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親を許すことがゴールじゃない

「お母さんが、思うように私を愛してくれなかったから、私は愛情を憎しみに変えました。 」

そう声に出して言ったら、私の中にずっとある、この憎しみは愛だったんだって、涙が止まらなかった。
嫌いで嫌いで嫌いで許せない分だけ、苦しんだ分だけ、全部全部愛だったんだ。
母への愛だった。

私は母親の事がずっと許せなかった。
今でも好きとは言えない。
許せたかどうかも分からない。
でも、かつての幼かった私は、母が大好きだった。そう思い出せたのも、30歳を過ぎた最近の事である。

大好きだったのに、いつも母は私といるとイライラしていて、母の理不尽な言動は私をたくさん傷付けた。
母は、私に向き合ってくれなかった。
私のことを受け止めてくれなかった。
「子育ては面倒なことで、自分の自由を阻害するもので、子どもがいると私の楽しみは奪われる。」そう言われた事はないが、母を見て、私はそういうメッセージを受け取ってしまったのだ。私がいるとお母さんは幸せになれない。私は生まれてこなければよかった。と。

いつしか母を恨むようになった。
最低な母親。死ねばいいのに。と本気で思っていた。
「親に対してそんな酷いことを思っているなんて…」と批判する人もいる。
「親を許さないといけない」と言う人もいるし、本にもそう書いてある。
許したくても許せない苦しみが私の中でぐるぐるして、母親を嫌いな分だけ自分自身のことも嫌いだったのだ。

親との関係が、恋愛や仕事、人生全般に影響してることには何となく気付いていた。
だから私は幸せにはなれないんだと信じていた。信じたくなかったけど、心の奥底にソレがあって消えなかった。だから布団に入ると、私は一生孤独で、誰にも気付かれずに1人で死んでいくんだ。という恐怖が襲ってきて眠れない夜が毎日だった。


セラピストの先生に出逢うまでは。


「親を許さないといけないって自分を責めなくていいよ。そんなの無理にすることじゃないからね。でもそうなる日が来るんだけどね。私もそうだったの。もっと言うと、親を許すことがゴールじゃないんだよ。」と言ってくれたセラピストの先生の言葉を聞いて、固く固く心の奥底にあったソレが、じんわり溶けていくのが分かった。

親を許せなくて苦しんでいる全ての人の幸せを願って。

つづく。

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