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滑稽な男女(7)~おもてなし

周と孝の2人を相手するのだから、私の体には、相当な負担がかかることは間違いない。

でも、こんな機会もなかなか無いだろうから、どんなものか経験できればそれでいい。

周と会うのは今日で最後にしよう。
孝と会うかは、どちらでもいい。
不倫だから長く続くこともないだろうし。

私は周と孝に、この先も続く人との繋がりを求めていなかった。
体の、快楽の、好奇心の、今夜だけの繋がりでいいと割り切ることにした。



土曜日の4時過ぎに、孝と一緒に周の部屋に着いた。
部屋はクリスマスの飾り付けがされていた。

周は意外に可愛いものが好きで、飾り付けも子どもが喜びそうな小物を使っていた。

孝と私はデパ地下で買ったシュークリームとチョコレートを周に渡した。
周は冷蔵庫から、赤ワインとすでに切ってある果物を出してくれた。
女性2人を相手したときも、こんな感じでもてなしたのだろうか。

周は孝に「Good looking」と言った。
周は私をときどき「Cherry pie」と呼ぶことがあった。
周が英語を使うタイミングはよく分からない。

周も孝もとくに自己紹介はなかった。

「私はシャワーを済ませてあるから、孝さんは千尋と入っておいで。」

進行係はもちろん周だ。

周に言われたとおり、孝と私はシャワーを浴びる。

「自宅でも、ちゃんと洗ってきたから、大丈夫だよ。へへ。」

「俺も。」

恥ずかしくてたまらない。
これから、もっと恥ずかしいことするのに!

さっとシャワーを終えると、周がワイングラスを渡してくれた。
ワインを2口飲んだところで、
周が「2人でやってみて。」と言った。


周は椅子に座り、孝と私はベッドに上がった。

孝は私をゆっくり、ぎゅうっと抱きしめて、キスをして、服を脱がした。
優しい愛撫がはじまり、
やっぱり孝のセックスが好きだなと思った。

横目で周の方を見た。
無表情だった。

孝の心臓の音を聞いた。
冷静だった。

私は一瞬ゾッとした。

興奮してない…
この男たちは、興奮しないの!?

私じゃだめってこと??

私じゃ3Pまでしても、興奮しないってこと??

強い不安を感じる。

途中で止めたりしないよね?

最後まで楽しめてもらえるのか不安だ。


でも、きっと大丈夫。
2人は性欲が強いから。
周はまったく問題ないだろうし、
孝もフェラをすれば何とかなるだろう。


日が落ちて、部屋が暗くなってきた。
ツリーの電飾がチカチカ光っていた。

(つづく)









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