てきちゃうんだよね。
でも、そこも今思うと面白かったね(笑)今ってかまぁそのときも面白かったけど(笑)

N:で、ここでも、最終的に「孤独すら滲まなくなった」から「誰かの涙」までのフレーズは変えたくないことを強く推してる。記憶にないけど(笑)

K:うん、ちょっと今日まで間空いちゃったからね(笑)そこはしょうがない。これ2週間くらい前だからね。

N:確かにね。で、ここで一気に決まっていかなかった?

K:そうだね、こっからこの日くらいに大分進んだかな、今の形になっていって。(DMのやりとり見ながら)…なんか言ってるね、色々。ちょっと1個1個思い出せないなぁ、正直。あと何かある?(笑)急に投げやり(笑)

――タイトル決めについて

N:タイトル決めを最後にしたよね。

K:あとはタイトル決めだね。詩の内容は色々変えすぎて分からなくなっちゃったもんね、最後ね。互いに「確認してー」って言って。

N:なんか言葉抜けてんじゃないかってめっちゃ思った(笑)

K:俺も途中で保存したファイルいっぱいになってさ(笑)どれがちゃんと変えたやつ?って思って。テキストファイルがどんどんできて...…どれが正しい?みたいな(笑)

N:そう、タイトル案色々出したじゃん?色々出して、最後に「おもいでの詩」って思ったら「おもいでの詩」ってそのまま来たから、ことばにくんから。これはもうこのタイトルにするしかないやろ!って思って。

K:すごいよねぇこれ。ドンピシャ?

N:ドンピシャだった。

K:「詩」で、「うた」だしね。まぁ「おもいで」ってひらがなにしたからコアな、核となる言葉だったからね。それでもう即決だったね。

N:そう。それで完成した。

K:うん、結構とんとんとできたな。あとは写真。

N:写真、適当に、選んで、つけた(笑)。

K:アスファルトの交差点の感じ

N:そう。めっちゃ好き。

K:うん、いいねこれ。あとは、月夜ってイメージのパターンだね、他の候補は。雲とかもあるし。まぁこれもわりとすんなり決まったね。もうあとはこれをどうアップする?とかそういう話になってったかな。

N:うん。まぁ最終的にいい形にまとまったよね。最初からこれできてたんじゃないかみたいに思った(笑)

K:どういうこと?

N:もうこれ以外考えられないって。

K:あぁそういうことね、こうなるためにやってたんだってことね。始めからこれを連詩でできたんじゃないかってことかと思ったけどそれはお互いの分量が結構難しいよね。
組み合わせが面白かったね、最後。あんまここはこれ以上深堀りしなくてもいいか、逆に。読む人が感じてくれれば。

N:うんまぁね。まぁ結構考えたよね、これ。

――最後に、お互いに聞きたいこと、話したいこと

K:のいずちゃんがほとんど…特に最初の2段落は。俺結構3、4段落については話せたけど。1、2段落についてはどう?話せた?自分の考え。ここの組み合わせはのいずちゃんが作ったところだけど。

N:そうね、私の変えようかなって言ってた2段落目(「孤独すら滲まなくなった麻痺した心が雨に濡れて~それはきみの愛のよう」)とことばにくんの考えた詩の部分とのを組み合わせたくて。

K:ここは半々になってるよね、お互いの言葉が。

N:そうだね。「今さら歌うよ」と「嫌なら去るよ」の形は崩したくなくて。でもちょっと離らかせてみた。

K:どういうこと?

N:「今さら歌うよ」と「嫌なら去るよ」が続いてたじゃん2行ずつで。そこをちょっと切って。

K:そこは変えずにってことね?

N:そうそう。歌感をあえて崩さずにそのままにしたつもり

K:うんうん。そうなってると思う。

N:「隠されたものが夜に満ち満ちて」から「金縛りが僕を縛り付ける」の流れがめちゃめちゃ良いと思って。ぴったりって自分の中で思って。

K:ここは前半3行のことばにの言葉からのいずの言葉に丁度切り替わるところだよね。

N:そうそう。切り替わってないかのような流れがあるかなぁと。

K:なんかこう…..…抽象から具体になっていった感じがあるのかなと。「隠されたもの」って漠然としてるけど。

N:うん……..まぁ読めば分かるかな。(笑)

K:うん(笑)そうですね。はい。

N:はい。

K:これでだいたい聞きたいことは聞けたかな。今後もぜひ、コラボ詩をやろう!!ありがとうございました。

N:ぜひぜひ!ありがとうございました。

――対談終了!!――


――最後にコラボをしてみてどうだった?笑

                    -Kotobani編-

 ノイズさん側の対談記事(リンクは最後に!)の文末ーNoise編ーでも同じようなことを言っているのでぜひ見ていただきたいのですが、率直に言って、自分たちの言葉を自分たちで聞いて文字起こしするとなると、自分の言葉尻が気になってしょうがないというこっ恥ずかしさと難しさがありました(笑)。

 ただ対談そのものは楽しかったし、何より「詩」という、自分にとっては漠然としている(のに、日々取り組んでいる)ものに対して、他の方の「こんな風にやってるよ!」的なお話を聞かせてもらえるだけで大変貴重な機会でした。いつもは一人孤島で取り組んでいるようなものでしたが、連詩は対岸から言葉が返ってくる!(山びこではない!)対談でも話題にありましたが、それでいて自由に返して良いのも連詩の良さではないかと思います。また、自分の一面として、こういう説明をするのが好きなのだということもわかりました。(ノイズ氏指摘の通りほぼほぼ自問自答ですが笑)

 まぁ、仮にわかってもらわなくても、自分の中ですっきりすればいいのです。相手も相手なりにすっきりすればもっといいです。そんな感じの対談、いや普通の「同志としての会話」でした。こういった詩という、それだけでも創造的な取り組みを、連詩にしたり、今回のようにさらにバラバラにして組み合わせたり(ノイズ氏にうまく伝わらなかった「ハンバーガー理論」)すると、もう指数関数的に膨大な組み合わせが生まれて、無限の可能性があるので、そういった楽しみも含めて、詩を通したつながりをこれからも広げていきたいなと思いました。今後もお声をかけていただきたいですし、自分からも声をかけていきたいと思います。

ノイズの対談記事はこちら↓

以上、長い記事を読んでいただき、ありがとうございました!

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