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深読(4) - 個人のタスク管理を考える(2019.1.4.追記)

深読みしたがりによる脳内言語化エッセイです。今回は過去のエッセイと比べると多少は実用的な内容だと思います。

はじめに

人生はタスクの連続だ。
ここでいうタスクは「作業」「学業」「仕事」を意味する。オン・オフを問わず、私たち一人一人が常日頃抱えこんでいるものだ。

よく「タスクを細分化せよ」と言われる。確かに大きな塊は細切れにした方が扱いやすいのだが、厄介なことに、タスクには流動的な性質がある。切り分けたはずのタスクがいつのまにか膨張して大きな塊に変貌していたり、片付けようと思っていても自分自身がいつのまにか戦意喪失していたりする。

タスクの優先度や自分のやる気の流動性を把握し、「いま、一番やるべきこと」に集中できるようにしたい。タスクに振り回されるのではなく、タスクを自分の意思で操りたい。筆者はそのように思いながら過ごしている。
今回は、個人レベルのタスクを管理する上での私なりの考え方を、図解を交えながら説明していきたい。

タスクの分類

まず、タスクに対して抱く個人的な心情を「工数」×「やる気」の2軸で簡単にマッピングした図がこちらである。

ここにもう1軸「優先度」を追加した場合、以下のような三次元空間として表すことができる。

ここでの「優先度」とは、単に自分が優先したいかどうかだけでなく、クライアントの都合が変わったとか、月の〆日が近いとか、天候や交通状況といった「外的要因」に左右されるものである。
先述の「工数」とは、計測可能な時間である。
「やる気」(=モチベーション)は、タスクを実行する者の内的・心理的要因に左右されるものである。

以上の3軸を以下のように定義する。

優先度(他人軸)
他人の意向、時期、天候などの外的要因で決まる

工数(数値軸)
タスクにかかる(予定の)時間で決まる

やる気(自分軸)

自分自身の瞬間的なモチベーション、体調、心境、気分などの内的要因で決まる

数値化してみる

それでは、タスクを以下のような表に当てはめてみることにする。

例として、「近くのスーパーまで買い物に行く」というタスクを思い浮かべてみよう。

『今日中に買い物に行かないと家族の食事を準備できないので、優先度は高いな。
スーパーまでは往復15分、店内滞在時間はいつも大体30分なので、まあ1時間あれば終わる。
今日は寒いから、ちょっと外出が億劫だけど、自分の好きなお菓子でも一つ買って帰ろう。』

以上のように考えたとき、優先度・工数・やる気を「③・②・①」の3段階で表すと、このようになる。

3軸のグラフで表すと、以下のようになる。

優先度と工数は時間的な要素なので、「③・②・①」の基準は数字で決めておくと後々分かりやすい。この場合は、下記基準を適用した。

【優先度】
③:当日中 / ②:1〜3日後まで / ①:4日後以降まで
【工数】
③:3時間〜 / ②:1〜3時間 / ①:〜1時間 

この基準は自分の都合に合わせてカスタマイズすることができる。合わないと思ったら基準を見直し、適宜修正すれば良い。

注意すべきは、表の内容が常に一定ではなく、リアルタイムで変動することだ。
天候が急に悪化すれば「やる気」は「①」に下がるだろう。
スーパーに行くついでに銀行や郵便局に行けば、「工数」は「②:1〜3時間」に増えるかもしれない。
あるいは予定を変更して、外食や出前に切り替えれば、買い物は今日でなくてもよくなり、「優先度」は「②:1〜3日後まで」になるかもしれない。

買い物程度であれば表を書き換える必要はないが、複数の仕事を抱えているような場合は、「優先度」や「やる気」を定期的に見直し、表を随時書き換えた方が思考が整理されるだろう。

タスクの実例

ここでは各軸のレベルを「高・低」の2段階とし、ビジネス・プライベートを問わず様々な活動をざっくりと6種類のタスクに分類してみた。

1.庶務

優先度 (他人軸):低
工 数 (数値軸):低〜高
やる気 (自分軸):低

日常の様々なタスク。雑事・雑務とも。家事全般、書類整理など。

2.小娯楽

優先度 (他人軸):低
工 数 (数値軸):低
やる気 (自分軸):高

比較的短時間で終わるような遊び、気晴らし。SNS・スマホゲーム・音楽鑑賞・趣味のショッピング・散歩など。

3.大娯楽 / ライフワーク

優先度 (他人軸):低
工 数 (数値軸):高
やる気 (自分軸):高

旅行・催事など、準備も含め比較的長時間を要する遊び。または、特に納期に追われることなく、主に自分の満足のために行う研究、開発、創作など、いわゆるライフワークもここに含まれる。道楽と揶揄されることもある。

4.ルーチンワーク

優先度 (他人軸):高
工 数 (数値軸):低
やる気 (自分軸):低〜高

急ぐ必要があるが、一つ一つはすぐできるような作業。低単価のルーチンワークが代表的だが、緊急度が高すぎると事故のもとになる。
業務においては、やる気はあった方が好ましいが、必ずしもやる気がなくてもできるような仕組みも重要な場合がある。

5.ブラックジョブ

優先度 (他人軸):高
工 数 (数値軸):高
やる気 (自分軸):低

時間的・物理的にムリ・ムラ・無駄のある、やる側の負担が過大な仕事。この手の仕事に限って組織内部から「やる気」を要求されるケースが多い。報酬や自己啓発などの条件を揃えれば次項の「大仕事」に転じる場合もあるが、肉体的・精神的リスクは依然として高い。

6.大仕事

優先度 (他人軸):高
工 数 (数値軸):高
やる気 (自分軸):高

たとえば社会的に価値の高いプロジェクトや、報酬(金銭面や精神面)の高い仕事など、多少の無理はあっても見返りの大きい仕事がこれにあたる。ただし、一歩間違えば「ブラックジョブ」に転落するため、関係者は慎重を期す傾向が強くなる。

管理表のプロトタイプ

現在、筆者は自作の管理表を試験的に使用中である。

向こう1日〜1ヶ月程度のタスクを列挙するだけでも随分と思考が整理されるが、さらに各タスクに対する「やる気」を都度ラベリングすることで、「やらねばならない」の裏側にある「やりたい / やりたくない」が可視化され、自分軸を見失わないようになる。
このことは個人的には盲点だった。外部環境に振り回されてしまいがちな自分の性格を、自分軸の意識づけによってカバーできそうな予感がしている。

実際に使用している管理表は、以下のようなシートである。
(あくまでプロトタイプであり、これからブラッシュアップしていく)

管理表外観

TODAY関数で今日の日付を表示

各プルダウンリストは以下のようにカスタマイズしている。

タスクの進行状況を表す「状況」の行を追加し、完了したタスクは後でまとめて消し込むようにする。

優先度・工数・やる気の3段階評価は「高・中・低」「◎・○・△」など、各項目のイメージに合わせて変更した。

おわりに(DLリンク)

タスク管理表のデータはGoogleドライブ上で共有しています。
今回のテキストを読んで興味が湧いた方はDLして使ってみられてください(ブラウザ上では閲覧のみ可能です)。Excelのベーシックな機能だけで作っています。

ご利用の注意
・PC(キーボード操作)による編集を想定しています。モバイル端末だと操作しづらい可能性があります。
・個人のタスク管理以外の目的での使用はお控えください。
・DL後、Excel上で開き、カスタマイズしてお使いください。
・Excel以外のアプリケーションで開いた場合、一部機能が制限される場合があります。(TODAY関数が適用されない、プルダウンリストが表示されない等)
・自己責任のもとでご利用ください。ただし、使用に際しての問題や改善提案がございましたら是非お知らせください。改良の参考とさせていただきます。

(2019.1.4.追記)
Macユーザーの方向けに、Numbers形式のデータを作成・公開いたしました。上記のExcelデータと同様にご利用いただけます。

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